本日仕事始めの人は多かったでしょう。
私ももちろんその1人で、1月は稼働日が少ないのでなかなか大変です。もちろんこのブログを書いているのは年末年始休暇の只中なので、まだもう少し2024年を振り返りましょう。
2024年のニュースは年末、下記のブログにまとめています。
今回のブログは、2024年に起こった出来事から、2025年は何が起こるのか、を見ていきたいと思います。

ボクシングの中心地はもはやラスベガスにない
2024年、ウシクvsフューリーもベテルビエフvsビボルもウシク・フューリー2も、全てサウジアラビアのリヤドにて行われた試合でした。
ベガスでは結果は置いておいてヘイニーvsガルシアはビッグファイトにあたり、カネロvsムンギア、カネロvsベルランガ、タンクvsマーティンは規模的にビッグファイトと呼んで良いと思いますが、50-50の戦いとはいえず、ファイトそのものの興味はリヤドシーズンに遠く及びません。
東京ドームで45,000人近くを集めた井上尚弥vsルイス・ネリ、ウェンブリースタジアムで10万人近くを集めたアンソニー・ジョシュアvsダニエル・デュボア、これらは日本、イギリスがそれぞれスターボクサーを有しているから可能なものであり、井上、ジョシュア以外のボクサーでは難しいのもまた現実。このことでラスベガスがすでに中心地ではない、というつもりはないですが、やっぱりリヤドにビッグマッチを取られていることが非常に大きなことです。
ただ、現実的にはウシクvsフューリーもベテルビエフvsビボルも、アメリカでは実現し得なかったマッチアップ。ジョシュアvsデュボアはプロモーションの違いこそあれど自国の集客力を考えると実現したであろう戦いで、井上vsネリについては言わずもがな。
これらの場合、ボクシングの文化とも言えるアメリカでよくある「プロモーター間の諍い」は害悪でしかなかったと言えます。
この流れはおそらく2025年も安泰でしょう。
ただ、サウジアラビアでの興行はハコの問題、ライト層の応援者が集まれないという問題もあり、現地の盛り上がりが今ひとつなのが勿体無い。「リヤドシーズン」がサウジ国内だけにとどまらず、ラスベガスやウェンブリーエディションなどを引き続き手掛けてくれれば良いのですが、トゥルキ・アラルシクはもう国外ではやらないと言っています。
トレンドは中量級から軽量級へ?
井上尚弥の活躍はもとより、中谷潤人、ジェシー・ロドリゲス。
これらの軽量級ボクサーたちの躍進は2024年に限ったことではありませんが、リングマガジンの提唱するP4Pリストに3人の軽量級ボクサーが入っているということは稀有なことです。
リカルド・ロペス、ウンベルト・ゴンサレス、マイケル・カルバハル、90年代の前半に種を蒔かれた軽量級の火種は、そこから20年の時を経てローマン・ゴンサレスが薪をくべ、そして今があります。
中・重量級のボクサーの方が目立つのは致し方のないことですが、以前よりもずっと軽量級に目が向いている、特にこれは一般のファンよりも識者に多いような気がします。そうして識者が取り上げることで、一般のファンにも広がっていくのでしょう。
今や「モンスター」の名前は世界中のボクシングファンに轟いており、「バム」も「レジェンドキラー」で名前を馳せ、そして中谷は2023年のKOオブザイヤーで名前を売りました。
ロマゴン時代は軽量級のファイトマネーが比較的安価に済む、という理由でHBOが「SUPERFLY」興行を開始、今現在は膨らんだファイトマネーを工面するのはサウジアラビアであり、生き残ったPPVファイトです。PPVは衰退期に入りそうですが、高額ファイトマネーが必要なボクサーたちの半分以上をリヤドが引き受けてくれるおかげで、まだ少し余裕が生まれ、軽量級のプロモートは「ファイトマネーが安いから」だけではなくなってきていると思います。
もちろん、安いファイトマネーでハイレベルなマッチアップを見れるというのは軽量級の楽しみの一つなので、とりわけクラシカルなプロモーターたちは今こそ軽量級に目を向けるべきだと思います。
ウシクvsフューリーの初戦のファイトマネーは両者合わせて1億1,600万ポンド(約227億円)、再戦では1億5,000万ポンド(294億円)。こういう天文学的なファイトマネーは現段階ではリヤドに任せ、アメリカやイギリスでボクシングを復権したいのならば軽量級に目を向けるべきでしょう。
この辺りのことに気づかない老舗プロモーターたちではないと思うので、2025年は軽量級のプロモーション、そして好マッチメイクに期待したい。
エンタメファイトを許容せよ
ニセモノ(エンタメファイト)とホンモノ(リアルファイト)、と切って落とすのは簡単ですが、事実日本ではブレイキングダウンというエンタメが大人気(個人的には恥ずべきことと思っている)、そしてPED(Performance Enhancing Drugs)を摂取したボクサーを興行に出場させる動き(これは結果中止となった)がありました。
そして海外でも、以前からボクシングのリングで精力的に活動していたYoutuberジェイク・ポールがレジェンド、マイク・タイソンを引っ張り出し、ポールは4,000万ドル(約63億円)、タイソンは2,000万ドル(約31億円)というファイトマネーを手にしました。
さらにポールvsタイソンは6,500万世帯という視聴数を記録し、視聴者数は1億人以上と言われています。
果たしてどんなメガファイトであろうとも、この数を記録するのは不可能のように思います。古くから崇高な真剣勝負を、リアルファイトを見続けてきたボクシングファンからすると非常に歯痒いですが、もはや時代がそういうものになっているのです。
その中でリアルファイトの火種を灯し続けなければ、その後のエンタメファイトも成り立たないのですから、並行して行なっていくことの重要性をジェイク・ポール氏には理解してもらいたいし、おそらく彼はわかっているのだと思います。(その興行にリアルファイトをちゃんと入れ込んだり、MVPというプロモーション会社で小規模興行をちゃんとやっている)
ジェイク・ポールが何者か、というのは「Youtuber」「インフルエンサー」であること以外は知らないのですが、彼がボクシングのプロモーターとしてその手腕を発揮してくれないか。
個人的には別に試合順とかはどうでも良いので、エンタメファイトがメインイベントでも構いません。やっぱり私はラスベガスでのメガファイトを見たい。
時代の流れには逆らえないので、これはある程度許容せざるを得ません。このエンタメファイトの流れは止められないでしょうから、きっと2025年にも何かしらあるのでしょう。今はただただ静観し、一つ一つのエンタメファイトに目くじらを立てないようにしないといけません。
ニッポンという国のエンタメファイトで「素人同士を戦わせる」「PEDボクサーを嬉々として呼ぶ」はボクシングとは無関係、かつ論外なので無視で良いと思いますが。
新興プロモーターたちへの期待
世界のボクシング界は、そのプラットフォームをDAZNに一本化されそうになっています。それはすなわち、全てがトゥルキ・アラルシクの軍門に降ることになります。
多くの素晴らしいマッチアップを成功させてきたトゥルキ氏ですが、ハタから見ていると個人の力が強く、その後を継ぐものがいるのかいないのか、そしてこのまま走り続けてくれるのか、というのは疑問に思うところ。もっとも問題なのは、やはりおいしいところをさらっていくというスタイルのため、リヤドシーズンで選手は育ちません。(サウジアラビアの選手はキャリア初期からリヤドシーズンに登場しているので、育つのかも)
PBCの動きも謎で、Showtime・FOXからAmazon Primeに移ったは良いですが、それまでの中規模興行の放映は一切なく、大規模興行、それもほとんどがPPVのみ。
トップランクだけは良い意味でも悪い意味でも変わらず、若手と契約してアンダードッグを相手にしっかりとキャリアを積ませる、という方法を変更していません。そしてESPNの放送網から出るという話は今のところありませんね。ESPNは英国ではSky sportsと提携関係にあるので、米英では視聴可能、と考えれば、ある程度のボクシングファン人口をカバーできますね。確か2025年の後半ぐらいにESPNとの契約が切れるという話だったと思いますが、果たしてどうなるか。
イギリスはまだマシというか足並みが揃ってきた(もしくは、揃ってしまった)のか、マッチルームだけでなくクイーンズベリーもプラットフォームがDAZNとなり、最大手と呼ばれる二つがプラットフォームを統一。他にはBoxxer(Sky sports)、ワッサーマン(channel5)もありますが、ほとんど全ての英国興行を世界中で見れるようになった、と考えて良いでしょう。
あとは日本は相変わらずガラパゴスで、ABEMAやU-NEXTで放映される試合は日本国内だけにとどまり、他国では見れない状況が続いています。ABEMAは英語実況できる人を探していた(SNSで探していたそうなので本気か?と思う)とのことなので、もしかすると海外からも見れるようにするのかもしれませんね。
そもそもスポーツ中継に実況なんているのか??私は実況やら解説やらは邪魔におもうタチですし、わざわざ海外のプラットフォームと契約してみよう、という人たちはひとかどのマニア寄りのファンだと思うので、ただ流すだけで十分だと思うのですが。
とまあ、だいぶ話が逸れてしまったのですが、そんな状況の中で期待したいのはアメリカの新興プロモーターたち。新興プロモーターというよりも小規模〜中規模プロモーターたちのことです。
ProBoxTVをはじめとして、MVP、Salita Promotionsといったプロモーション会社たちは非常によく頑張っており、プロスペクトたちのキャリア形成に大いに役立っています。
特にProBoxTVは独自のプラットフォームで試合を無料生配信、ここからアンジェロ・レオが復活を遂げたことは賞賛に値します。
できればMVPにはNetflixでのボクシング中継を浸透させてもらいたいと思うし、Salita Promotionには地域密着から世界的有名ボクサーを育て上げ、ボクシングが地域振興の一助になることを指し示してもらいたいと思います。(Salita PromotionはBig Time Boxing USAというイベントで、デトロイトのプロスペクトたちをフィーチャーしており、これはDAZNで放映されています)
そんなわけで、リヤド、そのほかの各大手プロモーターたち、そして独自路線のプロモーターたち、それらがさらに棲み分けが進むのではないか、というのが2025年の展望です。各プロモーターたちも金を稼ぐ、会社を大きくする、というだけでなく、ボクシング界での立ち位置を鑑みて、それぞれの役割を分担してこなしてもらいたいものです。そうすれば自ずと強いボクサーたちは現れてくるでしょうし、ファンもついていくことでしょう。
なお、日本は相変わらずガラパゴス。。。ですが、これも世界とのマッチメイクを帝拳に任せっきりでは良くないですね。これは根深い問題なので、一朝一夕には解決しないとは思いますが。
▼Amazonの初売りは1/3〜!スマイルSALEはこちら▼
【宣伝】
日本で手に入りにくいボクシング用品のセレクトショップやってます。
ぜひ覗いてみてください。
▼最新情報はインスタで▼