井上尚弥(大橋)がP4Pキングとなり、それに次いでまたもビッグニュース。
先日、エステバン・ベルムデス(メキシコ)とのWBA世界ライトフライ級王座統一戦に勝利した、京口紘人(ワタナベ)に統一戦のオファーが舞い込んだ、とのこと。
晴れてWBA唯一の王者となり、同時にリングマガジンベルトを保持する京口に舞い込んだオファーは、WBO世界ライトフライ級王者であるジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)との王座統一戦です。
しかも日程が、サウル「カネロ」アルバレスvsゲンナディ・ゴロフキン3のアンダーカード、ということなので、これを逃す手はありません。
京口にとっては、ファイトマネー的にも、世界に名を売るためにも、「受けない」という選択肢はほとんどないように思います。
唯一、今戦からのスパンが3ヶ月、ということぐらいですが、これは6/24(日本時間6/25)に防衛戦を控えるジョナサン・ゴンサレスの方がややきつい日程となっており、これを理由に断ることはないと思われます。
しかし、BoxingSceneが報じたところによると、ゴンサレス陣営はこのオファーを受け取っていない、との事。
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どういうことなのかわかりませんが、京口へのオファーは、カネロと京口を共演させたいというエディ・レイノソの独りよがりなのかもしれません。
しかし、この記事を(翻訳アプリで)読んだ限りでは、実際はこの道がなくなったわけではなさそうです。
ということで今回は、風雲急を告げるライトフライ級世界統一戦線について。
WBA王者・京口紘人(ワタナベ)16勝(11KO)無敗
京口は2021年3月、アメリカでアクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ)、2022年6月にメキシコでエステバン・ベルムデス(メキシコ)をいずれもTKOで退けています。
特に今回のベルムデス戦では、アウェーの洗礼を浴びながらも格の違いを見せつけ、国内外で大いに評価を高めたと言って良いでしょう。
京口の代名詞でもある左アッパー、左ボディーといったパンチ、それもダブル、トリプルと放っていくこの前手のブローは、体幹が強くないと打てないパンチ。今回の一戦では、フィジカルトレーニングの成果もあったのでしょう、これまで以上に安定感を増し、特にあの左のショートアッパーはもうオートメーションでポンポンと出ている感じがしましたね。
多くのメキシカンのように振り回して強いパンチを打ち込むスタイルではなく、非常にコンパクトで理知的な前進の仕方、それでいてメキシカンのようなシントゥーラ(頭を振る動作)やオーバーハンドという闘い方。「ジャパニーズ・メキシカンスタイル」と呼んでも良いくらいの完成度を持っていると思います。
この非常に真面目な感じで、制御されたメキシカンスタイルは、ステップやアングルの違いこそあれど、ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)とも近いと思います。この京口とバム・ロドリゲスは非常に噛み合うと思っていて、対戦を楽しみにしていましたが、バムはスーパーフライに行ってしまったので致し方ありませんね。
話がそれてしまいました。
先にも書いたように、個人的にはWBO王者のジョナサン・ゴンサレスとの統一戦に臨む、という流れが京口にとって最も良い選択であることは疑いようがありません。
日本では、寺地拳四朗(BMB)との対戦を望む声が多かったでしょうが、このゴンサレス戦、しかもカネロvs GGGのアンダーカードとなると、ファンも納得するでしょう。
おそらくこのベルムデス戦以降に交渉を開始しようとしていた拳四朗陣営としては、ちょっとやりきれないとは思いますが。
WBO王者・ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)25勝(14KO)3敗1分
さて、冒頭にも書いた通り、ゴンサレスは京口サイド、マッチルームサイドからのオファーを完全に否定しています。
それどころか、今回のバリガ戦で防衛を成功させた暁には、次に10月にリングに戻る、という予定を立てている、とも。
おそらく、ここで嘘をつく必要がない事から、この「オファーを受けていない」は本当のことで、レイノソが自分の頭の中のプランをさも決定事項のように伝えたか、もしくは京口陣営が勘違いしたかのどちらか、でしょう。
ただ、興味深い試合であることに変わりなく、ゴンサレス陣営としては「必要ではないがオファーがあれは検討したい」とBoxingSceneのインタビューで締めくくっています。
これは「条件次第」という発言のため、注目度の低いライトフライ級で破格のファイトマネーを用意する、ということは難しい事ではないでしょう。あとは、レイノソが、もしくはマッチルームが、どれくらいヤル気(額面)を示すかどうか。
さて、2021年10月、大方の予想を覆して当時のWBO世界ライトフライ級王者、エルウィン・ソト(メキシコ)を判定で破り、世界王座初戴冠を果たしたジョナサン・ゴンサレス。
2019年には来日し、当時のWBO世界フライ級王者、田中恒成(畑中)に7RTKO負けを喫するも、ダウンを奪う等の善戦したボクサーです。
フライ級での挑戦時よりもライトフライ級での戦いの方がイキイキとしていたイメージであり、おそらく脆さのあるボクサーだからこそこの1階級は大きいのかもしれません。
ともあれ、エルウィン・ソトのプレッシャーをかわし続けた見事なアウトボクシング、京口とやるとなればソト戦と同じく、捌き続ける他ありません。
追う京口、捌いてコントロールするゴンサレス、展開は見えますが勝敗は分かりません。
京口はソトと違って非常に丁寧にプレッシャーをかけていくので、どこかでロープやコーナーに詰めて、捕まえられそうな感じはします。カウンターにもしっかりと警戒できれば、パンチをださずにポジショニングとステップで追い詰め、コンパクトなコンビネーションを振るう。それこそ、京口がお手本にしているというローマン・ゴンサレスのようなボクシングが有効ではないでしょうか。
いずれにしろ、次戦でジョナサン・ゴンサレスの勝利は必須になることから、日本のボクシングファンは皆、ゴンサレスを応援しましょう。
京口vsゴンサレスの交渉開始は、ここでゴンサレスが勝った後です。(むしろバリガの方がまとまりやすいのかもしれませんが。)
WBC王者・寺地拳四朗(BMB)19勝(11KO)1敗
さて、京口vsベルムデス戦の後は、間違いなくこの寺地と京口との王座統一戦がぶち上がる。はずでした。
本人や陣営もそれを臨んでいたし、ファンも「いよいよ機は熟した」と思っていたと思います。
しかし、その次のニュースで状況は一変、私も含めて京口vsゴンサレスのカードの方が魅力的に思ってしまったかもしれません。
これは、京口vs寺地が見たくない、というわけではなく、「機はもっと熟す」という可能性がある、ということを知ってしまったことに起因します。
京口がゴンサレス撃退で統一王者となったところで、3つの王座をかけて、「史上初となる日本人同士の3団体王座統一戦」の価値を知っているからでしょう。
ベルムデス戦で大いに評価を高めた京口ですが、それでもまだ、個人的評価は拳四朗の方が上。京口陣営として、6月にベルムデス戦、9月にゴンサレス戦ときて、さすがに12月に拳四朗戦はないと思いますので、日程については来年春くらいに持ち越さなければいけないかもしれません。というか、ここは無理して日程を組むよりも、半年くらいの間をおいて、互いにしっかりとした対策を立ててから臨んでもらいたい一戦です。
さて、そうなると困るのが寺地拳四朗の対戦相手。
本人は防衛記録が途切れてしまったことから、兼ねてから統一戦、それが叶わなければ階級アップも示唆していましたが、もう一戦だけ、待ってもらいたい。
その(おそらく年内に開催されるであろう)一戦というのが、誰になるのか。
本来は、一度は決まった(当時の)IBF王者、フェリックス・アルバラード(ニカラグア)が良かった。しかしアルバラードは王座を返上して転級。
ランキングを見ると、1位にヘッキー・ブドラー(南アフリカ)、2位に岩田翔吉(帝拳)、3位にエルウィン・ソト(メキシコ)。
このうち、ブドラーとソトが6/25(日本時間6/26)にWBC王座への挑戦権をかけて戦うことになっており、この勝者が年内に拳四朗への挑戦が叶えば、それはそれで指名戦も消化でき、最もスムーズなのではないでしょうか。
岩田についても、すでに世界タイトルのウェイティングサークルに入っていますし、拳四朗をプロモートする真正プロモーションと岩田の所属する帝拳プロモーションであれば一気にまとまってしまいそうです。
なので、岩田が7月に堀川謙一(三迫)を退けてアジア3冠王となる事ができれば、この防衛戦を組むことは非常に楽。しかしこれが組まれると拳四朗は、というかWBC王座は4戦連続で日本人同士のタイトルマッチ。ここは避けてもらいたい気持ちが強いですね。
IBF王座は空位
前王者、フェリックス・アルバラードの返上により、現在王座は空位。トップコンテンダーには8勝(8KO)無敗というパーフェクトレコードの持ち主、シベナチ・ノンシンガ(南アフリカ)がランクされています。
2位は空位で、3位にメキシコのヘクター・ガブリエル・フローレス。この二人で王座決定戦、というのが王道でしょう。
今後期待する流れ
2022.6)ゴンサレスが次戦でマーク・アンソニー・バリガ(フィリピン)に勝ち、
2022.9)京口vsゴンサレスの2団体統一戦が実現。
2022秋〜冬)拳四朗がブドラーvsソトの勝者との指名戦をクリア。
2023春)ここで京口vs拳四朗の3団体統一戦が実現し、
2023秋)それに勝った者がIBF王者との4団体統一戦を行う。
順調にいけば、2023年中にはライトフライ級でも4団体統一王者が誕生しそうです。
一時、王座乱立が問題となり、ファンは呆れ、そして諦め、容認してきた「世界王者といえどもまだ上がいる」という状態。
ここ最近のボクシング界は、「一体どうしたの?」というぐらい、次々と統一戦が組まれて行っています。
これはファンとしては嬉しい限り。
京口、寺地両選手については、是非とも互いの価値を高め合って、2023年前半に激突してくれることを期待しています。
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