信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】ヘイニーvsカンボソスで4団体統一王者誕生も、「Undisputed Champ」ではない。

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オーストラリア興行。

WOWOWで放送されたこのジョージ・カンボソスJr.vsデビン・ヘイニーの一戦は、アメリカではESPNで放送です。

アメリカのプライムタイムにあわせての開催なので、現地時間の午前中からはじまったこの興行は、オーストラリアボクシング史上最大の一戦の一つに数えられるものでしょう。

このようにスタジアムファイトが開催されるくらい、オーストラリアのボクシング界は隆盛、ということで良いのでしょう。

 

WOWOWではセミファイナルからのようだったので、私は今回、ESPNで視聴。

「メインカード」と銘打たれた興行を視聴しましたが、このメインカード以外には「アンダーカード」枠と「アフターカード」枠があり、興行の総時間は7時間近くになります。

ということで今回は、カンボソスvsヘイニー、オーストラリア興行の観戦記。

↓プレビュー記事

boxingcafe.hatenablog.com

 


6/5(日)オーストラリア・メルボルン

ヘミ・アヒオ(ニュージーランド)vsジョー・ジョーンズ(アメリカ)

メインカード最初の登場は、18勝(13KO)のヘビー級、アヒオ。13勝(10KO)4敗というジョー・ジョーンズというボクサーと対戦です。観客の入りはまだまばら。

ニュージーランド出身のアヒオは183cmと小柄ですが、ジョーンズも負けず劣らずの身長。初回から近い距離での打撃戦、ふたりともなかなか機動力があります。

アヒオは終始プレス、回りながら戦うジョーンズ。終盤にアヒオはアッパー等をつかって攻勢をかけます。

CM明けの第2R、会場がざわついております。どうやらジョーンズが棄権のようです。右腕に異常をきたしたか?

 

デビッド・ナイカ(ニュージーランド)vsカリム・マータラ(オーストラリア)

2勝(2KO)無敗のクルーザー級、ナイカと、地元オーストラリア、2勝(2KO)1敗のマータラ。名前の読み方は違うかも。ともに2m近い身長があるようで、クルーザー級としては大型です。このナイカは元アマエリート、東京五輪ではヘビー級で銅メダルを獲得しているプロスペクトです。

ナイカはステップワークをつかってストレート主体のボクサータイプ、マータラはガードを固めて全身するファイタータイプのボクサー。ナイカのジャブ、ストレートは非常によく伸びますし、自ら攻め込んだ時のコンビネーションは良いですね。

対してマータラは遠い距離では中々手が出ませんが(※身長、リーチはさほど変わりません)、近くで回転力を活かした連打をだしたいところ。

この二人のボクサーは、これまでの戦いをすべて初回だけで終わらせてきた(もしくは終わらせられた)ようなので、未知の2ラウンドに突入。

 

その後もナイカはジャブ、ストレートで優勢、3Rにはスイッチして右アッパーを決めます。

勢いにのったナイカは自ら前に出て攻め始めますが、そうするとマータラも元気になり、いくつかのパンチをナイカに着弾します。

4Rにはしっかりと距離をとってアウトボックスするナイカ、マータラはここにきて勢いが出てきて、グイグイと攻めていきます。手数も多く、非常に頑張っています。

ラストラウンドとなる5R、引き続きぐいぐい攻めるマータラ!ナイカはロープに詰まる場面も増え、終盤にはマータラのストレートで顎を跳ね上げられる等しましたが、終了のゴング。勝負は判定へもつれ込み、勝者はデビッド・ナイカ。

49-46×2、48-47という判定でしたが、地元オーストラリア(といってもニュージーランドもここはホームと言えるのかもしれません)のマータラはかなり善戦した、と言えるのではないでしょうか。

後半に追い上げられたナイカ、もしかするともっとラウンド数があった場合は危うかったかもしれません。

 

バンタム級10回戦

ジェイソン・マロニー(オーストラリア)23勝(18KO)2敗

vs

アストン・パリクテ(フィリピン)28勝(23KO)4敗1分

さて、このオーストラリア興行においてもっとも予測できない出来事が起こるかもしれない、というのがこの試合。

ジェイソン・マロニーの強さは日本のボクシングファンならよく知ったところで、マロニー優位の試合ではあるものの、パリクテは侮れません。何せあのニエテスと引き分けた経験のあるボクサー。

並んでみるとスーパーフライあがりのパリクテの方が大きく見えます。

注目の一戦、ゴング。

まずはマロニーはパリクテのまわりをサークリング、アップガードスタイルでジャブをつきます。パリクテはマロニーの打ち終わりを狙うか同時打ちのような感じで、ハードパンチを、比較的丁寧に振るっていく印象。

パリクテはこの階級においてもパワーがありそうです。

マロニーのジャブに合わせようとしているパリクテの右クロス、これは警戒しなければいけません。とはいえ、警戒しすぎて左を出し渋るようになってしまえばいけません。

 

マロニーはジャブを出すぞ出すぞのフェイントで、パリクテの右を誘います。これを出させてカウンター、というのが理想。ですがパリクテは乗ってきません。

パリクテは左右のアッパーも怖い。ただ、マロニーは左ボディをいくつも打ち、下にパリクテの警戒心を集めています。

やはりボクシング技術はマロニーが上、しかしパリクテの一発は怖い、という初回。

2R、このラウンド、マロニーは序盤、機動力を活かしたボクシングをしたあと、中盤以降は接近戦を選択か?

これはかなり危険な距離だと思いますが、これまでの攻防でなにかを掴んだのでしょうか。

依然、パリクテのアッパーとスイングフックは怖い。

ですが、近い距離での回転力、コンビネーション、ハンドスピードで勝るマロニーは、この接近戦でも良いボクシングを展開しています。

後半、マロニーの左ボディでパリクテはやや後退。パリクテは露骨にボディを嫌がります。

パリクテもお返しに左ボディを返しますが、明らかにマロニーのボディの方が強烈で、しかも打ちどころが良い。

3R、序盤、距離をとるマロニー。しかし序盤、入り際にパリクテの右アッパーがヒット?ここで後退したマロニーですが、そのダメージを何とかごまかして接近戦に持ち込みます。

 

接近戦ではマロニーの左ボディは非常に効果的、強い右ストレートを顔面にかえしてやはりこの距離でもマロニーが優勢。もうこのまま接近戦で勝負したほうが良さそう、と思いますがマロニーはその後中間距離での攻防を選択。

フィニッシュは唐突。マロニーが先に動いたように見えましたが、右ストレートをクリーンヒット!その右にアッパーを合わせようとしたパリクテは、そのアッパーをミス、そしてダウン!

立ち上がったパリクテに、マロニーは連打を見舞い、パリクテが二度目のダウンを喫する前にレフェリーは割って入りました!

ジェイソン・マロニー、3RKO勝利!!!

これは、想像以上に素晴らしいノックアウト劇!!!

 

マロニーの右に、同時打ちで合わせようとしたようにみえたパリクテのアッパー、あれはタイミング的にもらってもおかしくありませんでした。しかし、マロニーは強い踏み込みで距離を詰め、パリクテのアッパーのヒット場所をずらし、自身の右のみを当てる事に成功しました。

パリクテも調子の良さを感じさせましたが、マロニーがこの右をヒット出来た根底には、やはり彼の「勇気」という資質が大きいのではないか、と思います。

明らかにパリクテはアッパーを(その前から)狙っており、狙われているのもわかりながらも強く振り込むという勇気。非常に総合力が高く、機動力のあるジェイソン・マロニー。そのマロニーの一番の武器は、作戦遂行能力、そしてその勇気なのかもしれません。

 

世界ライト級4団体王座統一戦

ジョージ・カンボソスJr.(オーストラリア)20勝(10KO)無敗

vs

デビン・ヘイニー(アメリカ)27勝(15KO)無敗

世界ライト級4団体統一戦。約60,000人収容のスタジアム、ということですが、こういうビッグイベントを開催出来たことは本当に素晴らしい事です。日本でもいつか。。。と思ってしまいますね。

普通に考えればデビン・ヘイニー優位であり、カンボソスの勝ち筋は薄い。

ただ、ヘイニーは打たれ脆さも有しており、カンボソスにもチャンスがないわけではなさそうです。

そして何よりも、多くの日本のボクシングファンはカンボソスを応援してしまうのではないでしょうか。それは、カンボソスが初防衛戦の相手として本来はロマチェンコを指名したことが大きい。

ということで、「がんばれ、カンボソス」でいきたいと思います。

初回のゴング。

リング中央に陣取った二人のボクサー、中間距離での様子見からまずはヘイニーが非常に長く、速いジャブ。カンボソスはしっかり見て、ヘイニーに先に手を出させてリターンを返す作戦か。

ただ、ヘイニーのジャブは速すぎて、カンボソスは完璧には反応できていません。少しずつ、慣れていくしかありませんね。

 

後半、ヘイニーのジャブの打ち終わりにフック系のコンビネーションで攻め入るカンボソス、クリーンヒットはありません。カンボソスは速いヘイニーに釣られて、スピードを出さなければいけない、と考えてしまっているような気がします。ここはマイペースを維持してもらいたいところ。

2R、カンボソスはヘイニーに対して中間距離で挑んでいますが、これは悪手のような気がします。この距離は完全にヘイニー、手数は多くないですが、当てるつもりで出せば高確率で当たる鋭いジャブを持っています。

カンボソスはヘイニーのジャブに対応しようとすることが精一杯、もっとがむしゃらに行くべきのような気がします。

後半、カンボソスは攻め込みますがヘイニーはクリンチで遮断。このクリンチのタイミング、方法というのはヘイニーは非常に得意。このクリンチがあるからこそ、ヘイニーは無敗だとも言えます。(リナレス戦)

3R、とにかくヘイニーは左の使い方が秀逸、時に鋭く突き刺し、時に横から振り回し、時に相手の攻撃をストップするために伸ばす。カンボソスは完全に攻めあぐねており、踏み込みは鋭くハンドスピードも速い、そしてコンビネーションも良いですが、ヘイニーには届きません。

4R、このままではカンボソスは手も足もでません。後の先を制そうとヘイニーに先に手を出させるカンボソスですが、カンボソスが打った時にはヘイニーはもうそこにいません。ヘイニーは非常に反応が早く、体の速さを競っても良いことはありません。

 

5R、カンボソスはこの「ヘイニーの打ち終わりを狙う」以外の策はないのでしょうか。流石にBプランなしにこのビッグマッチに臨む事はないはずですが、果たしてそれをさせてもらえないのか。もしくは、もう既に出している私が気づかないだけなのか。

ヘイニーはほとんど左だけ、ですがこのラウンドもカンボソスが入ってきたところにアッパー?カウンターをヒット。

6Rも展開は変わりません。カンボソスは突破口を見つけられませんし、ヘイニーは前手のみ。近づけばクリンチで、省エネボクシングの見本です。

「パンチをもらわず、パンチを当てる」という、スポーツライクなボクシングを展開。

7R、わたくしごとですが、そろそろ眠くなって参りました。別に悪い事ではありません、これはデビン・ヘイニーの試合です。

 

おそらく、そうなることはヘイニーが危なげなく試合をこなしている、という証拠です。

デビン・ヘイニーというボクサーは、もしそのキャリアの終盤にハイライトをつくるとするならば、速いジャブを当てているシーンだらけになるのかもしれません。

ヘイニーのヘイニーらしさ、というものは、このフリッカー気味にでるジャブ、ノーモーションで速く、外側をまわせる左フック。

相手が出てくる、いや、出てこようとするタイミング、相手がふっと気を抜く刹那、もしくは相手の体が宙に浮いている時、足が着地した瞬間。

ヘイニーにとって、「絶対にジャブが当たる」というタイミングというのは、無数に存在するのかもしれません。

あとは気を抜かず、完走しさえすればヘイニーの勝利です。

後半、ヘイニーが気を抜く瞬間が訪れ、そこにカンボソスが猛チャージできるかどうか。

結局、その願いはもろくも崩れ去り、ヘイニーはさすが集中力も十分で、終盤に突進して攻めるカンボソスをいなし、時にクリンチ、そして左をヒットして最後まで優位。

 

途中、記憶が飛んでいるかもしれませんが、あっという間の12Rが終了、最後にヘイニーは走って距離を取りました。

オーストラリアのホームタウンデシジョンも虚しく、結果はヘイニーの判定勝利。118-110という妥当に思える採点が一人、そして残り二人は116-112というカンボソスよりの採点結果でした。しかし、これはオーストラリアの歓声を考えるといたし方のないことかもしれません。

おそらく、私がこれまでに書いてきた「4団体統一戦」に関しての観戦記は、毎度のように「4団体統一戦にふさわしい試合だった」と書かれていると思います。実際、その多くは、ほとんどは、もしかすると全てがそうでした。

ともに気合の入り方がいつも以上、というチャンピオン同士がぶつかるこの4団体王座統一戦は、好試合になりやすい。

しかし、そんな事はどこ吹く風、デビン・ヘイニーは最初から最後まで平常心でした。

ぐうの音もでません。

これにて、世界ライト級4団体統一王者となった「ドリーム」デビン・ヘイニー。

しかし、まだまだ多くのボクシングファンが認める存在にはなりえません。

やはり、この階級の王者はワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)。

そして、前戦でまたも衝撃的なノックアウトを演出したジャーボンタ「タンク」デービス(アメリカ)、そしてこれまた印象的なノックアウト勝利を積み重ねてきたライアン・ガルシア(アメリカ)。ヘイニーは、この階級最強を証明するためには、まだまだライト級にとどまらなければいけません。そうでなければ、認められない。まだ「Undisputed=比類なき」王者となるには、証明することが多すぎます。

「無敗を守る」ということと引き換えに、(ファンの評価を得られないという)茨の道を行くことを選択した、とも言えるデビン・ヘイニーのキャリア。私は、このブログで観戦記を書く、という大義がなければ、今日の試合は途中でオンデマンドを消していたかもしれません。

恐るべし、デビン・ヘイニー。

 

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