8月末。
心はすでに9/3(火)の有明アリーナに飛んでいる人も多いのでしょう。
しかし、それにはまだ早い。
現地時間で8/31(土)、日本時間で9/1(日)に登場するディエゴ・パチェコ(アメリカ)を見逃してはいけません。
このパチェコは無敗のスーパーミドル級コンテンダーであり、すでにリングマガジンのスーパーミドル級ランキングで4位につけており、まだ23歳という若さです。
ジムメイトはデビッド・ベナビデス(アメリカ)、このボクサーがハイレベルな場所で揉まれてきたことは想像に難くありません。
ということで今回のブログは、このディエゴ・パチェコに試練の一戦、マシエ・スレッキ(ポーランド)戦をプレビュー。
8/31(日本時間9/1)アメリカ・カーソン
ディエゴ・パチェコ(アメリカ)21勝(17KO)無敗
vs
マシエ・スレッキ(ポーランド)32勝(12KO)2敗
ボクシングは重量級に行くほど選手寿命が長い傾向にあり、それはすなわち長く戦績を重ねなければ評価もされづらければチャンスも巡ってきません。
しかし、このディエゴ・パチェコという弱冠23歳のボクサーは、WBOのトップコンテンダーという位置におり、WBCとIBFでも4位につけているボクサーです。(WBAだけ13位)
それほどに彼の評価は高く、注目すべきボクサーなのです。
以前、ESPNが発表した25歳以下の注目ボクサーの中でも、ザンダー・ザヤスに続く5位につけており、今、このパチェコに注目が集まっています。
↓昨年末の記事ですね。
パチェコは当然アマ経験がありますが、アマチュアは早々に見切りをつけた感じでしょうか、17歳でプロデビュー。デビュー戦を初回KOで済ませ、2戦目を判定勝利、3戦目から6連続KO勝利とキャリア序盤からそのパンチャーぶりを見せつけています。
この頃のパチェコの相手は同じぐらいの戦績の相手が多く、パチェコはデビュー当初から優遇されていたボクサーではありません。
比較的戦績の良い相手との対戦も非常に多く、早々にプロスペクト同士がぶつかっています。これはアメリカでいう叩き上げの部類に近いのかも知れません。(とはいえパチェコはアマ時代からユースの国際大会には出ていますが)
2022年9月にWBCアメリカのスーパーミドル食うタイトルを獲得、続く2023年にWBOインターナショナルのタイトルを獲得。この2冠をしっかり防衛してきており、さほど急がずしっかりと足元を固めるキャリアのように見えます。このキャリアの積み方は日本人ぽい。
前戦では無敗のショーン・マッカルマン(アメリカ)に判定勝利、その前にはマルセロ・コセレス(アルゼンチン)、マヌエル・ガレゴス(メキシコ)といった好戦績のボクサーたちをしっかりとノックアウト。
身長193cm、リーチ201cmというスーパーミドル級では破格のリーチを誇るパチェコですが、異形には見えず、非常にしっかりしたボクシングスタイル。この「異形に見えない」のはミソで、ここまで体格に恵まれてはいるもののそうは見えない、だからこそ相手は距離を見誤ることもあるのだと思います。
細身には見えますが、土台がしっかりしており、コンビネーションも打てるししっかりとしたパワーパンチも打てる、とにかくバランスが良いオールラウンダーだと思います。
非常にハイレベルなこのディエゴ・パチェコ、まだ世界のトップボクサーとの対戦はないものの、今後パチェコに負けたボクサーたちが台頭してくる可能性はある、ぐらいのイメージ。
そんな23歳のパチェコの相手は大ベテラン、マシエ・スレッキ。35歳ということはひとまわり違います。
わずかに2敗は2018年のダニエル・ジェイコブス(アメリカ)戦、デメトリアス・アンドラーデ(アメリカ)戦。いずれも判定負けというタフなボクサーです。
ポーランドという国は格闘技としてはMMAとキックボクシングが人気らしい。ただ、MMAは見る人が多いがやる人が少なく、多くはフィットネスも含めてキックボクシングをやる人が多いらしいです。ボクシングはさほど人気はない。
その中で言えば、やはりこのスレッキはキック出身ではなく、純粋なボクサーではないか、と思います。(知らんけど)
その理由は、非常に回転力のあるコンビネーション。
東欧のボクサーたちはフィジカルに優れるボクサーが多いようなイメージがありますが、スレッキは止まらないステップワークでアングルを常に変えることができ、右のダブルトリプル、左のダブルトリプルと様々なパンチを出していきます。あまりパワーがある方ではないものの、この回転力と機動力は非常に厄介でしょう。
それでも35歳、きっと衰えもあるでしょう。
パチェコは、このジェイコブスとアンドラーデが倒せなかったスレッキを倒す必要があります。この階級で戦う限り、目指す場所は一つだからです。
カネロ・ダービー
あと2週間後、カネロ・アルバレスはエドガー・ベルランガと対戦します。
おそらくプライムタイムを過ぎてしまったカネロは、比較的楽で、それでも大金を埋めそうなファイターをピックアップするのです。それには、カネロに対してある程度の期待を抱かせるパフォーマンスが必要です。
ここでパチェコがスレッキにストップ勝ちを納めれば、そのカネロ・ダービーというレースでトップに立てる可能性があります。
このカネロ・ダービーに出走しているのは、クリスチャン・ムビリ(フランス)、ウィリアム・スカル(キューバ)、ウラディミール・シシキン(ロシア)もそうかもしれません。
このダービーを過去に取ったのはハイメ・ムンギア(メキシコ)であり、ベルランガです。
スーパーミドル級は無敗のボクサーだらけ、その中にデビッド・ベナビデス(アメリカ)はもういません。
あまりにも無名のボクサーだと、流石に批判されてしまうカネロは、当然ベルランガの次の相手を求めます。次はおそらく、来年の5月。
↓半年以上前ですが、スーパーミドル級ランキング
オスレイ・イグレシアス(キューバ)は危険すぎるし、レスター・マルティネス(グァテマラ)、ベクテミル・メリクジエフ(ウズベキスタン)は知名度不足。
ウィリアム・スカルとウラディミール・シシキンも知名度は不足していますが、この二人はカネロが剥奪されたIBF王座を争う予定でおり、この勝者はIBF王者となる分、カネロがもう一度4団体統一に舵を切る可能性は否定できるものではありません。
クリスチャン・ムビリこそこの階級のトップボクサーであると思われますが、カネロは危険に感じるかもしれませんし、前戦でムビリは片手しか使えなかったデレビヤンチェンコをストップできなかったことは、カネロにとって良しと映るのかどうなのか、というところです。
ディエゴ・パチェコは人気もあり、知名度もあり、うってつけかもしれません。唯一は、やはり知名度のあるボクサーに勝利していない、というところなので、スレッキ戦は大チャンスといえます。
パチェコは良い勝ち方をして、カネロ戦に繋げられるか。注目の一線ですね。
アンダーカードと配信情報
セミファイナルはエドゥアルド・ヌニェス(メキシコ)vsミゲル・マリアガ(コロンビア)。元タイトルチャレンジャーのマリアガもここ5戦で2勝3敗、負けが混んできています。
ここはヌニェスの格付けファイトという意味合いが大きそうです。
意外にもヌニェスはメキシコ国外での初ファイト、USデビューです。26勝(全KO)1敗のヌニェス、アメリカでインパクトを残せるか。
他にクルーザー級ファイトでシェボン・クラーク(イギリス)vsエフェトボール・アポチ(ナイジェリア)、女子のスーパーフライ級暫定王座戦でアデライダ・ルイス(アメリカ)vsジニー・フックス(アメリカ)。このフックスは東京五輪に出場したオリンピアンで、わずか4戦目でのタイトル挑戦です。
この興行はDAZNでライブ配信、配信開始は日本時間で9/1(日)8:30〜。メインはお昼頃の予定です。
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