IBF世界ライトヘビー級挑戦者決定戦、ジャン・パスカル(カナダ)vsミカエル・エイフェルト(ドイツ)。
この一戦は、カナダのケベックで3/16に行われた一戦ですが、ここでパスカルがユナニマスの判定で敗退。不惑の年を迎えたパスカルは、とうとう25歳の若武者にその座を奪われてしまいました。
これまでのパスカルの敗戦は、カール・フロッチ(イギリス)、バーナード・ホプキンス(アメリカ)、セルゲイ・コバレフ(ロシア)×2、エレイデル・アルバレス(コロンビア)、ドミトリー・ビボル(ロシア)と錚々たるメンバー。
そこにこのミカエル・エイフェルトというプロスペクトが加わりました。
ここ数年の間でも、マーカス・ブラウン(アメリカ)、メン・ファンロン(中国)といった無敗のプロスペクトや、バドゥ・ジャック(スウェーデン)といった実力派のベテランを退けていたパスカル。この敗戦はかなり痛いでしょうね。
ともあれ、この新鋭エイフェルトは殊勲の勝利ともいえ、アルツール・ベテルビエフ(ロシア)への挑戦権を獲得。パスカルを破っての挑戦権獲得は素晴らしい手土産で、少なからず期待を抱かせるものでもあります。ベテルビエフ戦が楽しみです。
と、ウィークデイにカナダでそんな試合があったことはスルーしてしまったわけですが、今回のブログは週末のボクシング興行。
3/19(日)拳の嵐
日本ユース・フェザー級タイトルマッチ
英洸貴(カシミ)10勝(3KO)2敗4分
vs
渡邊海(ライオンズ)9勝(5KO)無敗1分
国内外でいくつかの興行があるこの週末、最も楽しみな試合といえばダントツでこの英vs渡邊です。
「好試合製造機」である日本ユースタイトルマッチで、この二人の激突というのは好試合を期待しない方が無理、というものです。
非常にスタイリッシュなボクシングをするジャバーでありストレートパンチャー、英洸貴。ユーリ阿久井政悟(倉敷守安)、福永宇宙(黒潮)もそうですが、この英も「地方ジム期待の星」と言えるボクサー。
前戦ではスーパーバンタム級の日本上位ランカー、デカナルド闘凛生(六島)と戦いスプリットドローでしたが、その前には高橋利之(KG大和)を判定で退けてこのユースタイトルを防衛しています。
その高橋戦の前が出世試合ともいえる亀田京之介(ハラダ)戦であり、ここは予想は不利の中、熱くなる亀田に対してクレバネスが光る判定勝利。その前には2連敗を喫していた英でしたが、ここで再起を飾るとともに復活を印象づけましたね。
連敗とはいえこんど日本タイトルに挑む下町俊貴(グリーンツダ)、元トップアマの福井勝也(帝拳)でしたし、この敗北を恐れない強気のマッチメイクはユースタイトルを獲ろうとも現在も健在ということです。
さて、そんなハードマッチメイクが売りの英の次の相手が、渡邊海。
2021年にプロデビューした渡邊は、デビュー戦からものすごい数のチケットをさばくという有名なボクサーで、2021年の東日本新人王トーナメントを圧倒的な力で制し、全日本新人王決定戦では岩下千紘(駿河男児)とドロー。優勢点を得た渡邊は辛くも全日本新人王に輝きました。
ただ、圧巻なのはこのあとで、まずは2022年4月に石田凌太(角海老宝石)を秒殺KO。これはストップも早かった、との声もありますが、続く8月の試合ではタイ人を4RでTKO。
ここまではまだ良いのですが、その次がなんとあのタフガイ、「漢」中井龍(角海老宝石)を2RTKO。これは本当に腰を抜かすほどの出来事。
この試合の映像は見れていませんが、とにかくとんでもないパンチャーに成長したことがわかる渡邊海。
現在のランクは、日本ユース・フェザー級王者である英が15位、渡邊が10位。
王者として迎え撃つ英の方が、日本ランキングは下にあります。
そしてこの両者の実力は、当然のことながらランキングや戦績で測れるものではなく、ともにタイトル挑戦圏内の実力を持っていると言えるでしょう。
ここ最近の勝ち方、特にあの中井龍を2Rで倒した、という勝ち方は渡邊の実力を大きく見せるものです。ともに抜群のカウンターセンスを誇る者同士、一瞬のミスが命取りになる素晴らしい中間距離での戦いが見られると期待しています。
個人的には、渡邊の方がパワーが上で、スピードは互角とみます。
ただ、英にはこれまでの厳しいマッチメイクで培ったキャリアにおいて渡邊を凌ぐ、つまりは予想不可能、50-50の試合に思います。
渡邊のふるさとは、東京都立川市。
新幹線に乗って、群馬、長野、新潟に入って富山に入ってからでないと石川県には来れない、かなりの遠回り。それでも今回も、大応援団を連れて石川入りをするのでしょう。
ホームではアンダードッグを呼んで良いところを見せる、そんなノリが全くないガチすぎるマッチメークを受け入れる英洸貴の侠気。
ふたりの若武者のユースタイトル戦は、未来の日本タイトルマッチか、それとももっと上のタイトルマッチか。
大きなリスクをとって闘う二人のボクサー、この試合が双方にとって成長の糧となる試合となり、好試合となることをひたすらに望みます。
放送・配信
実はもっと早くに書きたかったこのプレビュー記事を粘ったのには、理由があります。
この記事で皆さんにこの試合がライブ配信することをお伝えしたかったからです。
本日(3/17)ようやく発見したのが、北陸朝日放送公式チャンネルのYoutubeでのライブ配信情報です!ボクモバに載っていました!(Youtubeチャンネルには載っていない。。。)
↓ライブ配信はこちらから、日時は3/19(日)14:00配信開始だそうで、全試合生配信のようですね。
3/18(日本時間3/19)イギリス・ニューカッスル
サイラス・パティンソン(イギリス)vsクリス・ジェンキンス(イギリス)
5勝(3KO)無敗のサウスポー、パティンソンがベテラン、ジェンキンスと空位のWBAインターナショナル・ウェルター級タイトルを争います。
めっきりアンダードッグと化してしまったジェンキンスはここ2連敗、3連敗目がかかりますね。
この試合は決して注目の試合ではないかもしれませんが、一応アンダーカードには東京五輪銀メダリスト、パット・マコーマック(イギリス)も登場です。ロニエル・イグレシアス(キューバ)と東京五輪決勝で戦い敗戦を喫したボクサーですが、現在プロで3勝(2KO)無敗、そのうちに世界戦線に上がってくるはずのボクサーです。
あと気になるのは、モハメド・アリ(イギリス)というボクサーのデビュー戦があるらしいです。良いのか、この名前。ちなみにバンタム級。
ということで、イギリス興行はさほど注目には値しません。が、DAZNで放映ということで早起きできる方は見てみてください。
3/18(日本時間3/19)アメリカ・カリフォルニア
ヒルベルト・ラミレス(メキシコ)44勝(30KO)1敗
vs
ガブリエル・ロサド(アメリカ)26勝(15KO)16敗1分
前戦、ドミトリー・ビボル(アメリカ)の持つWBAスーパー世界ライトヘビー級タイトルに挑戦、初黒星を喫したヒルベルト「スルド」ラミレス。
ビボルを相手にするとなんだかみんな平凡なボクサーになってしまう(というか見えてしまう)のは不思議なもので、明らかに体躯でまさるラミレスも、ビボルには何もできませんでした。
もっとパワーゴリ押しでいければ何かが違ったかもしれませんが、カネロでもああなったことを考えると、ビボルには相手ボクサーを平凡なボクサーにしてしまうなにかがあるのかもしれません。
このラミレスに関しては、その前の数戦にわたり、「厳しい試合を勝ち抜いてきたわけではない」ことが原因にも感じられるな、と思ったわけですが、復帰戦でも残念ながらその流れは変わらず。
決してロサドが悪いボクサーだというわけではないのですが、そもそもロサドは3連敗中であり、タフさはあるもののやはり完全日からは落ちています。
ビッグアップセットとなったベクテミル・メリクジエフ(ウズベキスタン)戦なんかも、途中までは完全に負けそうで、(こういうのがあるからボクシングは面白いのですが)ラッキーパンチに近いといえば近いもの。
サイズのあるラミレス相手に、ロサドがどのように闘うかというと、とにかく前に出てぶん回す以外にありません。またまた危険な戦い方をするであろうロサド、その圧にラミレスが押されてくれれば面白いですが、ライトヘビー級初戦となるロサドにその怖さがあるかどうか。
とにかくラミレスにとっては安全な試合で、またこういうキャリアを見せられるのか、と思うと少々うんざりします。
ちなみにセミファイナルはジョセフ「ジョジョ」ディアス(アメリカ)vsメルシト・ゲスタ(フィリピン)。
ゲスタといえば我らがホルヘ・リナレス(帝拳)とも戦ったボクサーですね。強豪との対戦はリナレスぐらいのもので、しっかりと負けているので実力のほどはよくわかりません。
なのでこのジョジョも比較的安全なマッチメイクと言えるでしょう。
まあ、世界中で英洸貴vs渡邊海を見習ってほしい、という話です。
放送・配信
そんなイギリス興行の配信も、アメリカ興行の配信もDAZN。
よほどのボクシング狂であれば、朝早くからイギリス興行、その後アメリカ興行に移って北陸朝日放送公式YoutubeチャンネルへGo、となるわけです。
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