何を今さら、という感じの記事かもしれません。
11/18(月)、井岡一翔の次戦が発表されました。
そこから水曜の深夜まで仕事でお江戸に行っていたので、この記事を書く時間的余裕がなく、今日は金曜日です。
既定路線だったこの戦いの発表は、個人的には一つのサプライズとともに発表されています。
ということで今回のブログは、「いつもの大晦日」がまたやってくる、LIFE TIME BOXINGについて。
12/31(火)LIFE TIME BOXING
WBA世界スーパーフライ級タイトルマッチ
フェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)17勝(9KO)無敗
vs
井岡一翔(志成)31勝(16KO)3敗1分
大晦日、大田区総合体育館。
「大晦日興行」が日本に根を張って久しく、その主役の多くは井岡一翔です。
今年7月、WBA王者としてリングに上がった井岡は当時IBF王者だったフェルナンド・マルティネスと対峙。井岡はこの戦いまでに2敗していますが、どれもギリギリの判定を落としたものと言え、ここまで明確な敗北は思ってもみないことでした。
初回から近い距離でバチバチの打ち合いに発展したこの戦いは、「ボクシングマスター」とも呼ばれる井岡の被弾が非常に目立った試合。
初回の左ボディカウンターに手応えを感じてしまったが故なのか、それともあの試合の前に語っていたように「打ち合う」がほんとの作戦だったのか。
ともかく結果的に見れば井岡は戦略面でのミスを犯しましたし、マルティネスのアッパー、そして右クロスに最後まで対応ができなかったことが敗因であり、マルティネスはその旺盛な手数とアグレッシブネス、そしてラウンド内での素晴らしいペース配分というなかなかの試合巧者ぶりを発揮し、あの試合ではあの井岡一翔よりも冷静だったと言えるのではないでしょうか。
きっと誰しもが言うでしょう、今回の試合、「井岡は厳しい」と。
もちろん私もそう思ってはいますが、やはり一縷の望みはあると思います。
それは、私にとってはサプライズに感じた井岡の発言にあります。
「彼(マルティネス)との試合が実現しなくても、現役を続けようという気持ちはあった」
井岡ほどの実績を残してきたボクサーで、35歳、追い求めてきたエストラーダは若き未来のP4Pに完敗。戦う理由を失っても全くおかしくありません。
それでも彼はボクシングを続けようという気持ちがあったのです。
結果、マルティネスとの交渉は上手くいき、ボクシングファンには賞賛されるべきことではないかもしれませんが「完敗」からのダイレクトリマッチを手中に収めます。
これは日本の誇るレジェンドへの、これまでのキャリアへのご褒美と捉えれば良いでしょう。実績を残してきたからこそ決まるダイレクトリマッチ、優遇措置を否定することはできません。
井岡がマルティネスとの再戦に勝利するまず一つ目の鍵はマインドセットにあるはずで、井岡のマインドは「マルティネスとの再戦が決まらなければ引退」だとか、「この試合が決まれば勝っても負けても引退」だとか、「負ければ引退」といったマインドではないのです。
だから井岡が勝つ、なんてことは勿論言えませんが、この井岡のマインドは非常に心強く感じるのです。
井岡がどのような戦い方をすればマルティネスに勝てるのか、というと正直なところはわかりませんが、ともかく勝つつもりでリングに上がり、前回の12ラウンズをもとに勝ち筋を考え、リングに上がるのは非常に楽しみです。
「プーマ」マルティネス
一方で「プーマ」マルティネスは、井岡に勝利して(特に日本の)ボクシングファンの株を大いに上げたボクサー。
考えてみればジェルウィン・アンカハス(フィリピン)に2度勝利し、危険なコンテンダー、ジェイド・ボルネア(フィリピン)を11Rにノックアウトしたボクサーという時点で大きな評価を手にするべきでしたが、やはりそのボクシングは少々荒いところもあってその評価はいまほど高くなかったはず。
しかし井岡戦では隠れたインテリジェンスも披露したような戦いで、理性と野生を併せ持つ素晴らしいファイターだということが露見しました。
彼にとっても日本で戦うことは高額なファイトマネーを約束されることであり、指名戦の期限が迫ったIBF王座を返上してでも日本に来てくれます。日本のボクシングファンにとって、これは大きく感謝しなければなりません。
この試合を中継するABEMAは日本国内のみの放映であり、彼の母国はおろかおそらくボクシング大国アメリカでも、この試合を見る術はないのですから。
井岡一翔の目指す場所
井岡一翔は、ずっと誰かの影に隠れてきた、とも言えるボクサーだと思います。
それは日本でという話ではなく、世界的にみれば、という話です。
「チョコラティート」ゴンザレス、「ガジョ」エストラーダ、そして「バム」ロドリゲス。同国人であるという理由であれば、「モンスター」井上尚弥。
誰からみても「2番手」と捉えられてしまう井岡ですが日本人初の4階級制覇という偉業と、そのレジュメは井岡一翔以前のボクサーとは一線を画します。
井岡の残してきたレガシーと、強者と戦うスタイルは、日本という小さな島国に閉じ込められた限定的なものであり、世界にアピールする力が足りません。それは日本の放送網、かつて地上波の時代はTBSで、配信時代となった今でも国外で視聴することのできないABEMAという媒体であるが故の壁であり、いかに実績を残したとしても米英のファンに届かない場所での試合は評価のしようがありません。
また、ダイナミックなパフォーマンスとは言い難く、ハイライトも映えるとは言い難い。このこともフルラウンドを見ることが叶わない英米のファンや評論家たちにとっての評価しようがないところです。
その技術は攻撃も防御も舌の肥えたファンを唸らせるものであり、とにかく井岡のボクシングはずっとみていても飽きないものです。特にボクシングを競技としてやっている人たちにとっては、海外ボクサーよりも、井上尚弥よりも現実味のあるボクシングではないでしょうか。
しかしもし、井岡がこの戦いでマルティネスに勝利することができたならば、井岡にも大きく道が拓けることになるかもしれません。
それは一つ、軽量級のスターであるジェシー「バム」ロドリゲスが統一戦を強く希望していること。これにより、タイトルを持っていればバムと戦う権利を得ることとなり、さらに井岡はバムの兄であるジョシュア・フランコを破った経験もあり、バムにとっても井岡戦は願ったり叶ったりの一戦です。そして、バムは日本で戦うことを歓迎こそすれ障壁はないはずです。
年齢的にはキャリアの最終盤に来ているであろう井岡一翔。是非ともここでもう一度、大きな花火をあげてほしい。
アンダーカード
セミファイナルは、堤駿斗(志成)vsレネ・アルバラード(ニカラグア)。
WBA世界スーパーフェザー級挑戦者決定戦、なんていう大仰なものがつけられていますが、こればかりは話半分、いや1/4か1/8で聞いておくほうが平和です。なんせあのWBAです。
そもそも10月のランキングでは世界ランクに入っていなかった2人が、突然8位(堤)、14位(アルバラード)とランクインし、その2人で王座決定戦というのはなんとも形容し難い。
志成ジムもあまり信用できるジムではない、というイメージですが、WBAとべったりなのはこれまた評判が悪くなりそうで心配ですね。
ともあれ、堤は前戦で元王者のアンセルモ・モレノ(パナマ)をノックアウトするもウェイトオーバー、6ヶ月という意味のないサスペンドを受けての復帰戦です。
もはや済んだことをどうこういうつもりはありませんが、やはり一度約束を破ってしまったボクサーを全力応援することは個人的には難しいと感じます。比嘉大吾の時もかなり葛藤がありました。
ともあれ、私も含めたそんな老害ファンの戯言などは気にせず、良い戦いを見せてもらいたいものです。
アルバラードは直近5戦で2勝3敗、2021年〜2022年いかけては5連敗しているものの、KO負けはほとんどないタフなボクサーです。元王者とはいえ中堅程度のボクサーにも敗れており、衰えている、ということは真実でしょう。
34勝(22KO)14敗という戦績を真っ向から信じてはいけないボクサーではあるものの、堤の勝利は固いようには思います。ただ、やはり堤が信頼を回復するにはここはしっかりと倒し切って勝利してほしい、と思うところですね。
配信情報
さて、配信は日本でしか放映されないABEMA。
これは本当にボクシング界の発展の妨げになるものなので、日本のプラットフォームはどうにかしてほしい。
ProboxTVにでも少額で売る、でも良いと思いますし、DAZNで放映してもらって日本での放送だけ外してもらう、だって良いし、何なら海外向けにはPPVにしたって良い。ともかく、「見たいけど見れない」は大きな問題なのです。
とまあ、批判ばっかりなわけですが、実はABEMAは「広告付きABEMAプレミアム」というプランを発表しており、これが月額なんと580円という安価。
別に広告はついても問題ないですが、大晦日は家族とのアレコレがあるのでライブ視聴は厳しい、という方には朗報ではないでしょうか。この月額580円で見逃し視聴ができるというのは本当に素晴らしいことです。
配信日時は12/31(火)の15:00、試合開始が16:15なのでその1時間超は何するの?という感じもしますが(w)、ともかくこの試合は見逃せませんね。
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そう言えばもうすぐBlack Friday。
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