タンクvsガルシアの日、イギリスでも注目ファイト。
シャフカッツ・ラヒモフvsジョー・コルディナの一戦は、当初王者コルディナに指名挑戦者・ラヒモフが挑むと計画されるも、コルディナの怪我により中止。しかもコルディナはその怪我によりIBF王座を剥奪されるという憂き目にあい、その後戴冠したラヒモフと立場を変えての戦いに臨むこととなりました。
決戦の地は、イギリス・ウェールズ。コルディナの地元である、カーディフです。
そんなこともあってかオッズはコルディナ優位、しかし個人的な見解としてはコルディナが優位となる理由を見つけられずにいます。
スペシャルなフィジカルを持つラヒモフか、はたまた総合力のコルディナか。
注目の一戦です。
↓プレビュー記事
4/22(日本時間4/23)イギリス・ウェールズ
IBF世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
シャフカッツ・ラヒモフ(タジキスタン)17勝(14KO)無敗1分
vs
ジョー・コルディナ(イギリス)15勝(9KO)無敗
無敗のボクサー同士の世界タイトルマッチ。なんと甘美な響きなのでしょうか。
しかも地元であるウェールズ、カーディフに王者を迎え入れたジョー・コルディナ。エディ・ハーンの思惑通り、ここをクリアして王座へ返り咲けるか。
そして火中へ乗り込む王者ラヒモフには、思った程のブーイングはありません。
注目ファイトがゴング。
初回、低いところから潜り込むようにプレスをかけるのはサウスポー、ラヒモフ。頭を振ってグイグイとプレス。これをコルディナはジャブ、サイドへのピボットターン。
ラヒモフの左ボディストレートは良いが、ここはコルディナのコンビネーションが素晴らしいラウンド。スピード差がありそうですが、前戦ではラヒモフはよりスピードのあるバレットに勝利しているので、特に後半は気が抜けません。
このラウンド後半はエキサイティングな場面もあり、非常に素晴らしいファイトになりそうな予感。
2R、プレスをかけるラヒモフ。コルディナは迎撃ですが、ここで退かず、ガードで耐えて打ち返します。
しかしこのぶつかるくらいの距離ではやはりラヒモフの方が回転力、パワーに優れますね。ただ、一歩ほど離れた場所での固いガードと近い距離でのコンビネーション、というのはきっとラヒモフ対策であり、素晴らしいトレーニングと対策ができています。
と、後半に入るところでコルディナの長いワンツーから左フックがヒット、ラヒモフがダウン!!綺麗に顎に入った左フック、またも早々に試合を決めてしまうのか、コルディナ!!
ラヒモフは明らかにダメージが残る中でも打ち返し、頭をつけての接近戦の場面では逆に押し返します!!
3R、ビッグラウンドの後も冷静なコルディナ、そして大ピンチのラウンドの後でも退かないラヒモフ!
先手を取るラヒモフはボディを交えてのコンビネーション。このコンビネーションをしっかりと打ってみたり、つなぎを早めて打ってみたりと様々なバリエーション。
対してコルディナは下がりながらのカウンター、やや距離が空いたところでのコンビネーションをラヒモフにヒット。分が悪い距離ではしっかりとブロッキングに時間を費やし、このブロッキングが思った以上に固い。
4R、ラヒモフがしつこいプレス。コルディナは非常に見栄えの良いカウンターを取ります。これはポイント的には印象勝負、とも言え、前進して近い距離でパンチを振るうラヒモフに対して、ある程度距離が空いたところでのカンターという見栄えの良いパンチをヒットするコルディナ。しかもこのコルディナは声援付き、と考えると、配信でみている人にとっては少しコルディナにポイントが流れやすそう。
5Rも旺盛な手数と衰えない闘志で攻め込むラヒモフ!コルディナもその闘志をしっかりと受け止めているところは素晴らしいですね。
比較的コルディナが優位に試合を進めているか、と思った後半、今度はラヒオフの左ショートカウンターによりコルディナがぐらり!!ここで一気に攻め込むラヒモフ!!明らかなダメージを追っているコルディナですが、なんとかダウンを回避、ディフェンスに徹しながら回復すると反撃してラウンドが終了!!ジョー・コルディナ、なんというサバイバル能力!!
6R、ここは両者慎重な立ち上がり。それでもやはり、先に仕掛けるのはラヒモフ。
ラヒモフが行ききらないと、コルディナのカウンターが冴えます。前半、ラヒモフの距離の詰め方が中途半端だとコルディナのカウンターが機能、中盤にラヒモフが思い切って距離を詰めると、コルディナの手数は半減、ガードの時間。
それでも後半、コルディナはラヒモフの猛攻の一瞬のスキをついてカウンターの左フックをヒット、ラヒモフをぐらつかせます!しかしラヒモフもそれで弱気になることも下がることもなく、結局プレスをかけてラウンドを終えます。
7R、ラヒモフは少し疲労もダメージも溜まってきたか、ちょっとプレスが弱まっているイメージ。こうなると中間距離でコルディナのカウンターが活きる。
ジョー・コルディナというボクサーを見誤っていましたね。この流れの中でカウンターを取れる技術は本当に素晴らしく、まさに「ウェールズの魔術師」。オーセンティックな、総合力の高いボクサーという認識でおりましたが、これは極上のカウンターパンチャーです。
8R、強く、大きく踏み込むとカウンターを取られてしまうラヒモフ。ジリジリと間合いを詰め、ロープに詰めようとします。ときにロープを背負うコルディナですが、このコルディナはサイドへのピボットターンが非常にスピーディで、またラヒモフもカウンターを警戒して強くプレスをかけられないため、なかなか捕まえる事ができませんね。
9R、ここまでしっかりと優勢をアピールしているように思えるコルディナ、両者の顔面を見てもダメージには大きな差がありそうです。
コルディナはIQも高く、コルディナがガードを固めて後退している時にはラヒモフはきっと「誘われている」感じがするのではないでしょうか。何かを狙っている(ように見える)コルディナは、まさに魔術師で、この時にコルディナは休み、ラヒモフは休めません。
このラウンドも印象的なカウンターを当てたのはコルディナ。ラヒモフの勝ち目はどんどん薄くなっているイメージ。
10R、さて、後がないラヒモフはチャージ!という事だと思うのですが、DAZNの解説トニー・べリューの採点はここまででドロー。
とにかくエネルギッシュに前に出てくるラヒモフ、コルディナはここでは退かず、ガードでラヒモフの攻撃を耐えたあと、リターン。これは非常に的確ではありますが、このラウンドはラヒモフの勢いが上回るか、というラウンドです。
11R、ここに来ても非常にエネルギッシュなシャフカッツ・ラヒモフ。ここまでのパンチを出し、その分カウンターを受けてのダメージもあり、という中でも全く衰えません。これによりこの後半、ラヒモフにすり潰されてしまったボクサーは多い。
しかしコルディナはそうではなく、このチャンピオンシップラウンドにおいてもそのカウンターにはキレがあり、そのサイドステップは速い。
ラヒモフのプレスですらこのウェールズの魔術師を削れなかった、ということなのでしょう。ラヒモフにとっては本当に魔法にかかったかのように、攻撃はなかなか当たらず、いつの間にかパンチをもらう、という展開。
ラストラウンド、当然ガツガツといくラヒモフ。コルディナとしても当然まだ気を抜ける展開ではないですし、ここにきてラヒモフのプレスは更に強くなっているとも感じられます。
前半、ガーッとせめてくるラヒモフに対してこの時間帯はコルディナは我慢。後半に入って少し疲れた見えたラヒモフに速い右で攻め込み、カウンター。
最後までそれぞれの持ち味を活かしたボクシング、素晴らしい12Rが終了です。
まあ、本当に物理攻撃で攻める「戦士」ラヒモフと、飛び道具的にカウンターを決める「魔法使い」コルディナというふたりの素晴らしさが大いにでたファイトだったと思います。
判定は、115-112、114-113で2者がコルディナ、116-111で1者はラヒモフ。2-1の判定で、勝者はジョー・コルディナ!!!
なんと、そんなに接戦だったとは思いもしませんでした。
確かにコルディナが押される場面も目立ちましたが、どちらかというとやはりコルディナの見栄えの良いカウンターが効果的だったようにも思います。
ラウンドごと、前半元気なラヒモフにポイントを振っていくとそうもなり得るのか。
ともあれ、個人的にはコルディナの完勝、とまではいかないまでも勝利は揺るがないような内容で、戦士vs魔法使いは魔法使いの勝利。思いの他フィジカルが強く、ラヒモフのパワフルな攻撃にもあまり身体の軸をぶらされなかったコルディナ、そこから的確でスピードのあるカウンターショットはまるで魔法のようでした。
顔面のダメージを見ると勝者と敗者は明らかに思います。
尾川戦ではそのベールは謎に包まれたものでしたが、今戦で強豪・ラヒモフを退けたとなると本物の中の本物。下がりながらのカウンターも巧いし、自ら攻める時は高速のコンビネーションもありますから、やはり総合力も高いボクサーですね。
次戦はアンダーカードで勝利したゼルファ・バレットか、それとも別のボクサーか。
非常に楽しみですね!
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