今週は平日からボクシング。
昨日(日本時間11/7)はスーパーミドル級のプロスペクト、オスレイス・イグレシアスの強さを見守りました。プロスペクトなんて言えないほど完成度が高かったので、マッチメイクさえ上手くいけば世界はすぐそこ。ただ、このボクサーとカネロが交わることはないのでしょう。
↓観戦記
そして翌日はキーショーン・デービスの登場です。過去最強と言える(かもしれない)グスタボ・レモス。これは非常に楽しみなマッチアップです。
ということで今回のブログは、キーショーンvsレモスの観戦記。
↓プレビュー記事
11/8(日本時間11/9)アメリカ・ノーフォーク
トロイ・アイズリー(アメリカ)13勝(5KO)無敗
vs
タイラー・ハワード(アメリカ)20勝(11KO)1敗
キーショーンとともに東京五輪に出場した元チームメイト、トロイ・アイズリーがセミファイナルのイベントに登場です。アイズリーの持つNABOのミドル級タイトルの防衛戦ですね。
初回はアイズリーが鋭いジャブ。ミドル級とは思えないほどのスピードです。ハワードはこのジャブをしっかりと見て被弾を避けていますが、パーリング以外にほとんど何もできません。
2Rに入ってアイズリーのジャブが完全に試合を支配しています。アイズリーの鋭いジャブにハワードが右をあわせようとしても、それを躱して左フックをヒットしたアイズリー。ハワードのジャブのほとんどはアイズリーのガードの上にすら届きません。
3R、ここも同じ展開で、アイズリーはいくつかのジャブを当ててボックス。ハワードは打つ手なしの展開、さらに新しいアイデアもなし。
4R、アイズリーがちょっと攻撃的になって若干距離が詰まります。これは会場のブーイングを受けてのものでしょう。そうするとハワードのパンチもようやく届くようになりますが、左右のフックはアイズリーのガードの上。
5R、前半はアイズリーがコンビネーションをつかって攻め、後半は若干ハワードが出てきたのでアウトボックスに切り替えます。このトロイ・アイズリーは徹底したアウトボックス、塩試合こそ真価を発揮しそうですね。ブーイングなんぞに負けずに自分を貫けば良いです。
6R、このラウンドも前半は右ボディストレートや左ボディをヒットしたアイズリー、後半はアウトボックス。このままいきそうですね。
7R、ワイプで映ったキーショーン、大欠伸。まあ、そういう試合なので仕方ありません。このラウンドは後半にアイズリーがコンビネーション、左ボディをヒット。
8R、いよいよいくのか、アイズリーがこれまでにないほど強いコンビネーション。ここは結構ちゃんとダメージを与えた感じですね。
ただ後半はやっぱりアウトボックス。
9Rもやや攻撃的な前半とディフェンシブな後半を過ごしたアイズリー。ハワードも強く攻め入る場面を見せますが、上手くいなされて続きません。
ラストラウンド、これまでにない強い攻撃を見せるハワード。ここでなんと右をヒットしてアイズリーの顔面が弾かれます。もっと早くに特攻しておけばなんとかなったかもしれないこのハワードの攻撃は、繰り出すにはかなり遅かったし、もう少し削れていれば良かったかもしれません。ラストラウンドだけは若干のエキサイティングを提供し、非常に退屈だった試合は終了。
判定は、99-91×2、98-92でトロイ・アイズリー。笑顔はありません。ラストラウンドはハワードに流れているはずですね。
キーショーン・デービス(アメリカ)11勝(7KO)無敗
vs
グスタボ・レモス(アルゼンチン)29勝(19KO)1敗
メインイベント。
地元愛溢れる「ノーフォーク」と書かれたガウンジャケットを身に纏って入場のキーショーン。楽団(「ハイスクールマーチングバンド」と紹介されています。多分。)みたいなのも登場して鳴り物も入った入場、とんでもないほどのホームタウン感です。
いくつかの地方タイトルのかかった一戦だとアナウンスされ、アルゼンチン、アメリカそれぞれの国歌も流れます。
ただ、この試合はレモスが大きくウェイトオーバーをしており、タイトルはかかっていないはず。135lbsの契約ウェイトで、どうやらデニス・ベリンチクへの挑戦権もかかっていたとか(この辺の情報はよくわかりません)という話もありました。が、レモスの公式計量は141.4lbs、当日体重は155.4lbsにまでなっていたそうです。
初回のゴング。
いきなり姿勢を屈めてまるでガゼルパンチのようなパンチで踏み込むレモス!体を振ってグイグイとプレス、セミで出たハワードとは異なり、アップセット勝利を目指す気持ちがビンビン伝わってきます。
このいきなりのチャージに対して慌てず対応する「ビジネスマン」キーショーン、しっかりと距離で外してピンポイントでジャブをヒット。
力強い右のスイングを振るレモス、これは非常に鋭く、怖いパンチです。
後半に入るところでキーショーンがクイックなワンツー、レモスは的中率こそ良くありませんがとにかく力強い連打でキーショーンのボディを中心に痛めつけようとしています。レモスはフルラウンド戦うつもりはなさそうなペースです。
2R、引き続き左右フックを振り回しながら力強く攻め入るレモス!しかし開始早々、なんとダウンです!
一体何が起こったのか。。。全然わかりませんでしたが、レモスが飛び込みの左フックを放ったのを距離で外したキーショーンは、その後コンパクトな右をコネクト。このパンチが、レモスが左フックに続けて放とうとした右フックへのカウンターとなったようです(井上vsドネア2で井上がドネアからダウンを奪った右と同様のもの)。いやこれは恐ろしい。レモスは何をもらったか全然わからないでしょう。
立ち上がったレモスはさすが勇敢で、それでも攻め続けます!
下がりながらもサイドに移動するキーショーン、レモスが左フックで飛び込もうとしたところに先に左フックをヒット!またも機先を制せられたレモス、このラウンド2度目のダウン!!
一度立ちあがろうとしたレモスでしたが尻餅、タフネスを誇るだけにダウンは慣れていないか。止めても良いほどのダメージがありそうなレモスですが、レフェリーは続行を指示。残り時間は2分もあり、レモスにとっては絶望的な時間です。
ここは一気に行くキーショーン、フィニッシュは左ボディから左フック、最後は右のアッパー!倒れる途中にレフェリーが駆け寄っていますが、これは不要なダメージだったと思います。
キーショーン・デービス、2RTKO勝利!
とんでもない快勝でした、キーショーン・デービス。ここ最近の戦いではスーパーライト級を主戦場とし、おそらくダウン経験もなく、さらにリチャードソン・ヒッチンズに肉薄したと言えるグスタボ・レモスを相手にして、まさかの圧勝です。
素晴らしい才能というのはわかっていましたが、やはりこういうプロ叩き上げとも言えるゴリゴリ系すぎるファイタータイプには苦戦する可能性もあるのでは。。。とも思っていましたが、これが全くの杞憂。
会場にはシャクール・スティーブンソンも来ていました。
さすがに2025年はタイトルショットで良いでしょう。
ウィリアム・セペダ、キーショーン・デービス。
2025年はこの2人のタイトル挑戦を見たい。2人とも、コンテンダーとしては熟成し切っており、これ以上ウェイティングスペースにいる必要はありません。(セペダは11/16にテビン・ファーマー戦ですが)
そのほかのアンダーカードの結果
この興行のTV放映(プレリムス)のオープニングファイトはライース・アリーム。5Rにダウンを奪ってのフルマーク判定勝利でした。特に特筆すべき点はないですね。実力差もありました。
キーショーンの兄ケルビン、弟のケオンも揃って判定勝利。ケルビンは非常にディフェンシブな相手にダウンを奪い、デビュー戦のケオンも最終4Rにはダウン寸前に追い込むなど見せ場を作っています。
あとのトピックとしてはオースティン・デアンダ(アメリカ)vsデアンドレ・ペタス(アメリカ)のミドル級戦で珍事。3Rの途中、デアンダのコーンロウが解けてしまい、髪の毛がバサバサになり、おそらく目に入ってしまう事態になったのでしょう。
そのラウンド終了後のインターバル、セコンドはバンテージカットのためのハサミでデアンダの髪の毛をカット。この試合が終われば坊主にするしかない感じの髪型になっておりました。
そして、このプレリムスの最後の試合はアブドゥラ・メイソンが登場です。ここでサプライズ。
アブドゥラ・メイソン(アメリカ)vsヨハン・バスケス(ドミニカ共和国)
初回、ドミニカンパンチャーらシクグイグイとプレスをかけるバスケス。ちなみにこのバスケス、磯野波平と同じ髪型(バスケスは禿げているわけではない)をしています。
メイソンがサークリングしながらも上手くジャブ、ストレートをコンパクトにヒットしている展開でしたが、メイソンはバックステップからの左アッパーカウンターを失敗、バスケスの左フックを浴びてキャリア初(多分)のダウン!!!
結構この左フックのタイミングはバッチリで、おそらくダメージはあるのでしょうが、それを感じさせないように、または強がるかのように立ち上がったメイソンは攻め返します!
その打撃戦の最中、バスケスの右がヒット、メイソンはぐらり!!ここはバスケスがチャンスと思い攻め入る!とその瞬間に今度はメイソンの左がカウンターとなってヒット、今度はバスケスがダウン!!
バスケスはダメージを隠すことができないほどですが、レフェリーは再開、明らかに鈍いバスケスですが、メイソンにもいつものパワーがないか、ブロッキングで防がれています。
しかし攻勢はメイソンの方にあり、このまま初回で終了か、と思った刹那、メイソンの左アッパーに合わせてバスケスの左フックがヒット!!最初にダウンを奪ったのと同じ左フック!!メイソン、このラウンド2度目のダウンです!
カウント中もステップを踏んで余裕をアピールするメイソン、いやこれはかなり危ないでしょう。それでも強気を見せたいメイソン、今度はジャブの距離で鋭いジャブとフェイントを使って主導権を握ります。ここは互いにサバイブしたい時間、見合う時間もできてのラウンド終了です。
とんでもない初回。
2R、やはりバスケスのダメージの方が深刻か、まだ足元が若干おぼつきません。対してメイソンは回復が早く、何事もなかったかのように素早い攻撃を仕掛けています。
前ラウンドで2度の失敗を経験した左のアッパーも惜しげもなく使い、ぐっと近い距離まで詰めてボディショットでダウンを追加!1人で立てないバスケスはこのままカウントアウト、アブドゥラ・メイソンの2RKO勝利が決まりました。
とんでもない初回を経験したアブドゥラ・メイソン、あわやの場面もありましたがぜひこれを糧として頑張ってもらいたいです。
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