ボクシングの話題は、先週末に誰が誰にどういうパフォーマンスで勝ったのか、ということと、今週末に誰と誰が戦うのか、ということと、あのボクサーは次に誰と戦うのだろうか、たったこの3つです。
この3つの話題で365日を過ごしていけます。それには際限が全くありません。
昨日アップしたブログの話題は「今週末に誰と誰が戦うのか」ということであり、そのトピックは今週末のもう一つの戦いも紹介しなければなりません。
しかしこれは非常にボリュームがあり、今の時間(11/13のAM0:30)から書き始めるにはあまりにも遅い。ということで今回のブログは「あのボクサーは次に誰と戦うのだろうか」というニュースをピックアップ。
デービスvsデービス
試合が終わったばかりなのに、なのか、試合が終わったばかりだからこそ、なのか、キーショーン・デービスの次戦にはボクシングファンが興味津々です。
勝利者インタビューで「ジャーボンタ」とタンクに呼びかけたキーショーン・デービス。
時期尚早、という意見もあるようですが、キーショーンがあのグスタボ・レモスを圧倒したパフォーマンスの後あれば、少なくとも私には十分に実現して良い戦いに思えます。
タンクのノックアウトシーンは飛び抜けており、もしハイライトだけを見ていけば史上最強のボクサーとも言えるかもしれません。
30勝(28KO)無敗という積み重ねた戦績は、そのほとんどが印象的なノックアウトであり、あの風貌に似合わず非常にアーティスティックなノックアウトです。
しかし、完全無欠のファイターではない、ということはこれまでに明らかになっています。
結果的には倒してしまうのだから、完全無欠と言って良いのかもしれませんが、例えばクロフォードや井上のような「一体どうやって攻略するのか」という感じはありません。ポイントを取られるラウンドも、何か考えがあってやっているというよりは普通に自分が攻めることなく休んでいて取られたり、集中力を切らしてとられている、というようなイメージ。
インテリジェンス溢れるビジネスマン、キーショーンに対してはどうか。
キーショーンは素晴らしい攻撃力を持ってもいますが、貰わずにボクシングもできます。タンクのパンチを被弾しなければ、ポイントをピックアップして勝利できる可能性があります。
この試合が「次に」見たいかというとそうではなく、キーショーンには規定通りWBO王座に挑んでほしい。そしてデニス・ベリンチク(ウクライナ)と戦った上で、ジャーボンタ・デービスとの統一戦に臨めば良いのです。
この王座統一戦は、2025年でも大目玉のカードとなるでしょう。
正直、トップランクに所属しているキーショーンとPBCファイターのタンクが交わる可能性は非常に低い。ただ、それを実現可能にするプラットフォームはあるわけで、あとはトゥルキ・アラルシクがタンクにフェラーリを2台送れば良いのです。
バムの「欲しいものリスト」
キーショーンと同じく、先週、衝撃的なパフォーマンスでボクシング界を盛り上げたのはジェシー「バム」ロドリゲス。
このボクサーはメキシカンのニュースタイルで、軽量級の長身ではないサウスポー(ただしパンチがないと務まらないかもしれない)のお手本です。
チョコラティートのような終わりなき手数、東欧スタイルのような運動量の多いサイドステップ、そしてメキシカンとしてのマチズモ。それらを融合したスタイルは、これからのボクサーにとって目指すべきスタイルになるでしょう。
レジェンドキラー、そんな名前がついたバム・ロドリゲスは、この階級での統一戦を目論んでいます。まだ24歳、体も大きくなっているらしく、曰く、この階級に長く留まることはないようです。
「統一戦をやりたい」しかし、それが叶わなければ「チョコラティートとの試合も意味がある」と語るバム。そして、もう一つ興味があると語った試合は、井岡一翔戦。
タイトルを持っていない井岡には興味がないかもしれませんが、タイトルを持っている井岡であればバムにとって大きな興味となるでしょう。何せ井岡はバムの兄、ジョシュア・フランコを引退へ導いたボクサーであり、ここに勝てば兄のリベンジを果たせるということになるからです。
バムの選択肢にはエストラーダとの再戦もあったようですが、エストラーダはバンタム級へ転級。そしてチョコラティートも現在はバンタム級です。どちらもスーパーフライ級に落とせるとは思いますが、もっとも実現可能で興味深い戦いは、フェルナンド・マルティネスvs井岡一翔の勝者との王座統一戦です。
なので大晦日、これは非常に難しい話かもしれませんが、井岡には勝利してほしい。
そうすればバムvs井岡は日本で行われる可能性が非常に高くなり、罷り間違ってバムとセット販売されているジャロン・エニスも日本に来てくれるかもしれません。そうなればもちろん挑戦者は佐々木尽で、となり、日本史上最大のマッチメイクの一つの完成です。ここはABEMAやU-NEXTでは無理でしょうから、Amazonにお願いしたい。
とまあ、そんなにうまくいくはずはないのでしょうが、今なら言う分にはタダ。可能性は低くても、ゼロではないところが良いのです。
ジェイソン・マロニー in JAPAN
日本は今や軽量級のメッカ。バムにとっては日本という国は戦いたい国の一つであるはずです。そしてバムより1階級上のボクサー、ジェイソン・マロニーはすでに1度日本で戦っており、さらに彼の階級であるバンタム級の王者が4人とも日本人であることから、また日本のリングに立ちたいと願っています。
近年、非常に盛り上がっているオーストラリアのボクシング界ですが、マロニーはロードウォリアーです。
今年の初めはカナダ・ケベック州でサウル・サンチェスと戦い、素晴らしいファイトを繰り広げて王座を防衛。しかしその次の防衛戦では東京ドームで武居由樹にタイトルを奪われました。
そこからはや半年強、次戦はまだ未定です。
この武居との試合は、マロニーにとって非常に悔いの残る試合であったようで、ラストラウンドの猛攻で手応えを感じ、武居をダウン寸前に追い込んだことがその理由でしょう。もう1ラウンドあれば、とありもしないことを思って後悔してしまうのは、きっとあの試合を見たマロニーのファン全員が思ったことです。
当然、マロニーは再戦を望んだようですが、その思いは届かず。12月にサム・グッドマンと一緒にリングに上がり、武居に挑戦したかった、とのことですが、その話は出なかったようです。
マロニーは堤聖也のスパーリングパートナーとして来日して日本で時間を過ごし、「絶大な人気を誇る日本の有望選手のドラフトに選ばれる可能性がある」ことを示唆しています。
オファーは来ていないが話し合いを行なった、とマロニーは答えていますが、もちろんその相手は那須川天心で、確かにその可能性はゼロではないでしょう。
この那須川天心vsジェイソン・マロニーは両者にとって非常に有効なマッチアップで、天心としては武居との比較対象にもなるし、マロニーにとってはここに勝てば文句なしで日本の王者誰かに挑戦できる権利を得るでしょう。
ただし、マロニーの最優先事項はもちろんタイトルショットです。そして、那須川が仮に来年の上旬、または中旬にマロニーを対戦相手として選ぶのであれば、かなりのステップアップファイトになります。
マロニーとしては、一番は世界挑戦、その前にやらなければならないのであれば那須川天心、井上拓真戦に魅力を感じている、とのこと。いずれにしろ、オファーがあれば断りはしないでしょう。日本のプロモーターたちが、マロニーに対してどのようなオファーを出すのか、もしくは出さないのか、これは非常に興味深いところです。
エニスvsオルティス
ジャロン・エニスはウェルター級を去るのかもしれませんし、去らないかもしれません。
そもそもエニスとしては、カレン・チュカジャンを撃破の後は統一戦に打って出る、ということが希望だったそうなのですが、「147では厳しいので、154に切り替えなければならない」としています。あ、これはエニスが言った言葉ではありません。エディ・ハーンです。
エニスとしては別にウェイトが厳しいわけではなさそうですが、もしかしたら落ちにくくはなっているのかもしれません。エニスももちろん、バージル・オルティスJrとの戦いには興味津々です。
エニスがウェルター級に留まるのであれば、その対戦相手候補はマリオ・バリオス、ブライアン・ノーマンJr、エイマンタス・スタニオニス。
そしてスーパーウェルター級に上がるのであれば、バージル・オルティスJr、バフラム・ムルタザリエフ、セバスチャン・フンドラ、そしてテレンス・クロフォード。
こう見ると断然スーパーウェルター級の方が興味深い。
エディ・ハーンが言うには、2/22、サウジアラビアの興行でバージル・オルティスJr.vsジャロン・エニスという極上のファイトが実現するかもしれません。かかるタイトルはWBC世界スーパーウェルター級暫定王座というあまり意味のないものですが、同時期に台頭してきた2人がここで雌雄を決するとするならば、非常に見ものです。
アンソニー・ジョシュア
これは正直、あまり良いニュースではないのかもしれません。
エディ・ハーンの商売根性が透けて見えるからです。
ハーンはアンソニー・ジョシュアの次戦について、「ダニエル・デュボア」もしくは「タイソン・フューリー」としています。
本来であればデュボアとのダイレクトリマッチ、という話でしたが、まずIBFはこれを認めず(当たり前です)、そしてジョシュアも2/22までに万全の状態まで持っていけない、とのこと。
しかし来年の春か夏にはジョシュアの復帰戦を用意しており、その相手はデュボアかフューリーの2人に絞られているというのがエディ・ハーンの言葉です。
痛烈なノックアウト負けを喫した戦いの後は、安全な復帰戦を用意しても良いのではないか、と思います。しかしそうはならないのは、ジョシュアに残された時間がもう少ないこと、そしてこれ以上に商品価値を下げる前にどんな手を使ってでもビッグマッチを実現させようとするハーンの思惑が透けて見えます。
どう考えてもデュボア2、フューリー戦はカネになります。
特にフューリー戦は初対決となり、この対戦は「ウシクvsフューリー2の結果がどうなろうとも」という注釈付きです。そう、たとえフューリーがウシクに2連敗しようとも、ジョシュアvsフューリーには間違いなく需要があるのです。
おそらくキャリアの終わりを意識しなければならないアンソニー・ジョシュア。ハーンの、トゥルキ・アラルシクの操り人形にならないようにしてもらいたいですが、本人が望んでいる可能性も大いにあるので致し方ないですね。
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