ライト級。
日本人にとっては遠く高い頂であるこの階級で、アジア2冠統一戦が行われました。
WBOアジア王者の保田、OPBF東洋太平洋王者の宇津木、ダウン応酬の素晴らしいファイトは最初から最後までドキドキが止まらない戦いではありましたが、そこに勝ったからといって「世界へ」となれないのがこの階級です。
少なくとも日本最強を証明してからでなければ、世界への入り口にすら立てないというイメージで、それを成し遂げてから入り口に立った吉野修一郎(三迫)はシャクール・スティーブンソン(アメリカ)に歯が立たず。
狙い目の王者がいればあるいは、とは思いますが、今のところこの階級でそのような穴王者は見当たりません。
ということで今回のブログは、世界のライト級戦線を見ていきたいと思います。
Ring Rating
待ち侘びているのですが、リングマガジンのHPは未だ「Coming Soon」のままです。ぜんぜん「Soon」じゃあないじゃないか。
やっぱりパネリストたちの意見は参考にできるものだし、各団体のランキングを当たっていくよりも完全に効率も良いので重宝しているこのランキング、早いところ見れるようにしてもらいたいし、記事の更新も行なってほしいものです。
ともあれ、「X」のbotで過去のランキングを確認できるので確認していきます。
1位:ジャーボンタ「タンク」デービス(アメリカ)
2位:ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)
チャンピオン不在のライト級ランキングで、最上位はジャーボンタ・デービスです。実際なかなかに不活動なトップが多い中で、タンクも別に活発というわけではありませんがコンスタントに試合を行っていることは事実であり、無敗です。
確かにこのボクサーをトップに据えなければ他に該当者はおらず、どちらかというと「消去法で1位」とも言えるのではないでしょうか。
その強さは間違いはないもので、前戦でフランク・マーティンを8RKO、その前はライアン・ガルシア、エクトル・ルイス・ガルシア、ロランド・ロメロ。。。ここ最近でノックアウトできなかったのはイサック・クルス(メキシコ)のみで、だからこそファンたちの求めるものが大きい。
次戦のレイモント・ローチ(アメリカ)戦は馬鹿げたマッチアップと言われていますが、対戦相手選びに苦労している(この理由の半分はタンクにあるのだと思いますが)タンクにとっては、試合数をこなすことも重要であり、ある程度は目を瞑る必要もあると思います。
このローチ戦は12/14に予定されている、というところから1月に延期、という話があり、その後やっぱり12/14に開催されるらしいという話があった後に、現在は3/1にリスケジュールされた、というニュースが最新です。タンクvsローチ、このマッチアップを目玉としてPPVファイトを組むなら、やっぱり魅力的なアンダーカードが必要になります。
続く2位につけるのはワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)、昨年に続き今年も1試合/年のペースでのリング登場です。
5月、元統一王者のジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)と戦い、約3年ぶりとなるノックアウト勝利をあげたロマチェンコ。この戦いに勝利したことでIBF世界ライト級王者に返り咲き、一時期はタンクとの王座統一戦が期待されていました。
しかしロマチェンコは早々に「今年いっぱいは休む」としてこれを拒否、IBFなのでおそらくすぐに指名戦の期限が来てしまい、この次の試合でタンクとの王座統一戦は霧散していることでしょう。
IBFのランキングは現在1位はおらず、2位にザウル・アブドゥラエフ(ロシア)。(これまで1位にはセペダが居座っていましたが、セペダが挑戦権を行使しなかったためランキング外へ落ち、1位が空位となっているようですね。)未だ戦争が続くウクライナ、果たしてロマチェンコは2025年にちゃんと復帰するのでしょうか。
3位:ウィリアム・セペダ(メキシコ)
4.位:シャクール・スティーブンソン(アメリカ)
3位は長らく待たされ続けているトップコンテンダー、ウィリアム・セペダ。そしてセペダに続いてランクされているのが、WBC王者のシャクール・スティーブンソンです。
普通に考えればこのランキングは4人の王者が先に来てその次に王者の首を狙うコンテンダーたち、と考えるべきなのでしょうが、シャクールのライト級に上げてからの2戦、2023年のワーストファイト・オブ・タイトルマッチとなったエドウィン・デ・ロス・サントス(ドミニカ共和国)戦、そして2024年唯一の戦いとなったアルテム・ハルチュニャン(ドイツ)を倒せなかったということが影響しているのかもしれません。
対して我らがボリュームパンチャー、ウィリアム・セペダは今年3戦、最新試合のテビン・ファーマー(アメリカ)戦はギリギリの勝利だったことは事実ですが、ジョバンニ・カブレラ(アメリカ)、元IBO王者のマキシ・ヒューズに対して前半ストップ勝利を決めており、それは大きな評価に値するレジュメです。
ファーマー戦を見る限り、シャクールvsセペダという直接対決においてはシャクールが優位な位置を崩さないでしょう。
それでもやっぱり応援はウィリアム・セペダ、この苦い経験を活かしてシャクールに勝利してほしい。
5位:デニス・ベリンチク(ウクライナ)
6位:レイモンド・ムラタヤ(アメリカ)
7位:キーショーン・デービス(アメリカ)
リングマガジンのランキングにおいて、3団体のトップコンテンダーであるウィリアム・セペダの後塵を拝しているのはシャクールだけではありません。
WBO王者のデニス・ベリンチクもその1人で、ロマチェンコと同い年という遅咲きのウクライナ人ボクサーです。
過去には荒川仁人との対戦経験もあるベリンチクは、マッチメイクに恵まれず長い間地域タイトル戦を消化。随分と遠回りをしましたが、ようやくチャンスに恵まれてエマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)との王座決定戦を制して世界初体感を果たしています。
これが5月の話で、防衛戦はまだですから、マッチメイクに恵まれないのは相変わらずと言えるでしょう。
ただ、2022年からトップランクと契約して以降は強豪との対戦を経てステップアップしてきたベリンチク。需要がないため1年に1試合というのが関の山ですが、おそらく次戦は大きな勝負、キーショーン・デービスの挑戦を受けるはずです。
7位のキーショーン・デービスは「次はデニス・ベリンチクと戦う」と公言。これはESPNのボクシング番組、「State of Boxing」で語られたことで、ともにトップランクにプロモートされている選手同士、特に障害はないはずです。
ちなみにキーショーンもベリンチクもともにオリンピックのシルバーメダリスト、キーショーンはこの戦いは「非公式のゴールドメダルを賭けて戦う」ファイトだとしています。
キーショーンは前戦で難敵グスタボ・レモス(アルゼンチン)をたった2Rでノックアウト。一つ上の階級でリチャードソン・ヒッチンズ(アメリカ)を相手に好勝負を演じたこのレモスを相手に非常に強い勝ち方でした。
おそらく来年春、遅くとも夏頃にはこの試合が実現する見込みであり、そしてその勝負に勝利した暁にはもう一度キーショーンは呼びかけるのでしょう。「ジャーボンタ」と。
前後して6位はレイモンド・ムラタヤです。
キーショーン・デービスがこの階級のNo.1プロスペクトと100%の自信を持って言えないのは、このレイモンド・ムラタヤの存在がいるからです。
キーショーンはシャクールみたいになってしまわないか心配していたのですが、その心配は今のところなさそう。対してこのムラタヤは全くそんな心配がなかったボクサーで、素晴らしいコンビネーションで倒しまくるボクサーです。
キーショーンよりもエキサイティングで、これまでの戦いを俯瞰してみればその倒しっぷりも凄まじい。そしてキーショーンと異なり、苦戦も経験しており、その部分においてキャリアは上回るのではないかと思います。3団体で上位(WBC2位、IBF4位、WBO2位)にランクしているムラタヤ、こちらもいつチャンスが来てもおかしくはありません。
8位:フランク・マーティン(アメリカ)
9位:アンディ・クルス(キューバ)
10位:サム・ノークス(イギリス)
8位にはジャーボンタ・デービスに敗れたフランク・マーティン。そして9位は東京五輪金メダリストでアマ時代のキーショーンが決して越えられなかった壁、アンディ・クルス。そして10位のサム・ノークスは英国プロスペクト。
マーティンはすでに名前が売れている選手ですが、クルスについてはまだプロで4戦。デビュー戦からIBFのインターナショナルタイトルを戦い、前戦ではアントニオ・モラン(メキシコ)を7Rでノックアウトしています。
そして注目のサム・ノークスはイギリス人ボクサーにたまに現れる猛烈ファイタータイプで、現在15勝(14KO)無敗、2024年に入ってから当時無敗だったルイス・シルベスター(イギリス)、イバン・メンディ(フランス)、ジアンルカ・セグリア(イタリア)に勝利して評価を高め、12/7に今年4戦目を戦う予定です。
その他にもフロイド・スコフィールド(アメリカ)、ハディエル・ヘレラ(キューバ)、ザウル・アブドゥラエフ(ロシア)、エドウィン・デ・ロス・サントス(ドミニカ共和国)らが控えており、元統一王者ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)もいますし、元王者テビン・ファーマーもムラタヤ、セペダを相手に引けを取らない試合をしており、まだまだ元気です。
ニッポンのライト級
現在日本のライト級も非常に盛り上がっており、先日の宇津木秀vs保田克也のあとは三代大訓vs丸田陽七太。アジア最強決定トーナメントの優勝者である今永虎雅、負けた齊藤陽二もアップセットを起こせる力を持っているだけに、アメリカで勝負しても面白いかもしれません。
そして吉野修一郎、仲里周磨だってまだチャンスはあります。
ただ、この世界のトップ戦線のリストに入るというだけでもかなり難しく、いずれにしろ日本で順番待ちをしていてもチャンスが巡ってくることはありません。
まずは国内で鎬を削ったのち、しっかりと目標を持って世界へ打って出る。
そんな日が来た時、いったいそれは誰なのか。
その辺りも楽しみにしつつ、今後も世界、日本のライト級戦線を見守っていきましょう。
そう言えばもうすぐBlack Friday
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