信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

God save the Queen.英国ボクシング界のGOATとは、一体誰なのか。

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イギリスでエリザベス女王陛下が亡くなった。

この事により、週末に予定されていたBoxxer興行は延期とのこと。これは致し方のない判断でしょう。

私にとっても、イギリスは「女王」がいることが当たり前で、今後は「イギリス国王」となるのに違和感を拭えませんね。イギリス国歌「God save the Queen」は「God save the King」と名前を変える事になるのでしょうが、Sex Pistolsの曲はそのままだろうから、ややこしい。こういう事が積み重なってこその歴史となって、未来、この薀蓄を語る人が出てくるのでしょうね。

私は若い頃モッズ文化に傾倒していたことがあって、このイギリスという非常に閉鎖的な国が大好きです。ボクシングが非常にメジャーな競技である、ということも相まって、愛情を持っている国の一つ。

ということで今回のブログは、エリザベス女王陛下を追悼し、イギリスボクシングにおけるGOAT(Great of All Time)について。

 

オールタイム・ベスト

とはいっても、パンチドランカー気味の私はそんなにポンポンと思い浮かぶわけでもありません。実は少し前、Twitterで発見したトップランクの投げかけたTweetに興味を持って、そのスレッドをすべて確認してみた、ということがあったのです。

そのツイートがこちら。

面白いほど色々な名前が出ていますね。ただ好きなボクサーの名前を挙げているだけの人もいるようですが。

現役のボクサーでは、タイソン・フューリー、そして一応ジョシュ・テイラーの名前も出ているようです。こういうオールタイムPFPに、現役時点で名前が出ている、ということは、キャリアを終えた結果、これまでのGOATを超えている可能性がありますよね。

テイラーについてはこのままウェルター級に上がって、4団体制覇を成し遂げたとすればその資格は十分にあるし、前戦のキャトラル戦もなかったことになるでしょうが、今のままの雰囲気だと難しいでしょうね。

少し遡ると、トニー・ベリュー、カール・フロッチという名前もありますね。他にはクリス・ユーバンク(シニアの方)、ナイジェル・ベン、そしてオードリー・ハリソンなんていう人もいます。

 

べリューについては映画(クリード)にも出て、しかもその後に王者になっているので人気があるのでしょう。フロッチも謎ですが、GOATというにはやや実績不足の面は否めませんね。

クリス・ユーバンク、ナイジェル・ベンの名前は一緒に出るのはある程度仕方のないことですね。何でしょうか、これは、コマーシャル、かと思ってしまう笑(10/8にクリス・ユーバンクJr.vsコナー・ベンが階級の垣根を超えて対戦)。ユーバンクシニアも、ベンも、素晴らしいボクサーでしたね。

オードリー・ハリソンは、五輪のスーパーヘビー級で金メダルを獲得した最初のイギリス人ボクサー。その成功から大きな期待をされてプロ入りしましたが振るわず、最後はデオンテイ・ワイルダーに初回KO負けを喫して引退しています。

ということで、ここまではネタも含まれていそうな名前が出ましたが、ツイッターのリプ欄を総括すると以下のボクサーたちがGOATの最有力。

 

タイソン・フューリー(2008-)32勝(23KO)無敗1分

リッキー・ハットン(1997-2012)45勝(32KO)3敗

ジョー・カルザゲ(1993-2008)46勝(32KO)無敗

レノックス・ルイス(1989-2003)41勝(32KO)2敗1分

ナジーム・ハメド(1992-2002)36勝(31KO)1敗

ジミー・ワイルド(1911-1923)131勝(98KO)3敗1分

どうですか、皆さん。

よく知る名前が並びます。()内は活動期間です。

タイソン・フューリーは現役ということもあり、若いボクシングファンにも大きな知名度があるのでしょうし、そのエンターテイナーぶりも英国人の好む所なのかもしれません。

ナジーム・ハメドについても、その強さはもとより、エンターテイナーぶりを称える声もありました。

ハメドも試合で魅せたボクサーでしたが、リッキー・ハットンも非常にエキサイティングな試合で人気の大きかった王者。特にキャリア最終期とはいえ、コンスタンチン・チューを破った試合はハットンの評価を語る上で最上位のものです。フロイド・メイウェザーJr戦での敗戦と、マニー・パッキャオ戦での敗戦は、相手の凄さを示してしまうような試合ではありましたが、チュー撃破の功績が色褪せるわけでもありません。

 

そしてやはり「無敗」のまま引退した、ということでカルザゲを推す声は非常に多かったですね。非常に優れたボクサーで、PFPの常連、スーパーミドル級の実質4団体制覇を記録しています。バーナード・ホプキンスとロイ・ジョーンズJr戦では、脆さを見せましたが、これはこれまでの主戦場、スーパーミドル級から飛び出たライトヘビー級戦。しかもその二人のレジェンドに(ホプキンス戦は僅差ながらも)勝利していることも素晴らしい。

さて、個人的にはイギリスボクシングのGOATと言われればこのボクサーが一番に思い浮かぶ、というのがレノックス・ルイス。生涯戦績のうち、2敗はオリバー・マッコール(アメリカ)とハシーム・ラクマン(アメリカ)によるものではありますが、しっかりとリベンジしています。ちなみに1分というのはイベンダー・ホリフィールド(アメリカ)戦ですが、こちらも再戦してしっかりと勝利しています。

マイク・タイソンに勝利したのはおまけみたいなものですが、最後の試合はビタリ・クリチコ(ウクライナ)に6RTKO勝利、試合内容自体は苦戦と言っても良い内容ではあったものの、見事な勝利で王座を守り、王座を保持したまま引退しました。

このルイスもいきなり序盤で倒される、という脆さを持ちながらも、その他はしっかりと勝っていた印象で、その強さが際立つ試合が非常に多いという印象。ただ、カナダ育ちで、カナダ代表として五輪で金メダルを獲っており(プロ転向後、イギリス国籍を取得)、もしかするとイギリス人と認めていないファンもいるのかもしれません。

 

そのルイスと同年代に活躍、イギリスのボクシング界を大いに盛り上げたのはナジーム・ハメド。変幻自在のトリッキーな動きから、ハードパンチを叩き込みノックアウト勝利を量産、唯一無二のあのボクシングにはファンも多いでしょうね。

ただ、当時のボクシングファンには「ハメド嫌い」もある一定数いたと思います。やはり異端は、時間が経ってから認められるものです。(私もそんなに好きではありませんでしたから、もちろんvsマルコ・アントニオ・バレラ戦はバレラ応援一択でした。)

非常にトラディショナルなスタイルを持つレノックス・ルイスと、異端者、ナジーム・ハメドが同時代に活躍していた、というのは今思えばなかなかおもしろい出来事ですね。

そして、その他に名前が多く挙がっていたのは、ジミー・ワイルド。BoxRecでジミー・ワイルドを検索すると、2ページに渡って出てくるほど、普通の名前です笑。

このボクサーについて知っている人はよほどのマニアでしかないので、以下、長めに書いておきます。

 

マイティ・アトム

ニックネームは「The Mighty Atom」。「Mighty=強大な」「Atom=原子」、つまりは小さくてめっちゃ強い、という意味なのでしょうが、フライ級(当時の最軽量級)のボクサーです。ちなみに、鉄腕アトムが生まれる数十年前の話です。

1892年生まれ、成人しても身長159cm、体重49kgほど。当時のフライ級のリミットは現在と同じ50.8kg、減量もいらなかったようですね。

16歳の頃からベアナックルファイトを戦い、非公式戦を含めると生涯854戦という嘘みたいな記録。1916年には初代世界フライ級タイトルを獲得し、当時の世界ヘビー級王者、ジーン・タニーをして「ワイルドは自分がこれまでに見た中で最高のボクサーだ」と言わしめたそうです。

 

ヘビー級から見れば、フライ級のスピードは圧巻でしょうから、そう思うのも無理はありません。

初黒星は1919年のジャッキー・シャーキー(イタリア)戦で、体重差は約6ポンド(シャーキーの方が大きい)。2敗目は、元バンタム級の世界王者のピート・ハーマン(アメリカ)で、体重差は9.5ポンド。いずれも大きな相手に負けています。シャーキーには判定負けですが、ハーマンには17RTKO負け。

ここでおそらくグローブを吊るしたと思われるワイルドでしたが、2年後にカムバック。ジョー小泉氏によると、これはオファーが高額で、この挑戦者(これまでの敗戦ではワイルドは世界タイトルを賭けていなかったので、まだ王者だった)を退ければ高額のファイトマネーを用意する、という条件だったようです。

なのでこの1923年6月に行われた試合は、世界フライ級タイトルマッチ。

 

その相手は、あのパンチョ・ビラ(フィリピン)。

ここでようやく知った名前に出会えました。

ビラはフィリピンで初めての世界王者で、日本人で初めて世界王者となる白井義男に先駆けて、このタイミングで世界王者になっているのです。

↓フィリピンのボクシングについて

boxingcafe.hatenablog.com

この試合で7RKO負けを喫したマイティ・アトムはこれで引退しましたが、この功績は偉業であり、GOATに名を連ねるに適したボクサーと言えますね。

おそらく、英国GOATは

数を数えたわけではありませんが、大きく言うとジョー・カルザゲ、レノックス・ルイス、そしてジミー・ワイルドに分類されそうなリプ欄でした。

勿論、Twitterがすべてではないので、様々な意見があろうかと思いますが。

レノックス・ルイスが一番だ、と言いたい所ですが、実際落ち目でもない頃に負けている試合もありますからね。

このトップランクのTwitterは非常に興味深く、見させてもらいました。

これが日本だったら今なら井上尚弥ほぼ一択、井上尚弥登場前ならファイティング原田、具志堅用高?これもまた色々と出てきそうですね。

 

ともあれ、イギリスのボクサーたちには、このエリザベス女王ご逝去という悲しいニュースに負けず、いや、これをバネにして今後も好試合を見せてもらいたいものです。

ただ、今は少しイギリスのボクシング界がお休みしても文句は言えません。

イギリスボクシング界の今後にも期待しています。

 

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