ジャロン「ブーツ」エニス、ジェシー「バム」ロドリゲス。
未来のP4Pスターの共演というDAZN興行です。
まだブーツはP4Pランキングに入っていなかったよなーと思いながらリングマガジンのウェブサイトを確認しましたが、大きくComing Soonの文字のみです。トゥルキ・アラルシクがリングマガジンを買収したとのことですが、そのことと関係があるのでしょうか。
どのようにリニューアルされるのかわかりませんが、あくまでも公平にやってもらいたいものですね。
さて、今回のブログはブーツ・バム共演興行の観戦記です。
↓プレビュー記事
11/9(日本時間11/10)アメリカ・ペンシルバニア
WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)20勝(13KO)無敗
vs
ペドロ・ゲバラ(メキシコ)42勝(22KO)4敗1分
レジェンドキラー、ジェシー「バム」ロドリゲス。ペドロ・ゲバラはレジェンドとまでは言えませんが、長く階級を渡りつつ活躍てきたボクサーです。
WBC世界スーパーフライ級暫定王者であるペドロ・ゲバラは47戦ものキャリアを築いており、そのうち4つの敗北がありますが、KO負けはありません。バムはこのタフなボクサーを仕留められるのか、が焦点ですね。
初回、互いにステップでリズムを刻みながら、強いジャブ。このジャブは差し合いというほども展開されず、早々にバムがプレスをかけていきます。
コンビネーションの中で強打も織り交ぜつつ攻めるバム、未だ様子見段階ではあるのでしょうが、ゲバラにほとんど何もさせずにペースを掌握しています。ゲバラはバムが先手を取る事に合わせ、単発をリターン。
2R、グイグイとプレスをかけるバム、内から外からジャブをコネクト。ゲバラの反撃にはしっかりとしたブロッキング、そこからまた距離を詰めてアングルを効かせたアッパー。
すでにゲバラに打つ手がないようにも見えます。
3Rに入ってもバムのプレスはもちろん止まず。波状攻撃のバム、そこの間を見つけてなんとか手をだすゲバラですが、基本的にはほとんどの時間下がらされている分見栄えも悪い。
バムは得意のサイドステップから見栄えの良いアッパー、この東欧スタイルのような運動量の多さからのパワーパンチ、というのは本当にニューメキシカンスタイルと言って良いでしょう。
後半、コーナー際にゲバラを追い込んだバムは、流れの中で左ストレートをヒット。これはゲバラが左フックを出したタイミングとかぶり、カウンターとなってヒットしています。
これでゲバラがダウン!
立ち上がったゲバラに、強力で、かつ非常に的中率の左右を浴びせ、サウスポースタンスからオーソドックスの内側にステップインしての前手、右手のアッパー!!何でこんなパンチが打てるんだ、という位置どりから縦アングルのアッパー、これがゲバラの顎を捉えて脳を思いっきり揺らし、ゲバラは早々に2度目のダウン、レフェリーはストップ!!
ジェシー・ロドリゲス、3RTKO勝利!!
想像以上でした、ジェシー・ロドリゲス。ペドロ・ゲバラを相手にこのパフォーマンスは本当に末恐ろしいですね。
IBF世界ウェルター級タイトルマッチ
ジャロン・エニス(アメリカ)32勝(29KO)無敗
vs
カレン・チュカジャン(ウクライナ)24勝(13KO)2敗
素晴らしいノックアウト勝利を飾ったバム・ロドリゲスに続き、未来のP4Pキングのジャロン・エニス。
2029年の未来予想図では1位エニス、2位にバムですが、このレジュメのままいけばバムかナカタニに取って代わられます。それほど、エニスはマッチメイクに恵まれません。
気合十分のカレン・チュカジャン、随分と余裕の見えるエニス。
初回、先制はエニスの速いジャブ。チュカジャンはプレスをかけていきますが、エニスは余裕を見せてジャブ、からのコンビネーション。ちょっとあまりに舐めすぎでは?と思う部分もありますね。
後半、相打ちのタイミングでのパンチでエニスがバランスを崩す場面。タイミング的には相打ちでしたが、クリーンヒットはチュカジャンの左フックであり、エニスのテンプルをしっかりと捉えています。
終盤には近い距離での打ち合いがあり、ここで効果的にパンチをヒットさせたのはエニスです。
2R、前ラウンドに一発をもらってから真剣になったように見えるエニス、チュカジャンの入り際に見事な左ボディカウンター。
タフネスを持つチュカジャンはそれに怯まず、左フックのリターンでエニスの右フックを浴びても怯まず。
3R、早々にチュカジャンの飛び込みの左フックがヒット。このパンチは前ラウンドでも当たっており、サウスポーでもオーソドックスでもエニスに有効なのかもしれません。
チュカジャンの回転力もなかなかのもので、前戦よりも随分アグレッシブに戦っています。しかし後半、エニスがチュカジャンをロープに詰める場面。
4R、グイグイと攻めるチュカジャン。前戦はかなりサイドを多用してややディフェンシブだったイメージですが、今回のチュカジャンは違います。
エニスも前戦ほどプレスをかけないためチュカジャンが攻撃しやすくなっているのか、それともチュカジャンがプレスをかけるからエニスが思い通りに戦えていないのか。
このラウンド後半にもチュカジャンの飛び込み左フックがヒット。
5R、先に攻めるのはチュカジャン、エニスはそれに対応。中盤が過ぎた頃、チュカジャンの右ストレートの打ち終わりにエニスが左ストレートをヒット!
その後接近戦でアッパーカットでチュカジャンの顔を跳ね上げたエニスは、続いて左ストレートをヒット、そのままチャージしてコーナーに押し込むとここでチュカジャンはダウン!!
立ち上がったチュカジャンに襲いかかるエニス、チュカジャンはダメージはあるでしょうがまだパワーを残しており、体ごとふる右ストレートで反撃、を見せつつこのラウンドをエスケープ!
6R、エニスはここでチャージ!力強いボディショットを放ち、ガードを固めて接近戦を挑みます。ここでチュカジャンもチャンスと感じたか、退く姿は見せず、しっかりと打ち合います!
互いに良いディフェンスを駆使しながらも、プレスをかけて押していっているのはエニスです。このプレスをチュカジャンも受け止めるから若干揉み合いの展開も多くなってきました。
7R、エニスがプレスをかけてチュカジャンがサイドへ動く。前戦同様の展開になってきます。しかし前回と異なるのはサイドに回った後のチュカジャンの攻撃であり、チュカジャンはダウンを奪われても非常に強気です。
エニスは左ボディアッパーを多用、これはかなり効果がありそうです。
8R、中盤に近い距離でエニスがワンツーからのワンツーをヒット。それでも倒れないチュカジャンはサイドステップとクリンチを駆使して乗り切り、ここでまたも飛び込み左フックをヒット。
その後も互いにビッグパンチをコネクトしあうという展開となり、良い勝負になってきています。エニス、これはある一定以上のタフさを証明する戦いにもなるのかもしれません。
9R、エキサイトしてきた両者に対し、レフェリーはホールドやローブローの注意。どちらに持って感じでしょうか。
近づいた際には打撃戦が展開されるというアクションの多い試合展開です。
10R、エニスは接近して左アッパーから左フック。下がらされることはあれど、そのあと思い切り打ち返すという気概を見せるチュカジャンでしたが、このラウンド、ホールドで1点を減点されています。
チュカジャンはサバイブというよりは勝つための何かを探しているようで、後手に回りながらも力強いパンチを返しています。ただ、明らかに押されており、これは前戦同様に勝ち筋を見つけることはできないか。
11R、こうなるとエニスがストップまで持っていけるか、というところが焦点です。しかしこのラウンドに来てもチュカジャンの運動量は衰える事なく、サイドからの攻撃と動いてすぐの攻撃でいくつかのクリーンヒットを奪ってもいます。
これだけダメージングブローを浴び、チャンピオンシップラウンドに入ってもなおこの動き、やはりこのカレン・チュカジャンは只者ではありません。
しかし相手はジャロン「ブーツ」エニス、これでもしエニスが「脆さ」なんて弱点を保有しているような魅力的なボクサーであるならば、もしかしたら逆転の芽が見えたのかもしれません。それほど、チュカジャンのタイミングの良いパワーパンチはエニスにヒットしてもいます。
ラストラウンド、互いにパンチが多彩で、互いに打たれ強い。被弾はしていますが、互いにディフェンスだって良い。
初回から素晴らしいアクションだった両者は、ラストラウンドに入ってもそのスピードが衰えることはなく、時にクリンチで休んでいるとはいえどもこれは驚異的なものです。
チュカジャンのアップセットを起こそうという気概は、このラウンド左右のフックを思いっきり振り回す、という形で現れ、そのいくつかはエニスにヒットしてもいるし、エニスもいくつもの強いパンチを、それもカウンターショットとしてチュカジャンにヒットしています。
これはあと100ラウンド戦ったとしても、フィニッシュシーンは訪れそうにありません。
ということで最終ラウンド終了のゴング。
判定は、119-107、117-109、116-110、ジャロン・エニス!
エニスの完勝には違いありませんが、前戦よりも良い勝負だったと思います。チュカジャンは勇気を持って足を止めて打ち合う場面を作り、いくつかのパワーパンチをエニスにヒットしていました。
先にも書きましたが、もしエニスに脆さがあったのならば、アップセットが起こっていてもおかしくはありませんでしたね。エニスのパンチはフォロースルーが効いている分打ち終わりを狙われやすく、それは前戦でも感じたことではありましたが今回はそれが顕著。おそらく前戦で倒せなかったという事実があったから、今度こそはという気負いもあったのでしょう。
そこを上手くついたチュカジャンでしたが、チュカジャンのパワーが足りなかったのか、エニスが異常なタフネスを持っているのか、エニスを倒すことはできず。
そしてエニスも前戦以上にパワーパンチをヒットしていましたが、こちらは異常なタフさを持つチュカジャンを倒し切ることはできず。
個人的には、両者が株を上げた試合とも見ることができると思います。
エニスの次戦に期待しましょう。
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