数々の世界タイトル戦がセットされた、日本時間5/28(日)。
その結果は悲喜交交、いくつかのアップセットも含めた非常に興味深いものでした。
全ての観戦記を書く気力と時間はないので、今回のブログはこの日本時間5/28(日)に登場したボクサーたちのその後のニュースをピックアップ。
ルイス・アルベルト・ロペスは統一戦を目論む
マイケル・コンランに見事なノックアウト勝利を収めたIBF世界フェザー級王者、ルイス・アルベルト・ロペス。
ウォーリントンとの接戦を制したロペスは、アイルランドのヒーロー、マイケル・コンランを降すことで王者としての存在感をアピールしました。
20歳を過ぎてボクシングを始めたという叩き上げ、一発一発を強振する「拳闘家」とも言えるボクシングでオリンピック同メダリスト、2大会連続出場という実績を持つエリートを破った功績は非常に大きいと思います。しかも、完全アウェーという厳しい場所において。
ロペスは試合後、「一つずつ、彼らのベルトを全てメキシコに持ち帰る」という発言をしているようです。
気骨溢れるロードウォリアー、ルイス「ベナド(=鹿)」ロペスの次戦の相手は指名挑戦者、阿部麗也(KG大和)。この非常にリングIQが高く、センスの良いカウンターパンチャーである阿部を退けた後は、統一戦線に躍り出る気持ちでいるのかもしれません。阿部はそれにとって代わってくれるのだと思うので、今後も楽しみですね。
リー・ウッドも統一戦を望む
ロペスvsコンランと同じ日、同じイギリスで行われたマウリシオ・ララvsリー・ウッドのWBA世界フェザー級タイトルマッチ。
立場を変えてのダイレクトリマッチとなった今戦は、結果的に言えばララのモチベーション低下による低パフォーマンスと、最後まで律儀に作戦を遂行したウッドの戦略の勝利、ということだと思います。
ウッドは前戦の反省を活かし、十二分にララの強打を警戒、会場はブーイングめいたものもありましたが自分の「ララに勝てるボクシング」を12Rにわたり遂行。
このボクシングは、確かにプロ意識に欠けるものだったかもしれませんが、間違いなく勝利を目指すという点においては間違いなくプロフェッショナルなボクシングだったと思います。
このプロフェッショナルなボクシングは、多くのアマチュアボクサーにこそ参考になるものだ、とも思いました。ともあれ、悪夢のような逆転KO負けからこの完勝、さらにはウェイト面でのハンディキャップを含めて、となるとこれはかなりの偉業という他ありません。
さて、この一戦の後、ウッドもロペスと同じく統一戦を希望するような発言をしています。
ただし、この無理やり詰め込んだダイレクトリマッチの後は、ウッドには指名防衛戦が課されています。この相手は、オタベク・ホルマトフというウズベク・ボクサーであり、11勝10KO無敗、そのバックグラウンドを考えると非常に危険極まりないボクサーです。このホルマトフに勝利することは、ひょっとしたらララに勝利することよりも難しいかもしれません。
ウッドがホルマトフに勝利した暁には、王座統一戦の資格は十分過ぎるほどにあるでしょう。おそらく年内くらいにはこの指名戦が実現するのでしょうが、今後のフェザー級を占う上で非常に興味深いものですね。
ちなみに、ウッドはすでに自身のキャリアの終焉をも見据えており、「あと2〜3戦」と言っているようです。念願の統一戦、実現はなるか。
オスカー・コラーゾは8月に防衛戦か
メルビン・ジェルサェムを7RTKOで破り、わずか7戦目にしてWBO世界ミニマム級タイトルを獲得したオスカー・コラーゾ。タイや日本でタイトルを回しているよりも、アメリカ大陸圏のボクサーが複数いた方がはっきり言って盛り上がります。
このコラーゾの勝利は、いくつかのニュースサイトにしっかりと記事が載っています。このミニマム級という階級において、仮にタイ人ボクサーが着々と防衛を重ねようとも、欧米で話題になることは少ないことを考えると、破格とは言いませんがなかなかの注目度であることが窺えます。
そのコラーゾの初防衛戦は、8月、プエルトリコで開催する腹づもりのようです。(コラーゾの国籍はアメリカ、ルーツはプエルトリコ)
このコラーゾのファーストネームである「オスカー」は、かのオスカー・デラホーヤに因んで付けられたものであり、幼少期は野球とボクシングを好んでいたそうです。
野球でもプエルトリコ代表のチームに選出される等有望だったようですが、小柄なコラーゾは野球での大成を諦め、15歳でボクシングに転向。
2020年にプロデビューしたコラーゾは、2022年には元世界王者ビック・サルダールとの激戦を制すに至り、2023年1月にユデル・レイジェスとの挑戦者決定戦に5RTKO勝利、今回のチャンスをしっかりと仕留めてものにしています。
ジェルサェム以上のミニマム級パンチャーと言って良いコラーゾがタイトルリストに加わったことで、現在、このミニマム級は隆盛のときを迎えていると言って良いでしょう。
WBC正規王者はパンヤ・プラダブスリ、暫定王者に重岡優大、IBF正規王者にダニエル・バラダレス、暫定王者に重岡銀次朗、WBAスーパー王者にノックアウトCPフレッシュマート、レギュラー王者にエリック・ロサ。
混沌としてきたミニマム級は、いよいよ総当たり戦の時期が来ているようにも感じます。それには、やはりジャパンマネーは必須でしょう。ミニマム級の王座統一戦は非常に面白そうですね。
オコリーは再戦を希望!
週末、おそらく全世界で行われたボクシングの試合で、最も醜い試合だったのがこのローレンス・オコリーvsクリス・ビラム-スミスの一戦。
オコリーには荒削りな部分も含めて夢を感じていたので、このことについては非常に残念。前戦と併せて、大きく評価を下げてしまいましたね。
ビラム-スミスがものすごく良かったというわけではありませんが、この日のオコリーは(元々少々散漫な)集中力を更に欠き、何とも形容し難いおよそ「ボクシング」とは呼べないような「何か」を披露。
後半のダウンに関してはアレでしたが、結局のところ3度も倒され、減点による失点もあって、ポイントは115-108、116-107、そして謎の112-112という世界タイトル戦でおよそ目にしないスコア。
この状態で即座のダイレクトリマッチを希望をいうのはかなりイカれてはいますが、オコリーも当然悔いがあるのでしょう。
これをスミスが受ける必要もないのでしょうし、プロモーターとしても嬉々としてやるリマッチではないはずです。
オコリーは今後、どのようにファンの信頼を回復していくのでしょうか。
そしてビッグアップセットでの勝利をもぎ取ったスミスも、残念ながら非常に影が薄い。不人気階級であるクルーザー級、これにて更に闇へ落ちていってしまうのかもしれませんね。。。
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