2024年、バンタム級の世界王座が全て日本に来た、というかつてない出来事が起こりました。
WBA王座は王座交代劇こそあったものの、そのタイトルは日本のライバル対決におけるものであり、国外への移動は無し。
そして12月、今年最後となるバンタム級の防衛戦が2つ出来上がり、これを王者が防衛すれば無事に「日本人がバンタム級を4団体制覇」という状態で年を越すことになります。
ということで今回のブログは、いよいよ正式発表となった武居由樹の対戦相手、そしてその1週間ほど前に行われるIBF王者、西田凌佑の防衛戦について。
12/15(日)大阪・住吉スポーツセンター
IBF世界バンタム級タイトルマッチ
西田凌佑(六島)9勝(2KO)無敗
vs
アンチャイ・ドンスア(タイ)16勝(7KO)無敗
当時最高の評価を得ていたバンタムの1人、エマニュエル・ロドリゲスをアップセットで破り、見事IBF世界バンタム級王者となった西田凌佑。
日本人が「挑戦者」としてリングに上がったいくつかの試合のうち、当然勝率は低い方だった、にもかかわらず、ダウンを奪っての素晴らしい勝利でした。
その勝利から約半年、王座獲得直後は転級も匂わせた西田は、バンタム級に落ち着くことを宣言。他の王者たちが防衛を重ねていく中で、西田の防衛戦はなかなか発表されませんでした。
そして王座獲得から約半年、ようやく発表があったのが数日前。
一番のサプライズは、西田が3150FIGHTを離れたこと、でしょうか。
もしかすると契約の諸々でなかなか防衛戦が組めなかった、ということもあるのかもしれませんし、別に3150FIGHTとの契約がどうこうということもないのかもしれません。
今回は、「U-NEXTボクシング」という新たなタイトルで発表されています。このU-NEXTの新たなブランドは、日本テレビから引き継いだ「ダイナミックグローブ」とはまた別のコンテンツであり、「日本人選手の世界タイトルマッチ」を主に中継していくそうです。
ABEMAは煽り映像とかでロドリゲス戦の映像を貸してあげ欲しいですね。
ともあれ、ようやく決まった初防衛戦の相手は、アンチャイ・ドンスア。当然のことながら、タイ人ボクサーについて詳しい知識を有しているわけではないし、彼らの戦績を信じてはいません。16戦全勝、IBFランキング下位のこのボクサーは、強豪との対戦経験は皆無、どころか直近の試合を含めて4つの勝利の相手はデビュー戦のアンダードッグであり、勝率5割以上の相手に勝利したのは2人だけ、実績不足といえばそれは間違いではありません。そして当然、初のタイ国外での試合となります。
反面、デビュー2戦目でアジアンボクシングフェデレーションのフェザー級タイトルを獲得、6回戦デビューからいきなり10回戦にステップアップ、というのはタイ国として「このボクサーを上にいかせよう」と期待されている証明なのでしょうし、おそらくバックボーンはムエタイにあるのでしょう。
世界レベルのボクサーかどうかはわかりませんが、きっと弱くはありません。ただ、西田の相手として良いボクシングができるか、というのは難しい気がしますね。
ただ、西田にとって懸念材料がないわけではありません。
高い能力を誇る西田凌佑の敵は、減量とモチベーション。
世界タイトルに挑戦する立場だからこそ落とせた、だからこそ良いパフォーマンスを発揮することもできた、という前戦から比べると、対戦相手への警戒心、自身のモチベーションを前戦ほど高く保てるはずはありません。普通の人間は。
そこに来て、このドンスアというボクサーが西田の、また、我々の想像以上のボクサーであったとしたならば、アップセットも起こり得るのかもしれません。
初防衛戦をクリアしたのち、統一戦に進みたいと語る西田。その筆頭候補はWBC王者の中谷潤人(M.T)であり、その統一戦を実現するために3150FIGHTを離れたのでしょう。帝拳プロモーションと相容れない3150FIGHTプロモーションと袂を分つ事で、同じく統一戦を希望している中谷戦はこれに勝てば決まるのではないでしょうか。
その試合が来年の前半に行われれば、勝っても負けても両者共がスーパーバンタムに上がる、ということも考えられますね。
↓U-NEXTはこちらから
12/24(火)東京・有明アリーナ
武居由樹(大橋)10勝(8KO)無敗
vs
ユッタポン・トンデイ(タイ)15勝(9KO)無敗
またもタイ、ですね。中谷潤人の防衛戦も、西田凌佑の防衛戦も、そして武居の防衛戦もタイ人です。井上拓真の防衛戦は堤でしたが、堤は見ようによっては。。。やめておきましょう。
ともあれ、西田にしても武居にしても、タイ人というタフな人種を中谷のように簡単に倒せるか、というとそうではありません。タイ人は、無気力で勝つつもりのないタイ人を倒すのは簡単かもしれませんが、そうでない場合、やはり幼い頃から打撃格闘技に慣れ親しんでいるというボクサーを倒す、というのはそう簡単な事ではないでしょう。
さて、武井はジェイソン・マロニー(オーストラリア)との激闘でタイトルを獲得し、比嘉大吾(志成)との死闘でタイトルを守りました。
5月、9月ときて12月、あの立て続けの打撃戦のあと3.5ヶ月という期間で大丈夫なのか、という心配をしてしまいますが、特に比嘉戦で見せたあのタフネスはとてつもないものであり、あれはおそらく幼い頃からの激しいトレーニングの賜物なのでしょう。
ユッタポン・トンデイというボクサーはもちろん初めて聞く名で、こちらもやっぱりタイ人らしい戦績を持ち、タイ人らしいレジュメを持っています。
つまりは強豪との対戦経験はなく、勝利のうち4つの相手はデビュー戦、ドンスアと若干違うところは勝率5割以上のボクサーとは7回戦っている、ということぐらいです。
多くの記事に出ていることで目を引く事柄は、アマ時代にロベイシー・ラミレス(キューバ)に勝っている、ということです。
しかもこの試合は2017年6月、リオ五輪でラミレスがシャクール・スティーブンソンに勝利して金メダルを獲得した翌年に行われており、さらにラミレスの地元であるキューバでの大会のことです。
ラミレスはこのトーナメントで初戦敗退というあるまじき結果で、相当この大会を舐めていたのではないか、と疑うほどですね。
何にしろ、このトンデイのルーツはムエタイではなく、いや、元々はムエタイなのでしょうけれど、少なくともアマの国際大会に出るほど強いボクサー。160cmとこの階級では比較的小柄な方ですが、映像を見る限りはサウスポーを苦にしておらず、まっすぐの右から入るパターンは対サウスポーをどちらかというと得意にしている、とも言えます。
相性的には、武居はこのボクサーに対してあんまりよろしくはないかもしれません。
ただ、だからこそ武居にとっては色々と試すチャンスでもあり、レベルアップできる相手なのかもしれませんね。
世界戦初のノックアウト勝利に期待をしましょう。
↓メインは井上尚弥vsサム・グッドマン。Leminoはこちら
【宣伝】
ストック品(在庫があるもので即納できるもの)のセールやってます!
ジャック・カテラルも愛用の「FLY」は日本唯一の正規取扱代理店です。是非、お試しください。
▼最新情報はInstagramをご覧ください