興味深い試合がたくさんあった週末でしたが、観戦記を書ける試合は限られます。
見る時にPCも開かなければいけませんので、環境が必要です。
今回の海外戦は、先日観戦記をアップしたマロニーvsアストロラビオと、今回書いたメインイベントの2試合です。
ということで今回のブログは、カリフォルニアで行われたアリムハヌリvsバトラー、そしてロメロvsバロッソ、ESPN、Showtimeで放映された2つの興行のメインイベントの観戦記。
5/13(日本時間5/14)アメリカ・カリフォルニア
WBO世界ミドル級タイトルマッチ
ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)13勝(8KO)無敗
vs
スティーブン・バトラー(カナダ)32勝(26KO)3敗1分
横浜光ジム、石井一太郎会長とジャニベック・アリムハヌリが似ている、みたいなツイートを見てから、もはやアリムハヌリ=石井会長と脳内変換されてしまう今日このごろ。
ともあれ、初回のゴング。
ともにリング中央、バトラーが身体を小刻みに速く動かし、サークリング。最初このリズムに付き合ってしまったアリムハヌリですが、中盤頃には自らのリズムを取り戻します。
バトラーは動きは良いですがパンチをほとんど出せず。
2R、アリムハヌリが踏み込んでの攻撃を見せるようになります。バトラーは踏み込んでくるアリムハヌリに対して右ストレートでストップ。
1分が過ぎた頃、バトラーがジャブでアリムハヌリに攻め込みます。
ここでアリムハヌリのカウンターの左アッパーがヒット、大きくぐらつくバトラー!
前のめりに倒れるバトラー、アリムハヌリの膝に抱きつきますが、勿論これはダウン。
立ち上がったバトラーに対して、あとはもうただの死刑の執行。
足がフラフラのバトラー、レフェリーはもうストップをしなければタイミングにもかかわらず、2度目のダウンのあともカウントを取り続けます。
もう確実にやめさせなければいけませんが、このあとバトラーは余計な1発を浴びてまたもダウン、ようやくレフェリーが試合をストップ。
はやければバトラーの足がフラフラになっていた頃、遅くとも2度目のダウン時にはストップスべきだったと思います。
アリムハヌリは強い。それはわかっていたことですし、スティーブン・バトラーの挑戦資格については異論があったのもうなずけます。
しかしバトラーは勇敢でした。明らかに実力差のある相手に対して、自分のボクシングを貫こうとしましたし、決して自ら諦める事はありませんでした。
ともあれ、今回はジャニベック・アリムハヌリのノックアウトハイライトに加えられる一戦。今後、ミドル級統一を目論むアリムハヌリの戦いに注目です。
5/13(日本時間5/14)アメリカ・ラスベガス
WBA世界スーパーライト級王座決定戦
ロランド・ロメロ(アメリカ)14勝(12KO)1敗
vs
イズマエル・バロッソ(ベネズエラ)24勝(22KO)3敗2分
大激戦区のスーパーライト級。ロリー・ロメロが試される一戦です。
無名と言っても良いバロッソを相手に、圧倒的な強さを示し、正規王者となれるか。
初回。ロメロは体格的にだいぶでかくなった感じがしますね。互いにジャブを突いて慎重な立ち上がり、サウスポーのバロッソはなかなかリーチがありそうです。
バロッソは歩くようにプレス、そこから一気に攻めていくスタイルで、ロメロは基本的に後ろ荷重でサークリングしながら、出てきたところを叩くというスタイル。
このラウンドはお見合いの時間で終了です。
2R、バロッソはジャブから左ボディストレート。ちょっと遠く感じるのか、ボディから崩す作戦に出ます。
しかし全体的にアクションは少なく、特にロメロはほとんど左のみ。その左もダメージを与えるようなものでなく、バロッソの前進を阻むためのものです。
3R、ロメロが積極的に右を使い始めます。それでもかなり警戒心が強いロメロ、中盤に逆ワンツーをヒット、その後もいきなりの右をヒットするのですがその後は続きません。
逆にバロッソは思い切りが良く、プレスをかけて距離を縮めると左右のフックを惜しみなく振ってきます。
というところの後半、バロッソの左ストレートがヒット!これにふっとばされたロメロはロープにもたれかかり、右手をマットにタッチ、ダウン!!
ロメロは随分と臆病な戦いとなっており、そこをつけこまれた感じですね。
4R、ダメージはさほどでもなさそうなロメロ、ようやくスイッチが入ったのかプレスをかけ始めます。
ここでバロッソも応じ、徐々に手数が増える両者。
5R、バロッソがプレスをかけてロメロがサークリングの展開に戻ります。時折思い出したかのように攻めるロメロですが、常に攻め続けるバロッソの方が好感が持てますね。
6R、展開は変わらず。互いに中間距離で向き合い、おおよそ先に攻めるのがバロッソで、そこにロメロがカウンターをあわせに行きます。
バロッソの攻めも単発、ロメロの反撃も単発なので、アクションの少ない時間が過ぎていきます。
後半、ロメロが先手を取って攻めるようになると、試合はややエキサイト。
7R、非公式のShowtimeの採点では、ここまでで58-55でバロッソ。
やっぱりロメロは慎重すぎると思います。ディフェンスというのが先にたち、言い方を変えればビビっているのかもしれません。
当たりはしなくても精力的に攻めるバロッソ、ディフェンスに重点を置きすぎて相手にダメージを与えるようなパンチを繰り出せないロメロ。
8R、低く入って後ろ手のストレートをボディ、顔面に持っていくバロッソ。この長い左ストレートは驚異、ワンパターンながらもロメロの体には届いています。
対してロメロは逃げ回るのみ、と見られても仕方のないようなステップワーク。稀に鋭いワンツーを放つも、どちらかと言うとスピード重視でタイミング任せ、何よりも明らかに手数が少ない。
後半、バロッソの左がロメロにヒット。ロメロはダメージを逃しているので、ダメージを負うものではありませんが、身体がのけぞりイメージは悪い。
9R、とにかく左を思い切り振るうだけのバロッソ、なんですが、この左がロメロの右にカウンターとしてヒット。ロメロはこのまま負けてしまうか、とおもったところでなぜだかロメロが攻勢に転じ、左フックをクリーンヒット!!
返しの右フックを引っ掛けてなぎ倒すような格好でバロッソを押し倒し、これがダウン判定。
ただ、バロッソにダメージもあるようで、ロメロはここから一気にチャージ。
ワイルドなパンチを振るい、さほど被弾を気にせずにグイグイとプレスしてパンチを振るいます。
バロッソは後退しながらも応戦し続けますが、終盤、ロメロがプッシュしつつもバロッソを攻めると、レフェリーのトニー・ウィークスがこの試合をストップ!
ロランド・ロメロ、9RTKO勝利!!WBA世界スーパーライト級正規王座を初戴冠!
スロー映像が流れますが、ストップ時のラッシュはバロッソにあまり当たってはいません。どちらかというとバロッソがダックしたことにより、そのダッキングが腰が落ちた、と見えたのかもしれません。これはちょっと残念なタイミングのストップです。
ということで、この終わり方も含め、決して褒められた内容ではありませんでしたが、最低限の結果のみは確保した感じのロランド・ロメロ。
しかし序盤から中盤、下手したら後半も恐ろしいほど慎重に戦い、これはジャーボンタ・デービスからのKO負けの教訓なのか、何なのか。
はっきり言って、このバロッソとロメロの実力差は大きかったと思います。しかし、その実力に劣るバロッソにかなり追い詰められていたのも事実です。
本当はもっと才能のあるボクサーだと思っているのですが、果たしてロランド・ロメロに未来はあるのか。
もしかすると、このネームバリューのある人気ボクサーは、スーパーライト級のチーズチャンピオンなのかもしれません。こうなると、早い物勝ちですね。
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