9/13(火)、フェニックスバトル。
この毎月第二週のフジボクシング放送の興行も、個人的にはしっかりと定着してきた感じがあります。
この興行の有難いところは、FODで生配信してくれるところ。
偶数月は三迫ジム主催のダイヤモンドグローブを、奇数月は大橋ジム主催のフェニックスバトルをライブ配信してくれるこのフジボクシングは非常に重宝しています。昔から、好マッチメイクの多い興行ですからね。
ということで9月は奇数月、フェニックスバトルの番です。
今回は平岡アンディvsアルビン・ラガンベイというメインのほか、大橋ホープたちがこぞって登場する興行。
しかし私は仕事もあって、プライベートもやや忙しいため、帰宅してからのディレイ視聴。ちょっと全部観れるかどうかはわかりませんが、本日、観れた分の観戦記を書いていきたいと思います。
↓プレビュー記事
9/13(火)フェニックスバトル
スーパーフライ級8回戦
重里侃太朗(仲里)4勝(2KO)無敗
vs
ダンリック・スマボン(フィリピン)12勝(9KO)2敗
サウスポー、重里とオーソドックスのスマボン。
重里は前戦で黒田雅之を退けていますが、このスマボンも素晴らしいボクサー。
重里が飛び込んでいけばスマボンはボディカウンター、非常に良いタイミングを持っており、更に自分から攻める事もできる良いボクサーです。
戦績通りの強さを持っている、と思われるスマボンは、非常にパワフル。
重里もバランスの良いボクサーで、しっかりとしたパンチをいくつもつなげ、やや押しているのは重里のように見えます。
ジャブ、単体で考えると重里の方が優れているように見えますが、ジャブの差し合いというタイミングでもまっすぐの右ストレートを放ってくるスマボンはやはり怖い。あとは、天井へ思いっきり突き上げるアッパーカット、これを喰ってしまえばただでは済まないかもしれません。
重里は緩急をつけたコンビネーションが非常に多彩で、ここぞという時に手数が出ますね。ディフェンスもよく、スマボンが攻めてくればしっかりとブロッキング、その後強いパンチと数をリターンしています。
ラウンドが進むにつれ徐々に手の内を明かしていく両者、ただ全体的には要所で出す重里のコンビネーションが非常に効果的なように思います。
やや待ちのボクシングとなったスマボンですが、後半になっていくに従ってスマボンのクリーンヒットが増えていくという印象。
ともに譲らないボクシングを展開、最後はしっかりと打ち合って試合が終了。
判定は、77-75でスマボン、77-75で重里、最後に76-76でドロー。
重里の勝利、で良いような感じもしましたが、ここは残念ながら引き分け。これは結構重里に厳しい判定のような気がします。
ホームの利点はどこ行った、まあ、日本はこの判定の公平性は誇って良い位、でしょうね。
終盤、6〜8R辺りはちょっと重里の見栄えが悪かったか。
53.0kg契約8回戦
中垣龍汰朗(大橋)2勝(2KO)無敗2分
vs
吉田京太郎(ワタナベ)2勝無敗
2戦連続ドロー、ホープ中垣は久々の勝利なるか。
しかし吉田もアマ経験のある強豪であり、優しいマッチメイクではありません。
A級初戦となる吉田は、大型ホープ中垣を喰えばリターンが大きい事から、非常に大きなモチベーションでくるはずです。中垣は、ここを乗り越えられるか。
初回から非常にアクションの多いボクシング。一方がジャブで攻め込めば他方が倍の手数でリターンを出す、というまるでしっかりと打つタイプのボクサー同士がアマチュアボクシングで対戦しているような雰囲気。
距離を詰めよう詰めようとする吉田が序盤、理想にやや近い状態で戦えています。中垣は相手をしっかりと見る分、頭の位置が動かず、軽くも吉田の右を浴びてしまうイメージ。
とりあえず二人ともめちゃくちゃ巧い。
打って引いて打って引いて、時に打って打って。非常にテンポの良いボクシングが展開されています。
3Rは中垣が良いボクシング、それでも吉田はガムシャラに打ってでて譲りません。
初回からずっと打ち続けるのは吉田、中垣はやや待ちのボクシングにしたのか?という印象。良い距離感でパンチをヒットする(左ストレートが伸び切る所で当てる)のは中垣で、手数と軽くもヒットを奪うのは吉田、という展開か。
これはジャッジの位置によっても採点が割れそうな試合です。
5Rに入ると吉田の近い距離でのボクシングに中垣も応戦、ただ吉田の手数に中垣の手が止まってしまう場面も。近い距離では吉田の方が頭の位置を変更することが秀逸で、中垣はちょっと頭の位置が変わらない分、厳しい。
6Rはストレートの距離をキープしようとする中垣、ただ吉田も良い右を当てます。このラウンドも中盤以降は近い距離でのボクシング、中垣は前ラウンドと違い、近い距離でもサイドに回る等工夫をしていますが、やはりこの距離は吉田ではないでしょうか。
7R、8Rもしっかりと打ち合った両者。
同じ打ち合うにしても、体がくっつくほどの距離ではなく、頭は当たるかもしれませんが体と体のスペースがある距離では中垣、くっついてしまえば吉田、というイメージ。
体同士にほんの少しの距離があったほうがパンチの印象は強く、これはずっとジャッジが困る展開。
ともに死力を尽くした一戦は、判定へともつれこみます。
76-76で一人がドロー、残りのふたりは77-75、78-74で中垣。
78-74はちょっと信じがたいですが、まあ微妙なラウンドばかりでしたからね。ともかく、中垣の勝利。
強豪、吉田を相手に何とか勝ちを手にした中垣龍汰朗、実に1年8ヶ月ぶりの勝利となりました。
敗れた吉田も素晴らしいボクサー、両者の今後に大きな期待が持てますね。
フェザー級8回戦
松本圭佑(大橋)5勝(5KO)無敗
vs
石田凌太(角海老宝石)11勝(6KO)3敗
ミライモンスター、松本圭佑のプロ6戦目。プロ初戦、2戦目と比べると、随分とプロの水に慣れ、安定したパフォーマンスを発揮している松本は、今後大いに期待できるボクサーです。
今回の対戦相手は、前戦、不本意な形で初回TKO負けを喫してしまった石田凌太。ただ、このボクサーは強豪です。
この素晴らしいマッチメイクが今日のセミファイナル。
ということで注目のゴング。
初回、松本のハイガードに比べると、石田のガードの低さが際立ちます。
松本はこれだけガードが高いのに、石田のジャブをヘッドスリップで避けます。これは、普通ガードを上げるとこういう状態の動きはしづらいのですが、この首の動きだけでのヘッドスリップ、尋常ではありませんね。。。
非常に慎重な立ち上がり、から1分ほどのところで強い右。石田の攻撃に対してはスッとバックステップ。石田はちょっと松本のハイガードにやりづらさを感じているような気がします。「打つ所がない」と。
ガードを掲げてジリジリとプレスをかける松本、石田が出てくればジャブ、または軌道を変えたフック。単発ですが、石田を警戒させるのに十分なパワーを持っています。
後半、石田はアグレッシブに攻め入りますが、打ち終わりには必ずパンチを返す松本。
2R、松本はまだ慎重、常にバックステップの準備をしています。
ここは強引に攻め入った石田、松本はリードを伸ばしてこの攻撃を凌ぎ、ボディムーブもステップも良いですね。
石田が大きく振れば必ず強いリターンを返す松本、非常に冷静です。
中盤、攻め入った石田に対して、完璧なタイミングの左フックカウンター!!!
マウスピースが吹っ飛ぶ石田、そこから松本は一気呵成に攻め込み、レフェリーがストップ!!!
松本圭佑、2RTKO勝利!!
何というカウンター、何というパワー。
プロキャリア2戦目までの不安定さはどこへやら、試合運びも完璧でした。
序盤、じっくり見て、結果的にはワンパンチノックアウトと言っても過言ではないフィニッシュ。冷静さと爆発力を兼ね備えた、素晴らしいボクサーです。
本当に、天晴。
大激戦区の日本フェザー級戦線。
松本圭佑、タイトルへの挑戦はすぐそこかもしれません。
WBOアジアパシフィック・スーパーライト級タイトルマッチ
平岡アンディ(大橋)20勝(15KO)無敗
vs
アルビン・ラガンベイ(フィリピン)13勝(11KO)5敗1分
6連続KO勝利中、というと非常に好調のように思いますが、ここまで絶好調とはいかない印象の平岡アンディ。
申し分のない才能と、申し分のないキャリアを歩んでいるアンディ、今回は小原圭太(三迫)にも一度は勝利したアップセッター、アルビン・ラガンベイを迎えます。
とはいえ、実力差のあるマッチアップだとは思いますので、油断せずに快勝を期待したいところ。前戦のように余裕を見せすぎると、一発を喰いかねない、とも思います。
初回、サウスポースタンスから鋭いジャブを放つ平岡。バックステップもキレキレです。
ラガンベイも危険なパンチを振るいますが、如何せんスピードが違います。
開始1分ほどで平岡は左ストレートをヒット。
遠い距離から長く鋭いジャブ、ラガンベイの反撃はスッと距離で外します。常に先手、非常に良い滑り出しですね。
ジリジリと攻めてくるラガンベイのパンチを外してヒットを重ねる平岡は、残り20秒程のところで大きく攻め込んだラガンベイの攻撃をかわして右フックをヒット!巧い!!
2R、フィリーシェルのスタイル、重心を前後に動かしながらラガンベイトの距離をつくる平岡。序盤、ジャブで攻めた平岡に対してラガンベイは左のオーバーハンド!これは浅くヒットしましたが、やはり危険なパンチを持っています。
ラガンベイはプレスをかけつつ、平岡が攻めてくるのを待っているイメージ、しかし平岡は打っては引き、引いては打ち、なかなか隙を見せません。
平岡のジャブはバシバシと当たります。ラガンベイはちょっと反応できていないか。
ラガンベイは相打ち狙いか、平岡の左に自身の左を合わせようとします。
しかし後半、平岡はワンツーをヒット、これにぐらりときてラガンベイは後退!
詰めようとする平岡にラガンベイはクリンチ、しかしダメージはありありと分かります。
ここでまたジャブからしっかりと攻めた平岡はまたも左ストレートをヒット、その後ラッシュをかけて最後も狙いすました左!!!
ここでレフェリーが割って入り、試合はストップ!
平岡アンディ、2RTKO勝利!
今日は完璧に近かった、平岡アンディ。スローでラッシュ前の右ストレートが流れますが、これは肘があたっているように見えます。ただ、肉眼では確認は不可能だったでしょう。
最後の左は、やばい。レフェリーはナイス・ストップです。
素晴らしい、スカッとした勝利を見せてくれた平岡アンディ、やはりこのボクサーは期待できます。前戦、勝ちはしたものの、おそらく決して印象の良いものではありませんでした。(というか、身近に私の妻が前試合を見てアンディ嫌い、と。。。この辺りの誤解はしっかりと解いておきましたが。ただ、これが普段ボクシングを見ない一般層の意見かもしれません。)
今回はコンディションも非常に良さそうで、期待通り強さを見せつけてくれたことは本当に嬉しい。
日本国内、アジア圏内で相手を探すのは大変でしょうから、やっぱりアメリカでの戦いを望みます。
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