カメレオンとドーベルマン。
ジェシー・ロドリゲスの返上により空位となったIBF世界フライ級タイトルは、アンヘル・アヤラとデイブ・アポリナリオの無敗対決です。
これは非常に注目の一線ですね。
リングにはSEYERのロゴ。(SEYERというのはREYESの片割れです)メキシコらしいですね。
↓プレビュー記事
8/9(日本時間8/10)メキシコ
IBF世界フライ級王座決定戦
アンヘル・アヤラ・ラーディザバル(メキシコ)17勝(7KO)無敗
vs
デイブ・アポリナリオ(フィリピン)20勝(14KO)無敗
セミファイナルにはアルジ・コルテスが登場。試合自体をじっくり見たわけではないのですが、対戦相手は右目が完全に塞がれて危険な状態。そして8Rが始まる前にレフェリーがドクターのチェックを要求し、コルテスのTKO勝利が決まっています。
そしてメインイベント。
両者の入場の前に国家の斉唱。フィリピン国歌、そしてメキシコ国歌とボクシングファンにとってはお馴染みの曲が流れたのち、アポリナリオ、アヤラの順で入場しています。当然大歓声を受けるのはアヤラですが、さほど大きな会場ではないため、アウェー感は少ないかもしれません。
大注目の無敗対決が始まります。
初回、まず積極的に手を出していくのはアヤラの方です。オーソドックスのアヤラがジャブを放てば、サウスポーのアポリナリオも前手の右フック。
様子見からアポリナリオが左ストレートから良いコンビネーションを見せ、中盤にも浅くながらも左右をヒットしています。アポリナリオは中間距離において非常にスマートであり、ものすごく良い見切りをしています。
後半、大振りになったアポリナリオにアヤラがボディショット。
2R、初回と変わらず、まず仕掛けていくのはアヤラの方です。アポリナリオはそれを距離で外し、アヤラの入り際にしっかりと狙って単発のヒット。
アポリナリオは想像以上に良い。これはかなりいけるんじゃないでしょうか。
中盤、アヤラが右を浅くヒットすると会場は大歓声、ただその後は続かず。アポリナリオの攻撃は非常にワイルドですが、かなり攻防が分離しているので、もう少し手数が欲しい。
3R、アポリナリオがヘッドムーブでリズムを取ります。アヤラはフェイントをかけて強く踏み込むもブロッキングに阻まれ、アポリナリオはカウンターをヒット。アポリナリオの右フックが良いですね。
アヤラはちょっとサウスポーが苦手か。とすると、アポリナリオにとってこの試合は大チャンスです。
4R、右リードを伸ばし気味にしてアヤラを牽制するアポリナリオ。ただ、アヤラはより攻撃的になっており、このラウンドは序盤から中盤まで幾度かのコンビネーションでアポリナリオを攻め立てます。
相変わらずアポリナリオはちょっと手数が少なく、パワーこそ感じるもののディフェンシブと思われても仕方のない戦いです。ただ、良いタイミぐで入れば1発で試合が終わる可能性は秘めています。カギはアポリナリオの右フック、これがアヤラの入り際にかなりの脅威となっている、と見ます。
5R、アヤラは攻めるも的中率は良くありません。ただ、会場は盛り上がります。このラウンドも前半、近い距離でアポリナリオの右フックがヒットしています。
もしジャッジがフラットであるならば、ここまでアポリナリオが優勢です。
アヤラのローブローでの試合中断を挟み、最下位ごはアポリナリオが攻勢をかけます。敵地であるからこれぐらいは行かなければいけません。
後半、アヤラはサウスポーにスイッチ。明らかに慣れていなさそうなぎこちないサウスポースタイルですが、即刻オーソドックスに戻します。とにかくアヤラも攻め手を欠いている印象ですね。
6R、アポリナリオが長い左ストレートをヒット。その後アヤラが左ボディをヒット。これをダブルで打った2撃目がやや背面でしたが、続いてアヤラが左ボディをヒットするとアポリナリオは一拍おいて膝をつくダウン!
おお、なんと効いてしまったか。。。アポリナリオは表情には出しませんが、もしかするとその前からボディが効いていたのかもしれません。
アヤラが行きます!するとアポリナリオも強い左を返して反撃!!
アポリナリオはガードを高く掲げ、顔面へパンチを誘導。しかしそれに乗らないアヤラは、隙をついてまたも左ボディ!!ここで一瞬動きが止まったアポリナリオ!!こうなるとアヤラは猛チャージ!!ボディが効いてしまっているアポリナリオはどうすることもできず、この試合2度目のダウン!!!
レフェリーのカウントは進み、テンカウント!
アンヘル・アヤラ、6RKO勝利でIBF世界フライ級タイトルを獲得!!!
アポリナリオはもっと攻めなければいけませんでした。確かに中間距離での巧みさは見せられましたが、単発気味でタフなアヤラをノックアウトできるほどではありませんでした。
しかもおそらく、今回の会場が高地であることを考えると、前半に勝負をかけるべきだったのではないでしょうか。後半に行けばアヤラの方が良くなる可能性は大いにあったわけですから。
と言ったところで後の祭り。この日強かったのはアンヘル・アヤラであり、フィニッシャー、パンチャーというイメージこそありませんが、見事なノックアウトで世界を初戴冠。こう着状態が多い中でも終始アグレッシブに攻め続けたその姿勢はもちろん評価できるものです。
今後のIBF世界フライ級
アポリナリオに勝利してもらった方が、日本のファンには都合が良かったはず。何せアポリナリオは大橋プロモーション、日本に非常に呼びやすいボクサーです。
対してアンヘル・アヤラは日本どころかメキシコを出たことのないボクサーであり、今後も自国で防衛をする可能性が大いにあります。
WBA王者はユーリ阿久井政悟(倉敷守安)、そしてWBO王者にアンソニー・オラスクアガ(アメリカ)。WBCは寺地拳四朗(BMB)が決定戦に出場予定で、その相手はクリストファー・ロサレス(ニカラグア)になる予定で、そうなれば拳四朗がきっと獲ってくれるはずです。
拳四朗vsオラスクアガの再戦というのも非常に見ものですが、この階級はユーリ阿久井を中心に回って欲しいところですね。帝拳がプロモートするユーリ阿久井は、もし拳四朗がWBCを獲ったあとであれば統一戦は比較的容易であるが故、ぜひそれまでに一つか二つのベルトを吸収しておいてもらいたい。その筆頭は、このアンヘル・アヤラ。
もちろん実際戦ってみなければわかりませんが、やはりオラスクアガやユーリ阿久井よりは若干落ちるような気がします。是非日本に来て統一戦を戦って欲しいですね。
ただ、現実的な問題を言えば、この決定戦で戴冠した王者に課されるのはまずは指名戦です。現在のIBFランキングは1位にアヤラ、2位が空位で3位にアポリナリオ。アポリナリオは下がるだろうから、その次のランカーがオーダー・チャレンジャーです。
これがサニー・エドワーズ(イギリス)です。
サニーがまだこのフライ級で戦うならば、IBF王座返り咲きのチャンス。もしスーパーフライ級で戦うならば、その次の5位はフェリックス・アルバラード(ニカラグア)になります。
いずれにしろ、アンヘル・アヤラが本当の王者なのかどうなのかは、これから試されます。
今後のフライ級戦線も注目ですね。
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