意外と注目試合が多い、9月の第4週。
シャクール・スティーブンソンvsロブソン・コンセイサンをはじめ、ジョー・ジョイスも登場し、更にはリー・ウッドvsマウリシオ・ララもありました。
ただ、ウッドvsララについてはウッドの怪我が理由で延期、この中で最も激闘となりそうだった試合だけに残念です。
ともあれ、スター候補・シャクールの試合は非常に興味深い。
しかも相手が技巧派、ロブソン・コンセイサンとなるとより興味深いですね。
この興行はアメリカで金曜日の興行、土曜日の夕方興行ではないあたりにシャクールの人気のなさ(?)が現れています。
ということで、今回のブログでは、スター候補と言い続けられてはや数年、もうずっとこのままスター候補のままなんじゃないか、とも思ってしまう時代を代表する技巧派ボクサー、シャクール・スティーブンソンと、悲運の金メダリスト、ロブソン・コンセイサンの試合をプレビュー。
9/23(日本時間9/24)アメリカ・ニュージャージー
WBC・WBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
シャクール・スティーブンソン(アメリカ)18勝(9KO)無敗
vs
ロブソン・コンセイサン(ブラジル)17勝(8KO)1敗
未来のPFPキング、シャクール・スティーブンソン。このシャクールこそが、数多くいるネクスト・メイウェザーの最有力候補と言っても良い。ただし、晩年の。
同じスーパーフェザー級時代のフロイド・メイウェザーはプリティ・ボーイであり、キャリア後半のメイウェザーとは全く異なる戦い方をしていたからです。
ともあれ、このシャクールのディフェンス勘は素晴らしく、距離勘は人智を超越しているほどと感じます。
シャクール本人の憧れはアンドレ・ウォードであり、確かに、メイウェザーよりもウォードにこそ似ているとも思います。
いずれにしろ、エキサイティングなボクサーとは言い難い。
全くの塩試合製造ボクサーか、というとデビン・ヘイニー(アメリカ)ほどではなく、しっかりと試合の主導権を握り、完全なる優位性を保った状態であれば、倒しにいかないわけでもない、というのがシャクール。
ジャメル・ヘリング(アメリカ)戦では素晴らしいパフォーマンスを見せて、非常に攻撃的な場面もいくつも作りました。
しかし、危険なパンチャー、ジェレミア・ナカティリャ(ナミビア)戦や、オスカル・バルデス(メキシコ)戦等では、至って冷静なボクシングでリスクを徹底的に排除、共に完勝。
↓シャクールvsバルデスの観戦記
つまり、シャクール・スティーブンソンというボクサーは、非常に高い身体能力と素晴らしい当て勘、そしてディフェンス勘を持っている他に、危機管理能力が120点のボクサー、さらには勝利至上主義、という側面が見えてきます。
「スタンド&ファイト」というボクシングを見ている人には非常に退屈に映ることでしょう。
いや、そうでなくとも眠くなることは確かにあります。スリリングさがないのです。
さて、今回の防衛戦の相手はロブソン・コンセイサン。
かつてWBC王者だったオスカル・バルデスに挑戦し、ハーブティー事件を起こされた上に判定を盗まれた、悲運のボクサー。
リオ五輪金メダリストの肩書きをもつコンセイサンは、ブラジルではボクシング競技において初めての金メダリスト。
ブラジルではボクシング競技が盛んではないと思われますが、ブラジルを代表する英雄の一人と言っても差し支えはないでしょう。
そんなコンセイサンも、技巧派と呼ばれるボクサー。
バルデス戦では見事なボクシングでバルデスの強打を12Rにわたり封じ続けたわけですが、後半、やや失速したと見られる場面もありました。
↓バルデスvsコンセイサンの観戦記
コンセイサンもボクサータイプですが、シャクールとコンセイサンを比べると、全ての能力においてシャクールが上回っているように感じます。
スピード、パワー、距離感、ディフェンス能力、オフェンス能力。
コンセイサンも素晴らしいコンビネーションパンチャーですが、シャクールの方がより優れたコンビネーションパンチャーです。
唯一、これまでの戦い方を見るとコンセイサンの方が強かさがあり、よりダーティに戦えるのではないか、と思うくらいのもの。(ただし、これもシャクールはこれまでピンチに陥ったことがないのでわかりません。)
コンセイサンの勝ち、と言われたバルデス戦ですが、あの時のバルデスのパフォーマンスはよくはありませんでした。それはおそらく、ハーブティー事件がメンタル面であとを引いていたと思われるためであり、バルデス自身も本調子ではなかったと思われるからです。
果たして、万全のバルデスだったらどうなのか、というのは誰にもわかりません。
ただ、このスーパーフェザー級において、このロブソン・コンセイサンというボクサーは、Aクラスのボクサーであることは間違いありません。
これがただのAクラスなのか、ともすればA+のボクサーなのか、というのは、このシャクール戦を見なければ何とも判断のしようもありません。
そしてもし、コンセイサンがシャクールに勝てば当然Sクラスのボクサー、PFP入りも間違いありません。
KO決着の可能性とは
この対決は、予想をするとすれば大半の人たちは判定でシャクールと言うでしょう。
ただし、前段の通り、シャクールは危険ではない相手に対して、アグレッシブに出ることがあり得るのです。このコンセイサンが、バルデスやナカティリャに近いか、というと全くもってそうではなく、どちらかというとヘリング寄り。つまり、シャクールのKO勝ち、という線はあり得る、ということです。
序盤から完璧に試合を支配したシャクールが、ノックアウトで終わらせようとするのか、それとも最後まで安全運転で戦うのか、ここが見どころ。
シャクール自身が、自分の商品価値をもっと上げたいと思っているのであれば(思っているはず)、コンセイサンを倒しに行くのではないか、と思っています。但しこれには、シャクールが序盤からコンセイサンを圧倒する必要があります。
コンセイサンとしては、特に序盤から主導権をもって行かれないように食らいついていかなければいけません。序盤、シャクールに生殺与奪の権利を握られてしまうと、コンセイサンにできることは限りなく少なくなってしまいます。おそらくコンセイサンは、カミカゼアタックができるボクサーではないでしょうから。
あとちなみに、この興行が行われるニュージャージーはシャクールの地元。
新婚シャクール、地元凱旋防衛戦です。こういうイケイケの時期には、「もしかしたら」もあり得るのかもしれません。いや、シャクールに限ってはないか。。。
キーショーン・デービス(アメリカ)5勝(4KO)無敗
vs
オマール・ティエンダ・バヘナ(メキシコ)25勝(18KO)5敗
さて、セミファイナルは残念ながら(?)キーショーン・デービス。
セミファイナルには、もっと面白そうな試合をセットしてもらいたいものですが、トップランクといったらセミにもう「プロスペクトに経験を積ませるための試合」をもってきてしまうのです。
こう言う試合が必要なのはわかりますが、もっとアンダーから経験させるべき、とも思ってしまいますね。
「ビジネスマン」というニックネームをもつキーショーン・デービスは、東京五輪ライト級の銀メダリスト。なんて親近感のわくニックネームなんでしょうか。
五輪銀メダリストの肩書きを持ち、鳴り物入りでプロデビューしたキーショーンは、まだまだ新人ながらも超エリートなビジネスマンです。
対戦相手のティエンダというボクサーについては知りませんが、KO率はかなり高く、現在7連続KO中ということですから怖さのあるボクサーかもしれません。
そのキャリアを振り返ると、2017年にジョバンニ・サンティリャン(アメリカ)に判定負けを喫していますね。これまで5敗していますが、KO負けは2013年に喫した1度のみ。タフネスも有していると思われます。
ここはキーショーンにスカッと勝ってもらわないといけないですね。
【放送・配信】
この興行は、アメリカではESPNが生中継。
日本では、FITE.TVで生配信が決定しています。
ESPNではPrelims(アンダーカード)を含めて多くのカードが放送されると思いますが、今のところFITEで発表されているのは上記のセミ、メインの2カードのみ。放送時間が日本時間で9/24(日)AM9:00〜となっていますので、もっと試合数がありそうな感じもしますが。
なので放送カード自体はよくわかりませんが、FITE.TVはこちらから!
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