バージル・オルティスJrの世界初挑戦。
いよいよ、というかようやく、というか、決まっては延期となり続けた世界初挑戦は、結局スーパーウェルター級で、相手はセルヒー・ボハチュクで、そして、暫定タイトルです。
DAZNでは暫定王座決定戦となっていますが、暫定王座はボハチュクが獲得しているので、暫定タイトルマッチです。これって誰かチェックしてるんでしょうか。DAZNジャパンにはそれすらもわからない人しかいないのか。
ともあれ今回のブログは、セルヒー・ボハチュクvsバージル・オルティスJr、WBC世界スーパーウェルター級暫定タイトルマッチの観戦記です。
↓プレビュー記事
8/10(日本時間8/11)アメリカ・ラスベガス
WBC世界スーパーウェルター級暫定タイトルマッチ
セルヒー・ボハチュク(ウクライナ)24勝(23KO)1敗
vs
バージル・オルティスJr(アメリカ)21勝(21KO)無敗
チャレンジャー、オルテイスJrの入場の後、ボハチュクが不適な笑みで入場。
両者ともにオールドスクールのガウンを羽織り、非常に雰囲気がありますね。ボハチュクのガウンはウクライナカラー、オルティスはスパンコールと刺繍の入った、フードのないタイプのガウンです。
ボハチュクは言うまでもなく非常に強く、プレビュー記事でも書いたとおりオルティスが万全であったとしても50-50の戦いに見えます。オルティスにとって非常に危険を伴う世界初挑戦、ゴング。
初回、いきなりアクションは多めです。早々にボハチュクのジャブのうち終わりにオルティスの右クロスがヒット。オルティスの調子は良さそうで、キレのある動きを見せています。
中盤、ボハチュクがプレッシャーをかけ始め、ボハチュクが右を出したタイミングでオルティスがグローブをマットにつきます。タイミング的にはめちゃくちゃビビりましたが、これはスリップのようです。
その後、一気に距離が縮まり、打撃戦へと突入!オルティスもディフェンスが良い方ではないから被弾があり、ボハチュクも強いボディを幾度かもらっています。これはこの状態で最後まで行くのでしょうか。
エキサイティングな第一ラウンドが終了。
ここでオルティスがスリップした時のスロー映像が流れますが、当たっているように見えますね。
2R、ここもバチバチの打ち合い。オルティスの左ボディはよく、左フックからの右アッパーもヒット。ボハチュクは右を打ち下ろし気味に使ってオルティスの体勢を崩します。
最後はオルティスの右が入ったところでラウンドが終了。フォrースルーのしっかり効いたオルティスのパンチですが、ボハチュクは非常にタフですね。
3R、オルティスがガードを落として挑発。ボハチュクは相変わらずガードを上げてプレスをかけています。
やはり、とも言うべきなのか、パワーはウェルター級から上げてきて、難病を抱えているオルティスの方がありそうで、ヒットした時、ガードの上に当たった時のそれぞれの反応を見る感じ、オルティスの方に分がありそう。
さらにオルティスはボハチュクよりも攻撃的で、手数も多く見えます。
4R、ヘッドムーブの良いオルティスはボハチュクのパンチ、特にジャブとストレートをかわし始めています。ボハチュクはガッチリとガードを固めたポジションニング、こちらはもとより躱す気はなく、あり得ないほどのストロングスタイルです。
ボハチュクは非常にタフですが、このようにパワー勝負、フィジカル勝負で負けてしまう場合はどうするのでしょうか。本来はもっと引き出しがある(その出自から、そう勝手に推測している)はずですが、真っ向勝負を変える気はなさそうです。
5R、が、なかなか開始されません。何があったのでしょうか。
「1st roundのはknockdown」とレフェリーが説明していたのが聞こえます。なんとここで裁定が変更のようです。
さて、そうするとここまでのポイント的にオルティスは大きな余裕は無くなるものの、このままいけば勝利は固いような気がします。
ここも接近戦、押していくオルティス。細かく下がりながら、ポジションを変えて戦うボハチュク、このラウンドは結構ボハチュクのアッパー、打ち下ろしが当たっているように見えます。
しかしやっぱりインパクトがあるのはオルティス、強い右でボハチュクの体を泳がせます。
6R、オルティスが左のガードを落としていますが、ちょっとこれは危険ではないか。これまで幾度かボハチュクの右のショートを浴びているオルティス、この戦いに慣れてきたことによる過信にも見えます。
前ラウンドからオルティスのパワーにもコンビネーションにも慣れてきたように見えるボハチュク、オルティスのプレッシャーが弱まったのかこのラウンドはリング中央で戦っており、徐々に差がなくなってきているようなイメージです。
7R、中盤、ボハチュクの右をブロッキングしてからの左フックを変えしたオルティス。これは見事なヒットを生みますが、後半に入るとオルティスが攻め込む場面を作ります。
長い距離ではオルティスのジャブが有効なところもありますが、山場を作ったのはボハチュク、まあここも難しいラウンドですね。
8R、オルティスが左のアッパーをヒットすれば、ボハチュクも右のショートをヒット。共にヒットをうめばそこから後続打を繋げ、ここも打撃戦。
そんな中、ボハチュクの左フックに対してリターンを打ったオルティスが滑ってダウン。これはスリップダウンに見えましたが、ダウン裁定のようです。。。オルティスが打ってダウンしたように見えましたが。ちょっとスローを見たい。
ちょっとこれは不運で、オルティスもちょっと焦りが見えます。このクロスゲームの中で2つ目のダウンはかなりきつい。
オルティスは明らかに力んだパンチを繰り出し、荒々しくエキサイト。こうなると逆に上手くいかないことは常です。
スローではボハチュクの左が当たっており、そこで足が揃った、と見られてのダウンのようですね。その後の動きを見るとダメージはなさそうですが、これはやはりダウン裁定が妥当かもしれません。
9R、ここも頭をつけての打ち合いに臨むオルティス。顔面は鮮血に染まりますがその闘志は衰えるところを知りません。
ボハチュクもずっとインファイトですが、こちらは熱くなっている風はなく、かなり冷静にファイトしている印象。
後半、ボハチュクがワンツーをヒット、オルティスも強い右をヒットして譲らず。ものすごい大激闘ですが、ボハチュクのタフさといったらものすごいですね。あ、オルティスのタフさもですが。
10R、ここにきてボハチュクのプレスに対してオルティスが少しフットワークを使います。ただ、それは1分間も続かず、またも頭を押し付けあっての打撃戦です。
ここまでのパンチスタッツが出ますが、オルティス132/306、ボハチュク110/338、わずかにオルティス。
そういえば両者の間には全くといっていいほどクリンチはなく、頭と頭はゴツゴツとぶつかっていますがクリーンファイトです。
このラウンド中盤に再度ステップを使うオルティス、この間、ボハチュクの軽めのパンチを浴びています。やはり前に出た方が強そう。
後半に入るとオルティスは強いパンチをヒットして反撃、ボハチュクのガードの間隙をぬって右をヒットしています。
11R、ともすれば、この戦いは2つのチャンピオンシップラウンドが勝敗を決めてしまうかもしれません。
それがおそらくわかっているオルティスはゴングと同時に強い攻め、そしてその後は貰わないように最大限注意をしつつ、若干離れた距離でのボクシング。
ボハチュクが前に出てくるところへのボディジャブ、入り際にジャブで突き放す、良いボクシングです。そして自ら攻めてはワンツーをヒット、さらに右からの左フックでボハチュクに大きなダメージを与えます!
KOチャンス到来か、と言うところですがオルティスは呆れるほどタフ、そのガードを崩すことなく、その前進する気持ちは薄れることがありません!なんという、魂と魂のぶつかり合いの戦いでしょう。
ラストラウンドももちろん激しい打ち合いでスタート!オルティスの左で大きくバランスを崩したボハチュク、その後は中間距離でボハチュクが右をヒットするとオルティスの足はバタつく。
相変わらずパワフルなオルティス、相変わらずタフなボハチュク。
二人の素晴らしいファイターは、最後の最後までしっかりと打ち合い、あくまでも真正面からの力比べ。どちらがタフであり、どちらが良いパンチを持っているのか、それを交換し戦いは、36分間による壮絶な打ち合いをもって終了、決着はつかず。勝負は判定へ。
これはどっちが勝っていてもおかしくはありません。どころか、ドローもあり得ます。
大注目の判定は、113-113のドローが1人、114-112×2、2人がオルティス!!!バージル・オルティスJr、2-0の判定で見事新王者に!!
これはあり得る結末で、この判定はいずれにしろ物議を醸す可能性はあります。ボハチュクからすれば2度ダウンを奪っているから、納得はいかないかもしれません。ただ、全体的にパワーで押していたのはオルティスで、贔屓目なしに、どちらがより多くのラウンドを取ったか、と言われればオルティスなのだと思います。
いやはや、しかしそのコンディションを心配していましたが、全く心配はいりませんでした。バージル・オルティス、顔面にはかなりのダメージを感じますが、これは今までもあったことです。このボクサーはパンチをもらわないわけではなく、もらいつつも自分のパンチを当てることを最優先に考えるボクサーです。
さて、本来であればこれで正規王者、セバスチャン・フンドラ戦が待っているはずのオルティス。しかし、ここでチャチャを入れているのがトゥルキ・アラルシクであり、GBPと組んでオルティスをクロフォードに挑戦させるという流れもあるそうです。(カネロに振られたため)
アラルシクがマネーパワーで見たいカードを締結していく、というのは良いことかもしれませんが、少なくともルールは守ってほしいところですね。
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