もう週末のボクシングとしては十分過ぎるほどの試合を見て、十分過ぎるほど感動して、十分過ぎるほど切ない気持ちになりました。
しかしそれでも、ボクシングファンとしては見なければいけません。見る側にとっても非常に過酷な競技です。
気持ちを新たに14日、大注目は中谷潤人のパフォーマンスに加え、アンソニー・オラスクアガが1階級下の元王者、ジョナサン「ボンバ」ゴンサレスを迎える一戦です。
ということで今回のブログは、オラスクアガvsゴンサレス、田中恒成vsプレメメ・カフの観戦記。
⇩前日の観戦記
⇩ついでにベテルビエフvsビボルの観戦記
⇩さらについでにノンシンガvs矢吹の観戦記
10/14(月・祝)Prime Video Boxing
WBO世界フライ級タイトルマッチ
アンソニー・オラスクアガ(アメリカ)7勝(5KO)1敗
vs
ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)28勝(14KO)3敗1分
寺地拳四朗は、フライ級にあげたディスアドバンテージを全く感じさせない、素晴らしい戦いぶりを披露しました。では、「ボンバ」ゴンサレスはどうか。
通常大きくフットワークを使ってくるゴンサレスに対し、どのようにオラスクアガは対応するのか。王座戴冠戦は対戦相手の質的に評価の上がる相手ではなかったオラスクアガの真価が問われる一戦でもあります。
さて、ゴング。
初回から強いプレスのオラスクアガ。左右のフックを振り回していきます。若干の力みがあるような気もしますが、こんなものでしょうか。
ゴンサレスは下がりながらのカウンター狙い、早々に右フックのタイミングは合っているように思い、それを食らったオラスクアガの足元がちょっとふらりとするのは滑るからなのか。
力一杯パンチを振るうオラスクアガは怖さがあるボクサーですが、早々にバッティングでゴンサレスが左目付近をカット。これはかなり嫌な場所ですね。
再開後、チャージのオラスクアガ、ゴンサレスはちょっと集中力が切れていそうな感じ。
ここでレフェリーが何事かをゴンサレスに話しかけ、即刻ストップを宣告。これは致し方がないとはいえ、ちょっとなんとも。。。。
初回、偶然のバッティングということでノーコンテスト。日本のルールでは引き分けか。
こんなことを言ってはいけませんが、ゴンサレスはすでに血が止まっており、できたんじゃないかとか思ったりしてしまいます。。。いや、そんなことを言ってはいけません。
わざわざプエルトリコから、そしてアメリカから日本のリングに立ち、3分も戦うことができないのは本当に気の毒。
これはダイレクトリマッチとなるのでしょうが、この影響がオラスクアガに対戦要求をしていた矢吹正道に降りかかってしまうのはまた辛い。
ちなみにこの初回で終わってしまったファイトの穴埋め時間は、ESPNでは昔の試合を放送。アリvsスピンクスとか、トミー・モリソンvsマイケル・ベントとか、ドナルド・カリーvsロイド・ハニーガム等、アップセットランキングみたいなやつですかね。
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
田中恒成(畑中)20勝(11KO)1敗
vs
プメレレ・カフ(南アフリカ)10勝(8KO)無敗3分
さて、この2日間の興行を通して最も謎のボクサーである、プメレレ・カフ。パープルに統一したコンセプトはなかなか決まっており、雰囲気のあるボクサーですね。
田中恒成はスタジャン風のガウン、そしてグローブはWBCかってぐらいの見事なグリーンカラー。グローブはサポートを受けるアデダスですね。
The Truth、「本物」というニックネームを持つカフ。引き分けは多いですが、KO率も高く、身体能力オバケかもしれませんね。
初回、まずはリング中央での睨み合い。結構遠い距離で向かい合い、先にフェイントで仕掛けるのは田中。
まずはカフの強打を警戒か、これは踏み込んでも当たる距離ではなく、互いに踏み込んで当たる距離です。
中盤、少々距離を詰めた田中は積極的にジャブからワンツー。カフもなかなか速いですが、田中はその一段速い。TANAKAはアメリカ人にとってちょっと言いづらいのか、ニコ・アリも気合を入れて発言しているように思います。
終盤に右ボディをヒットした田中、この初回は両者ほぼクリーンヒットはないですが、田中の攻勢点を買うべきでしょう。
2R、カフの攻撃に対してしっかりと距離でのデイフェンスを見せる田中。そしてリターンのジャブは良い。
ただ、右ガードが若干オープンになるという癖はまだ相変わらずなのか、カフの左フックもヒットしています。
左フックの相打ちも危ないタイミング、カフは流れの中でカウンターを取れるタイプ、この左フックは気をつけたい。特に、田中の方から打ち込んだ時。
後半、カフは上体を柔らかく使ってプレス。田中は速いコンビネーションで対抗。
3R、カフはおそらく左フックはサンデーパンチ。この左フックを田中はしっかりとブロッキングできてきました。
速いジャブで攻め込み、すぐさまバックステップで花譜の左フックは空転。田中の左ボディのリターンでも左フックを振るうカフですが、これも当たらず。
うち終わりのケアに気を配っている田中、同時打ちのカウンターと素早いリターンを狙いつつ、寡婦にプレッシャーをかけていきます。徐々にペースを掴みかけてきたか。
4R、元々のガードポジションが良いカフですが、ジャブで攻め込んでくる時は若干ガードがオープン気味。左フックの時はちゃんと右手をあげています。
田中は良い距離感を保ち、絶妙にカフがアタrない距離でのボクシングです。強く攻め入った時も大きくボディムーブ、カフの左フックは完全に空振りさせ、左ボディを突き刺します。
明らかに押されているカフはロープを背負ったボクシング、相変わらずフックの振りは鋭い。終盤、ダックした田中にこの左フックがヒット、若干田中はバランスを崩すも、すぐに立て直しています。
5R、ジャブの差し合い、この距離で田中はダックしての左アッパーをヒット。カフは明らかにフッカーですが、接近戦が得意というわけでもなさそうです。
田中は素晴らしいジャブを幾度もカフにヒット、近づいてはボディムーブで空転させる展開。
しかし中盤、田中が右ボディから左アッパーを返したところにカフの右ストレートがヒット!!!田中はダウン!!
これはダメージがありそう。。。!!
立ち上がった田中、カフは強い右を振るって襲いかかります!!ここはしっかりエスケープしたい田中、足はまだ生きています!
丁寧にジャブを突き、ブロッキングの田中。カフは思った以上には出てきません。なんとか命拾いしてこのラウンドを終えています。
6R、ジャブで立て直しを図る田中、カフは自信を持ってクラウチングでプレス。右のボディも多用しつつ、狙うのは右のカーブ気味のストレートか。
前ラウンドのダメージもあるか、カフの左フックを浴びる田中。その後右、左とフォローしてくるカフに対して、強気でショートを打ち返して反撃。危険な距離ですが、ここに活路を見出せるか。後半には田中の左ボディでカフが若干下がったようにも見えました。
7R、接近戦を仕掛ける田中、これにカフも受けて立ちます。一発のパワーはカフか、それでも的確性と回転力は圧倒的に田中。左のボディショットは特によく、中盤に入るとカフは後退!これは明らかにボディへのダメージによるものです!
右ボディもヒットした田中、カフは目に見えて手数が減っています。ボディへ気がいき、パンチを出せません!
スローダウンしたカフ、田中は良いように攻めれていますが、そのうち終わりにカフの巻き込むような右、得意の左フックを喰わないように注意したい。
8R、ダメージからは完全復活したように見える田中、速い出入りのボクシングを披露した後、中盤には接近戦。ボディを叩き、上へ返し、カフの右を浴びながらも攻撃姿勢を崩しません。
カフの手数も前ラウンドよりは復活しており、この距離で危険極まりない。左フックをダックして躱した後のカフの右は超危険です。
9R、田中がカフの右のうち終わりに左フック、カフも田中のジャブに合わせて右クロス。打撃戦の展開は、互いのパンチが当たる危険なもの。
やはりカフはパワーに優れ、田中はスピードと回転力に優れます。
下がるのはカフ、若干距離が欲しいか。カフも良いジャブを当ててきています。
10R、グイッと距離を詰め、カフの強打を耐えてリターンの田中。少し距離が空くとカフの多彩なアングルのパンチが飛んできて、このラウンドもジャブフックを被弾します。
被弾しつつもパンチはしっかり見えているか、ダメージを感じさせない田中は強いプレスで体を寄せていき、左右のボディ。
11R、ポイントはどちらに、というのはもはやわかりません。田中は距離を詰めて細かいジャブ、右アッパーのダブル。カフは下がりながらも強打を打ち返してきており、こちらもアングルは多彩です。
田中のスピードにも慣れたカフは田中のジャブに右クロスを合わせます。
田中はサイドへのポジションチェンジから軽めのパンチで攻め込みますが、ちょっと回転力は落ちているか。
ラストラウンド、カフも頑張って手数を出してきます。それ以上に手をだす田中、カフの強打は至近距離でうまく空振りさせ、コンパクトなパンチをヒットさせているように見えます。
ここでもボディを狙う田中、旺盛な手数で攻め入り、カフを下がらせます!
たまらずクリンチに逃げるカフ、しかし一瞬休んだ後は強打を打ち返す意地を見せ、田中もしっかりチャージ!終盤に田中は右をヒット、あと1分あれば。。。と思うところでラウンドが終了しています。
3連休のうち、もう何度目かの「What a Fight!」は判定へ。
判定は、114-113カフ、114-113田中、114-113カフ、2-1のスプリット判定でプメレレ・カフ!!
ノックダウンの差、でした。
プメレレ・カフ、想像以上に素晴らしいファイターでしたね。思った以上のハードパンチを持っているのでしょう。
最後まで気持ちを切らさずに戦ったカフ、田中は本当に惜しかった。ここは勝ち切ってくれると信じていたので、ショックですね。。。
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