色々とあった6月も最終の週末を迎えます。
振り返ってみると、6月は第一週にカンボソスvsヘイニー(試合の内容は置いといて)、フルトンvsローマン、そして尾川vsコルディナ。
第二週に井上尚弥vsノニト・ドネア、京口vsベルムデス、第三週は中谷正義の復帰戦や宇津木vs富岡、そしてベテルビエフvsスミスと本当に盛りだくさんな一ヶ月でした。
かつてこんなにも注目興行目白押しのあっただろうか、というほど毎週充実しており、国内興行では更に先日行われた澤田vs堤、翌週に控える橋詰vs田中恒成という非常に楽しみな試合を控えています。
そして何といっても今週末、アメリカではトリプル・タイトルマッチ。
日本時間6/26、一気に押し寄せる軽量級スーパーファイトonDAZNは、我々日本のボクシングファンにとっても大変に興味深い興行です。
ということで今回は、JCマルティネスvsアローヨ、アフマダリエフvsリオス、そしてバム・ロドリゲスvsシーサケットのプレビューです。
って書いたのに、JCマルティネスはドタキャンの報。。。。
6/25(日本時間6/26)アメリカ・テキサス
WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)15勝(10KO)無敗
vs
シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)50勝(43KO)5敗1分
個人的にこの興行でもっとも楽しみなのは、このメインカードです。
ジェシー「バム」ロドリゲスは、アメリカ出身のボクサーですが、帝拳プロモーションに所属する、非常に能力の高いボクサーです。
かねてからライトフライ級の世界ランクに入っており、日本人ボクサーとの絡みが非常に楽しみなボクサーだったのですが、2022年2月、本来シーサケットが出るはずだったWBC世界スーパーフライ級王座決定戦に電撃参戦、しかもそこで同じ帝拳プロモーション所属のカルロス・クアドラス(メキシコ)にダウンを奪っての判定勝利を上げ、世界初戴冠。
スーパーフライに君臨する四皇のうちの一角を落としたのは、この階級では全くの未知数だったルーキーでした。
「代役挑戦者」だったということ、そして「本来はライトフライ級」(ここ数戦はフライ級戦だったとしても)のボクサーが、元世界王者のカルロス・クアドラスに完勝したのは驚き以外の何物でもありません。
しかも、クアドラスはその前戦で階級最強の呼び声高い元PFPファイター(これについては異論もあろうかと思いますが、事実なので。尚、今週のランキングで「不活動」を理由に除外。)、ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)と好勝負を演じており、評価の高い「バム」ロドリゲスでも、さすがにクアドラスはキツいという見解は多かったはずです。
しかし、この一戦でロドリゲスが見せたのは、メキシカン・ファイトスタイルに、卓越したサイドステップを組み合わせた攻撃的ポジション・ボクシング。スーパーフライ級初戦とは思えないほどのパフォーマンスを披露し、その評価に恥じない、いやその評価を大きく上回る強さを見せてくれました。そしてこれまでのパフォーマンスから、これが「たまたま」とか、フロックでない事は明白です。
さて、初防衛戦の相手、シーサケット・ソー・ルンビサイとの一戦は既定路線、指名戦となります。
本来はクアドラスvsシーサケットで王座決定戦を行う予定でしたが、シーサケットが欠場。コロナだとか違うとかニュースが錯綜していましたが、結局原因は謎ですね。
ただ、シーサケットのWBC王座挑戦の権利はそのままで、この度新王者、ロドリゲスに挑戦することになったのです。
シーサケットは階級屈指のパワーパンチャーであり、ローマン・ゴンサレスをノックアウトしたシーンはまだ誰の目にも焼き付いている事でしょう。
そのパンチが当たればシーサケット勝利の予想が立ちますが、ベストな位置で、ベストなパンチを、機動力のあるロドリゲスに当てるのは至難、とも言えます。
ロマゴンは常に近い位置で戦ってくれましたし、その手数にさえ押されなければシーサケットもパンチを出す事ができました。ロドリゲスは一箇所にとどまるような戦い方はせず、近い距離でのヒット&ランを繰り返してくるため、シーサケットとしては捕まえづらい、ということが予想されます。
ロドリゲスは最後まで集中力を切らさず、不意の一発をもらわないように気をつけなければいけませんし、シーサケットはどこかで最高の一発を叩き込めるか、という勝負になろうかと思います。
これはどちらのボクシングが上かのスタイルファイト。バム・ロドリゲスにとって、シーサケットはクアドラス以上に「階級」を感じさせるファイターなはずです。紛れもないスーパーフライ級トップファイターで、クアドラス以上にキツい相手。
だからこそ、ここをクリアすればロドリゲス階級最強説も出てくると思われ、他王者たちとの統一戦も現実味を帯びてきます。これは非常に楽しみな一戦です。
↓驚愕のバム・ロドリゲス
WBC世界フライ級タイトルマッチ
フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)18勝(14KO)2敗
vs
マックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)21勝(16KO)4敗
前戦、スーパーフライ級戦だったにもかかわらず体重超過、更にローマン・ゴンサレス(ニカラグア)に完膚無きまでに叩きのめされたフリオ・セサール・マルティネス。
今戦は、前々戦でバッティングによるノーコンテストに終わったマックウィリアムス・アローヨとの再戦となります。
初戦ではダウン応酬の好試合を予感させたところでのストップとなった一戦でしたが、続けていればマルティネスが押し切っていた感が強いため、今回もマルティネス優位が予想されます。
とはいえ、アローヨも前戦の反省を活かし、どこか変えてくるのではないでしょうか。アローヨは、マルティネスよりもリングIQ、テクニックに優れている印象を受けます。
なのでこの再戦はなかなか楽しみだったわけですが、マルティネスがこの試合の欠場を決めた、とのニュース。日本時間で6/23(木)AM現在の情報では、理由が明確になっていませんが、このタイミングなのでウェイトの問題か、それにまつわっての体調不良か。。。
ぶっちゃけ、もうJCマルティネスは王座剥奪でも良いのではないか。前戦もスーパーフライで体重超過しているわけですし。
この試合にリザーバーがいれば、アローヨvs代役で暫定王座決定戦にもなろうものですが、公式発表は「延期」との報。もし次戦が開催されるのであれば、待たされ続けた挑戦者、アローヨを全力応援。
↓マルティネスvsアローヨ第一戦
↓チーム・レイノソの瓦解は、JCマルティネスから始まった。
WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)10勝(7KO)無敗
vs
ロニー・リオス(アメリカ)33勝(16KO)3敗
試合順は定かではありませんが、ポスターを見る限りだとこの試合がもともとはセミセミだったのだと思います。今回、セミファイナルに格上げ。
スーパーバンタム級王者の一角、ムロジョン・アフマダリエフは、我々日本人にもその強さを見せつけてくれているボクサーです。
ダニエル・ローマン(アメリカ)に競り勝ってわずかプロ8戦目で2冠統一王者となったアフマダリエフは、初防衛戦では元世界王者の岩佐亮佑(セレス)をホームで迎撃してTKO勝利。2度目の防衛戦はホセ・ベラスケス(チリ)に完勝し、3度目の防衛戦を迎えます。
プロ10戦のキャリアながらも既に安定王者の風格を漂わせているのは、そのボクシングも非常に安定したものだからかもしれません。
強いフィジカル、パンチングパワーを持ち、ローマンとの打撃戦にも譲らず、中央アジアのボクサーらしくテクニックもあります。およそ隙がないボクサーで、ほんの少し前まではアフマダリエフは間違いなく階級随一のボクサー、という認識でした。
現在は対抗王者であるスティーブン・フルトン(アメリカ)の評価が急上昇しており、アフマダリエフにはここを快勝してもらって階級最強の評価を取り戻してもらいたいところ。
リオスは元米国のトップアマ、プロではレイ・バルガスの持っていた世界タイトルに挑戦経験もある強豪です。
だからこそ、ここはアフマダリエフに問題なく快勝してもらい、強さを見せつけてもらいたい。
↓アフマダリエフの前戦
↓岩佐亮佑戦
世界女子ウェルター級4団体統一タイトルマッチ
ジェシカ・マッカスキル(アメリカ)11勝(4KO)2敗
vs
アルマ・イバラ(メキシコ)10勝(5KO)1敗
女子ウェルター級の4団体統一王者、ジェシカ・マッカスキル。
アマ経験を経て2015年にプロデビューしたマッカスキルですが、プロ2戦目でダウンを奪われての判定負けを喫しています。
4連勝してケイティ・テイラー(イギリス)の持つWBA世界女子ライト級タイトルに挑戦、判定負けで2敗目。
その再起戦でWBC世界女子スーパーライト級王座を獲得し、その次戦ではWBA王座を吸収。その2冠王座を防衛したあと、世界女子ウェルター級4団体を統一したセシリア・ブレークス(ノルウェイ)を撃破、ウェルター級のUndisputed王者となりました。
初防衛戦となったブレークスとの再戦では、より明確な形でブレークスを退けたマッカスキルは、2度目の防衛戦でカンディ・ワット(カナダ)を7RTKOで倒して防衛。
3度目の防衛戦で、メキシコのイバラを迎えます。
戦歴を見る限り、マッカスキルの勝利は固いように思いますが、このイバラは身長175cm、リーチ180cmというサイズを誇っています。(マッカスキルはH168cm、R175cm)
イバラはこの体格差を活かして良いボクシングができるかどうか。
実際、ふたりのボクサーのことをよく知りませんが、最近女子ボクシングもおもしろいので、楽しんでみたいと思います。
放送・配信
この興行は、DAZNで生配信。日時は、日本時間6/26(日)9:00〜となっています。
メインは、セミファイナルが抜けてしまったのでお昼頃か、それより前に始まるのかもしれませんね。よくわかりませんが。
ということでこのDAZN興行は、軽量級ファイトを中心に行われる事から、我々日本のボクシングファンにとって要注目。
スーパーフライ級も(フライ級も)、スーパーバンタム級も、たくさんの日本人ボクサーが狙っている階級です。そのトップ・オブ・トップが戦う世界タイトルマッチ、これは非常に楽しみですね。みなさんもDAZNで、是非!!
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