週末のボクシング興行は、海外ではPBC興行とマッチルーム興行があり、充実しています。
国内に目を向けると、大阪での1興行のみとやや寂しめ。まあ、東の聖地後楽園ホールでは、土日のボクシング興行はほとんどないので致し方ありませんが。
ということで、今回のブログは今週末から来週のウィークデイにかけての国内興行をプレビュー。
日曜日には西田凌佑登場の六島ジム興行、そして来週の火曜日にはダイヤモンドグローブです。
10/9(日)You will be the Champion
WBOアジアパシフィック・バンタム級タイトルマッチ
西田凌佑(六島)5勝(1KO)無敗
vs
アルジュム・ペレシオ(フィリピン)11勝(6KO)1敗
プロたった5戦でバンタム級の世界ランキングに名を連ねる西田。
2020年に大森将平(当時Woz)、2021年に比嘉大吾(志成)をアップセットで降したことで一気に知名度をアップ、初防衛戦では大橋哲朗(真正)を退けています。
今回、2度目の防衛戦の相手はアルジュム・ペレシオ。
ペレシオの映像を見ると、プルカウンターを得意とするボクサーで、一発が当たってからの詰めは素晴らしいものを持っています。力強いカウンターを常に準備しているため、相手は容易に攻められず、やや「待ち」のボクサーであるペレシオにプレッシャーをかけられるという展開が目立ちます。
これまでの6つのKO勝利は全て初回KO。パンチはあると思いますが、慎重派、構えのガードポジションもしっかりしており、強引に振ってくるタイプのフィリピン人ではないと思います。
技術勝負をさせれば、その距離感、したたかさにおいて西田が上回るはずです。序盤、特にペレシオのパンチを貰わないという戦い方を完遂した方が良さそうですね。
このペレシオは良いボクサーですが、さすがにここは西田が優位。ここを快勝して、来年、再来年あたりは勝負の年になるかもしれません。
【放送・配信】
セミファイナルには山﨑海斗(六島)がタイ人ボクサーとの対戦。前戦で竹嶋宏心(3150ファイト)で降し、日本ランキングを獲得した山崎にとって、この試合は調整試合の域を出ないでしょう。相手は2勝(2KO)無敗という戦績ですが、対戦相手の質としては言わずもがな。
ここは問題なく勝利を収めることが必須、という戦いです。
尚、セミセミには六島ジム期待のホープ、アマ2冠の井上彪(たける)がプロデビュー戦に臨みます。
この興行はBoxingRaiseで録画配信。当日の深夜にはアップされると思うので、情報遮断して視聴、というのもアリだと思います。
10/11(火)ダイヤモンドグローブ
日本ウェルター級王座統一戦
小原佳太(三迫)25勝(22KO)4敗1分
vs
小畑武尊(ダッシュ東保)12勝(5KO)5敗1分
2020年、永野祐樹(当時帝拳)を倒し、日本王者となった小原の3度目の防衛戦。
これまでの配線は、プロデビュー戦でまさかの敗戦を喫した一敗と、モスクワで挑んだ世界戦での一敗、アルビン・ラガンベイに喫したまさかの敗戦と、クドラティーリョ・アブドカホロフとの世界王座への挑戦権をかけた一戦という4つ。
打たれ脆い、とは思いませんが、一発当たれば形成がひっくり返ってしまうのが、中量級以上では大いにあり得ることという典型であり、アップセットも起こりやすいのかもしれません。
小原のボクシングは非常に完成度が高く、隙の少ないボクシングであるがために、それを崩すことは容易ではありません。
しかし、「ボクサー然」としているボクサーよりも、今回のチャレンジャーはもしかすると奇跡を起こせるかもしれないボクサー。
小畑武尊は大分県別府市にあるダッシュ東保ジムという地方ジム所属のボクサー。
2017年には西軍代表決定戦を勝ち残り、全日本新人王決定戦に出場しています。その後、主に九州地方で戦い続けた小畑の名が売れたのは、2020年の坂井祥紀(横浜光)戦。
メキシコ帰り、既に王者クラスの力のある坂井を相手に奮闘し、結果は判定負け。しかし、おそらくこの試合は坂井がストップ勝ちをして然るべきマッチアップだと思われていたので、ここで「想像以上」の力を見せた小畑は、コアなボクシングファンに認知されたのではないでしょうか。
さらに、続く一戦では大橋ジムのホープ、安達陸虎をまさかの初回KO。下馬評を大きく覆すアップセット勝利で、全国にその名を轟かせました。
坂井戦も含めて、実力を認知された小畑は、国内の中堅選手と言われる近藤哲哉(横田スポーツ)、木村文佑(JM加古川)を連続撃破。そして2022年、永野祐樹(帝拳)との日本ウェルター級王座決定戦で、またもアップセットの5RTKO勝利を挙げます。
初回からアングルを効かせたパンチをよく出す小畑が終始永野を圧倒した、という試合は、小畑の素晴らしいジャブと戦略が光った試合でした。
↓観戦記
そもそもこの暫定王座戦は、本来、4月に小原佳太vs永野祐樹のタイトル戦を予定していましたが、小原の怪我で中止。その代わり、挑戦者決定戦を勝っていた永野と、当時上位ランカーであった小畑との間に組まれた決定戦でした。
オール・オア・ナッシング。文字通り永野から全てを奪った小畑が、日本の絶対王者、小原へ挑みます。
現状はもちろん、小原が優位だと思います。パワー、テクニックもそうですが、戦い方の幅は小原に分があり、キャリアも大きく違います。
それでも、「何かを起こすかも」と思わせてくれる小畑というボクサーは、非常に魅力的なボクサーですね。
完全敵地、後楽園ホール。
九州のボクサーの魂が、王道を歩いてきた王者に、どのように通用するのか、はたまたしないのか。これは非常に興味深い一戦です。
日本ライト級挑戦者決定戦
仲里周麿(オキナワ)11勝(7KO)2敗3分
vs
鯉渕健(横浜光)8勝(7KO)5敗1分
激アツな日本ライト級の挑戦者決定戦は、KO決着濃厚。
オールドファンにはお馴染みの仲里繁の息子、周磨。2021年8月に吉野修一郎(三迫)のもつ日本タイトルにアタックするも、及ばず6RTKO負け。再起戦では保田克也(大橋)とのランカー対決を制し、再浮上して日本タイトルを狙います。
鯉渕は前戦でライジングスター、向山太尊(ハッピーBox)を破ってランカーとなったばかりのボクサー。変則的な向山のボクシングに正攻法で対抗、非常に真面目そうに見えるボクシングで4RTKO勝利。そこからこの挑戦者決定戦の話を蹴らなかったことから、出場の機会を得ました。
地力では仲里が優位か、と思う一戦ではあるものの、鯉渕はここに勝てば大きく道が拓けます。仲里は、かつて分の良い引き分けを演じた木村吉光(志成)がWBOアジアパシフィックタイトルを獲得したことで、モチベーションが上がったのか、焦りになってしまったのかで今回のパフォーマンスも変わってくるかもしれません。全く気にしていなければそれでも良し。
勝者の標的は現在の日本ライト級王者、宇津木秀(ワタナベ)ですが、11/17に行われるタイトルマッチでジロリアン陸(フラッシュ赤羽)に変わる可能性はゼロではありません。
どのように当たる事になっても面白いですが、個人的には宇津木vs仲里が見てみたいので、今回は仲里を、11月は宇津木を応援したいと思います。
アンダーカード!
その他のアンダーカードでは、フライ級8回戦でランカー対決。中嶋憂輝(角海老宝石)vs永田丈晶(協栄)も大注目です。
前戦、中嶋は素晴らしいパフォーマンスで森青葉(泉北)を4RTKOに仕留めており、これがなんと2年以上ぶりの勝利。2戦連続ドロー、決まった試合が流れる、等々のことを経験し、ひとまわり大きくなった気もしますね。
対して永田は前戦で関西ホープ峯佑輔(六島)を敵地大阪で撃破。その前にも川崎智輝(サンライズ)を敵地で撃破しており、非常に勝負強さとハートの強さを感じるボクサーですね。
これは非常に難しい、50−50の一戦となりそうな気がします。
その他、渡来美響(みきょう/三迫)、山口仁也(三迫)がプロ2戦目に臨む一戦もありますが、共にフィリピン人ボクサーが相手です。それなりのキャリアのある相手ではありますが、二人にとっては脅威とならないはず。共に勝利して、A級昇格を果たしてもらいたいものです。
【放送・配信】
この興行は、フジテレビで後日録画放送、FODでも後日録画配信。
ただ、このフジボクシング興行は、当日、FODプレミアムで生配信してくれます。
FODプレミアムに加入していれば、見逃し配信機能もついているので、時間に遅れても後ほど見ることも可能です。
配信日時は10/11(火)18:00頃からだと思うので、刮目してみましょう。ちなみに、FODプレミアムの公式サイトに情報が上がるのは、前日だそうです。それまでリストになくても焦らないように。(焦って何度も連絡してしまった過去持ち笑)
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