このニュースは、賛否が両論あるのかもしれません。
かねてから交渉がオーダーされていたWBO世界スーパーフラ級タイトルマッチ、井岡一翔(志成)vs中谷潤人(M.T)。この試合は、交渉期限を過ぎても合意に至らず、入札となる見込み、というニュースが10日程前に流れていました。
この入札日程は2/23という日程ではありましたが、それを前にして井岡一翔はWBO王座の返上を発表、すでに交渉をしていたWBA王者、ジョシュア・フランコ(アメリカ)との再戦に向かう方向だということです。
ということで今回のブログは、井岡の進む道、そして中谷潤人の対戦相手について。
井岡一翔(志成)
井岡は、前戦でWBA世界スーパーフライ級王者、ジョシュア・フランコとの王座統一戦にこぎつけました。思えば2019年6月にアストン・パリクテ(フィリピン)を倒し、世界4階級制覇を達成してから3年半、初防衛戦で指名挑戦者であるジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)、2度目の防衛戦でも指名挑戦者の田中恒成(畑中)、3度目の防衛戦でもこれまた指名挑戦者のフランシスコ・ロドリゲスJr(メキシコ)を降すという意味不明な防衛ロード。
ここまで1つも選択防衛戦はなく、タイトルをしっかりと守ってきた井岡にようやく待望の統一戦の話が持ち上がり、2021年の大晦日、当時のIBF王者のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)との統一戦が決定。
しかし、この一戦を前に日本政府は鎖国という愚行にはしり、アンカハスが来日不可となってしまい、井岡は国内から挑戦者を探さなければなりませんでした。
国内では、当時アジア3冠を持つ福永亮次(角海老宝石)が紛うことなき最強チャレンジャーであり、この挑戦者を完封して4度目の防衛。これは選択防衛戦ながらも、鎖国中の日本において、一番強い挑戦者を選んだと言っても過言ではありません。
そして次こそは統一戦、と息巻いた段階で、対抗王者のアンカハスが敗北、統一戦は白紙に。
変わって挑戦者として名前があがったのが、またも指名挑戦者、しかも元4階級制覇王者で、井岡が一度負けているという相手、ドニー・ニエテス(フィリピン)。
この5度目の防衛戦を完勝した井岡のボクシングは、ここで完成をみた、と言って良いと思います。ここまでの5度の防衛戦のうち、指名試合は4度。WBOは井岡に王者でいてほしくないのか、と思われても仕方のない指名試合っぷりです。
それにめげる事なく、王者としての務めを果たし続けた井岡は、2022年の大晦日、ようやくWBA王者のジョシュア・フランコとの王座統一戦にこぎつけます。
個人的にはどっちが勝っても納得できるな、と思った一戦でしたが、これがドロー。フランコの攻勢に、ややポイントが流れたというような判断だったのかもしれません。
↓井岡vsフランコ第一戦
↓これまでの井岡のベストバウトはやっぱり田中戦かな。
さて、ドローという結果を受けてのダイレクトリマッチ、というのは結果的に見れば至極当然とも言える結果でしょう。
ただ、今回の事情としては、井岡は階級最強の呼び声高いファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)との対戦を望んでいた、ということが前情報として必要です。
今のエストラーダが階級最強かどうかは置いておいて、スーパーフライ級において一番のビッグネームであることは間違いのないことです。ロマゴンと2勝1敗という公式記録は、覆る事はありません。
さて、井岡vsフランコを日本まで見に来たエストラーダも、井岡、もしくはこの試合の勝者との対戦を望んでいました。しかし結果はドロー、当初は井岡がたとえタイトルを持っていなくても戦いたい、と言っていましたが、これは日本人向けのリップサービスだった可能性もあります。
井岡としてはエストラーダと戦いたい、しかしWBOタイトルの指名期限が迫っているため、エストラーダと戦うのであれば返上しなければいけません。そうした時、無冠となった井岡とエストラーダは本当に戦ってくれるのか。
このエストラーダ戦が井岡にとって最も重要なファイトだったということは間違いないと思いますが、エストラーダとしては無冠の井岡よりも、2つのタイトルを持って来てくれる井岡の方がより魅力的であったはず。
エストラーダとの交渉があったかどうかはわかりませんが、井岡はこのエストラーダ戦を一旦は置いておいて、より確実性のあるフランコとの再戦を第二希望として交渉していたのでしょう。
前述の通り、ドローからのダイレクトリマッチというのは、決着をつけるという意味で至極当然のことだと思います。ただ、WBOがそれを認めてくれず、やるのならばタイトルを返上しろ、ということだった(推測)ことを除けば。
ということで井岡としては、フランコとの対戦ができるのであれば、タイトルは不要、たとえ井岡がタイトルを持っていなくても、フランコが再戦に応じてくれるということを確認していたのがこの期間だったのでしょう。
中谷潤人としてはただ待たされただけではあったものの、相手が井岡にしろ誰にしろ、タイトル戦ができる権利は当然として、もしかすると井岡vsフランコの再戦をやるからちょっと待ってて、位の話はあったのかもしれません。
ともあれ、結果的には井岡はWBOタイトルを返上、ジョシュア・フランコとのWBA世界スーパーフライ級タイトルマッチに臨む事になりました。
井岡としては、フランコ戦にしろ、中谷戦にしろ、「負ければ終わり」というリスクは一緒。ただ、フランコに勝てばWBAタイトルという新たなタイトルを獲得できること、ドローという判定を覆す事ができること、というメリットがあり、対して中谷戦でいうとただのWBOの防衛戦となってしまい、メリットが非常に少ないとも言えます。
なので、フランコがWBO王座抜きで再戦に応じてくれるのであれば、そちらを選択するというのは至極当然。ここは是非、井岡の判断を尊重したい。
中谷潤人vsアンドリュー・マロニー!!
元WBO世界フライ級王者、中谷潤人は、フライ級タイトルを返上後WBO世界スーパーフライ級1位にランクイン。
そこで指名挑戦権を得たわけですので、相手がどの王者だろうとも近いうちに挑戦できる権利を得ていました。
そしてこのWBO世界スーパーフライ級ランキングには、1位に中谷潤人、2位に元WBA世界スーパーフライ級王者アンドリュー・マロニー(オーストラリア)、そして3位に元世界3階級制覇王者田中恒成(畑中)と粒ぞろい。
WBO王座が空位となって決定戦となる場合、ランキング上位から決定戦に出場というのが通例です。その中で受ける受けないというのはあると思いますが、もし万が一、アンドリュー・マロニーがこの試合を受けないなんてことがあれば、中谷潤人vs田中恒成がオーダーされていたかもしれないと思うといろんな意味でゾッとします。
しかし、そこはやはり強敵を恐れないマロニー・ブラザーズ。
アンドリュー・マロニーは、非常に評価の高い元王者中谷潤人とのWBO世界スーパーフライ級王座決定戦に臨むようです。
これは海外開催の線が強い、とのこと。こうなると、おそらく日程的にかぶってくるのがジェイソン・マロニーvsビンセント・アストロラビオのWBO世界バンタム級王座決定戦(たぶん)であり、マロニー・ブラザーズが出場する興行で戦う、ということが予想されます。
メインがジェイソンvsアストロラビオで、セミが中谷vsアンドリュー、かな。
開催地はアメリカだったらいいな、と思いますが、もしかするとオーストラリア開催かもしれません。そうなると、もしかするとブーイングを浴びる中谷を見れるのかもしれません。
アメリカでもオーストラリアでも、あの飄々とした出で立ちで、難なくタイトルを獲ってきそうな感じですね。アンドリュー・マロニーはバランスの取れた好ボクサーではありますが、相手が中谷潤人となるとなかなか厳しい。
ちなみにマロニーブラザーズはトップランクがプロモートしており、中谷をプロモートするのは帝拳プロモーション、ここは提携関係にあるので話はまとまりやすいはず。おそらく近日中に何かしらの発表がありそうです。
尚、この勝者への指名挑戦権を手にするのは、現在3位でこの試合のあと、繰り上げで1位になるかもしれない田中恒成、だと思うと、これもまたゾクゾクしますね。
ちなみにジェイソン・マロニーはこんな状況。
【宣伝】
ボクシング用品専門ショップ、やってます。
是非覗いてみて下さい。
2/18(土)、2/19(日)の2日間だけ、NIKEのHyperKO(リミテッドエディション)をSALE中です!!