アメリカ、ニューメキシコ州。
このニューメキシコ州のアルバカーキ出身のアンジェロ・レオが、IBF世界フェザー級王者、現在のところおそらくフェザー級で最も評価の高いルイス・アルベルト・ロペスに挑みます。
イギリスに単身乗り込みタイトルを奪ってきたロペスは、アウェーの地をものともしない心身ともにタフネスを持つ強い王者です。
しかし、レオのスタイルは比較的ロペスが嫌がるスタイルともいえ、レオにも大きくチャンスがあるような気がしています。
注目試合の多い8/10(日本時間8/11)、今回のブログはルイス「ベナド」ロペスvsアンジェロ・レオ、注目のIBF世界フェザー級タイトルマッチの観戦記です。
8/10(日本時間8/11)アメリカ・ニューメキシコ
IBF世界フェザー級タイトルマッチ
ルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)30勝(17KO)2敗
vs
アンジェロ・レオ(アメリカ)24勝(11KO)1敗
ロードウォリアーである王者、ルイス・アルベルト・ロペス。タフなキャリアを築いてきたこのメキシカンの今度の防衛戦の相手は、ヒスパニック系アメリカ人のアンジェロ・レオ。
ロペスにとってもこのアグレッシブネスとスタミナ、そして強いハートを持つチャレンジャーはかなり危険な相手だと思います。
レオが得意な距離で戦えば、ロペスは苦戦も必至。
パワーパンチャーかボリュームパンチャーか、両者共にメキシコ国旗で応援される戦いのゴング。
初回、まずはロペスが仕掛けます。序盤に強いロペスは先に仕掛けることでペースを握りたいところでしょう。レオはステップを踏みながらも反撃、ディフェンスだけでは終わりません。
このレオの戦い方ははかなり良い戦略だと思います。勢いがあるものの、やはり隙が大きなロペスに対して、やはりカウンターやリターンは非常に有効であり、それも足を使いながらのカウンターというのは非常に良い。勢い的にポイントはロペスに流れるのでしょうが、いずれにしろ前半をしのいでの後半勝負、というのが対ロペスの定石のように思います。
2R、レオは自ら攻めることもありますが、ロペスが攻めればディフェンスに集中。それも空振りを誘うかのようにステップで外します。
中盤、ロペスの右にレオのカウンター!若干動きが止まったように見えたロペスに、レオはチャージ!山場を作ります。
ロペスの右アッパーは非常に怖いですが、レオは一歳怯むことなく、ダブルジャブをお返し。終盤にも右カウンターを決めたレオ、この右は狙っています。
3R、前ラウンドを取られたという認識なのでしょう、ベナド・ロペスが激しいチャージ。この勢いのあるチャージにステップワークでエスケープするレオ、クリンチや体を押し付けて距離を潰すディフェンスも披露しています。
ベナドの打ちおわり、または打ち始めに放つ右のカウンターが良い。
4R、このラウンドは開始早々にレオがチャージ!ベナドをロープに押し込んでボディを乱打!
レオは徐々に本来のアグレッシブさを発揮し出してきており、この中でベナドの強打を警戒してのバックステップも取り入れています。そこから得意の近い距離へと詰めてショートのコンビネーション!ベナドはかなり空振りが多くなってきており、気持ちよくクリーンヒットを決めさせてもらえません。
体で押していくレオ、前半で差をつけたかったであろうロペスはかなりまずい状況ではないでしょうか。
5R、ESPNの非公式スコアが出ますが、3R以外は全てレオに振られています。これはこのようにしかポイントをつけようがないでしょう。
パンチスタッツはロペスが46/255、レオが79/198となっており、レオはディフェンスに重点を置いて戦っているだけに手数がいつもほどではありません。ただ、この戦い方は奏功しています。
ロペスのヒットが良くないのはレオの卓越したブロッキングによっており、ベナドのパワーパンチをひとしきり防いでから右のリターン、これを当てています。
このレオのオーバーハンド気味の右に対してロペスは大きくダック、背中を向けてしまうほどのものを繰り出しています。これは見栄えもあまり良くありません。
6R、大きく足を使うレオ、ベナドのパワーパンチが届くと逆に距離を詰めます。この戦法に対応できていないベナド、ラウンド後半にレオの右を浴びて大きくのけぞります。これは本格的にやばい。
レオは前に出るとパンチをもらいながらも前進、ロペスをロープに押し込むまでフィジカルと手数。
7R、もう半分が過ぎ、パンチスタッツはロペスが85/397、レオが128/318と差が出ています。
ロペスが前に出てくるとレオは下がりますが、詰められたとしてもロペスのパンチは単発なので躱すことができれば逆にチャンス。ロペスのフルスイングにレオが恐れを抱いていないことが一番大事なことであり、この勇気あるレオは戦略的なバックステップ、フットワークを使いこそすれ決して弱きになることはありません。
ロペスはバランスが悪く(もともと良くはない)、センスでダメージを逃してはいるもののちょっともらい方としては良くありません。
8R、ロペスは若干の焦りが見えるか、そのパンチはより大ぶりになっているようにも見えます。
これをインサイドから打ち返すレオ、非常に自信を持って戦っています。
9R、EPSNの非公式採点ではドロー。5-8Rでロペスが取り返したようなイメージ。ロペスの見栄えの良いパワーパンチがポイントになり、レオのパンチは当たっていない、という判定なのでしょう。個人的にはここまででレオの大差であり、ロペスはもう倒すしかないというところですが。
より大雑把になるロペスが強振、その後にレオが真っ直ぐのダブルジャブをヒット。近い距離ではレオがしっかりと頭を低くしたスタイル、ロペスも連打で返しますがこの距離ではロペスのパワーも半減です。
10R、クリンチの距離からの打撃戦。この距離で上体が立ってしまうロペスは明らかにこの距離は得意ではなく、レオはしっかりと重心を落としてボディから攻めます。
このクリンチ状態をレフェリーに解かれ、仕切り直し。この時何気なくロペスが放ったリードに対し、レオが左フック!!これでロペスは仰向けに倒れ、立ち上がれません!!!
レフェリーはストップ、アンジェロ・レオ、10R KOで新王者に!!
ちょっと集中力を欠いてしまっていたか、ベナド・ロペス。不用意に出した左、それに合わせたレオ。レオの左フックも力のこもったものではなかったように見えましたから、完全にロペスは備えていなかったのでしょう。
やはり勝負は後半というのが大事なポイントで、これまでもロペスが失速することが多かったのは集中力が続かなかったからなのかもしれません。
ともあれ、千載一遇のチャンスをものにしたアンジェロ・レオ。
スーパーバンタム級に続く2階級制覇で、見事IBF世界フェザー級王者となりました。
馬力はあるし、今回はボクシングの幅の広さ、作戦遂行能力の高さ、クレバネスも見せてくれました。
絶対王者ではないし、ロペスほどの強さがあるボクサーではありませんが、スーパーバンタム級時代のように猪突猛進ではなくなっており、崩しにくい王者となるかもしれません。
この階級でスティーブン・フルトン(アメリカ)との再戦もあるのか。
今後の戦いにも注目しましょう。
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