9月の第一土曜日は、ダイナミックグローブ。
海外ではホセ・セペダvsイバン・レドカッチがあり、フィリピンでマーロン・タパレスvsサウラブ・クマール、そしてオーストラリアでノックアウト・CPフレッシュマートvsアレックス・ウィンウッドのWBA世界ミニマム級タイトルマッチなんてのもありますね。
めちゃくちゃ楽しみだ!という試合は正直ないのですが、今後を考えると最も注目すべきなのは、ダイナミックグローブのタイトル戦2戦を除外すると、WBA世界ミニマム級タイトルマッチです。
ということで今回のブログは、ここからのタイトルショット、そのニュースについて。
WBA世界ミニマム級タイトル戦の「NEXT」
24勝(9KO)無敗という戦績を持つノックアウト・CPフレッシュマート(タイ)は、今やミニマム級の安定王者です。
もう何回防衛したんだっけ、と思ってBoxRecを開いたらWBAのタイトル戦は全て消えてしまっていたのだ、と思い出し、ボクシング選手名鑑さんへ。もう、15度の防衛を果たしているらしい。
そして対戦相手は4勝(2KO)無敗というわずかな戦績しか持たない、アレックス・ウィンウッド(オーストラリア)。
絶対的安定王者のノックアウトですが、今回は自身のキャリアで2度目のタイ国外の試合、というところが不安材料になり得るのかもしれません。ウィンウッドがどれほどのものかはわかりませんが、果たして「オーストラリア7プラス」という、聞き覚えのないプラットフォームで放映されるこの試合を見る術はなさそうです。
タイの試合だったらYoutubeで垂れ流ししてくれるのに。
ともあれ、興味深いのは、この勝者にはWBAの指名戦が待っている、ということです。
指名戦の相手は、リオ五輪、パリ五輪で金メダルを獲得した、ハサンボーイ・ダスマトフ(ウズベキスタン)。東京五輪には階級の壁があって出場できなかったダスマトフは、パリ五輪に出場し、男子7階級中5階級を制覇するという偉業を成し遂げたウズベキスタンチームのリーダー格のボクサーです。
2つの金メダルを引っ提げ、いよいよ世界タイトルに挑みます。
過去、すでに指名戦をオーダーされましたが、ダスマトフはパリ五輪に参加を理由としてこれを辞退、それでも状況を鑑みてWBAはダスマトフのランキングを下げませんでした。これはWBAにとって、100年に1度くらいのナイス判断だと思います。
おそらくこの指名戦は来年くらいでしょうか。
そして何と言っても、そのダスマトフに続いて2位につけるのは、我らが高田勇仁(ライオンズ)。
重岡兄弟が立て続けに陥落してしまった今、次のタイトルチャレンジャーは高田であるべきです。ミニマム級が非常に面白くなってきました。
あ、ちなみに重岡優大(ワタナベ)を破ったメルビン・ジェルサェム(フィリピン)は、9/22にフィリピンで防衛戦だそうです。相手はルイス・カスティーリョ(メキシコ)、指名戦ですね。
11/16(日本時間11/17)ラティーノ・ナイト
GBP、オスカー・デ・ラ・ホーヤがトゥルキ・アラルシクと組んで行う、リヤドシーズン「ラティーノ・ナイト」。このメインイベントは、WBO世界クルーザー級王者、クリス・ビラム=スミス(イギリス)と、WBA世界クルーザー級王者、ヒルベルト「スルド」ラミレス(メキシコ)、この二人の王座統一戦だそうです。(ステータスは現在交渉中)
本来であれば、ラミレスには指名挑戦者、ユニエル・ドルティコス(キューバ)がいたのですが、ドルティコスは待機料を支払うとあっさりと退散、この王座統一戦が実現に向かったようです。
さすがリヤドシーズン、というお金の使い方をしているのでしょうから、この戦いも間も無く決まるはずです。
最も興味深いのは、このリヤド・シーズンとGBPの興行は、PPVイベントではない、とのこと。
ゲート収入だけで王座統一戦(しかも人気のスルドのファイトマネーを含む)を捻出するのは困難でしょうから、これはアラルシクの力(カネ)によるものが大きいのでしょう。
これにより、PPVファイトを失くせというのが主流になれば面白い。
そんな意味でも、注目の工業ですね。
続・非PPVファイトの注目試合
ようやく、北米Amazonプライムのボクシングシリーズの無料放送が開始されます。今度こそ、です。
本来は8月の後半に行われる予定だったケイレブ・プラントvsトレバー・マッカンビーが最初だったのすが、マッカンビー負傷によりこの試合は流れ、結局AmazonのPPVファイトであるカネロvsベルランガのアンダーカードにセット。
仕切り直しのAmazonプライムのPBCファイト、無料枠として開催されるのは、バフラム・ムルタザリエフ(ロシア)vsティム・チュー(オーストラリア)によるIBF世界スーパーウェルター級タイトルマッチをメインに据えた興行です。
チューは北米Amazonの第一弾興行(PPV)でメインを務めたボクサーで、無料放送の第一弾でもメインイベントを務めることになりますね。
その第一弾興行でセバスチャン・フンドラ(アメリカ)と対戦したチューは大きな傷を負い、しかもフンドラに上手く戦われ、まさかの敗戦を喫しています。
仕切り直してここからこの階級ナンバーワンを証明せんとするレジェンドの息子は、非常にオーセンティックなストロングスタイルを持つ個人的に大好きなスタイルのボクサーです。
ムルタザリエフはこれまた強いボクサーですが、チューの勝利を望みます。
この戦いは10/19(日本時間10/20)、場所はアメリカのフロリダ州で行われます。
さて、問題はこの非PPVファイト、普通のPBCファイトをどこが放映してくれるのか、です。
Amazonジャパンに頑張ってもらいたいですが、それがダメならWOWOWさんにお願いしたい。今後もきっとこのAmazon無料興行は増えていくでしょうから、どこかに安定したプラットフォームが欲しいですね。
ノーリミットがやった!
さて、ティム・チューをいつもプロモートしているのはノーリミット・ボクシングというプロモーション会社ですが、現在ボクシング黄金期を迎えているオーストラリアは絶好調のようです。
ノーリミット・ボクシングがこの度、IBF世界ミドル級タイトルマッチ、ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)vsアンドレイ・ミハイロビッチ(ニュージーランド)の入札でトップランクに勝利、ななな、なんとこの試合はニュージーランドかオーストラリアで行われることになりそうです。
そもそもこの試合は7月、アメリカで行われる予定でしたが、アリムハヌリが脱水症状で入院、試合はご破算。階級を上げるかと思ったアリムハヌリは、この階級に留まることを明言し、再度この試合が入札となったのです。
ここでノーリミット・ボクシングがトップランクよりも大きな金額を提示した、というのは本当に驚きで、ミハイロビッチは今でこそ国籍がニュージーランドとなっていますが、出身はロシア。我々のような日本人が言うには、いわゆる「ガイジン」枠です。
そこにミドル級タイトルマッチの入札に勝てるほどの金額を出す、と言うのは、日本人のプロモーターたちがなかなかできることではありません。
アリムハヌリとしてはショックでしょう。言い方は悪いですが、オーストラリアのプロモーター「ごとき」にトップランクが後ろ盾となっているボクサーが入札で負けた、と言うのは、トップランク側としてもアリムハヌリにさほど期待を抱いていない、という捉え方もできます。
さて、このショッキングな経験をしたアリムハヌリには選択肢があります。
一つはもちろん現在保持しているWBOとIBFタイトルを持って海を渡り、オセアニアの地域に乗り込むのか。
そしてもう一つは、(今回はIBFの指名戦の入札だったので)IBF王座を放棄し、WBO王者として別の場所で防衛戦を行うのか。
アリムハヌリはかねてより統一路線を望んでいるので、本来であればここでIBF王座を手放すことは考えられません。
ただ、このように「トップランクがあまりお金をかけてくれない」という状態のアリムハヌリでは、王座統一というのは非常に難しいのではないか、とも思います。
なのでもしかするとこの試合の後、トップランクを離れることも考えられますね。
一時期はGGGの後継者、とも言われたアリムハヌリですが、個人的には強さも人格もGGGと比べられるほどではなく。アリムハヌリの明日はどっちだ。
エスピノサvsラミレス2
フェザー級最強とも腐れていたルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)がアンジェロ・レオ(アメリカ)にアップセットで敗れてから約1ヶ月。
↓観戦記
混沌とした戦国時代にあったフェザー級が、落ち着こうか、というところでまた戦国に逆戻り、混沌の時代に再突入です。
こういう状態の方が、例えば井上尚弥が上がった時には具合が良い、とも思います。
そんなフェザー級で、一つの大きな戦いがオーダーされました。
WBO世界フェザー級タイトルマッチ、ラファエル・エスピノサ(メキシコ)vsロベイシー・ラミレス(キューバ)です。
2023年12月、当時WBO王者だったラミレスに挑んだエスピノサは、倒し倒されの試合を演じ、見事判定勝利。当時のラミレスは全くのノーマークで、ランキングも下位であり、ビッグアップセットを演じて見せました。
エスピノサは初防衛戦でセルヒオ「チリノ」サンチェス(メキシコ)を難なく退け、ラミレスはブランドン・ベニテス(メキシコ)に圧勝しています。
前戦ではおそらく油断もあったであろうラミレスですが、エスピノサは王者となったことで自信をつけています。
この戦いは50-50に近い戦いであり、非常に楽しみな再戦です。
エスピノサはサンファープロモーション、ラミレスはトップランクですが、この2つのプロモーション会社はそもそも協力関係にあるから、当然決まらないなんてことはありません。
しかも、今回は指名試合です。
入札、というふうになっているので、一応アメリカでやるのかメキシコでやるのか、という感じでしょうか。例えこれがトップランクが入札に勝利してアメリカになったとしても、さほどエスピノサのディスアドバンテージはなさそうです。
このクソ楽しみな試合は、入札期限が9/19、そして試合は12/9までに行われるようです。試合の期限はズレることもままありますが、年内か、年明け早々には見れそうです。
噂では12/7(日本時間12/8)のエマニュエル・ナバレッテvsオスカー・バルデスのアンダーに組み込まれる予定だとか。
ということで様々なタイトルショットが続々と出てきた1週間でしたね。
今後もボクシングを楽しみましょう。
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