ゴールデンウィークといえば、楽しみはいつも「シンコ・デ・マヨ」。
↓シンコ・デ・マヨとは
5/5、メキシコの祝日にあたるこの日は、大スター、サウル「カネロ」アルバレスが登場する日だと決まっています。カネロはこの他に9月、メキシコの独立記念日に登場することがほとんどで、こういう出場予定がおおよそ定まっているボクサーたちは調整とかもしやすいのだろう、と思います。井岡一翔しかり。
ともあれ、2023年のシンコ・デ・マヨ興行の対戦相手は、ジョン・ライダー。ビボルやゴロフキンといったボクサーよりはやや格下とも思えるボクサーではありますが、「魔法が解けたカネロ」vs「よもや今こそが全盛期のライダー」と考えるとなかなか面白いファイト。
ということで今回のブログは、カネロvsライダーをメインに据えた、メキシコで行われるシンコ・デ・マヨ興行について。
5/6(日本時間5/7)メキシコ
世界ミドル級4団体統一タイトルマッチ
サウル「カネロ」アルバレス(メキシコ)58勝(39KO)2敗2分
vs
ジョン・ライダー(イギリス)32勝(18KO)5敗
決戦の場所は、カネロの地元であるメキシコ・グアダラハラ。アメリカを主戦場に置いているカネロが、メキシコでの凱旋試合に望むのは10年以上ぶりのことです。
アメリカですらアレなのに、メキシコでカネロに挑むというジョン・ライダーは、ものすごい超アウェイ感を味わうことになりそうです。しかも、開催場所がアクロン・スタジアムというサッカースタジアムらしく、50,000人近い収容人数だそう。50,000人から浴びる大ブーイング。。。がんばれ、ライダー。
スーパーミドル級の4団体統一王者に君臨するカネロは、前戦でゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)をユナニマス判定で撃破。おそらくGGGとのトリロジーの中で、最も明確に勝利した一戦だったわけでしたが、意外にもポイント差はありませんでした。前々戦でドミトリー・ビボル(ロシア)に負けた事で、必要以上の忖度をしなくてよくなったのかもしれませんね。
このカネロ判定なるものがあってもなくても、現在スーパーミドル級最強は実績的にみて間違いなくカネロ。べナビデスとやってない、との批判があっても、これはやるまで分からない試合であり、べナビデスがカネロとやって絶対に勝てるとは誰も言い切れないでしょう。
何せカネロは、たった11ヶ月で正々堂々とスーパーミドル級のタイトルをすべて集めてしまったのです。
さて、そんなスーパーミドル級最強のカネロとの戦いを見たい!と思う相手は、現在のところデビッド・べナビデス(アメリカ)とデビッド・モレル(キューバ)というふたりのデビッドくらいのものでしょうか。え?デ○○○○○・○○○○ーデ?
さて、この試合、ジョン・ライダーが挑戦者に上がった事で、批判は多いのかもしれません。
しかし、ライダーはWBOの暫定王者であり、前々戦では「ミラクルマン」ダニエル・ジェイコブス(アメリカ)を破っているのだから、特に批判は必要がないように思います。
2019年のカラム・スミス(イギリス)挑戦の時も非常に勇敢に戦ったし、このスーパーミドル級において群を抜いて小さな身体でグイグイと攻めていくその姿勢は、なかなか痛快なものです。
ちなみにカネロは身長173cm、ライダーは175cm、ゴリゴリマッチョ対決です。
ただし、おそらくカネロが不得意なのはテクニシャンタイプで、戦いづらそうなのはサウスポー。カネロの苦手は、サウスポーのテクニシャン、と言って良い。サウスポーではあるものの、距離を詰めて右も左もなくなったところで戦うライダーは、そのサウスポーという利点をあまり活かせそうにありません。
このライダーがカネロから勝利をもぎ取るには、カネロに打ち勝つしか道がないように思え、これは実際かなりハードルが高いものです。
ただ、カネロにも不安事項がないわけではなく、これがカネロの10数年ぶりの「凱旋試合」だということです。
こういう場合、往々にしてパフォーマンスが良い、ということは少ない。
更には、ゴロフキン戦で左手首を痛めての復帰戦、実際のところ完治しているのかどうかはわかりません。
と、まあ、カネロの不安事項を並べ立てたところで、さすがにそれで勝敗がひっくり返るほどとは思えません。それでも尚、超大ブーイングの中で戦う事になるであろうジョン・ライダーに声援を贈りつつ、カネロのパフォーマンスの復活にも期待を寄せたいものです。
WBC世界フライ級タイトルマッチ
フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)19勝(14KO)2敗
vs
ロナル・バティスタ(パナマ)15勝(9KO)2敗
数年前、非常に荒々しいボクシングで世界トップ戦線に現れ、またたく間に王座をもぎ取ったフリオ・セサール・マルティネス。軽量級らしからぬダイナミックなボクシングは、その後を期待させるに十分なものではありましたが、ここ最近はややおとなしくなっており、その魅力は半減。
加えて、WBCにしっかりと守られるスタンスや、メキシカンビーフやウェイトオーバー、マックウィリアムス・アローヨとは結局やらんのかーいという状態で、あれよあれよのうちにその評判は地に落ちつつあります。
対戦相手のロナル・バティスタなるボクサーのことはよく知りませんが、ここはバティスタを応援です。パナマってところに魅力を感じますね。
ガブリエル・バレンズエラ(メキシコ)26勝(16KO)3敗1分
vs
スティーブ・スパーク(オーストラリア)16勝(14KO)2敗
ということで、そんな冴えないセミファイナルはさておき、こちらの試合こそが今回のメインイベント。BoxRecでこういう順番になっているのでそのまま表記していますが、この試合はスパークの保持するWBAインターコンチネンタル・スーパーライト級のタイトルマッチです。
そう、我らがスティーブ・スパークがメキシコに登場です。
↓スティーブ・スパークって誰?と思った方はこちら
スパークは前戦、無敗のプロスペクトであるモンタナ・ラブ(アメリカ)を得意のプレッシャーファイトで破り、急浮上。その前にも世界挑戦経験のあるアピヌン・コーンソーン(タイ)を破っており、非常に勢いのあるボクサーですね。
とにかく層の厚いスーパーライト級にあって、世界ランク一桁に入るか入らないか、という所まで来ており、今年は無理でも来年くらいには世界タイトルのチャンスを掴めそうなボクサー。
そのファイトは闘志の塊であり、きっとメキシカンにもウケるマチズモを持っていると思われます。
対戦相手はメキシカンだから、最初はブーイングでリングインすることになるでしょう。
しかし、試合が終われば、大きな拍手と賛辞がスパークに降りかかる事を楽しみにしています。名前が良いですよね、スパーク。
オレクサンドル・ゴズディク(ウクライナ)vsリチャード・ボロトニクス(ラトビア)
そしてもう一つ、興味深い戦いが。
ゴズディクは2018年、WBC世界ライトヘビー級暫定王者となったボクサーで、その後アドニス・スティーブンソン(カナダ)に引導を渡します。2019年にはアルツール・ベテルビエフ(ロシア)との王座統一戦に敗れ、一時引退。この試合は本当にものすごい試合でした(語彙力)。
寂しいほどの潔さでグローブを壁に吊るしたゴズディクでしたが、なんと2023年2月に復帰。前戦は6回戦のリングに登場、負け越しの相手に判定勝利で復帰戦を飾っています。
36歳、この間のブランクは非常に痛いところでしょうし、かなり錆びついていると思って間違いはありません。
相手のボロトニクスは、6敗を喫してはいるものの、その多くはキャリア初期のものであり、ここ数戦ではわずかにジョシュア・ブアツィ(イギリス)に敗戦をしたのみ。
果たしてゴズディクは戦える状態にあるのか。休息を経て、強くなっている可能性だってあります。
これは非常に興味深いですね。
配信情報
さて、このシンコ・デ・マヨ興行は、DAZNで生配信。
5月末の予定とかはでているのに、なかなかこの興行の情報が出てこなくて焦りましたが、結局日本ではDAZN Globalでちゃんと見れるようです。
アメリカやイギリスではDAZN PPV、別途課金しないと見れないわけですが、こういうところだけはボクシング人気が低い日本に感謝ですね。
放送開始は日本時間の5/7(日)AM8:00。DAZNによるとメインイベントは12:00以降のゴングとあります。
ここで月額980円のDAZN Globalに加入しておけば、5/21(日)にはテイラーvsキャメロンの世界女子スーパーライト級4団体統一タイトルマッチ、そして何より5/28(日)のマウリシオ・ララvsリー・ウッドまでがその範囲内で見られるので、非常にお値打ち感が強い。
DAZN Standardならカネロ戦を諦めた人もいたかもしれませんが、980円ならきっといけるでしょう。
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