1/18(土)、国内ボクシング、2025年初のタイトル戦はトリプル・タイトルマッチ。
中野幹士vs英洸貴という日本人対決をメインに据え、藤田健児の防衛戦と飯村樹輝弥の東洋太平洋挑戦。
U-NEXTに移ってからというもの、時代の変遷も手伝って非常に興味深いマッチアップとなっていますね。
ということで今回のブログは、1/18(土)に行われたダイナミックグローブの観戦記。

1/18(土)ダイナミックグローブ
WBO-AP フェザー級タイトルマッチ
藤田健児(帝拳)7勝(3KO)無敗
vs
マイケル・カサマ(フィリピン)10勝(10KO)2敗2分
初回、リング中央に陣取るのは藤田。カサマはもっと振ってくるボクサーかと思っていましたが、警戒心が強いのか、手を出しません。このアクションの少なさでこのKO率の高さというのは本当にパンチが強いのでしょう。その手の内を、まだ明かしません。
入ってくる時は一気に振ってくるというイメージのカサマ、藤田は速いバックステップで対応しています。
2R、藤田がさまざまなフェイントをかけてカサマを牽制。カサマは相変わらず出てこず、これは出せないのかもしれません。
藤田は左のボディストレートを伸ばし初め、これは遠くからでもカサマの体に当たるので効果的か。後半、カサマが鋭い右のオーバーハンド。これは気をつけなければいけないパンチです。
3R、藤田の動きは前後、左右のステップワークに加え、ボディワークで上下左右と非常に多彩。これはやはりカサマは的を絞りきれないか、対して藤田の方は少しずつ強いパンチ、多彩なパンチを繰り出し始めています。
パンチを繰り出してミスブローをすると逆に距離を潰してクリンチに逃れる、これはさすがフジチェンコ。
4R、カサマが強引に右を伸ばすとそのリターンで左をヒットする藤田。
左のボディも次々と当たり始め、カサマが下を意識したところで顔面への左ストレートもヒット。
5R、カサマが出てくれば藤田がリードを伸ばしながらバックステップ。真っ直ぐすぎるカサマの攻めはこれだけで完全にシャットアウトです。
カサマ主導の攻めに対してはもはや心配する必要がないところまで来ており、あとは同時打ちと打ち終わりにだけ気をつければ良い状況か。
藤田はこのラウンド、連打を見せるなどして見せ場を作ります。
この連打、コンビネーションの中でバックステップを挟む、というのがまたなんとも素晴らしい。
6R、もうカサマは倒される覚悟で攻めなければいけないのではないでしょうか。藤田は非常に余裕を持ってマイペース、前半にとてつもない軌道のアッパーもヒット。
カサマはちょっと上体が折れてきているように見えます。
軽打からサイドに周りコンビネーションの藤田、強いボディを決めるとカサマは明らかに嫌がっています。
パンチをまとめる時間が増えてきた藤田、カサマはもはや何もできなくなっているか。
7R、カサマが思い切ってワンツーを振ってきます。ただ当たるイメージが湧かないのか、単発のワンツーのみ。
カサマは何とか藤田の体に着弾させようと右ボディストレートを振りますが、これすらも空を切ります。
8R、カサマが思い切って同時打ちで振ってくる場面が出てきました。しかし藤田のペースは全く乱れず、その後もプレスをかけて軽打を交えたコンビネーション。
左ストレートで顔を跳ね上げ、ボディを交えた連打で徐々にカサマを追い詰めていきます。
9R、真っ直ぐの左をバチンとヒットした藤田。プレスをかけてコーナーに追い詰めた藤田は、アングルをつけたパンチを放っていきます。カサマは固まる時間が長く、ただただ一発を狙っているという状況でしょうか。
後半、藤田の左ボディで体がくの字に折れたカサマ。エスケープに徹するカサマに対して、倒すところまで持っていけない藤田。
そしてこのインターバルでマイケル・カサマがノー・マス。
9RRTD、つまりは9R終了TKOで藤田健児が防衛成功!
パフォーマンスとしては完璧だった藤田。ロマチェンコ同様、どちらかというと連打でボコボコにしてTKO勝利、というのが彼にとって良い勝ち方だと思いますが、カサマはかなりディフェンシブで、倒すのには苦労したようなイメージでしょうか。
ガードの上からでもガンガン打てたり、それこそロマのようにガードを外しての攻撃、を加えるともう少し早くストップまで持っていけたかもしれません。が、これは非常に藤田のボクシングを堪能できた一戦でした。
OPBF東洋太平洋フライ級王座決定戦
ローレンス・ドゥマム-ag(フィリピン)10勝(7KO)無敗1分
vs
飯村樹輝弥(角海老宝石)7勝(2KO)1敗
個人的には飯村のソンブレロ復活を期待しているのですが、もう被って出てきませんね。
さて、フライ級といえば2団体にわたり日本人ボクサーが世界を獲得。それでも世界挑戦が容易か、というとそうではありません。フライ級は現在、王座統一戦路線にあります。
そんな中、アジア王座にステップアップする飯村、無敗でKO率の高いパンチャーであるフィリピン人を相手にどのようなパフォーマンスを見せられるか。
初回、ドゥマムがサウスポースタンスから思いっきり左を振るスタート。飯村はしっかりと右ガードを上げ、負けじと右をまっすぐ伸ばします。
少し注意力が散漫に見えるドゥマムに対して、飯村の集中力と安定感は素晴らしい。ただ、このことが勝敗に直結するかというとまだわかりません。ドゥマムは上手くは見えないが強い、というタイプなのでしょう。
2R、サウスポー対策もしっかりしているようで、右から入るパターンが多い飯村。ドゥマムはちょっと意味不明なタイミングで振ってくる分これはちょっと警戒しないといけません。
飯村はそこで乱されることなくしっかりとステップワークを使ってエスケープ、回り込んでコンビネーション。
3R、良いステップワークの飯村、ドゥマムのパンチは空振りが非常に多い。これは続けていきたいところですね。
ドゥマムはちょっと焦りもあるか、元々丁寧ではないですがより雑になっているイメージ。ただ、ちょっとやはりタイミングが分かりづらい分、飯村も深入りはできなそう。
4R、打ち終わりのケアも素晴らしい飯村、打ち終わった後のカバーリングでドゥマムの反撃を防ぎます。ドゥマムのタイミングも掴んできたか、中盤に下がりながらの左フックカウンターをヒット。
ドゥマムは歩きながら打つぐらいの強引さを見せ、しかしそれにも飯村は対応!サイドへサイドへ動く飯村、足を使いながらも全く詰まることはなく、時折打つ左フックカウンターはどんどんタイミングが合ってきています。
このラウンド終了後の公開採点は、39-37×2、40-36で飯村。
5R、接近戦で打撃戦となるタイミングでも、飯村はポジショニングを変更、ブロッキングで受けながらもドゥマムの後続打を出させません。上体の動きもよく、あとは最後までドゥマムの強打を警戒しつつ、どのようにストップに持っていけるのか、です。
6R、非常にアクションが多く、よく頭の位置も変えられている飯村。ただ、やはり同時打ちは危なく、このラウンド前半は左フックの相打ちになる場面があり、ヒヤリ。
中盤、飯村の右目付近から出血、カットでしょうか。
ドゥマムがかなり攻勢を強め、ここを勝負所と見て手数を圧倒的に増やしていきます。
終了間際には飯村がワンツーフックをヒットしています。
7R、ドゥマムは前ラウンドに続きアグレッシブにきますが、そうなると隙もできます。このラウンドも飯村の素晴らしい左フックが幾度もヒット、右ストレートもドゥマムの顔を跳ね上げ、サイドへサイドへと回る飯村はカットの影響もなく素晴らしい動きを見せ続けています。
飯村のこのサイドへの動きを追いきれないドゥマム、もはやガムシャラに歩きながらパンチを打つスタイルになっています。これはこれで怖いですが。
8R、展開は変わらず、ドゥマムも出てきますがそのパンチは空転が多く、飯村に届くことは少ない。飯村は相変わらずサイドに動きながらのコンビネーション、ドゥマムにはダメージも疲労もあるかもしれません。
後半、ストレートで攻める飯村、ドゥマムはまっすぐ下がるようになってきています。限界が近いように見えますが、タフで気持ちも強い。
途中採点は78-74×2、77-75で飯村。
9R、ドゥマムも必死でパンチを出してくる分、飯村の的中率はどんどん上がっているイメージ。飯村はプレスをかけてドゥマムを下がらせ、ドゥマムが出てくればサイドに回ってエスケープ。
このスタミナの苦しいラウンドに来ても一切動きが落ちない飯村、対してドゥマムは最初から緩慢に見えましたが、より緩慢になっているかもしれません。
10R、近い距離での打ち合いの中でインサイドからの左フックをヒットした飯村。上体があまり動きのないドゥマム、かなり疲労が強いか。
11R、前で受けての左フックカウンター、離れ際の右ストレートを狙うか、飯村。ドゥマムはもうなりふり構わずの手数、ここで大逆転のノックアウト勝利を狙っています。
ドゥマムの止まらない手数、ここでこの攻撃が出せるのはやはり気持ちが強いですが、どちらかというとやはり飯村の方が的確なパンチをヒットしているように見えます。
ラストラウンド、グイグイ出てくるドゥマム。ここでドゥマムの打ち終わりに右のショートをヒットした飯村、それでもドゥマムは止まりません。
飯村ももらいつつもコンビネーションを返し、ラストラウンドに相応しい素晴らしい攻防。終盤、飯村はドゥマムのバランスを崩すことに成功しますが、ドゥマムはやはり非常にタフ、ここでゴング。
判定は116-112×2、117-111、3-0の判定で飯村樹輝弥!
素晴らしいパフォーマンスでした、飯村樹輝弥。やはりこのボクサーは非常に完成度が高く、安定感がありますね。一方でローレンス・ドゥマム-agも非常に気持ちが強くて良いボクサーでしたね。また日本に来てほしい。
OPBF東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ
中野幹士(帝拳)11勝(10KO)無敗
vs
英洸貴(カシミ)13勝(5KO)3敗5分
やっぱりトリプルタイトルマッチというのは見る側に集中力が要求されますね。私の集中力がないだけだと思いますが。
ともあれ、メインイベントは中野幹士vs英洸貴というどちらを応援すれば良いのかわからないマッチアップ。下馬評では中野優位で間違いないのでしょうが、英はどのような戦略を立ててこの試合に臨むのか。
初回、グッと顎を引いて積極的にジャブを放っていくのは英。中野は前半からいきなりの左ストレートを浅くながらもヒット。
ボディへの左ストレートも使っていく中野、いつも通り冷静な試合運びから、抜群の距離から左を幾度かヒットしています。この左が全くのノーモーションで出てくるため、英は反応ができていません。
2R、このラウンドも中野の左で英の顔が弾かれます。中盤にも中野はしっかりとナックルの返った左をヒット、これで英は一瞬動きが止まったように見えました。このタイミングで貰い続けるのであれば、ちょっと決着が早いかもしれません。
英はもっとインサイドで戦いたいのか、体を振って中野のジャブを掻い潜るそぶり。しかし距離は中野の左があたるままです。
この距離は英の右も当たる距離、ただこのパンチの交換は英にとってかなりきつい気がします。
3R、これまでと同じペースでの中間距離の攻防から、中野が英のジャブをクイックにかわして左のアッパー!このチェンジオブペースと突然のアッパーアングルに対応できなかった英は、このパンチをまともに喰らってダウン!
この一発で鼻から出血、立ち上がった英に対して中野はチャージ!クリンチに逃げる英、中野はあくまでも冷静にジャブをついて射程距離に入ったところで強い左!
連打に繋げる中野、英も打ち返して応戦!
中盤、ジリジリと下がってロープに追い詰められた英に対して中野は連打、ここをガードで固まって凌いだ英は、ここで反撃!!!
近い距離、つまりは中野の左ストレートが威力を発揮しない距離でアッパーを連打、今度は中野がしっかりとガードで防いで左アッパーから右フック!
これがクリーンヒットすると英はこの試合2度目のダウン!!!
なんとか立ち上がった英でしたが、レフェリーがストップ!!!
中野幹士、3RTKO勝利でOPBF王座を防衛!
なんと。。。強すぎた、中野幹士。英は近い距離、中野の左ストレートを良い距離でもらわない作戦だったのかもしれません。3Rでの決着とはいえ、この試合にかける十分な意気込みを見せてくれたと思います。
足を使っての延命措置をせず、見事に散った、という表現になるのでしょうか。
中野幹士、難敵を相手に素晴らしい勝利。2025年、どのような飛躍を遂げるのか非常に楽しみですね。
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