今週末は、世界ライト級4団体統一タイトルマッチ、デビン・ヘイニーvsワシル・ロマチェンコ。
日本のボクシングファンの多くはきっとロマチェンコを応援するのでしょうが、オッズはヘイニーが-240、ロマチェンコが+210とヘイニー優位に傾いています。
ロマチェンコは前戦の不出来と、加齢による衰えも指摘されているため、これは致し方ありません。しかも並んで見た時のサイズの違いと言ったら震え上がるほどです。
それでも何とかロマチェンコに頑張ってもらいたいものですね。
そしてそのアンダーカードには中谷潤人(M.T)vsアンドリュー・マロニー(オーストラリア)がセット。
このカードは、このヘイニーvsロマのセミファイナルかと思っていましたが、ESPNの発表によると異なるようで、中谷vsマロニーはPPVファイトには含まれず。
PPV外の、ESPNの通常料金で見られる範囲の最後の試合にセットされており、これは「まだ会場にあまり人が入っていないけど、TVやストリームで見れる人が多い」という試合になります。
PPVの売れ行きが微妙に思えるこの興行のPPVファイトに組み込まれなかったのは、吉なのか凶なのか。それは感覚的によくわかりませんが、兎にも角にも全米に生中継される一戦であり、中谷にとっては初のラスベガス登場となる一戦。
ということで今回のブログでは、目前に控えた中谷vsマロニーをプレビュー。
5/20(日本時間5/21)アメリカ・ラスベガス
WBO世界スーパーフライ級王座決定戦
中谷潤人(M.T)24勝(18KO)無敗
vs
アンドリュー・マロニー(オーストラリア)25勝(16KO)2敗
かつて長く停滞していたスーパーフライ級の世界トップ戦線。ファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)、ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)、シーサケット・ソールンビサイ(タイ)、カルロス・クアドラス(メキシコ)。そこにジェルウィン・アンカハス(フィリピン)と井岡一翔(志成)が加わっての均衡状態を保っていたスーパーフライは、アンカハスは伏兵フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)に敗北して転級、井岡一翔は新鋭ジョシュア・フランコ(アメリカ)とドローで再戦の流れ。
クアドラスの名は既に聞かず、シーサケットはフランコの弟、ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)の踏み台となりました。
エストラーダやロマゴンも既に盤石とは言えず、衰えが顕著なこの時代、代わって台頭してきているのが間違いなく中谷潤人。
この中谷こそが、古い時代(と言っては言い過ぎか)の覇者たちをその拳で蹴散らし、新たな時代を切り開くスーパーフライとなるかもしれません。
172cmと長身のサウスポーは、見た目とは裏腹のアグレッシブ・パンチャーで、遠くから独特の軌道を描いて飛ぶアッパーを持ち、その痩身からは思いもよらないほどのインサイドでの戦いの巧みさを持つボクサーです。
元WBO世界フライ級王者、王座を返上して転級したことで指名挑戦権を得て、当時のWBO世界スーパーフライ級王者、井岡一翔の指名挑戦者となります。
しかし井岡はWBA王者、ジョシュア・フランコとの再戦を選択、王座を返上。
そして王座決定戦のチャンスが巡ってきたアンドリュー・マロニー、元WBA世界スーパーフライ級王者。
マロニーは元々WBAが世界王座を乱立していた時代、WBA世界スーパーフライ級暫定王座決定戦で勝利し、暫定王座を獲得。
この王座は当時のWBA王者、ローマン・ゴンサレスがスーパー王者に格上げされたことで正規王者へと昇格、迎えた初防衛戦でジョシュア・フランコに敗北して王座を奪われています。
その後フランコとは再戦してバッティングによるND、再々戦で敗北して王座返り咲きならず。
フランコとの3連戦のあとはフローイラン・サルダール(フィリピン)やノルベルト・ヒメネス(ドミニカ共和国)等の強豪を退けてはいますが、今回の対戦相手、中谷潤人は過去最強の相手と言っても過言ではないでしょう。
下がりながらでもインサイドでも戦えるマロニー・ブラザーズは、兄弟ともに非常にバランスの取れたボクサーファイター、言いようによっては突出したものがない、とも言えます。
ただ、高いレベルでまとまったこのボクシングは、相手に対するしっかりとした研究により、その強みを更に活かせるというボクサーだとも思っています。
反面、プランが狂ってしまったり、たてた戦略が通じなかったりするとどうしようもなくなってしまう、という感じで、なかなか後半に逆転劇を起こしづらいボクサーとも言うことができます。
フランコ戦はまさにそんな感じで、どちらかというと戦力的には互角ではありましたが、ラウンドごとほんの少しずつ上回られたラウンドが多かった。
なのでマロニーが勝利するためには、序盤からしっかりとポイントをピックアップしていく必要があると思うのですが、それを中谷に対してできるか、というと純粋に厳しいと思います。
これは兄のジェイソンもそうなのですが、アンドリュー・マロニーのボクシングはあの手この手を使って相手を「攻略する」ボクシングであり、無敗のボクサー中谷はこれと行った攻略法がまだ確立されていないことが事実。
中谷が苦戦めいた試合をしたのはもう随分前の事で、矢吹正道(緑)戦や工藤優雅(当時マナベ)戦が思い浮かぶわけですが、新人時代の話であり、昔すぎて話になりません。
とにかく距離を詰めなければ戦いにもならないマロニーとしては、とにかくインサイドに入る事が大事で、それには先手を打たなければいけません。そしておなじみのダブルジャブで入ってくるとは思うのですが、ここで中谷のカウンターを浴びてしまう恐れがあります。
マロニーがそれで弱気になってしまうと中谷の思うつぼで、中谷の圧倒的な攻撃に対して散ってしまう気がします。
世界戦で、日本人同士ではないにもかかわらず、ファンにとってよく見知ったボクサー同士の戦い。
これは名勝負となってほしいですが、その可能性は高くはなさそうです。
名勝負となるには、マロニーが秘策を持って臨むのが絶対条件、中谷潤人の勝利を確信しつつも、マロニーの頑張りにも期待したいところです。
放送・配信
この興行はESPNの通常放送の最終試合として行われ、この試合の前にはニコ・アリ・ウォルシュ(アメリカ)が登場。他にもエミリアーノ・バルガス(アメリカ)等も登場する、トップランクお得意のマッチアップが並ぶ興行です。
PPVファイトはレイモンド・ムラタヤvsジェレミア・ナカティリャ、オスカル・バルデスvsアダム・ロペス、そしてヘイニーvsロマチェンコ。このPPVファイトも非常に興味深い戦いですが、世界タイトルマッチということもありこの中谷vsマロニーをセミファイナルに持ってきてもらいたかったですね。
ただ、通常放送の分、ESPNに加入している人たちはこの試合を追加料金無しで見られるのは良いところ。この中谷vsマロニーは、日本ではWOWOWが放送、この試合のあとにESPNのPPVファイトが始まる、という流れですね。
WOWOWで9:30〜放映ということなので、全部を見ると長時間の視聴となりそうです。
↓試合の順番はこちら。(PPVの分)
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