信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】ベテラン同士の日本タイトル戦、川崎真琴vs出田裕一!衝撃決着続出のフェニックスバトル!

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奇数月の第二火曜日は、フェニックスバトル。

この奇数月の第二火曜日のフェニックスバトルは、「NTTプレゼンツ」と冠がつかないほうで、「PXB」という表記でもありません。

おそらく、フジボクシングの放映権料だけでやっている興行なのでしょう。

今回のフェニックスバトルのメインイベントは、日本スーパーウェルター級タイトルマッチ、川崎真琴(RK蒲田)vs出田裕一(三迫)。38歳同士の日本タイトル戦、というのはなかなかないことで、ともに負ければ後がなく、「日本タイトルマッチ」と言いつつもどちらが生き残るのか、というサバイバルマッチに近い感覚。

これはともに負けられない戦いであり、気持ちの勝負となるのでしょう。

そして、フェニックスバトルはいつも好試合が多いため、期待をもってFODを視聴。

 

11/8(火)フェニックスバトル

中田勝浩(井岡弘樹)vs酒井幹生(角海老宝石)

2試合目に組まれたこの試合は、8回戦の試合。重量級の日本ランカー同士の一戦は、ともに負けられない一戦です。

静かな立ち上がりから迎え、中間距離で上手く戦うのはやはり酒井。しかし中田は強いプレスでしっかりとパンチを打ち込み、早々に近い距離でのボクシング。ただ、近い距離でも酒井のポジショニングは良い。

頭、重心を低くして対応する酒井に対して、中田は上体が浮き気味ながらも、フィジカル、パンチングパワーは中田。酒井は手数とアングル、コンビネーションで対抗して、8Rにわたる打撃戦が展開されました。

判定は、77-75×2、78-74で酒井の勝利。

これは結構スイングラウンドも多かった印象ですが、クリーンヒットで上回った印象です。酒井は前戦に比べて力強さを増し、強い気持ちも見せてくれました。

今後も期待です。

 

青山功(セレス)vs粉川拓也(角海老宝石)

3連敗中の青山と、元王者の粉川が対決。粉川はユーリ阿久井に敗れてからの再起戦となりますね。

初回からともにガチャガチャとして動く中、開始30秒ほどのところで青山が右アッパーでダウンを奪取。その後も攻め込む青山、ちょっと下半身に力が入らない粉川は幾度もピンチを迎えるも何とかしのぎます。2Rも足に力が入っていない状態ながらも何とかパンチを繰り出す粉川、3Rに回復しかかったところで青山の右カウンターがヒットすると動きがとまり、終盤には青山がラッシュ。

4R、近い距離での打撃戦の中で、中盤、青山のショートの右!これで粉川はグローブをリングにタッチ、2度目のダウン。かなりのダメージを感じさせる粉川に青山はチャージ、ここも何とかしのぐもかなり厳しい状況です。

5R、近い距離でアッパーをねじ込んだ青山、今日はこの右アッパーが本当によく当たっており、粉川はこれに対応できていません。

 

1分すぎ、ちょっと粉川の手がとまったところで青山が右を打ち込むと、レフェリーはストップ。

青山功、粉川を5RTKOのアップセット勝利!

粉川は初回のアッパーをもらった時点で厳しかったですね。格下を相手に、油断もあったのではないでしょうか。。。

保田克也(大橋)vsラチャッタ・カオピマイ(タイ)

初回は中間距離でのにらみ合い。カオピマイが勇んで攻め込むと保田はカウンター。これはちょっと実力が違いそうな雰囲気。2Rは保田がカオピマイのジャブを外して距離を詰める、という場面が幾度か訪れたあと、カオピマイが攻め込んだところに保田の長い左ストレートが突き刺さり、カオピマイはダウン。立ち上がったカオピマイにジャブから左ボディストレートをヒット、カオピマイはそのまま立ち上がれずにテンカウント。

保田克也、2RKO勝利。

 

素晴らしい距離感、素晴らしいタイミングのボクシングでしたね、保田。最初のダウンを奪った左は非常に見事、抜群のタイミングと距離感でヒットしました。

フライ級8回戦

パリニャ・カイカンハ(タイ)4勝(4KO)1敗

vs

山内涼太(角海老宝石)8勝(7KO)2敗

カイカンハは、前戦で桑原拓(大橋)に2RTKO負け。その相手に、世界王座へも挑戦した山内は、どのような勝ち方をするのかが注目です。

初回、ジリジリとプレスをかける山内。カイカンハは少しサークリングしながら山内のことをよく見ています。山内の方が結構大きく見えますね。

山内はジャブで様子見、から右ボディストレート。そこから左ボディにつなげると、カイカンハは一拍置いてダウン。これは完全にボディが効いたダウンですね。

立ち上がったカイカンハに対して、ボディを中心に攻め、後半にも左ボディをヒット、終盤にも左ボディでダウンを奪取。立ち上がったカイカンハに容赦なく左右のボディを叩くと、カイカンハはこの試合3度目のダウン、試合が終了。

山内涼太、初回TKO勝利。

 

カイカンハは上も下も打たれ脆さがあるかもしれません。稀に見せたその攻撃は、パワフルで良かったと思うのですが。

ミニマム級8回戦

森且貴(大橋)10勝(2KO)1敗

vs

高田勇仁(ライオンズ)9勝(4KO)8敗3分

この試合が、この興行の中で最も興味をそそり、さらに勝負論のある試合、だと思います。大橋ホープ、森は今年1月に日本ミニマム級王座決定戦で石澤開(M.T)に敗れますが、再起戦で伊佐春輔(川崎新田)に勝利。かなりギリギリの戦いで、本当に辛勝という内容、再戦した方が良いのではないか、というレベルのものでした。

その伊佐になんと初回41秒でのTKO勝利を挙げたのが高田勇仁(ゆに)。勝ち星に恵まれない時期を超えての大復活、強豪との対戦キャリアは24歳という若さながらも着実に実になっているはずです。

これは非常に楽しみな一戦。

 

初回、ともにキビキビとした動きから中間距離でのボクシング。高田はジャブに優れ、後半には右クロスをヒット。森は先手をとるものの、そのコンビネーションは高田のディフェンスに阻まれます。

2R、高田は鋭い踏み込み。パンチの戻しも非常に早い。前ラウンドよりもプレスをかける展開で、上手く上体を振り、森の鋭いジャブを外しています。

高田は左ボディ、フック、そしてジャブがダブル、トリプルと自在に出せており、これは森にとって非常に脅威。

3R、高田がプレス、森は下がりながらのボクシングですが、コンビネーションをヒット。非常に危険な距離でスピーディなパンチの交換、森はどんどん機動力が豊かになってきており、パンチの打ち終わりも気をつけている印象です。

高田は少し雑になっているか、単発狙いとなり、ディフェンスも少し雑か。

4R、前ラウンドからよく動くようになってきた森はリズムがでてきています。高田は非常にパワフルですが、少し森野スピードに対応しづらくなってきたように見えます。これは、森が打ってすぐ動く事、良いポジションを取る事に起因しているように思います。

 

5R、3、4Rに比べてジャブが増えた高田、この高田のジャブは本当に素晴らしいジャブです。序盤からこのジャブがやはり当たり、こうなると高田はプレスをかけやすくなり、森はコンビネーションを出しづらくなりますね。このジャブから攻め入る高田は驚異で、ちょっと森が押されている印象。

こうなった時に退かず、後半には前に出て打撃戦を挑む森、終盤には高田を下がらせる場面もつくります。しかし、そこで高田の左フック?いや左アッパー?がヒット、森は仰向けに倒れ、試合がストップ!!!

高田勇仁、5RTKO勝利!!

こういう場面は、想定された試合ではありました。が、まざまざと見せつけられると驚きを隠せません。これで高田は10勝8敗3分、これまでの足踏みは全く無駄ではない、ということを見せつけてくれました。

スロー映像が流れますが、これはまさにスリークォーターブロー、でしょう。左ボディと同じような角度で発進したこの左拳は、見事に森の顔面を捉えました。

 

やはりこの高田、本当に素晴らしいボクサー。これは今後も楽しみ。

そして、担架で運ばれた森は心配ですが、こちらも良いボクシングを展開していました。

やはり最軽量級、ミニマム級のスピードあふれるボクシングは非常に見応えのあるものですね。

日本スーパーウェルター級タイトルマッチ

川崎真琴(RK蒲田)13勝(2KO)8敗2分

vs

出田裕一(三迫)15勝(8KO)16敗1分

誰しも、長く王者でいたいと思うものなのでしょう。年を経て、もしくは階級というものもあり、その先に進めないという認識があったならば、それはより顕著なのかもしれません。

川崎は、RK蒲田ジムは、「なるべく安全な」相手を選んだ、と言われても仕方のない選択防衛戦。対戦相手は、一階級下のウェルター級を主戦場とする出田裕一、負け越しており、前戦では初回TKO負けを喫しているボクサーです。

初回、出田がガードを固めてジャブを突き、プレス。川崎はサークリングしながら左右のフック、ボディを振るいます。

やはりこの38歳同士の一戦というのは、気持ちが入っています。いや、早くももう気持ちだけの勝負と言っても良いのかもしれません。出田がバッティングで左まぶたをカット。

 

2R、出田の突進力がエグい。手数は止まらない。川崎もパンチを返すものの、その的中率は高くはなく、やや大きめのパンチです。出田はもう完全に己のすべてをかけてアタックしている感じがビンビンと伝わってきます。

3R、兎に角手数が止まらない出田、相打ちとなってもその後すぐに手を出します。

川崎はちょっと疲れが見えてきたようにも見えますし、どうしても相手のペースにハマってしまっているようにも思います。出田は右目上からも出血しているか。バッティングのようです。

4R、両目上の出血も気にすることなく攻め入る出田。近い距離でも愚直にジャブから入るさま、次々と出てくるこの両拳は、その覚悟、これまでのボクシング人生が見えるような猛攻です。

5Rも出田は止まりません。川崎を確実に押していき、前進。川崎もアングルを変えてパンチをコネクトするも、全然止まらない出田、これは川崎の方が疲れてしまうかもしれません。

このラウンドが終わって半分、もう完全なる我慢比べです。

途中採点は、48-47、49-46×2で出田。

 

6R、このままで良い出田はプレス。川崎もここで付き合ってしまうと、ちょっと苦しいと思います。出田はこの手数、このプレスこそが自分のボクシング、自分のペースなのでしょう。

川崎はやはりつきあわされている感が拭えず、疲弊していっているように見えます。

7R、このラウンドも出田が出る!川崎はかなり疲労を感じますが、いくつかのアッパーをヒット。しかしそれを上回る手数で出田は攻勢、後半には川崎をコーナー、ロープに詰めていきます。

バッティングでカットした両目からは地が滴り落ち、腫れもあってもしかするともう視界は塞がれているかもしれません。それでもとにかく手数が出る、ばけものじみた38歳。

8R、出田のボディからスタート。このボディは強烈ではないかもしれませんが、ずっと叩き続け、これはここまでで非常に効果があるのでしょう。

ここに来てまさかのペースアップをした出田、これまで以上の回転力をもって疲労感たっぷりの川崎を攻め立てます。川崎がここから逆転できる気が、もうしません。なんという展開なのでしょう。

後半、出田のパンチで川崎がぐらついたようにみえ、それを合図として出田はチャージ。川崎も何とかパンチを返してラウンドが終了。

 

9R、最初から最後まで、「気持ち」の勝負だったこの試合。とにかく出田の覚悟が素晴らしく、その出田の戦いに飲み込まれながらもしっかりとパンチを返し続けた川崎も、王者としてその出田の覚悟を受け止めました。

出田がパンチを出し続ける中、2分が経過しようとしたとき、レフェリーが試合をストップ。

おそらく、8R後半くらいから、レフェリーは試合を止めるタイミングを見計らっていたのでしょう。

出田裕一、9RTKO勝利で日本王座を戴冠!!!

「タイトル初挑戦で初戴冠」ということばは、ホープのためにある言葉で、若手のボクサーの言葉だと思っていました。ベテランは、何度か挑んだのちに獲得するものだ、と。

しかしこの出田は、キャリア18年、33戦目でタイトル初挑戦、それもこのタイトルに挑戦スル前の試合は初回TKO負けを喫している、というもう意味不明のキャリア。

この大きな大きな覚悟をしっかりと受け止めた川崎、それすらも凌駕した出田裕一。

ベテラン同士の素晴らしい意地の張り合いは、今後のボクサーたちの良い見本になるのかもしれません。

 

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