リヤドシーズン、inカリフォルニア。
さすがというレベルの注目試合がいくつも組まれた興行です。
今回のブログは、このリヤドシーズンの観戦記。
8/3(日本時間8/4)アメリカ・カリフォルニア
WBA世界スーパーライト級タイトルマッチ
イサック・クルス(メキシコ)26勝(18KO)2敗1分
vs
ホセ・バレンズエラ(アメリカ)13勝(9KO)2敗
イサック・クルス、メキシコの大人気ボクサーです。
ホームと言っても差し支えのないカリフォルニアでのリングですが、メキシコ系アメリカ人であるバレンズエラにとってもホーム同然の戦い。
メインイベントよりも応援者の数は多いのではないでしょうか。
大注目の一戦がゴングです。
初回、ガードを固めて前進するのはイサック・クルス。バレンズエラはジャブを突きながら後退、クルスの入り際に右フックのカウンターを狙っています。
クルスは突進するもあまりパンチは出ず、距離を詰めてからの強振はいつものスタイルです。
バレンズエラはバックステップを使って上手く対応しており、ふとした隙に入れる左ボディもタイミングが良いように見えます。
2R、バレンズエラの左とクルスの右が相打ち、ここからクルスはラッシュ。1発のパワーはクルスに分がありそうです。
バレンズエラはリードでクルスのガードを剥ぎ取って左をヒットする、等の技術を見せていますが、押されている印象は受けますね。
3R。バレンズエラは正面衝突を避け、ボックスし切る作戦のようです。このボクサーは一発を持っていますが、技術もありますね。
クルスの迫力のあるパンチが幾度もバレンズエラを襲いますが、バレンズエラもこの攻撃に若干慣れてきているようにも見えますし、クルスの攻撃はやや単調かもしれません。
4Rも同様の展開で、クルスのフィジカルに押されてバランスを崩すことが多いバレンズエラですが、致命打はもらっていません。クルスはクルスでミスブローが目立ちます。これはポイントはどっちに行っているのでしょうか。
このまま行くと、バレンズエラがボックスをしているのか、それとも下がらされているのか、という印象が勝負の分かれ目となりそうです。
5R、バレンズエラのジャブ、カウンターが良いように思います。かなり余裕の出てきた感のあるバレンズエラは、左をジャブのように使います。
6R、バレンズエラが狙い澄ましたテクニカルなアッパーカットをヒットすれば、クルスもその後右オーバーハンドをお返し。
どちらに転ぶか分からないラウンドが量産されていく中、終わってみれば意外とポイント差が開いているかもしれません。もう、半分です。両者ともに、もっと明確に勝利へと繋げるラウンドが必要そうです。
7R、クルスはちょっとペースダウンなのか、若干迫力が目減り。バレンズエラが見事な左アッパーカウンターを決めますがびくともしないあたりはすごいタフネス。
後半、クルスはバレンズエラを詰めますが、ヒットは奪えていないか。
8R、DAZNの非公式採点では、ここまでのところバレンズエラが1ポイントリード。前ラウンドはおそらくバレンズエラのラウンドでしたが、このラウンドはクルスがヒットを奪っています。こうなるとクルスのラウンドとなるか。
ただちょっとクルスは疲れているかもしれません。打ち終わりの戻しが緩慢になっている気がします。
9R、このラウンドは互いにヒットを奪い合うという展開でしたが、致命打は与えられず。後半、クルスのローブローにより中断、ベルトラインギリギリくらいでしたかね。これでもしクルスがボディを打ちづらくなったのならば大きなディスアドバンテージになりそうですが、そうでもなかったです。
10R、お互いに突破口を見つけられないまま時間が過ぎています。ここまでのパンチスタッツが出ましたが、クルス91/314、バレンズエラ100/252です。クルスの方がアグレッシブではありますが、ヒット数はバレンズエラの方が多い。これは印象通りですね。
11R、意を決したかクルスがチャージ。DAZNの非公式採点が出ますが、8R以降はバレンズエラがピックアップしており、4ポイント差がついています。
明らかに余裕が出てきているバレンズエラ、ガードを落としたりと良いペースでボックス。ただ、クルスの1発当たってからのチャージはものすごいものがあります。
ラストラウンド、力任せにいくクルス、相変わらずマイペースのアウトボックスのバレンズエラ。イサック・クルス、力で圧し潰すことができなかった相手に対し、それ以外の引き出しがなかったですね。クルスの顔面にダメージは感じません。バレンズエラは右頬あたりにカット傷がありますが、これはバッティングによるものかもしれませんね。揉み合いも多かったので。
判定は、116-112でバレンズエラ、115-113でクルス、そして116-112でバレンズエラ。
判定が告げられた瞬間、喜びを爆発させたバレンズエラ。そしてクルスは笑顔。敗北を受け入れたのか、とにかく潔い。
これは非常に残念でした、イサック・クルス。どっちつかずの前半から、バレンズエラが余裕を持ち出し、そこからバレンズエラにポイントが流れることが多かったのかもしれません。
私の予想に反して、エキサイティングにはならなかったこの試合。バレンズエラは技術を披露しましたが、これが勝つための最適解だったのでしょう。
対してイサック・クルス。世界王者になったことでモチベーションに翳りが見えたのか、いつもの獰猛さは序盤だけでした。魅力的なボクサーであることは間違いないので、クルスの再起に期待したい。
WBA世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
イズライル・マドリモフ(ウズベキスタン)10勝(7KO)無敗1分
vs
テレンス・クロフォード(アメリカ)40勝(31KO)無敗
もっとエキサイティングな試合になると思っていました。しかし山場のない試合となったco-main、配信で見ていればメリハリがなく、素晴らしいカードに反しての試合内容だった、ともいえます。
ということで期待のメインイベント。クロフォードは圧倒的なパフォーマンスを見せられるのか、それとも階級の壁を感じる試合内容になるのか。
ともあれ注目のメインイベントのゴングです。
初回、クロフォードはやはりいつもより一回りでかいですね。まずはサウスポースタート、マドリモフがフェイントをかけつつのプレス。
クロフォードの慎重な立ち上がり、というのはいつものことだと思いますが、終盤、マドリモフはクロフォードのジャブの打ち終わりに右を合わせています。
2R、ほぼ右リードだけのクロフォード、マドリモフは大きく体全体でフェイントをかけていますが、なかなか攻め入ることができずにいます。
後半、クロフォードが右ジャブから入る左右のボディ。
3R、体を上下に揺らすも、攻め時を図れないマドリモフ。クロフォードの手数もほとんどありませんが、軽くデモジャブをヒットしているのはクロフォードの方です。
そろそろ動きがないと眠くなってしまいそうな感じ。
マドリモフに攻めさせない、のためのクロフォードのサウスポーであれば、その謀はある程度成功しているように見えます。
4R、マドリモフはクロフォードのジャブに合わせて攻めていこうとしているのかもしれませんが、未だタイミングは測れず。右ストレートから入るパターンは悪くないので、もっとガツガツ行ってみた方が良いのではないかと思います。
5R、マドリモフが勇気を持って攻め始めたか。飛び込みの右フック、左右の回転力はもともと良いボクサーです。
クロフォードもガードポジションを取ることが多くなってきていますね。
クロフォードのジャブとの同時打ち、もしくは打ち終わりに左のマドリモフ、このラウンドは後半、2発のこのカウンターをヒットしています。
6R、なのでクロフォードのジャブにマドリモフは慣れてきたのではないかと思います。このタイミングでオーソドックスに変えても良さそうですが、クロフォードは未だサウスポーのままですね。
このマドリモフの左、これをかわしてクロフォードが右のボディショット。今度はクロフォードが見切ります。
7R、パンチスタッツが出ます。クロフォード35/194、マドリモフ36/110。見ての通りアクションの少ない試合が如実に出ており、さらにクロフォードのはなったパンチのほとんどはジャブです。
マドリモフがワンツーで攻め込むと、クロフォードは左をリターン。これがあるからマドリモフはなかなか攻められないのですが、ここはリスクを負ってでもいくべきではないでしょうか。
8R、中間距離の攻防の中、マドリモフが右を連打。この右はクロフォードのガードの間隙を縫って入っているように見えます。その後もマドリモフが大きなダッキングから右のオーバーハンド!
このラウンドの後半はマドリモフが非常に良い。
9R、常にカウンターを準備しているクロフォードにマドリモフはなかなか思い切りの良い攻撃を仕掛けることはできません。自分から攻める時は良い入りができているように思いますが、その後は続かず、クロフォードのコンビネーション。
クロフォードはまずはマドリモフを遠ざけることを一番に考えているようで、とにかくジャブはよく出るし、インサイドに入られた時には左のアッパーを準備しています。
ガードポジションに戻るのも非常に速く、やっぱりクロフォードに隙がないからマドリモフは攻められないのか。
10R、クロフォードのジャブを浴びたことにより、マドリモフの左眼付近にはあざができているように見えます。前半クロフォードは技ありの右アッパーをヒット、しかしマドリモフも動じませんね。
クロフォードの強打に対してマドリモフも必ずと言って良いほど打ち返してはくるので、クロフォードも続かず。ここまで上手くいかないクロフォードを見るのは初めてかもしれません。
11R、お互いに反応も良く、これは残り2ラウンズで決着がつくような戦いではなさそうです。パンチスタッツはクロフォード73/341、マドリモフ67/212と若干クロフォードの方が多いですが、ほぼ変わらず。
後半、クロフォードはカウンターからコンビネーション。時間が経つにつれ手数は多くなっていますが、マドリモフもかなりの反応を見せています。
ラストラウンド、クロフォードが先に攻めます。マドリモフはこの試合を通じて単発気味で、パワーは感じるものの自ら試合を作ることはできていないように感じます。
近い距離ではクロフォードが右アッパーのダブル。これは非常にテクニカルです。
このラウンドは互いに手数を出しますが、この手数、ヒット率ともに上回ったのはクロフォードでしょう。
ラウンド終了後、両者ともに両手をあげて勝利をアピール。
判定は、116-112、115-113、115-113でテレンス・クロフォード。
テレンス・クロフォード、4階級制覇を達成!!
面白い試合ではなかったものの、見事4階級目を手にしたテレンス・クロフォード。
圧倒こそできなかったものの、これはマドリモフの戦い方によるところが大きかったかもしれません。もちろん、マドリモフは強敵でした。
マドリモフはクロフォードにダメージを与えたいなら、もっといくべきでしたがそれができませんでした。クロフォードはマドリモフのストロングポイントをしっかりと封じ、ピックアップすべきところでポイントをピックアップしたのでしょう。細かいラウンドをマストシステムで見てはいませんが、クロフォードの勝利は揺るぎないようにも見えました。
勝利者インタビューではカネロの名前も出ていますが、ここからさらに2階級アップはあまり現実的ではないと思います。どうかやめて欲しいものです。
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