世界中のボクシングファンが期待する世界ウェルター級の統一戦、エロール・スペンスJr(アメリカ)vsテレンス・クロフォード(アメリカ)の一戦はどうやら雲行きが怪しいらしい。
当初11/19という具体的な日程が出ていたこの一戦は、今月の頭だったか2/4とされて暗雲がたちこめたあと、結局、12/10にクロフォードはデビッド・アバネシヤン(ロシア)と戦うと発表されました。
アバネシヤンは11/19に予定していたヨーロッパ王座の防衛戦をキャンセル、クロフォードの地元であるオマハに乗り込むそうです。
結局、現代ボクシング最高の対決は実現しないのかもしれません。
これはこのボクシング競技の悪いところですね。。。もう、一旦忘れましょう。
このスーパーファイトがなくても、私達ボクシングファンには年末までの楽しみがたくさんあります。
10月最終週末には、ロマチェンコのリング復帰もありますし、今回プレビューを書くこの一戦もあります。
ということで今回のブログでは、個人的に超楽しみにしているジョセフ・ディアスvsウィリアム・セペダ、DAZN興行のプレビュー記事です。
10/29(日本時間10/30)アメリカ・カリフォルニア
ジョセフ・ディアス(アメリカ)32勝(15KO)2敗1分
vs
ウィリアム・セペダ(メキシコ)26勝(23KO)無敗
たぶん、日本での注目度は薄いのでしょう。
同日に行われるワシル・ロマチェンコvsジャーメイン・オルティスの方が(日本においては)注目度が高いのはわかりますし、個人的にも楽しみです。
但し、このロマチェンコvsオルティスというのは、おそらく実力差のあるマッチメイクと言ってもよく、ロマチェンコが万全であればロマチェンコの勝利は固いであろう、という試合。
つまりはロマチェンコの出来がどうか、というところから、そこにオルティスがどうつけこんでいけるか、という試合であり、結局の所はロマチェンコのパフォーマンスに注視すべき試合です。
しかし、このディアスvsセペダは違います。
ジョセフ・ディアス、通称「ジョジョ」は元IBF世界スーパーフェザー級王者。非常にアグレッシブなファイトスタイルを持つボクサーで、フィジカルが強い。
一発一発をしっかりと撃ち抜くタイプのボクサーで、そのパワーパンチは非常に強力に見えますが、意外とKO率は高くありません。パワーレスには全く見えませんが、KO率が50%以下というのはちょっと意外です。
アグレッシブで常にエキサイティングな試合を見せてくれるから七日、非常に人気が高いボクサーですね。
2012年にプロデビューしたジョジョ・ディアスは、2018年に世界初挑戦。当時ディアスが挑んだ世界王者は、WBC世界フェザー級王者、ゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)でした。
ディアスのプレッシャーはラッセルには通じなかった、といえばそれまでなのですが、安定王者ラッセルが陥落するまでの間、つまりは防衛戦で戦った相手で最も手を焼いたのはこのディアスだったはずです。
初黒星から再起したディアスは、2020年1月にIBF世界スーパーフェザー級王者、テビン・ファーマー(アメリカ)に挑戦します。
ファーマーはラッセルと似た、いやともすればラッセル以上に安全運転に徹するボクサータイプだっただけに、おそらくディアスはファーマーを攻略できないだろう、と思っていました。
しかし蓋を開けてみれば、常にプレスをかけ続けたディアスは、ファーマーをタフファイトに引き込み、見事な判定勝利。これは殊勲の勝利でした。
人気のあるボクサーが世界王者となってこれから、という初防衛戦。このジョジョ・ディアスは秤の上で王座を失うという失態を犯し、変則タイトルマッチとして開催されたシャフカッツ・ラヒモフ(タジキスタン)との防衛戦でドロー、タイトルは剥奪。
この一戦で、ディアスは途中で減量を諦めていますが、これは「自分の健康が一番大事」というプロらしからぬ発言。それはそうなんですが、だったらこの階級で戦うな、ということになりますね。
ともあれ、ライト級に転級したディアスは、早々にチャンスをもらいます。
ハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)とのWBC世界ライト級暫定王座決定戦です。
その人気からか優遇されるディアスは、このフォルトゥナとの一戦に勝利、暫定王座を手に入れますが、続く正規王者との統一戦でデビン・ヘイニー(アメリカ)に敗れ、無冠に。そもそもこの時、ディアスvsフォルトゥナに暫定王座をかけられたのもあまり納得のいくものではありませんでしたが。
そしてこの2敗目から約10ヶ月の時を経て、この度復帰戦がウィリアム・セペダ戦。
ウィリアム・セペダは26戦全勝、26歳の若きプロスペクトで、そのKO率は驚きの88%強というものです。
セペダは2015年にプロデビュー、メキシコでじっくりとキャリアを積み重ねてきました。
前戦では元王者、レネ・アルバラード(ニカラグア)に判定勝利を収めてはいるものの、それまで元王者等の大きく名前のあるボクサーを破った経験はありません。
このセペダのKO率というのは素晴らしいもので、「一体どんなパワーパンチャーなのか」と期待するところなのですが、このセペダは連打型のファイター。
一発一発が優れている、というよりも、コンビネーション、とさえもいうことが出来ない連打が武器。
これはそう、まさしく「連打」であり、とにかく打って打って打ちまくる、というのがセペダの戦い方です。とにかく手が止まりません。
歩きながら、動きながらでもパンチを出していき、相手のパンチが自分の顔面に被弾しようとも手を出し続けるノンストップ連打。
面白いくらいに止まらないセペダの手数に根負けして、もしくは手が出なくなってしまって、レフェリーが割って入るというパターンが多いような気がします。
パワーパンチを持つディアスと、止まらない連打を持つセペダ。
この対決は、非常にエキサイティングな試合になることが確定されているような一戦で、試合は序盤から打ち合いとなるでしょう。
その中で大切なのは距離であり、共に前に出て戦うファイタータイプだからこそ距離が詰まりやすく、ゼロ距離になる前にどちらが先に、どちらが多く、パンチをコネクトできるか、という勝負であり、また、おそらく多くのパンチの交換があることから、タフネスも試される試合でもあります。
海外のオッズを調べると、ほぼ互角ながらもほんの少しだけセペダが優位、という、何とも予想のつきづらいものになっています。戦績というものが素晴らしいから、セペダの評価が高いのでしょうか。それとも、ディアスの評価が低いのでしょうか。
セペダはまだ未知の部分が多いため、予想がつきづらいのかもしれませんが、現状で予想をするとしたならばディアスの勝利の方が堅い気がしますが。
大激闘が確約され、勝敗は読みづらい。これは一見の価値あり、ですね。
↓ディアスvsラヒモフの観戦記
アレクシス・ロチャ(アメリカ)20勝(13KO)1敗
vs
ヘスス・ペレス(メキシコ)24勝(18KO)3敗
セミファイナルにはウェルター級のプロスペクト、アレクシス・ロチャが登場です。パワフルなコンビネーションを持つロチャは、2022年7月の前戦では非常にディフェンシブな戦いをするルイス・アルベルト・ベロン(アルゼンチン)に判定勝利を挙げています。
しかし、その前は3連続KO勝利、その中には当時無敗のブレア・コブス(アメリカ)も含まれています。
初黒星は2020年10月のことで、無敗のプロスペクト対決となったラシディ・エリス(アメリカ)戦での判定負けを喫していますが、上記の通り復調していると思って良いでしょう。
ちなみにこのロチャは、2019年4月に坂井祥紀(現在横浜光)にも勝利しているボクサーです。
対戦相手はヘスス・ペレス。ヘスス・ペレスという名前でBoxRecを検索すると、山のようにボクサーが出てくるほど一般的な名前のペレスは、本名がヘスス・アントニオ・ペレス・カンポスと言うようです。
これまでの3敗は全てプロスペクト相手に喫しており、好戦績、好KO率を誇っていますが、試合自体が約3年ぶり。ここはロチャに快勝してほしいところですね。
放送・配信
その他のアンダーカードは、IBF女子フライ級タイトルマッチ、レオネラ・パオラ・ユディカ(アルゼンチン)vsアレリー・ムシーニョ(メキシコ)、そして日本のボクシングファンにも大いに興味が湧く試合としては、スーパーバンタム級の無敗プロスペクト対決、ヘクター・バルデス(アメリカ)vs マックス・オルネラス(アメリカ)というのもありますね。バルデスが15勝(8KO)無敗、オルネラスが15勝(5KO)無敗1分、どちらもメキシコ系アメリカ人ですが、この試合のAサイドはGBP所属のバルデスです。
このGBP興行はDAZNが生配信、日程は日本時間で10/30(日)10:00〜となっています。
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