結局決まらなかった、ウェルター級の4団体統一戦。
この次、この次と言われながらもなかなか決まらない様を見ると、時間こそかかりましたが井上尚弥が4団体統一戦に進めるのはラッキーな方だった、と言えるかもしれません。
現代最高峰のライバル対決、テレンス・クロフォードvsエロール・スペンスJrはおあずけで、WBO王者のクロフォードはアバネシアンと、そしてWBAスーパー・WBC・IBFの3団体統一王者のエロール・スペンスJrはキース・サーマンとそれぞれ防衛戦を行う予定です。
これはこれで興味深いのですが、スペンスvsサーマンは2023年2月の予定(サーマンはWBCの指名挑戦者)、そしてそのあとにもしWBAがレギュラー王者であるエイマンタス・スタニオニスとの団体内統一戦をオーダーしようものなら、目も当てられません。
そもそもウェルター級は、プロスペクトたちが順番待ちの長い行列をなしており、バージル・オルティスJr、ジャロン・エニス(あとコナー・ベンと言いたかった。。。)といった王者候補たちがひしめき合っています。
なるべく早く、クロフォードvsスペンスを組んでしまわなければ、もしかするとこれが「ウェルター級最強決定戦」にならない日がきてしまうかもしれません。
そうなると、ボクシング界の損失。
どうにか来年の中頃には、実現してもらいたいものです。
ということで(?)今回のブログは、トップランクから離れたテレンス・クロフォードが、WBOの防衛戦でデビッド・アバネシアンとの一戦に臨む、BashBoxingプロモーション興行のプレビュー記事です。
12/10(土)アメリカ・ネブラスカ
WBO世界ウェルター級タイトルマッチ
テレンス・クロフォード(アメリカ)38勝(29KO)無敗
vs
デビッド・アバネシアン(ロシア)29勝(17KO)3敗1分
PFP候補の一人であるテレンス・クロフォードは、2022年の初めての試合となります。
前戦は2021年11月、ショーン・ポーター(アメリカ)戦で、ポーターはこの試合で最初で最後のTKO負けを喫し、引退しています。
見事としか言いようの無いボクシングは、当時紛れもなくウェルター級最強だと思ったものです。
↓観戦記
スムーズにスイッチしながら闘う「ハンター」クロフォードは、WOWOWのエキサイトマッチで「パーフェクト王者」と紹介されますが、まさにそのとおり。
ただ、ほんの少しだけ綻びが見えはじめているのも事実で、前戦はポーターがよく頑張りましたし、その前のケル・ブルック(イギリス)戦でも序盤のみですがブルックはジャブの差し合いで負けていませんでしたし、その前のエギディウス・カバラウスカス(リトアニア)戦では幻のダウンを受けています。
これは当然、対戦相手が強敵だということに起因しているわけですが、パーフェクトであっても無敵ではない、という感じです。
さて、対戦相手のデビッド・アバネシアン。
キャリアで3敗していますが、ここのところは6連続KO勝利と絶好調、しかも対戦相手も好戦績のボクサーが多く、6戦のうち3戦は無敗のボクサーが相手です。
前戦は無敗のオスカリ・メッツ(フィンランド)を初回TKO、その前はリアム・テイラー(イギリス)、その前はジョシュ・ケリー(イギリス)をそれぞれ2R、6Rでストップしています。
ガンガンとプレスをかけて左右を振るうサウスポーのプレッシャーファイターで、足の運びは非常にうまく、逃げる相手の行き先を塞ぐようなステップワークが非常に巧い。
ロシアン・ファイターらしくフィジカルパワーは非常に感じ、ケリー戦なんかは明らかにボクシングで上回れながらも結局は倒してしまっていますね。
2018年にエギディウス・カバラウスカスに6RTKOで敗れていますが、これは前半とられたアバネシアンが反撃に出て、これから盛り返していこうという矢先にカバラウスカスのカウンターが先にあたった、という印象のもので、十分にチャンスはあり得たものでした。
そのカバラウスカス戦を経て、非常に回転力が上がったという印象のアバネシアン。
非常に危険なファイターです。
それでもやはり、クロフォード優位は動かないはずです。
アバネシアンが出てくるところにカウンター、というのがおそらくクロフォードの筋書きであろうことから、アバネシアンはカウンターを取られないように手数で攻めていく必要がありそうです。それでも当たるかどうかはわかりませんが。
クロフォードは、ややスロースターターだと感じる部分があるので、アバネシアンにチャンスがあるとすると前半か。前半、カバラウスカス以上のプレッシャーで攻める事ができれば、もしかするとクロフォードにパンチが当たる事もあるかもしれませんし、そこから身体で押していけば、ラッキーでもなんでもダウンを奪う事が可能かもしれません。
中盤以降はクロフォードがアバネシアンのプレスに慣れ、攻撃を学習したのちにはどんどん勝ち目は薄くなっていってしまうと思いますが。
ともあれ、クロフォードがこれまでのどおりのクロフォードなら、死角は殆ど見当たらないのが事実。クロフォードは、ここをしっかりと勝って、スペンスを待つ事になりそうです。
クロフォードの懸念事項と放送・配信
クロフォードにも懸念事項があるとすれば、トップランクとの決別でしょう。
これまでクロフォードと契約し、試合を放映していたトップランク、ESPNと袂をわかったクロフォードは、現在フリーエージェント(なのかな?)。
今回はBashBoxingというプロモーション会社と契約(おそらく単発かと思います)し、「BLK Prime」という配信会社がこの試合を放映する予定です。
この辺のゴタゴタが、クロフォードにとってどれほどの心配事なのかはわかりませんが、いつもと同じオマハのリングですが、心中は同じではないはずです。
クロフォードはかねてから、お金を稼ぐ事に非常に執着しています。
トップランク時代、あまり良いマッチメイクに恵まれなかったクロフォードは、ずっとPPVの売上は不調でした。唯一、興味深いマッチアップとなったショーン・ポーター戦は、ESPNのケーブルテレビ網を使わない(ネット配信のみの)ESPN+のみのPPV。必然、ESPN本体よりも加入者数の少ないESPN+ではPPVは低迷し、当たり前のようにクロフォードも稼げませんでした。
このことが、トップランク離脱の一因になったとは思えますが、今回はクロフォードの思い通りの金額を稼げたのでしょうか。
BoxingSceneでは、Bashプロモーションからクロフォードへのオファーは、1,000万ドル(約14億円)だとのこと。その半分をすでに前金として受け取り、もう半分も試合前に受け取る手はずだ、ということです。
これが本当のことなら、クロフォードはポーター戦以上(ポーター戦は600万ドル)の金額を稼ぐ事になり、PPVの売上如何によってボーナスも入るはずです。なので、クロフォードのモチベーションは低くはないはずです。(先にお金を受け取ったら低くなってしまう可能性もなくはありませんが笑)
それにしたって、このBLK Primeはどこからそのお金を持ってきたのでしょうか。聞けば新規参入、とのことなので不思議がいっぱいです。
このBLK Primeは、全世界に向けて配信可能だという情報なので、日本からもこのPPVを購入することができます。サブスプリクションサービス(3.99$/月)もやっていますが、今回のクロフォードvsアバネシアンはサブスク外のものなので、別途購入が必要です。
費用は、39.99$(5,500円くらい)とのことで、日本人の我々にとっては割高に感じますね。こういうときこそWOWOWやFITE.TV、もしくはU-NEXTの出番なわけですが、現在のところその情報はありません。
BLK PrimeのPPV申し込みはこちらから↓
https://ppv.blkprime.com/pay-per-view
尚、配信時間は日本時間で12/11(日)8:00〜16:00となっています。おそらく長めに見ていると思うので、メイン開始はおそらく13:00とか14:00頃でしょう。
私がこのPPVを購入するかどうか、というと、ちょっと微妙です。
それでなくとも、この日は国内外で興行が多く、DAZNではウォーリントンvsロペス、ESPNでもテオフィモvsマーティン、そして国内試合を含めるとライブ配信だけでもとんでもない数。このクロフォードvsアバネシアンは非常に興味深いですが、ちょっと5,000円以上を払って見る気にはならないかな〜。。。
もし興味があって、海外サイトからPPVを購入する勇気のある方は、上記PPVを買ってみて下さい!
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ボクシング用品専門ショップ、やってます。
是非覗いてみて下さい。
そしてもうあと1週間、井上尚弥vsポール・バトラーの世界バンタム級4団体統一戦。
同じ時代に生まれたならば、必見である日本人初の4団体統一戦です。
この興行はひかりTV及びdTVで生配信、現在、dTVでは「井上尚弥選手全力応援キャンペーン」を開催中。その一環として、dTVに「入会&継続でdポイント(期間・用途限定)1,000pt還元!キャンペーン」を実施中とのことです。
初回一ヶ月は無料なので、今入れば井上vsバトラーは無料で見れます。その後一ヶ月を継続すれば1,000ptがもらえる、というキャンペーンですね。エントリーも必要だそうなので、ご注意下さい。
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