今週末は、イギリスの興行だらけ。
北アイルランドでは、ルイス・アルベルト・ロペスvsマイケル・コンラン、
イングランドではマウリシオ・ララvsリー・ウッド。
この2つの、フェザー級の世界タイトルマッチをメインとした興行のほか、さらにボーンマスというあまり聞き馴染みのない場所でWBO世界クルーザー級タイトルマッチ。
このボーンマスというところはグレート・ブリテンの南端、イギリス有数のリゾート地のようですね。
ということで今回のブログでは、ローレンス・オコーリーvsクリス・ビラム-スミスによるWBO世界クルーザー級タイトルマッチのプレビューです。
5/27(日本時間5/28)イギリス・ボーンマス
WBO世界クルーザー級タイトルマッチ
ローレンス・オコーリー(イギリス)19勝(14KO)無敗
vs
クリス・ビラム-スミス(イギリス)17勝(12KO)1敗
重量級において、あまり日の目を見ない階級であるクルーザー級。オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)による王座統一を経て、一旦注目を集めたものの、今やその影は随分と薄くなってしまいましたね。
その中で、非常に派手な倒しっぷりと、運動能力の高さを示すローレンス・オコリーは、最も注目に値する王者と言えます。
一時は契約問題による1年ほどのブランクをつくるも、ここ最近の活動は非常に活性化しており、前戦はたった2か月前の3/26。デビッド・ライト(ニュージーランド)を迎えての防衛戦ではタフな挑戦者を倒す事こそできなかったものの危なげない完勝でその力を示しています。
優れた運動能力を元にした、コンビネーションとパワーパンチを融合させた非常にエキサイティングなスタイルを持つボクサー。もっと人気が出ても良さそうなものですが、やはりそれには主戦場であるイギリスをでなければいけないかもしれませんね。
対するはクリス・ビラム-スミス、同国人のボクサーで、オコーリーのスパーリングパートナーだったボクサーです。
非常にオーセンティックなスタイルではありますが、ハートとフィジカルが強い、ややプレッシャーファイター寄りのボクサーだと思います。
2017年にプロデビュー、2019年にリチャード・リアクポー(イギリス)にスプリットの判定負けを喫していますが、その後は連勝。
前戦は2022年12月にアーメンド・アクソージャジ(コソボ)というボクサーを5RKO、現在WBO世界クルーザー級のトップコンテンダーとなっています。
世界戦の実績上、明らかな優位に立つのはオコーリーの方です。
オッズも勿論オコーリーが優位ながらも、やはり気になるのはビラム-スミスがオコーリーの元スパーリングパートナーであることから、オコーリーのことをよくわかっているはずのボクサーで、この試合を受けた、ということですね。
ビラム-スミスはWBAでも2位につけており、選択肢としてはアーセン・グラミリアン(フランス)への挑戦という選択肢もあったかもしれません。グラミリアンが超不活動ということもあって今戦に望みを託した可能性もありますが、ともかくオコーリーを選んだのは事実。
そしてこのビラム-スミスはインサイドで非常に強さを発揮するフィジカルを持っている用に思え、それはやや線の細さを感じるオコーリーにはないものだと思います。
長い距離でオコーリーが滅多打ちにするのか。それとも、ビラム-スミスが巧くインサイドに入り、身体で押してロープに詰めてショートのパンチを見舞うのか。
これはビラム-スミスにとっても充分なチャンスのある戦いのようにも思え、オコーリーはインターバル2ヶ月という短い期間で、なかなか危険な挑戦者を迎えると言っても良いと思います。
オコーリーには、是非ともここに勝って王座統一戦へ進み、またクルーザー級を盛り上げてもらいたいものです。
放送・配信
この興行のプロモーターは英国のBOXXER、放送はSKY Sportsのようです。
世界ではPRO BOX TVというVODで見れるのですが、なんとここに来て日本ではU-NEXTが生配信してくれることになっていました。
日本での放映日時は5/28(日)AM2:30〜。アンダーカードはサム・エジントン(イギリス)やバージル・オルティス(アメリカ)と戦ったマイケル・マッキンソン(イギリス)も登場。そして、東京五輪の銅メダリストで入江聖奈とも戦った、カリス・アーティングストール(イギリス)も登場しますね。
ということで、これは是非U-NEXTで視聴しましょう!
クルーザー級の現状
さて、現在のクルーザー級をおさらいしましょう。
この日本人にとって馴染みのないクルーザー級は、ヘビー級の一つ下の階級ということで不要論もあるほどの不人気階級ですが、ウェイトの制限があることにより、パワー頼みとはいかず、だからこそスピードもテクニックも戦略も必要な階級でもあり、非常に見応えがあって面白い。
WBA王者はアーセン・グラミリアン(フランス)。27勝(18KO)無敗というボクサーですが、あまりにも不活動すぎる王者です。2022年11月、約3年ぶりとなる防衛戦をクリアし、いよいよ動き出すかと思ってからもう半年以上音沙汰なし。また眠りについているのか。。。今年中には1試合くらいしてもらいたいものですね。
WBC王者はバドゥ・ジャック(スウェーデン)。年齢はもう不惑の年を迎えようとしているものの、前戦でイルンガ・マカブ(コンゴ)に殊勲の勝利を挙げ、3階級制覇を達成しています。なんだかんだとコンスタントに戦績を重ねており、年を経てもアクティブなのには好感を持てますね。頑張れジャック・ザ・リッパー。
IBF王者はジェイ・オペタイア(オーストラリア)22勝(17KO)無敗、前戦で下馬評不利をひっくり返してマイリス・ブリエディス(ラトビア)に勝利したボクサーです。
27歳とクルーザー級王者たちの中で最も若く、唯一の20代、比較的選手生命の長い重量級においては、まだまだ未来のあふれる若者ですね。16歳でロンドン五輪に出場したという元オリンピアンは、非常に総合力の高いボクサーで、現在のクルーザー級を考えるとオコーリーかこのオペタイアが階級最強と目されるでしょう。
タイトルを獲ってからもうすぐ1年が経過しようとしていますが、初防衛戦の情報はまだでしょうか。
質の高い王者もいるし、いぶし銀の王者もいるし、ストーリーのある王者もいます。
今後もクルーザー級は注目していきたいと思います。
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