U-NEXTはABEMA.TVやLemino、そしてFODプレミアム、といった他のボクシングプラットフォームよりも月額料金は高い。
ABEMA、Leminoは無料でも視聴できますが、ABEMAの場合は視聴数欲しさの超長時間興行が多いため、個人的には月に1,000円程度なら支払ってアーカイブを見れるようにしておいた方がストレスフリー。Leminoは無料で見逃し配信まであるから、はっきりいって有料にする意味合いはあまり感じません。(今回武居由樹と比嘉大吾が本人たちの試合を振り返る番組がLeminoプレミアムで出たので、それを視聴するために入りました。そういえばさっさと解約しなければ忘れてしまいます。)
FODプレミアムは毎月の前半火曜日に行われるダイヤモンドグローブ、またはフェニックスバトルに興味があれば登録する、というようなスタイルで、月によりまちまち。
WOWOWは別格として、このU-NEXTというのはボクシングファンには必須のプラットフォームである、と言えます。
まず一つはダイナミックグローブ、これが月に2度、放映されること。
そして米国のFIGHT SPORTS®️と提携し、その番組を流しているから、そこで流れる試合ーつまりはイギリスのTNTスポーツやBTスポーツ、主にクイーンズベリー・プロモーションの試合群ーを見ることができる、ということがわかってきました。発表は超直前ですが、この英国の番組を見る術というのは今までなかったわけですから、本当に助かります。
そして、U-NEXTボクシングという新たなブランドを立ち上げ、これは不定期ではあるものの、ボクシング番組が増える格好にもなりました。
そんなU-NEXTは、11/2-11/3で3興行のボクシングを放映。
まずはWho's Next Dynamic Glove、メインは日本バンタム級タイトルマッチです。
11/2(土)ダイナミックグローブ
金子虎旦(帝拳)vsコウ・ジュンサイ(中国)
前戦でまさかの初回KO負けを喫した金子。こういう「まさか」は、帝拳ボクサーたちには結構あるような気がしています。楽勝で勝てば「アンダードッグを呼んできた」と思われてしまうエリートたちも、色々と試練はあるものです。
しっかりと距離をとりながらジャブを突いて戦う金子、コウはプレスをかけてきます。金子の速いジャブ、それに合わせて入ってくるコウ、そこに金子は左ボディ。
コウは非常に気持ちの強いファイターで、パンチが当たらなくてもしっかりと振ってきます。
ジャブの良い金子、ですがコウは被弾覚悟で振ってきているあたりは怖いところ。やっぱり中国人ボクサーはがんばりますね。
3R、速い右をヒットした金子、これでコウはやや動きが鈍ります。そこに左フックをヒットしてラッシュをかけた金子ですが、コウは気持ちで自らを支えて反撃。
4Rも金子が攻勢をかける展開、それでもコウは諦めずパンチを返し、プレスを続けます。
その後も金子のジャブ、左ボディが突き刺さるも、コウのペースは落ちず。非常にタフなボクサーですね。
そして迎えた7R、コウの右に対して金子が左ボディカウンター!これはすごいタイミング!そこでコウが後退、金子はここで一気に攻めるとレフェリーは試合をストップ。
金子虎旦、7RTKO勝利。
高見亨介(帝拳)vsジョマー・カインドグ(フィリピン)
高見のこの試合は流石に調整試合といって良い戦いです。挑戦者決定戦もなく、すでに日本王座挑戦が決まっている高見は、前戦で世界タイトルチャレンジャーであるウラン・トロハツ(中国)を退けているし、その前には堀川謙一(三迫)、その前はリト・ダンテ(フィリピン)ととてつもないキャリアを築いています。そして初のタイトルショットが川満俊輝(三迫)となれば、この日本タイトル戦に勝利した方が世界への足がかりを掴む、といっても過言ではありません。
初回、カインドグは身長が低く、状態を非常に良く動かすファイター。この思い切りの良さというのはアップセットを起こす力を持っていそうです。
しかし1分が過ぎた頃、カインドグがワンツーを放ったその刹那、カインドグの右ストレートに合わせた左ボディカウンター!!
悶絶して倒れたカインドグ、これで試合は終了。
波田大和(帝拳)vsプレスコ・カルコシア(フィリピン)
波田大和は前戦で坂晃典(仲里)を破り、OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座を獲得。今回はこのタイトルはかからず、挑戦者がいなかったのか、メインイベントに増田を持ってきたかったけれど波田に試合間隔を開けたくなかったのか、というところでしょうか。
ともかく、対戦相手のプレスコ・カルコシアはフェザー級で森武蔵と良い勝負をし、前戦では保田克也のもつWBOアジアパシフィック・ライト級タイトルに挑戦したボクサーです。
2ポンド(1kg弱)、フェザー級から大きい契約ウェイトであり、波田がライト級進出を考えているというわけではないと思いますが、どうなんでしょうか。
軽快に動く波田ですが、初回、カルコシアの右ストレートが波田を襲います。この右は軌道もタイミングも非常に危険、この右をチラつかせて波田を攻めさせません。
2R、波田は強いプレスをかけて左ストレートをヒット。そこから連打に繋げますが、カルコシアは非常にディフェンシブに守り抜きます。3Rにも続けて強いプレスから連打に繋げる波田、このラウンドは終盤に右フックでダウンを奪い、追撃してダウンを追加。
続く4R、一気に倒しに行きたいでしょう波田、ここでカルコシアが出てくれば楽でしょうが、カルコシアは相変わらずディフェンシブなカウンター狙い。
しかし中盤、波田はぐいっと距離を詰めてコンビネーション、追いかけて最後は左ストレートを捩じ込むと、カルコシアはこのラウンド3度目のダウン。レフェリーは試合をストップ。
波田大和、4RTKO勝利。
日本バンタム級タイトルマッチ
増田陸(帝拳)5勝(5KO)1敗
vs
宇津見義広(ワタナベ)17勝(10KO)11敗6分
プロデビューからわずか4戦で現WBA世界バンタム級王者と戦い、素晴らしいファイトを繰り広げた、というと明らかにその才能は本物です。
ただ、終始泥臭いアタックを仕掛けてくる堤に後半を持って行かれた、ということもまた事実であり、あれがもし12Rの戦いであれば、おそらく差は開いていたのでしょう。その初黒星からの再起戦は、元世界王者ジョナス・スルタン(フィリピン)を初回KO。これはスルタンの衰え云々のものではなく、とにかく増田がすごかった。そして順当に日本バンタム級タイトルに挑戦し、富施郁哉(ワタナベ)を4RKO、見事日本王者に。
挑戦者は40歳で初タイトル挑戦というベテラン、宇津見。感情移入せざるを得ない挑戦者ですが、果たしてどこまで粘れるのか、というところになってきます。宇津見は奇跡を起こせるか。どうにか頑張ってほしい。
初回、左右に動きながらトリッキーな動きを見せる宇津見。増田は長いジャブを伸ばして宇津見の前進を阻みます。宇津見は増田の打ち終わりに左右のボディを乱打。
宇津見の入りは悪くなかったですが、ここで早々に増田がいくつかの左をコネクト。この強烈な左で宇津見の足は幾度かバタつきます。
2R、増田の打ち終わりに右のオーバーハンドを振り、ほぼノールックでパンチをつなげていく宇津見。幾らかのやりづらさを感じているはずの増田ですが、宇津見が入ってくるところに左のアッパー。これは怖いパンチ。
中盤、左右を振りながらグイグイと攻める宇津見の右がヒット。しかし後半、増田の左が宇津見を襲うと、またも宇津見はバランスを崩します。しかし心が折れない宇津見は退かず、このピンチをリターンで乗り切ります。
3R、変則的に攻め入る宇津見、しかし増田は非常に冷静、距離のあるところから左をヒット。ちょっとスリップダウンが多い宇津見、もしかしたら疲れやダメージがあるのかもしれません。
4R、強打の増田に対して一切退くことのない宇津見、グイグイと体を寄せていくのと手数で気持ちを見せます。
自分にできる唯一と言って良い戦いを、それこそ懸命に遂行している、という宇津見。しかし無情にも増田の左はそれを上回り、このラウンドの終盤に増田の左が宇津見の体を泳がせます。宇津見はここをなんとかエスケープしていますが、終わりは近いのでしょう。
5R、宇津見の入り際に増田の左が入ります。それでも倒れない宇津見、タフネスというよりももう気持ちなのでしょう。しかし気持ちだけでは勝てません。
6Rも一切手数の落ちない宇津見、入り際のカウンターを狙う増田。このラウンドは中盤以降、徹底したボディ攻撃を行う増田!ちょっと宇津見はボディが効いたか、体がくの字に曲がっているような気がします。
7R、接近していく宇津見!そこをボディで迎え打つ増田!執拗にボディへの攻撃を見せ、宇津見が頭を下げたところで左のアッパーがヒット!宇津見はダウン!!ここでレフェリーは試合をストップ!!
増田陸、7RTKO勝利で初防衛。
初防衛戦でも全く固さはなかった、増田陸。宇津見は嫌な相手だったと思いますが非常に冷静に対応をしていました。そして結果的には倒し切ってしまうのですから、さすがです。
さて、宇津見義広、決して美しい戦いではなかったし、反則スレスレだったり、ダーティと言って良い戦い方でした。しかし、それこそが勝利への執念というものであり、真っ向から挑んでの玉砕を選択したのではなく、本気でこの次期世界王者を攻略しにきていたのだ、ということは十分にわかります。本当に素晴らしいファイトだったと思います。
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