いよいよ本日発表された、クリスマス決戦。
すでにいくつもの情報がリークされ、井上尚弥の相手はサム・グッドマンであることは明らかでしたが、武居由樹の対戦相手はちゃんと情報が守られていました。逆に言えば、情報が守られるレベルの相手だった、とも言えなくはありません。
ということで今回のブログは本日正式発表されたLemino興行について。
12/24(火)
世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチ
井上尚弥(大橋)28勝(25KO)無敗
vs
サム・グッドマン(オーストラリア)19勝(8KO)無敗
この試合の勝敗自体に興味を引くことは正直あまりないかもしれません。
サム・グッドマンはよくまとまったボクサーであり、おそらく想像以上にアグレッシブで、ボクサーとしての矜持に溢れたボクサーです。
オーストラリアのニュー・サウス・ウェールズ出身のアングロ・ケルト系の白人で、169cmのスーパーバンタム級はKO率も低くはありません。
素晴らしいジャブを持ち、回転力もあるコンビネーションパンチャーで、ディフェンスポジションもしっかりとしており、まるで同国のジェイソン・マロニーを思わせるボクシングです。このオーセンティックなボクシングはオーストラリアのスタンダードなのでしょうから、おそらく美しいボクシングが好きな日本のファンも好むところだとも思います。
そのキャリアにおいても、自国オーストラリアを出ていないとはいえ、国内タイトルを獲り、WBOやIBFの下部タイトルを獲り、元世界王者を降してから挑戦者決定戦に勝利する、という非常に王道を歩んできたボクサーで、階段を1段ずつ登ってきた本物のボクサーです。
ただ、井上尚弥の対戦相手としてはあまりにもパワーレスであり、バランスの良さ、ある一定のパワーとスピード、コンビネーションを持つものの、やはり突き抜けた武器がない、というのはマロニー同様に痛いところです。
アグレッシブで、プレッシャーをかけるのが好きなグッドマンは、あまり下がりません。このスタイルで井上尚弥に突っかかっていったら、即刻カウンターでアウトだと思ってしまうのは私だけではないでしょう。
かといってサークリングしてカウンターを狙う、というスタイルにしたとしても、慣れない戦い方であり、さらに1発を持っていないグッドマンではジリ貧となるのは確実。ずる賢さがなく、クリーンなファイトをするサム・グッドマンはその名前の通り良いボクサーですが、ただただ基本に忠実にディフェンスに徹するという展開になってしまっては勝利を手にすることはできません。
結局のところ、自らの得意を押し通す他ないように思えるグッドマンは、一体どんな戦法でこの稀代の王者を攻略しにかかるのでしょうか。唯一、体格に優れるグッドマンが、想像以上にパワフルで、想像以上に対応力があり、想像以上にタフネスを持っている、そんなのがあれば、もしかしたら食い下がれるかもしれません。
グッドマンは攻め込む時にガードが下がる癖もあるので、井上のカウンターには要注意。というか、完全に狙われるでしょう。
⇩2022年5月には、富施郁弥(ワタナベ)にカウンターでダウンを奪われています(3R)
Sam Goodman vs Fumiya Fuse (11-05-2022) Full Fight - video Dailymotion
⇩元世界王者、TJドヘニーを下すも、この頃のドヘニーは大復活前なのであまり元気がありません。この後、中嶋一輝、ジャフェスリー・ラミドをアップセットで破り、自信を取り戻したのでしょう。
https://www.youtube.com/watch?v=5ghVoLf58PE
最大の勝利はライース・アリーム(アメリカ)戦であり、この完勝には非常に驚きましたね。スプリットの判定勝利ではありましたが、はっきりいって内容的には完勝と呼べるものだったと思います。
⇩観戦記
とはいえ、サム・グッドマンは無敗のボクサーであり、WBOとIBFの指名挑戦権を持っている、現在最高のスーパーバンタム級コンテンダーです。無敗=底を見せていない、ということでもありますから、ここは熱戦に期待しましょう。
WBO世界バンタム級タイトルマッチ
武居由樹(大橋)10勝(8KO)無敗
vs
TBA
武居由樹は前戦で比嘉大吾(志成)に辛勝、2度目の防衛戦を迎えます。同じ時期にタイトルを獲得した西田凌佑(六島)はまだ初防衛戦も行えていませんが、大丈夫なんでしょうか。
ともあれ、10/24の会見の最大の注目は、「武居由樹は一体誰と戦うのか」ということでした。少なくとも、私は。
それが何とも肩透かし、ステータスは「交渉中」。まあ、仕方ない。井上尚弥の相手がもっと名の知れたボクサー(スーパーバンタム級にはすでにいないですが)だったらここにわざわざ「武居も出ます」と言わなくてもチケットは売れたのかもしれませんが、そうはいかなかったのでしょう。
まだ対戦相手が発表できるほど詰めきれなかった、おそらく契約一歩手前ぐらい迄はいっているのでしょうし、AさんがダメならBさん、みたいに代わりも用意しているのでしょうから、もう少し待ちましょう。
ジェイソン・マロニー、比嘉大吾ときた武居由樹は、2025年にビッグファイトを控えている存在。こういう場合、途中で負けてしまう可能性が出てきてしまうのがボクシングの常ですから、たとえどんな相手でも興味深い。
全然楽な相手(なんていないとは思うが)で良い、と思います。
会見で言ってたかどうかわからないのですが、アンダーカードもまた興味深い戦いだらけ。
アンダーカード
OPBF・WBOアジアパシフィック・ウェルター級タイトルマッチ
佐々木尽(八王子中屋)vs坂井祥紀(横浜光)
Lemino常連の佐々木がベテランの元日本王者、坂井を迎えて防衛戦。佐々木の前戦の相手、カミル・バラ(オーストラリア)よりは全然良い対戦相手ですが、世界上位ランカーの佐々木にはもっと世界につながる試合を期待したい。日本で対戦相手を見つける、日本に対戦相手を呼んでくる、はもう難しい時期に来ているのではないでしょうか。
60kg契約10回戦
奈良井翼(RK蒲田)vs渡邊海(ライオンズ)
これは本当にどっちが勝つのかわからない試合。どちらも鮮烈なノックアウトを決めるノックアウトパンチャーであり、かといってそんな目を見張るような試合ばかりではない、非常に微妙な試合もいくつか経験している両者。
自分の思い通りに動けたら、奈良井は原優奈(真正)を打ち倒したようなボクシングができるし、渡邊は前戦で鈴木稔弘(志成)を初回KOしたようなボクシングができます。
勝負は一瞬でつきそうで、本当に瞬き厳禁。
ちなみに奈良井がスーパーフェザー級の日本王者、渡邊が同級のWBOアジアパシフィック王者ですが、60kg契約のノンタイトル戦のようですね。
日本スーパーバンタム級タイトルマッチ
下町俊貴(グリーンツダ)vs平野岬(三松スポーツ)
こちらもLemino常連の下町。前戦に続き、井上尚弥のアンダーカードに登場です。この流れで井上が返上した後の世界王座に挑戦できるのであれば、フェニックスバトルに出場する大きな恩恵です。
対戦相手は2022年の全日本新人王、平野岬。福岡県という地方ジムから、安定王者に挑む心意気や良し。しかもこの大舞台。挑戦者の実力は3割り増し、と言いますが、平野には5割り増しくらいで仕上げてきてもらいたい。
WBOアジアパシフィック・ミニマム級タイトルマッチ
小林豪己(真正)vs高田勇仁(ライオンズ)
元日本王者、高田勇仁のステップアップファイト、今度はアジアタイトルです。気持ちが良いほどのファイターである高田は、ここ2-3年の間、キャリア序盤の幾つもの敗北を補ってあまりあるパフォーマンスを披露しています。そのアグレッシブなファイトは昭和の拳闘家、と呼ぶに相応しく、ライオンズジムでは渡邊海とともにツートップという存在です。
対して小林豪己、非常に巧さのあるボクサーで、バランス、距離感が素晴らしい。この距離を高田がプレッシャーで潰せるか、という勝負。ただ、小林はパワーもあり、カウンターもあるのでややディフェンスの甘い高田が不利、でしょうか。
高田勇仁に頑張ってもらいたい。
Leminoがすごい!
井上尚弥というキラーコンテンツを持っているLemino、東京ドーム決戦こそアマプラに譲りはしたものの、Leminoは本当によく頑張ってくれています。まだ井上尚弥後、さっさと撤退してしまわないか心配ではありますが。
ともあれ、今、Leminoプレミアムでは武居由樹vs比嘉大吾、井上尚弥vs TJドヘニーを振り返る企画が放映中。見逃し配信が11の上旬までなので、これは見た方が良い。特に武居vs比嘉の振り返りに関しては、戦った両者とトレーナーがその戦いを語る、というとんでもない企画です。
ぜひ視聴してください。
⇩Leminoプレミアムはこちらから
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