11/27(日)は非常にプロボクシング興行が多い一日ではありますが、注目度としては翌週末の方が大きいでしょう。
12/3(土)は韓国でジョンリエル・カシメロvs赤穂亮をメインイベントとするトレジャーボクシングプロモーションの第一弾興行、その後夕方からはダイナミックグローブで日本・WBOアジアパシフィック・フェザー級タイトルマッチ。
そして翌4日(日)はエストラーダvsロマゴン3、フューリーvsチゾラ3とライブで見られるボクシング興行が続きます。あと4日は私の誕生日笑。
ということで今回のブログは、ダイナミックグローブのプレビュー記事です。
↓ジョンリエル・カシメロvs赤穂亮のプレビューはこちら
12/3(土)ダイナミックグローブ
日本・WBOアジアパシフィック・フェザー級タイトルマッチ
阿部麗也(KG大和)23勝(10KO)3敗1分
vs
前田稔輝(グリーンツダ)10勝(5KO)無敗
国内フェザー級は群雄割拠。現在、その中で最も多くのタイトルを保持するのは阿部麗也です。
「天才」阿部は、バスケットボールの経験を活かした素晴らしいステップワークを持ち、それを活かした出入り、そして素晴らしいカウンターを武器とするボクサーです。
高校時代にアマチュアボクシングを経験し、2013年にプロデビュー、2014年の全日本新人王に駆け上がります。
そのセンス溢れるボクシングは徐々に注目されていきましたが、大きかったのは2016年にフェザー級ホープ対決として注目された溜田剛士(当時ヨネクラ)戦、2017年にのちのWBOアジアパシフィック王者ジョー・ノイナイ(当時はジョー・ミサコの名前で三迫ジム所属)戦、そして世界挑戦経験者でもあった「バズーカ」細野悟(大橋)戦、ここを3タテして名を上げます。
その後順調にキャリアを重ねた阿部は、2019年5月、指名挑戦者として当時の日本フェザー級王者、源大輝(当時ワタナベ)に挑戦。この試合は、阿部優位と言われた試合でもありました。
しかし、この試合で初回からダウンを奪われた阿部は、続く2Rにもダウンを奪われる予想外の展開、それでもその他のラウンドの多くを明確に奪ったこともあって、1-0のドロー。負けはしなかったものの、タイトルを獲る事はかないませんでした。ボクシングでは上回っていたと思いますが、源のハートに押されてしまった印象です。
再戦すれば、おそらく阿部の勝利は固かったのではないか、と思う一戦でしたが、再戦は実現せず、源は減量苦もあって王座を返上。しかし、前戦の善戦が評価されたことで、この源が返上した王座をめぐり、佐川遼(三迫)との王座決定戦のチャンスが巡ってきました。
当時、世界挑戦経験者松本亮(大橋)を破り、勢いに乗っていた佐川との一戦は、なかなか噛み合いづらい技術戦。ここでも判定負けを喫し、タイトル獲得ならず。
自分のボクシングを崩してでも、勝利への執念を見せられないボクサー。これが、この頃の阿部の印象です。技術で上回る事ができればめっぽう強いですが、それが互角だった場合や、距離感が合わない場合、思い切って戦法を変える事ができないのではないか。佐川戦のあと、3戦していますが、このイメージが変わる事はありませんでした。
そして迎えた大注目試合、2022年5月15日の日本フェザー級タイトルマッチ。日本王者、丸田陽七太(森岡)は世界を見据えるホープで、おそらくより箔をつけるためにWBOアジアパシフィック王座決定戦も付随され、2冠戦として開催されました。
ここはおそらく、丸田優位の声が多い状況だったと思います。
しかし、見合った初回を除き、阿部はリングの中で躍動。丸田は阿部に対して非常にやりづらそうな印象で、手が出ず、今考えると減量苦の影響もあったのかもしれませんが、阿部がダウンを奪っての完勝という内容。
↓丸田陽七太vs阿部麗也
特に、4Rに丸田のパンチで阿部がカットした後、吹っ切れたような動きを見せた阿部麗也には、タイトルへの執念とタイトル獲得への自信、ボクサーとして一段回上がったハートの強さを見ることができたと思います。
この勝利により、更に評価を高めた阿部麗也。しかし鬼門と言われる初防衛戦の相手は、一筋縄ではいかない関西の無敗ホープ、前田稔輝です。
日本拳法をルーツとする前田稔輝のプロボクシングデビューは、2019年。その年の全日本新人王で、西軍代表決定戦では福永輝、全日本新人王決定戦では亀田京之介を退けています。
キレのある左ストレートは遠い距離からでもまっすぐに飛ぶし、近い距離でもノーモーションの左を決められる当て勘の持ち主で、細かいステップでの距離の調整、そしてここ最近は上体の動きも加わっており、非常に完成度の高いボクサーに昇華してきています。
全日本新人王獲得後、関西の興行でキャリアを築いていた前田が、ホールに2度目の登場となったのが2022年2月、木村蓮太朗(駿河男児)との東西ホープ対決。
この大きな注目を集めた試合で、木村からダウンを奪っての僅差判定勝利を挙げ、その存在を大いにアピールすることとなりました。
↓前田稔輝vs木村蓮太朗の観戦記
その勝利から6ヶ月後には元OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王者、ジュンリエル・ラモナルくを招聘し、衝撃の2RTKO勝利。ラモナルは決して弱いボクサーではありませんが、ちょっとムラがあるとも言えるボクサー。それでも、OPBF王座を陥落したてのラモナル相手に、このパフォーマンスは戦慄を覚えます。
木村戦での勝利は、前田に自信をつかせたのかもしれませんし、その左には更に磨きがかかったのかもしれません。ラモナルをワンパンチで倒した左は、ラモナルがほんの少し、前かがみになったところにドンピシャで当てた左ストレート一発でした。
試合展開としては、最初はおそらく両者見合っていく流れになるのではないか、と思います。比較的静かな立ち上がりから、おそらく序盤でどちらかの好パンチがヒットする場面があり、そこからヒートアップしていく印象か。
いずれにしても、抜群の距離とタイミングを持つ両者、ヒリヒリした試合展開となることは確実です。
よく「初防衛戦は鬼門」などといいますが、阿部にとってこのことがどれほどの影響があるのか。そして、丸田戦と同等のモチベーションを持ってこの初防衛戦に臨む事ができるか。
個人的には、キャリアもある阿部の方が引き出しがある分、地力が上回るような気がします。ただ、阿部は特に序盤、前田の左に集中して備えなければなりません。序盤に前田の左をもらってしまうと、ダウンを奪われる可能性は大いにあります。
どちらにもチャンスのある、非常に勝負論のある試合。阿部にとって、ここでの勝利は確実に大きく、世界へ近づく一歩であり、「絶対に負けてはいけない一戦」ということもできるのですが、その辺りが阿部にとってどのような影響をもたらすのかもわかりません。
前田としてはここに勝てば、阿部の持っている分全てを奪えるわけですから、モチベーションは高いでしょう。いずれにしろ、好試合に期待したいものです。
ライトフライ級8回戦
安藤教祐(KG大和)11勝(5KO)3敗
vs
狩俣綾汰(三迫)8勝(4KO)1敗
2016年プロデビュー、2019年に2度目の新人王トーナメント出場で東日本新人王となった安藤は、プロ叩き上げのボクサー。この年の全日本新人王決定戦はマジョリティ判定で惜敗、その後再起を飾るも2021年1月、川満俊輝(三迫)を相手にまさかの初回46秒TKO負け。
この頃は阿部麗也とともにはじめたYoutubeも好評で、おそらくファンの間でも知名度が上がってきた頃だったはずです。この時の試合は、まだ身体が固い序盤で思い切りもらってしまい、実力を発揮する前に終わってしまったのが非常に痛いところ。
その痛烈な敗戦から復帰した安藤は、現在3連勝と絶好調です。
この安藤は非常に冷静な判断ができるボクサーだと思われ、比較的オーセンティックで、オールラウンダーな雰囲気がありますね。プロ叩き上げの割に、非常にしっかりと基本をトレーニングしてきた様が窺えます。
そして今戦で迎えるのは宮古島出身のファイター、狩俣綾汰。
この狩俣は、比嘉大吾、そして安藤にワンパンチKOで勝利した川満と同学年で、高校時代は3人でともに汗を流したトレーニング・メイト。
上下の打ち分けも得意なプレッシャーファイターで、しっかりとパンチを打ち込むタイプのオキナワン・ファイター。
2021年7月に川満が重岡銀次朗(ワタナベ)から初黒星をつけられたのに続き、2022年7月に浅海勝太(ハラダ)に6RTKO負けで初黒星を喫しています。しかしこれは狩俣にとって初となるフライ級戦であり、今戦はおそらくベストウェイトであるライトフライ級なので、本来の力が出せるはず。
これはどちらが格上か、というと、日本ランクを持つ安藤です。ただ、狩俣の評価は高く、ボクモバの勝ち予想は狩俣が優位という予想。しかしこれは、非常に難しい、50-50の対戦だと思えます。
狩俣は非常に強力なボディブローを持ち、パワーもありますが、基本的には戦術としてはただひとつ、プレッシャーをかけて前に出て、強力なパンチを放つ、というもの。
この圧に安藤が飲み込まれてしまうと、決着は早いかもしれませんが、安藤もここまでのキャリアの中で、そのプレスをさばく術を見つけているのもまた事実。そして、安藤はおそらく逃げのアウトボクシングではなく、闘うためのアウトボクシングを徹底し、狩俣が出てくるところに合わせるカウンターも使ってくるでしょうし、浅海がそうしたように、打ち終わりのジャブを忘れないようにすれば、狩俣の追撃を妨げる事ができるでしょう。
比較的引き出しが多いと思われる安藤が、浅海の戦い方を参考にしたボクシングで、これまでの敗戦も糧としたキャリアと技術で上回るのか、それとも狩俣がそのアララガマ魂を見せつけ、それすら飲み込むプレッシャーを与え続けられるのか。
これはどちらも応援したい、どちらを応援するか非常に困る一戦です。
好ファイトとなることを期待しています。
配信・放送
その他のアンダーカードは、4回戦が2試合、6回戦が2試合、8回戦が1試合です。
中でも注目なのは、第4試合で登場する山口臣馬(帝拳)、元世界王者の山口圭司の息子ですね。対戦相手は2020年の全日本新人王平野和憲(KG大和)、新人王獲得後はまだ勝ち星に恵まれていません。その他昨年の東日本新人王、高橋烈(KG大和)も登場します。
このダイナミックグローブは、日テレG+が生中継。
ここ最近、ジータスは生放送をサボっていたので、非常に不安ではありましたが、この興行を生放送しないなら、ジータスにはいっている意味はないとすら思っていました。ちょっと安心。
ということで、日程は以下の通り。
WOWOWは15:00〜なので、終わっている頃かと思いますが。
12/3(土)17:45〜 日テレG+で生放送!
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ボクシング用品専門ショップ、やってます。
11/27まではBLACK FRIDAY SALE!!
是非覗いてみて下さい。
そしてもう一ヶ月を切った、井上尚弥vsポール・バトラーの世界バンタム級4団体統一戦。
同じ時代に生まれたならば、必見である日本人初の4団体統一戦です。
この興行はひかりTV及びdTVで生配信、現在、dTVでは「井上尚弥選手全力応援キャンペーン」を開催中。その一環として、dTVに「入会&継続でdポイント(期間・用途限定)1,000pt還元!キャンペーン」を実施中とのことです。
初回一ヶ月は無料なので、今入れば井上vsバトラーは無料で見れます。その後一ヶ月を継続すれば1,000ptがもらえる、というキャンペーンですね。エントリーも必要だそうなので、ご注意下さい。
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