日本時間8月7日。
興行が多すぎて、チェックしきれないのが現状です。
世界タイトル戦こそ少ないものの、この日に登場するボクサーを見てみると、バージル・オルティスJr、モーリス・フッカー、ベクテミル・メリクジエフ、マイケル・コンラン、ミゲル・マリアガ、アマンダ・セラノ、ブランダン・リー等々、枚挙に暇がないとはこのことです。
翌週のウィークデイには国内ボクシングのライブ配信、録画放送もたくさんあり、どこまでタイムリーに見られるか、が勝負になってきますね笑。
ということで今回は、その中でも個人的には最も注目しているDAZN配信のGBP興行、バージル・オルティスJr.vsマイケル・マッキンソンのプレビュー記事です。
8/6(日本時間8/7)アメリカ・テキサス
ウェルター級12回戦
バージル・オルティスJr(アメリカ)18勝(18KO)無敗
vs
マイケル・マッキンソン(イギリス)22勝(2KO)無敗
海外ボクシングのファンで、このバージル・オルティスJrとジャロン・エニスを知らない人はもういないのかもしれない、というほど逸脱したプロスペクトのうちの一人である、オルティス。
その戦績を見ればどういうボクサーかということもわかりそうなものですが、このデビュー以来18連続KO勝利という記録は、決して作られた記録ではありません。
特にこの直近では、あのテレンス・クロフォード(アメリカ)から幻のダウンを奪う等善戦したエギディウス・カバラウスカス(リトアニア)を8RでTKO、その前は元WBO世界スーパーライト級王者、モーリス・フッカー(アメリカ)を7RKOとその勢いは止まるところを知りません。
↓観戦記
グローブに何かを仕込んでいるんじゃないか、とも思えるほど硬質なパンチと、その土台となる強靭なフィジカルを持つオルティス。そして何よりも、その魅力は「超」がつくほどのアグレッシブネスにあると思います。
常に攻めの姿勢を崩さないオルティスは、その代償としてややディフェンス面には難があることも事実。ここが、ジャロン・エニスに評価面でやや劣るところ、と言って良いでしょう。そしてそここそが、やはりオルティスが人気者である理由の一つでもあると思います。
オルティスに、天は二物を与えませんでしたが、だからこそこのボクサーはおもしろい。このオルティスのボクシング、いや「拳闘」にはロマンを感じざるを得ず、その豪快な倒しっぷり、溌剌としたリング上の雰囲気とは裏腹に、ある種の儚さすら感じてしまいます。私はこのボクサーのキャリアを、最後までしっかりと見届けたい。
さて、マイケル・マッキンソン。2014年にプロデビューしたボクサーで、2017年にWBCウェルター級のユース王座を獲得。その後、WBCインターナショナル同級王座、WBO欧州同級王座、WBOグローバル同級王座を獲得してステップアップしてきたボクサーです。
ボクシング一家に育ったようで、父であるマイケル・バリンガルのもとでボクシングをはじめ、弟のルーカス・バリンガルもプロボクサー。
決して期待されるようなキャリアを築いてきたわけではなかったようで、曰く、「何度もBサイドとして戦った」とのこと。ここ数戦は、好戦績の相手をしっかりとポイントアウトしているようです。
これまでの最大の勝利は、前々戦であるクリス・コンゴ(イギリス)戦とのことで、この一戦は初めてイギリス国外で戦った、ともあります。
前々戦はプレゼミスロウ・ルノウスキー(ポーランド)戦。
この映像を見ると、右ジャブとステップワークで距離をキープする、やりづらいボクサーに見えます。この試合ではKO率の高くないルノウスキーを相手に逆にプレスをかける場面も目立ちますが(ハイライトだから?)果たしてオルティス相手にこれができるかというと難しいでしょう。
かといって、オルティスのプレスを12Rにわたり躱し続けられるか、というとそれもまた難しいと思います。
ちなみに前戦はオルティスが辞退した後も興行には登場、アレックス・マーティン(アメリカ)をアグレッシブに攻めて問題なく勝利を得ています。前々戦と前戦を比べるとボクシングの幅があり、コンビネーションのつなぎは速く、全体的にスピードのあるボクサーではありますが、その攻撃力には疑問が残ります。
↓観戦記
ここはあくまでもオルティスにとっては調整試合。
ただ、オルティスが前回の試合をキャンセルしたのは「横紋筋融解症」という難病が理由であり、これは恒久的な障害を伴う、と言われていました。オルティスがどの程度まで復調しているのか。それを確かめる一戦にはなりそうですね。
本来は2022年3月に行われる予定だったこの試合は、試合数日前のオルティスの病気発覚により延期。というか中止だと思っていましたし、オルティスはこれで引退かもしれない、とも思っていました。
たったの(かどうかわかりませんが)5ヶ月弱でリング復帰は、果たせるものなのか。トレーニング期間が2〜3ヶ月ほどだとしても、療養期間は非常に短いように思います。
これまでの勢いからすれば、この調整試合に勝ってスペンス挑戦(クロフォード戦が決まらなければ)と行きたいところでしたが、それもかなりの危険が伴います。
まずは何事もなかったかのようにリング復帰を果たしてもらいたいものです。
WBA・WBC女子世界フライ級タイトルマッチ
マーレン・エスパルサ(アメリカ)12勝(1KO)1敗
vs
エバ・グスマン(ベネズエラ)19勝(11KO)1敗1分
マーレン・エスパルサ。前戦で日本が誇るレジェンド、藤岡奈穂子(竹原&畑山)に勝利して王座を統一したボクサーです。
↓観戦記
藤岡を降したことで、名実ともに女子フライ級のトップボクサーとなったエスパルサは、統一王座の初防衛戦に臨みます。
エスパルサは非常に強いフィジカルを持っていますが、KO率は低い。これは女子ボクシングにありがちな事(1R2分のため、KOは非常に生まれにくい)ではありますが、対戦相手のグスマンのKO率は「女子」「軽量級」にあるまじきKO率。
BoxRecを確認すると、これまでの戦歴の半分以上の対戦相手が未勝利(デビュー戦のボクサーも含む)のボクサーで、この記録自体は眉唾もの。
とはいえ、キャリア初期(2015年の5戦目でドロー、2016年の6戦目で判定負け)を喫している以外には勝ち続けており、そのKO率を含めて侮れないボクサーかもしれませんね。
という、女子フライ級のタイトルマッチがおそらくセミファイナル。
モーリス・フッカー(アメリカ)27勝(18KO)2敗3分
vs
ブレア・コブス(アメリカ)15勝(10KO)1敗1分
モーリス・フッカーの1年4ヶ月ぶりの復帰戦は、ブレア・コブス。コブスも前戦でアレクシス・ロチャ(アメリカ)と激闘を繰り広げて敗れていますので、復帰戦となります。
フッカーは久々のリング登場ではありますが、前戦ではバージル・オルティスJr.を大いに困らせました。その頃からどれほど力が落ちているのか、それとも上がっているのか、というところですが、まだまだ若手の踏み台になるには早いでしょう。
コブスは前戦でロチャと好勝負を繰り広げましたが、プロスペクトのアレクシス・ロチャよりも実力においてやや下回るか、という戦いぶり。
32歳という年齢を考えると、ここから大きく向上するボクサーではないと思われるので、ここはフッカーに力の差を見せてもらいたい一戦です。
フッカーのフッカつに期待したいですね。(ごめんなさい。)
その他のアンダーカード
その他には、前戦でマイケル・マッキンソンに敗れたアレックス・マーティンがベテラン、ヘンリー・ランディ(アメリカ)と8回戦。マーティンはなぜマッキンソン戦にピックアップされたのか謎でしたが、今回も出場するということはGBP所属の選手なんでしょうね。
そしてベクテミル・メリクジエフ(ウズベキスタン)はスラダン・ジャンジャニン(ボスニア)と8回戦。
メリクジエフはガブリエル・ロサド(アメリカ)戦で痛烈なノックアウト負けを喫してから、今後のチャレンジが遅れてしまった印象がしますね。今回のジャンジャニンも32勝(24KO)11敗というボクサーで、まだまだキャリアの形成期、の感が強い。
ボスニア・ヘルツェゴビナというボクシング界ではあまり聞かない国のボクサー、どのようなボクサーか楽しみです。
【放送・配信】
このGBP興行は、DAZNで生配信。
配信時間は、日本時間8/7(日)のAM10:00〜です。メインはお昼頃からかと思われます。
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