以前のブログにも書きましたが、2/22の話。
2/22に予定されているリヤドシーズン、このラインナップがもしかしたらボクシング史上最高のラインナップでは?と言われています。
元々はダニエル・デュボアvsアンソニー・ジョシュア2というビッグカードを端を発したこの日の興行は、メインイベントをダニエル・デュボアvsジョセフ・パーカーに変え、今、次々と注目のマッチアップが積み重ねられています。
そして、すでにメインイベントを喰ってしまうであろうカードも追加。
ということで今回のブログは、2/22(日本時間2/23)に行われるリヤドシーズン、現在のまとめについて。
2/22(日本時間2/23)サウジアラビア・リヤド
実際にはまだ確定しているわけではありません。ものによっては交渉が開始されたばかりのものも含まれます。ただ、噂レベルのものではありません。
これらのカードは確実に締結に向かって歩を進めており、怪我や病気などのよほどの理由がない限りはリヤドの大きな財源のもと、決定していくのでしょう。おそらくそのリミットは、あと1ヶ月のたたないうち。いや、2週間ほどでしょうか。
ダニエル・デュボアvsジョセフ・パーカー
デュボアはIBFの正規王者として、元WBO王者のパーカーを迎え討ちます。
アンソニー・ジョシュアを痛烈なノックアウトで破ったデュボアは本格派のヘビー級であり、まだ27歳と若いことから次の世代のヘビー級の主役となれる可能性のあるボクサーです。
過去にジョシュアに判定負けを喫しているパーカーとの戦いは、おそらくデュボアが優位でしかるべきなのでしょうが、このおそらく最後となるかもしれないチャンスにかけるパーカーというボクサーは怖い。
スキルフルで、骨太のキャリアを歩んできたパーカーは、オセアニア地方においての初の世界ヘビー級チャンピオン。2018年にはジョシュアだけでなくディリアン・ホワイトにも負けて2連敗、ここからゲートキーパー的な役割になるかと思いきや、オセアニア最強を証明して復活。しかしWBO世界ヘビー級暫定王座決定戦でジョー・ジョイスに敗れ、2度目のキャリア終焉の危機を迎えます。
そんな大ピンチからこのパーカーを救ったのはリヤドシーズンで、ヘビー級に重きを置いたこの興行でパーカーはまたも不死鳥のように復活、デオンテイ・ワイルダー、チャン・ツィーレイといったヘビー級でも類を見ないパンチャーたちを攻略して、今回の一戦に漕ぎ着けています。
ハードヒッターは得意、と言わんばかりに、倒されるリスクを背負ってリングに立つジョセフ・パーカー。個人的にはデュボアのボクシングは好みなので頑張ってもらいたいですが、パーカーは簡単にいく相手ではないでしょう。
アルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボル2
なのでメインは非常に楽しみなのですが、このカードが「弱い」と感じるファンもいるようで。そこにきて聞こえてきたのは、このベテルビエフvsビボルのダイレクトリマッチです。
初戦が素晴らしい試合となったこと、ビボル勝利を推す声も多いこと(もし結果が逆になっていたらベテルビエフ勝利を推す声も多かっただろうと思います)、そしてアメリカ大陸、イギリスといった大国で需要が少ないファイター同士であること。
これらのことを考えると、この再戦がすぐに決定するというのは合理的な話です。
ベテルビエフの年齢を考えても、早いに越したことはありません。
IBFはベテルビエフに対して、無名のトップコンテンダー、ミハエル・エイファートというボクサーとの指名戦をオーダーしたとは思いますが、これこそは誰も望んでいないカードであり、IBFの悪いところが出てしまったマッチアップ。
それよりは、たとえベテルビエフがIBF王座を失ったとしても、ビボルとの再戦を行うことは十分に理解できることだし、ビボル勝者論者を黙らせるには、ここしかないぐらいのタイミングです。
あ、ちなみにベテルビエフは(ジョークでしょうが)ジェイク・ポールにも呼びかけをしていたみたいです。まあ、この戦いはベテルビエフが引退間際にやれば良いのでしょう。
ともあれ、この戦いを持ってくるのならばちょっとメインよりも格上になってしまうのでは?という懸念事項がありますが、この戦いに限ってはダイレクトリマッチを許しましょう。
シャクール・スティーブンソンvsフロイド・スコフィールド
シャクールは本来ここでセペダと戦う予定でした。もうすでに内定している戦いで、それが既定路線だったようです。
しかし、セペダが前戦、仮想シャクールとして戦ったと思われるテビン・ファーマー戦で大苦戦、しかも腕を負傷するという大惨事。結果、この戦いは一旦白紙となり、ここで名前が上がったのがプロスペクト、フロイド・スコフィールドです。
フロイド・スコフィールドは才能のあるボクサーで、未来の世界王者といえば間違いはありません。
ただ、正直まだキャリアが少なすぎ、世界的強豪との対戦は皆無。
たとえ大金を得られるとしても、スコフィールドにとってこのタイミングでのシャクール戦というのは大きなリスクを伴い、本来ならば受けなくて良い試合ではないでしょうか。スコフィールドならのちにもっと稼げるようにもなるでしょうし、まだ22歳の彼は焦る必要が全くないはずなのです。
シャクールを倒すことができる自信があるのか、それとも目先のカネに飛びつくのか。すでに3階級を制覇したシャクールに、まだキャリアの形成段階であるアメリカンプロスペクトが挑む、というのはなかなかに見ない構図ですね。
もしスコフィールドに自信があるのであれば、それを見るのが非常に楽しみです。負けるつもりでリングに上がるボクサーはいないはずですから。
ジャロン・エニスvsバージル・オルティスJr
かつて同じ時期にウェルター級のランキングを駆け上がったプロスペクトが、ここで早々にぶつかります。
当時からライバル関係を騒がれていた2人ですが、もし相対するならお互いに歳をとって落ち目となった時、と当時は思っていましたが、もはやその頃とは時代が違います。
ただ、この戦いはもうちょっと熟成させた方が本当は良いのではないか、とも思います。
まだ両者とも脂が乗り切っている、とはいえないキャリア、年齢であり、まだまだここから評価を上げられるボクサーのはずです。
あえてここでぶつかる意味というのは、この後、数年後の再戦やトリロジーを見据え、長く楽しめるライバル関係を築くことができるからなのかもしれません。
そうなると、この一戦目は非常に大事です。
もしこの戦いが素晴らしいファイトとなり、即時の再戦が期待されたとしても、この戦いの再戦を見るのはダイレクトリマッチではなく、数年後の方が興味深い。
彼らがこの戦いの後、どのようなキャリアを築き、そこでどのように学び、そしてまた拳を競わせる。
長いライバル関係というのはそれだけでも楽しいものです。
もしこのタイミングで初戦が決まるのであれば、是非後年に残るような名勝負(たとえばレナードvsハーンズのような)を期待したいものです。
カルロス・アダメスvsハムザ・シーラズ
イマイチ盛り上がりに欠けるミドル級で、このシーラズは非常に注目すべきボクサーです。
フランク・ウォーレンは、前戦で素晴らしいノックアウトを披露したシーラズの次戦を2/22と明言し、そこで彼は世界タイトルに挑戦するだろう、と言いました。
そしてその前からIBF・WBO世界ミドル級統一王者であるジャニベック・アリムハヌリ戦の噂のあったシーラズですから、ここでその試合が決まるとワクワクしていました。
しかしシーラズが狙っていたのはWBC王者のカルロス・アダメスだったらしく、このことをウォーレンが発表した頃には少々ため息が漏れ出ました。
よくよく考えてみれば、2024年に大躍進したシーラズですが、それでも元世界王者という肩書きのボクサーとはやっていません。だからこそ、彼が本当に世界トップレベルにあるかどうかはまだわからないのです。
そこにきて、3人のミドル級王者の中でも最も評価の高くない王者を選んだことに対して、誰が彼を責められるのか。
とはいえ、今は見れないリングマガジンのランキングでは、1位のアリムハヌリに次いで2位につけるシーラズ。もしアリムハヌリを倒せるならシーラズ、とまで言われるこのボクサーが、もしもアダメスに破れるようならミドル級はおそらくアリムハヌリの天下になります。
この日、いったい何が起こるのか見てみましょう。
チャン・ツィーレイvsアギット・カバイェル
この2人ももはやリヤドシーズンの常連です。
ドイツ出身のカバイェルは前戦で当時無敗のフランク・サンチェスを、前々戦で同じく当時無敗のアルスランベック・マフメドフを、それぞれノックアウトで破っています。
この32歳のドイツ人を迎えうつのが、東アジアのヒーロー、チャン・ツィーレイ。
41歳という年齢のツィーレイは「ビッグバン」のニックネームを持つハードパンチャーで、前々戦でジョセフ・パーカーに敗れるも、前戦ではデオンテイ・ワイルダーに勝利しているし、パーカー敗戦前にはジョー・ジョイスに連勝しています。
これは非常に興味深い試合で、ツィーレイに勝利すればカバイェルの評価は不動のものになるでしょうし、ツィーレイにとってはここに勝てば次戦かその次ぐらいでタイトル戦が回ってきそうなイメージ。
やっぱりリヤドシーズンはヘビー級が大好きですね。
恐るべしリヤドシーズン
トップ同士の争いの中に、プロスペクトにもチャンスを与えるというこの興行。やや時期尚早に思える世界挑戦というものもありますが、結果的にどのようなカードが揃うのかは座して待ちましょう。
仮にこのまま進んだとすれば、アメリカ、イギリス、オセアニア、アジアとカナダやロシアといった国々にとって非常に興味深い戦いとなり、非常にワールドワイドな大会になりますね。これは意図してやったことなのか、ともあれこれこそが世界中のボクシングファンが見るであろう戦いです。
以前に書いた通り、会場の寂しさは如何ともし難いところはありますが、やっぱりこのカードを揃えるカネの力というものは本当にすごいものです。
盛り上がってもらえることを祈ります。
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