9/22に行われた栗原慶太vs千葉開の試合は本当に素晴らしかった。
本当にボクシングが好きで良かった。妙なエンターテイメントのエキシビジョンはこの世にいらないし、ボクシングを盛り上げるためと言いつつのショーもこの世にいらない。私は引き続き真剣なボクシングマッチだけを見続けて行こうと思います。
さて、週末、ジョー・ジョイス(イギリス)とジョセフ・パーカー(ニュージーランド)が激突。
この試合はウシク、ジョシュア、ワイルダー、そしてタイソン・フューリーというヘビー級トップ戦線への挑戦権をかけた一戦、という位置づけに見えます。
ただ、このトップ戦線も、数年前は交わらなかったボクサー同士がいくつかの激突を経て、ある程度の順位付けが済んでいる、とも言えますね。
では、現在のヘビー級のランク付けはどうなっているのでしょうか。
今回のブログでは、お馴染み「世界で最も権威のあるランキング」と言われるリングマガジン・ランキングを見ていきたいと思います。
リングマガジンヘビー級ランキング(2022.9.17発表)
まずはトップ3から。
王者 オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)20勝(13KO)無敗
1位 アンソニー・ジョシュア(イギリス)24勝(22KO)3敗
2位 デオンテイ・ワイルダー(アメリカ)42勝(41KO)2敗1分
驚くべき事に、タイソン・フューリーは入っていません。フューリーは「引退」を宣言し、8月中旬にリングマガジンベルトを返上していますから、当然といえば当然です。
そのフューリーが返上したリングマガジンベルトは、8/20に行われたウシクvsジョシュア2にかけられ、これをウシクが戴冠した、という流れですね。このことは、フューリー復帰後、ランキングに変動が生じる、ということを示しているようなものです。さすがフューリー、公私ともにまさにジプシー。
なのでウシクが紛れもない王者で、敗れはしたもののジョシュアは1位をキープしています。
フューリーの引退については懐疑的な見方が多く、ウシクは来年に対戦したい、としていますし、ファンもあまり信じてはいないでしょう。
フューリーはWBCのタイトルを持っていますが、本来、WBCは8月下旬までにタイトル保持か返上かの意志を求めていましたが、それを延期しています。なのでWBCタイトルを保持したままのフューリー、ほぼ間違いなく現役続行のような気がしますね。
タイソン・フューリーが闘うべき相手というのは、オレクサンドル・ウシクもそうですが、やはりアンソニー・ジョシュアとの同国人対決はイギリスボクシング界にとって有益なマッチアップのようにも思います。ジョシュアにとってはまたメンタルを壊しかねない一戦ですが、期待する声は多いはずです。
さて、ウシクは残るWBC王座を獲りたい、と思っているでしょうし、ボクシング界にとってもヘビー級で初めての4団体統一戦というのはこのタイミングであってしかるべき、と思います。更に、そのウシクの相手がタイソン・フューリーとなれば、まさに4団体統一戦に相応しいマッチアップ。(バンタム級と違って)
来年起こるというこの待望の一戦の報を今は待ちたいと思います。
2位のデオンテイ・ワイルダーに関しては、次戦がロバート・ヘレニウス(フィンランド)戦。これが現地時間で10/15(土)に行われるので、ここは快勝してほしいところ。きっとどこかでワイルダーはパンチを当ててくれると思うので、楽しみなのはその「次」ですね。
3位 ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)30勝(21KO)2敗
4位 アンディ・ルイス(アメリカ)35勝(22KO)2敗
5位 ディリアン・ホワイト(イギリス)28勝(19KO)3敗
6位 ジョー・ジョイス(イギリス)14勝(13KO)無敗
7位 ルイス・オルティス(キューバ)33勝(28KO)無敗
3位のジョセフ・パーカーと6位のジョー・ジョイスは9/24(土)に激突。勝った方がこのリングマガジンランキングの3位となることは請け合いでしょう。
↓WBO暫定王座戦!
4位にはみんな大好きアンディ・ルイス。北斗の拳に出てくるハート様かと見まごうばかりのぽっちゃりボディを揺らし、時の王者、アンソニー・ジョシュアに初黒星をつけたのは2019年6月のこと。半年後の再戦では、パーティ三昧で体調管理が芳しくなく、またジョシュアは隙を見せずにルイスを塩漬けにしたことから完敗、ルイスは早々に王座を失いました。
前戦ではルイス・オルティス(キューバ)を破っていますが、コロコロと倒れるオルティスを相手に攻めきる事はできず、決して評価を上げた試合にはなりませんでしたね。
↓観戦記
このルイスvsオルティスはWBCのエリミネーター(挑戦者決定戦)だったのですが、ワイルダーvsヘレニウスも同じくWBCタイトルのエリミネーター。
このアンディ・ルイスとワイルダーvsヘレニウスの勝者が、ファイナルエリミネーターとして闘う、というのが規定の路線のようですが、すんなり決まるかどうかは不明です。
5位は「世界王者候補」と言われて長いディリアン・ホワイト。デレック・チゾラ(イギリス)に2度勝ち、ロバート・ヘレニウス(フィンランド)に勝ち、ジョセフ・パーカー(ニュージーランド)に勝ち、と世界王座が目前というところでアレクサンダー・ポヴェトキン(ロシア)にまさかの敗戦。ここはリベンジしてタイソン・フューリーに挑戦するも6RTKO負けを喫しています。
他に、2015年に世界王者になる前のアンソニー・ジョシュアに敗北していますが、世が世ならとっくに世界王者となっていても良かったくらいのボクサーです。
7位のオルティスは、本当によく倒れて立ち上がる、というイメージがついてしまいました。自称43歳というオルティスは、ワイルダーに2敗、アンディ・ルイスに1敗とまだ合計3敗ですが、ちょっと心配になるようなボクシングを展開しています。
ワイルダー相手には倒されるまで完勝、ルイスにもダウンポイントさえなければ、という試合だったがために、当然実力はあるのでしょうが、何せ打たれて脆すぎる面が非常に心配です。
8位 フィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)15勝(12KO)無敗
9位 フランク・サンチェス(キューバ)20勝(13KO)無敗
10位 チャン・ツィーレイ(中国)24勝(19KO)1敗1分
東洋圏のボクサーが、このリングマガジンの階級別ランキングに名を連ねた事はあるのでしょうか。もしかすると、このチャン・ツィーレイが初めてなのかもしれません。
10位のチャン・ツィーレイは、言うまでもなく東洋圏のボクサーで世界に最も近いボクサー。2022年8月に行われたウシクvsジョシュア2のアンダーカードで現在8位のフィリップ・フルゴビッチと対戦、ダウンを奪うも僅差の判定負けを喫しています。これは非常に惜しい試合でした。
ツィーレイの課題はスタミナ(とその配分)及び戦略面のような気がするので、長めにしっかりと育ててもらいたいところですね。
さて、この8位〜10位のあたりは、これからのボクサーたちです。
9位のフランク・サンチェスについては、まだ底を見せていないボクサーで、前々戦でエフェ・アジャグバ(ナイジェリア)とのプロスペクト対決に勝利。次戦がワイルダーvsヘレニウスのアンダーカードに出場が決まっています。対戦相手はカルロス・ネグロン(プエルトリコ)、このサンチェスも世界王者へのネクスト・サークルに入ってきてもおかしくないボクサーですね。
圏外
さて、私の大好きなあのボクサーが出てきていませんでした。。。
ジョー・ジョイスに敗れはしたものの、まだまだ期待値の大きい「DDD」こと、ダニエル「ダイナマイト」デュボア(イギリス)です。
WBAレギュラー世界ヘビー級王者、という肩書を持っているものの、そのタイトルを奪った相手がトレバー・ブライアン(アメリカ)という結局よくわからないまま世界王者となってしまったボクサーだから、という事なのでしょう。
ジョイスより下、というのは仕方ありませんが、フルゴビッチ、サンチェス、ツィーレイよりも下、ということはやはり戦ってきた相手が評価をされていない、ということに尽きるのでしょう。
通常はレギュラー王者だろうが、タイトルを取ればだいたいこの階級別ランキングには入りそうなものですが。。。。すべてはドン・キングのせい。ということにしておきます。
ということでもっとDDDには頑張ってほしいですね。
ヘビー級で起こる戦い
現在、リングマガジンベルトのほか、WBAスーパー、IBF、WBOタイトルを保持するのはオレクサンドル・ウシク。このウシクを中心としてヘビー級タイトルは回るわけですが、今年はもうウシクのリング登場はないのではないか、と思われます。
ジョシュア戦というのは紛れもなくビッグマッチであったために、ウシクはジョシュア戦に備えて戦時中の母国から避難、これは随分と精神的なストレスを抱えたと思われますし、ウシクがゆっくりしたいと思うのも当然のことでしょう。
そして残る一つ、WBCの王座についてはまだ動向がよくわかりません。タイソン・フューリーの引退するしない、WBC王座を返上するしない問題は、8月下旬に決着がつく予定が延期されており、そこからもうすぐ1ヶ月、そろそろ決着がつきそうですが、どうなるか。
「返上しない」という意向であれば、おそらく年内に次戦が巡ってきそうなタイソン・フューリー。その相手は一体誰になるのか。
そんなトップ2を置いておいて、ヘビー級のトップ戦線は盛り上がりを見せています。
アンディ・ルイス、デオンテイ・ワイルダーはそれぞれがやる気満々であり、その後音沙汰のないアンソニー・ジョシュアは何を思う。
一説には、フューリーvsジョシュアも囁かれていますが、もしこれをやるならば十分な準備期間と、十分すぎるほどのコマーシャルの期間が設けられるはず。今年中、というと日程的には厳しいのではないかと思います。
個人的にはジョー・ジョイスvsジョセフ・パーカーというのは非常に楽しみで、リングマガジンランキングではパーカーの方が上、というのを見てより楽しみになってしまった一戦。
これにジョイスが勝利すれば、ウシクとはアマ時代にも対戦経験があることから、対戦の機運は高まるかもしれません。もしかすると、ジョイスはウシクと技術で勝負できるヘビー級かもしれない、という期待も込めて。
今後のヘビー級の一挙手一投足、注目していきたいと思います。
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