過去を振り返ることは非常に楽しい。
例えば1952年5月19日、という日付を出すだけでボクシングファンは何のことかを悟るように、誰もが共有できている過去を語ることは喜びの一つだと思います。
それと同様に、誰とも共有していない未来を語ることも同様に楽しいことだと思います。
ー未来のボクシング界はどうなっているのかー
このことは、おそらく遠くない未来を生きているであろう人たちにとっては関心ごとの一つであり、今回のリングマガジンの記事「P4P:2029」というのはとても興味深い。
ということで今回のブログは、リングマガジン(トム・グレイ氏)が語る2029年のP4Pについて。
未来予想図
未来の予想を語る前に、この記事では過去を振り返っています。
1994年〜2004年に君臨したP4Pはロイ・ジョーンズJrであり、記事にも書かれている通りまさにこのボクサーは当時「異次元」と呼ぶに相応しいパフォーマンスを見せていました。
ミドル級スタートのヘビー級タイトル獲得というのは金字塔と呼ばれるに相応しい偉業であり、晩節を汚してもこの栄光は揺るぎありません。
その後の2005年〜2015年についてはフロイド・メイウェザーJrの時代というのも納得のことであり、この憎きカリスマはプリティボーイからマネーへとニックネームを変え、いまだに誰しもが知るボクサー(正しくは元ボクサー)として栄光を手にし続けているともいって良いでしょう。
メイウェザーが50戦全勝という、かのロッキー・マルシアノを超える戦績を残してリングを去った後はゴロフキン、チョコラティートといったボクサーが台頭、そしてその後にテレンス・クロフォードが高い評価を受けたのち、現在はこのクロフォードにオレクサンドル・ウシク、そして我らが井上尚弥を含めた3強であり、もしかするとここにアルツール・ベテルビエフvsドミドリー・ビボルの勝者が入ってきて4強となる日がくるのかもしれない、という状況なのが今年〜来年にかけての未来予想図です。
未来予想図 Ⅱ
ブレーキランプを5回も点滅するのは後ろにいる車にとっては非常に迷惑な話です。(何の話?)
ともあれ、ここからが本題です。
トム・グレイ氏のピックアップしたP4Pのトップ10を順に追って紹介していきましょう。なお、リングマガジンの記事ではグレイ氏の妄想込みで記事が出ていて、それは非常に面白いものなのでぜひ翻訳ソフトを使って読むことをお勧めします。
10位〜6位
10位:ジャニベック・アリムハヌリ
9位:デビッド・モレル
8位:デビッド・ベナビデス
7位:キーショーン・デービス
6位:アンディ・クルス
(以下はグレイ氏の妄想とそれに関する私の感想)
グレイ氏の妄想では、アリムハヌリは12度の防衛をしており、ずっとミドル級で戦い続けているようです。これはGGGのキャリアに重なるものもありますが、果たして今の時代において防衛し続ける意味があるかどうか、というところですね。すでに統一路線に走りたいとしているアリムハヌリ、5年後もまだミドル級のままか。
モレルはスーパーミドル級を卒業し、ライトヘビー級に。ここでベナビデスと戦うことになるらしい。
そんなベナビデスはカネロと交わることはなく、ライトヘビー級でキャリアを築いています。2025年にベテルビエフ(ベテルビエフは今年ビボルに勝利するらしい)と戦い、2度のダウンを奪うもドロー。(想像力が素晴らしいw)ライトヘビー級の統一を目指し、モレルとぶつかるという段階のようです。
デービスは2026年にテオフィモ・ロペス(なぜか名指し)を降してスーパーライト級王者となり、圧倒的な強さを持って防衛している最中。当然、アンディ・クルスとのメガマッチが取り沙汰されている状況です。
そのクルスはライト級であり、エドウィン・デ・ロス・サントスを完封。キーショーンとの一戦は政治的な問題でなかなか実現せず、ということですが、これはかつてのクロフォードvsスペンスのような感じなのかもしれませんね。
5位:アブドゥラ・メイソン
ここで出てくるのが、アブドゥラ・メイソン。むむむ、グレイさんよくわかっていらっしゃる。
個人的にも非常に注目しているアブドゥラ・メイソン、こちらもライト級を制したのちスーパーライト級でタイトルを獲得しています。メイソンの記事で名指しなのはレイモンド・ムラタヤとウィリアム・セペダ、この二人に圧勝して王座を統一、2つのタイトルを獲得しています。
であれば当然、キーショーンとの王座統一戦も取り沙汰されている状態であり、今最もアツいスーパーライト級は5年後も激アツなようです。
ただ、メイソンは3階級目も視野に入れている状態であり、ウェルター級にその戦場を移すかもしれません。
4位:ジャイ・オペタイア
ここは非常に意外な名前が出てきた、と驚きます。グレイ氏によると、ウシクが去った後、このオペタイアがヘビー級に上がり、ヘビー級で二つのタイトルを獲得している、とのことです。
ここで鍵となるのが、クルーザー級上がりの機動力、スピード、そしてテクニック。
ウシクがヘビー級を制した今、あり得ない話でもないようにも思います。
ヘビー級は比較的新陳代謝が遅い、とも言える階級ですが、オペタイアはフィリップ・フルゴビッチ、アギト・カバイェル、そしてダニエル・デュボアに勝利。そしてモーゼス・イタウマとジャレッド・アンダーソンに勝利してタイトルを獲得しているらしく、残り2つのタイトルを獲得することでP4Pキングとなることができるだろう、とのこと。
つまりはアメリカによるヘビー級復権はなされない、ということですね。
3位:中谷潤人
2027年に井上尚弥が引退した後、日本のボクシング界は中谷潤人によって牽引されています。
井上尚弥は2026年大晦日、フェザー級で中谷潤人と戦い、中谷は10RTKOで敗れる(めっちゃ具体的。でもちょっと大晦日というのが若干ずれているような気もする)も、スーパーバンタム級に戻って改めて4団体を制覇。戻る、もあんまり考えられないですけど。
ともあれ、中谷の評価は井上に敗れても高く、フェルナンド・マルティネス、井上拓真、武居由樹、スティーブン・フルトン、そしてムロジョン・アフマダリエフ、みんな中谷に敗れているそうです。
まあ何にしろ中谷の評価はグレイ氏の中でも非常に高いようで安心です。
2位:ジェシー・ロドリゲス
軽量級にあって、その中谷の評価を上回るのがジェシー・ロドリゲス。
今月末にエストラーダをくだして再度スーパーフライ級タイトルを獲得したバムは、その後チョコラティート、そして井岡一翔を降して殿堂入りを確定させた、とあります。
この時持っているタイトルはWBA、WBC、WBOであり、4団体制覇まであと一つ。ほぼ間違いなく4団体の王座をまとめ、次はバンタム級への意欲を見せているそうです。
1位:ジャロン・エニス
ジャロン「ブーツ」エニスがP4Pリストのトップを獲得、名実ともにボクシング界の顔となっているようです。
ウェルター、スーパーウェルター級で2階級を制覇したエニスは、それぞれの階級で統一戦にも勝利し、ミドル級への進出を心に決めているようです。ミドル級で取り沙汰されるのは長期政権を築いているジャニベック・アリムハヌリ。
エニスはここまでの戦いでリチャードソン・ヒッチンズ、エロール・スペンスJr、エイマンタス・スタニオニス、ティム・チュー、バージル・オルティスJrをくだし、歴代グレートであるロイ・ジョーンズJrやテレンス・クロフォードと評価を比肩する存在になっている、とのこと。
確かにこの対戦相手に勝利すればそれは可能かもしれません。5年先を考えても、ライバルが多いということはいいことです。
5年後
私はいよいよ50歳の大台に突入する年になります。
改めて、5年後にこの記事を掘り返してみたときに何を思うのでしょうか。
そしてこの2029年に考えた5年後のP4Pリストは、どのようなものになっているのでしょうか。
きっと何年経ってもこうして変わらぬ思い(ボクシングを好きな思い)を持っていられるのも、ボクシングという競技があるから。
ずっと心に描く未来予想図は思った通りには叶わないでしょうが、やっぱり妄想することは楽しいことですね。ちゃんちゃん。
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