フィリピンではジョンリエル・カシメロvsフィリップ・ンギーチュバをメインに据えたTBプロモーション興行、そしてアメリカではトップランク興行とShowtime興行と意外と粒ぞろいの週末。
日本で放映されるのはカシメロvsンギーチュバの興行のみとなっていますが、ESPNもShowtimeもなかなか興味深いラインナップが揃っています。
↓カシメロvsンギーチュバのプレビュー
ということで今回のブログは、5/13(日本時間5/14)に行われる、WBO世界ミドル級タイトルマッチのプレビューです。
5/13(日本時間5/14)アメリカ・カリフォルニア
WBO世界ミドル級タイトルマッチ
ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)13勝(8KO)無敗
vs
スティーブン・バトラー(カナダ)32勝(26KO)3敗1分
GGGの後継者、ミドル級統一を目指すジャニベック・アリムハヌリ。非常にパワフルなワンツーを持つボクサーで、その攻撃力には巧さも感じます。
2021年の2試合でロブ・ブラント(アメリカ)、アッサン・エンダム(フランス)といった村田諒太と戦った元世界王者に対してともに8Rで試合を決め、ダニー・ディナム(イギリス)とのWBO世界ミドル級暫定王座決定戦に臨んだのが20222年5月のこと。これを2RKOという圧巻の強さで暫定王者となったアリムハヌリは、デメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)の転級にともない空位となったWBO世界ミドル級の正規王座の座についています。
その正規王座の初防衛戦はデンゼル・ベントレイ(イギリス)。圧倒的優位の中で、苦戦とはいえないもののフルラウンドを戦い、ほんの少し評価を下げたイメージ。
ですがあれはベントレイが頑張った印象ですね。
↓観戦記
自らを称して「カザフ・スタイル」。これはアマチュアボクシングで培ったテクニックと、中央アジア諸国に代表される身体の強さ、そして祖国外のリングでウケるようにファイトするアグレッシブネス、これらの融合だと思っています。
フィジカル、タフネス、パワーの権化だった闘神・GGGは自らをメキシカンスタイルと呼んでいましたが、カザフボクサーの道を切り開いたと言えるゴロフキンへのリスペクトもあろうかと思います。
本来であれば、ここでアリムハヌリは指名挑戦者であるリアム・スミス(イギリス)との戦いでした。しかし、スミスはクリス・ユーバンクJr(イギリス)との再戦条項があり、それを受けなければならず、持ち越し。やる意味があるのか、みたいな再戦ではありますが、これはビジネスの話で致し方ないようです。これがボクシングの嫌なところ。
ということでアリムハヌリのオファーを受けたのが侠気あふれるスティーブン・バトラー。
スティーブン・バトラーには頑張ってもらいたいですが、如何せん相手が悪い。オッズはアリムハヌリが-2500、バトラーが+1000とかなりの差が開いています。(アリムハヌリ勝利に賭けて100ドル儲けるには、2500ドルもの大金を注ぎ込まなければなりません。)
スティーブン・バトラーは大金星をあげられるか。ここに勝てば、アップセット・オブ・ザ・イヤーです。しかし、ボクシングには絶対なんてありません。バトラーの奮戦に期待したい。
WBO世界バンタム級王座決定戦
ジェイソン・マロニー(オーストラリア)25勝(19KO)2敗
vs
ビンセント・アストロラビオ(フィリピン)18勝(13KO)3敗
メインがそのような試合なので、最も注目の試合はこのセミファイナル。井上尚弥が転級してあいた席を、その井上に敗北を喫したジェイソン・マロニーが後釜に座ろうというのだから非常に興味深い。
こちらの試合のことは過去に書いているので割愛しますが、オッズはかなり競っています。アストロラビオもギジェルモ・リゴンドー(キューバ)からダウンを奪って判定勝利を挙げたボクサーであり、これは限りなく50-50に近い垂涎のマッチアップ。
非常に楽しみですね。
↓プレビュー記事
その他のアンダーカード
ガブリエル・フローレスJr(アメリカ)21勝(7KO)2敗
vs
デリック・マーレイ(アメリカ)17勝(6KO)8敗
まだプロスペクトと言って良いのかどうかわからない、ガブリエル・フローレスJr。2017年にキャリアをスタートさせ、順調に育ってきたところで現IBF世界フェザー級王者、ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)に判定負け、デビューからの連勝を20でストップされてしまいました。
生き残りをかけて同じくプロスペクトのアブラハム・モントヤ(メキシコ)に勝利して再浮上かと思えば、最新の試合で無敗のジョバンニ・カブレラ(アメリカ)に判定負けし、今回はリスタートの一戦となります。
やや慎重なマッチメイクか、と思う相手で、マーレイは現在2連敗中。ここ6戦で4敗を喫している、アンダードッグまっしぐらのボクサーです。
ちょうど良いのか何なのか、すでに7月の試合も決まっているという謎のボクサーですね。
その他にも、22歳のウェルター級プロスペクト、ブライアン・ノーマンJr(アメリカ)が出場。23戦全勝19KOのアメリカ人ウェルターは注目ですね。
基本的にはアメリカの無敗ホープをアンダーカードに置いた内容になっており、他にも8戦全勝2KOのミドル級サウスポー、ハビエル・マルティネス(アメリカ)、スーパーフェザー級の21歳、9戦全勝4KOのヘイブン・ブラディJr(アメリカ)、フェルナンド・バルガスの次男坊であるアマド・バルガス(アメリカ)等無敗のホープが次々と登場です。
放送・配信
こちらの興行での日本での配信は非常に残念ながらありません。FITE.TVでの配信に一縷の望みを託してみましたが、このタイミングになってもでてこないということは配信無しと思われます。
アメリカではESPNが生放送、ESPN+で生配信となっていますが、果たしてダブルヘッダーの両方のタイトル戦にアメリカ人が出ないボクシング興行で、いったいどれくらいのファンが見るのかは不安が残りますね。私が心配することではないですが。
私はESPNで視聴しますので、観戦記をお楽しみに。
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