やっぱりあんまり注目度の高くないDAZN配信のマッチルーム興行。
しかし、この興行にはたくさんの無敗プロスペクトが登場する非常に重要な興行であり、そのプロスペクトたちはかなり高い確率で今後の世界トップ戦線に絡んでくるボクサーだと言うことができます。
スーパーライト級のプロスペクトエルネスト「Tito」メルカド、東京五輪金メダリスト、ライト級のアンディ・クルス、そしてスーパーミドル級のトップコンテンダー、ディエゴ・パチェコ。
この興行は今後のボクシング界を考えると非常に豪華だと思います。さすがマッチルームUSA。
ということで今回のブログは、ラスベガスで行われたマッチルーム興行の観戦記。
↓プレビュー

1/25(日本時間1/26)ラスベガス
エルネスト・メルカド(アメリカ)16勝(15KO)無敗
vs
ホセ・ペドラサ(プエルトリコ)29勝(14KO)6敗1分
初回、大きく大きくサークリングする「スナイパー」ペドラサ。非常に警戒心を持った動き、まずはオーソドックススタートです。
ほぼパンチを出さず、このディフェンシブな足の使い方をしているにも関わらず、非常に落ち着いているメルカドのパンチはボディにしっかりと届いてしまっています。
中盤にはメルカドが上下に打ち分けるコンビネーション、相変わらずペドラサは離れたり近づいたりするだけで、攻撃には移りません。
まずはメルカドのパワーを確かめよう、というのかもしれませんが、このペドラサの戦略はよくわかりません。
2R、リング上を飛び跳ねるように動くペドラサ、序盤にコンビネーションで攻め込みますが、その後はまたステップワークのみ。
ペドラサが前に来たタイミングでメルカドがパンチを振るうからなのか、ペドラサのターンは相変わらずほとんど訪れません。
ジャブをかわしての攻撃を試みようとしているのかもしれませんが、ほとんど何もできていない状況のペドラサ、メルカドはまるでアングルや打ち方を確認するミット打ちのようなボクシングです。
3R、メルカドのタイミングが良い、と考えるのが妥当なのでしょうか。それともペドラサがまだ余裕を持ってインストールの時間に充てているだけなのか。後者だとしても、ペドラサはもっと色々と試さなければなりません。
何かを変えなければいけないと思われるペドラサですが、初回、2Rとほぼ変わらない手数で、変わったのはちょっとプレッシャーをかけ始めたことぐらいでしょうか。
メルカドとしてはかなり闘いやすいかもしれません。
メルカドは体も暖まってきたのか、後半にはよくコンビネーションが出てきています。
4R、メルカドが速いジャブでボックス。ペドラサもようやくエンジンがかかってきたのか、ボディストレートを届かせ、ようやく手数が出始めます。
3ラウンド目までのパンチスタッツが出ますが、メルカドは63/232、ペドラサは7/27という酷いもので、ペドラサは9分間で27発しかパンチを打っていません。
プレスをかけるペドラサは、このラウンドパンチが出始めたから、なのか、攻め込んだところをメルカドに狙われ、左フックから右ストレートを浴びてダウン。立ち上がるも、ダメージは甚大でレフェリーがストップ。
エルネスト「Tito」メルカド、4RTKO勝利!
打たれもろい、なんていうレベルではないほど、ダメージを溜め込んでいるように見えた元2階級制覇王者、ホセ・ペドラサ。何もできずに終わったこの試合は非常に残念ですね。
メルカドのパワーはやはり破格なのか、難なく16個目のKO勝利を挙げました。今後のファイトにも注目です。
アンディ・クルス(キューバ)4勝(2KO)無敗
vs
オマール・サルシド・ゴメス(メキシコ)20勝(14KO)1敗
初回、ジャブをついて慎重な立ち上がりのクルス、ガードを固めて前進のサルシド。ジャブのタイミングが抜群のクルスに、サルシドはなかなか近づくことすらままなりません。
2R、手数を増やしたクルスは遠い距離でジャブ、ジャブ、ジャブ。サルシドが入ってきたところにアッパーやフック等を合わすこともありますね。
技術的に大きな差がありそうなこの試合ですが、サルシドは恐れず攻め込んでいます。
3R、かわして打つ、打ってかわすクルス。近い距離でも単発気味のサルシドのパンチはほとんど当たりません。繰り出す時に、クルスはすでにその場にいない、というイメージです。
4R、相変わらずジャブの精度が異常に高いアンディ・クルス。サルシドのパンチが当たる距離ではブロッキング、それ以外はポジショニングとボディワークでサルシドのパンチのほとんどを空転させています。
後半、クルスが右カウンターから連打を織り込む場面を作って会場を沸かせています。
5Rも展開は変わらず、長い距離ではクルスのジャブが冴え、近い距離で効果的なのはクルスの左右のアッパーです。このラウンドはサルシドもチャージする場面を作りますが、クルスからクリーンなヒットは奪えず。
6R、サルシドは歩いてプレスをかけていきますが、さてここからステップインしよう、というタイミングクルスのジャブが突き刺さります。なんというタイミング。
7R、常に動きを止めないアンディ・クルスのディフェンス能力。そこまで早く動いているわけではなく、ポジショニングで相手がパンチを出せないような場所にいること、そして距離ではずす、もしくは距離を逆に詰めてパンチを出させません。
中盤、サルシドが攻めてきたところにクイックにサイドへ動き、右。この右でサルシドは動きが止まりますが、気持ちは萎えていないようです。
サルシドも良いボクサー、このコントロールされている中でも何とか勝機を見出そうと懸命に戦っています。
8R、サルシドが打ち込んできたところのリターンを狙うクルス。自ら攻めるときはサイドに動いて、アングルをつけた上での攻撃です。
ジャブの距離感も素晴らしいですね。サルシドはもうやぶれかぶれで行くしかないのでは。
9R、非常に丁寧な戦い方のアンディ・クルス。この状態では、サルシドがどんなに闘い方を変えてきたとしても番狂せは起こらなそうです。
微妙な距離になるとサルしどの左テンプルに幾度も打ち下ろし気味の右をヒットするアンディ・クルス。非常に冷静で、安定感のあるボクシングです。
ラストラウンドも展開は変わらず、打ち終わりを狙われているためかサルシドも思ったよりは前に出れず。厳密に言えば前には出ているのですが手は出ず。
後半、これまで何度も当ててきた右をまたもヒットしたクルス、これで動きが止まったサルシド!ラッシュするクルス、サルシドはなんとかクリンチにエスケープ。
そしてゴールテープを切りました。
判定は、99-91、98-92×2でアンディ・クルス。ペドラサに続き、このサルシドも何もできなかったですね。
ディエゴ・パチェコ(アメリカ)22勝(18KO)無敗
vs
スティーブン・ネルソン(アメリカ)20勝(16KO)無敗
年齢差は一回り以上。上背とリーチに勝るパチェコ、どっしりとした体躯のネルソンの無敗対決です。
初回からプレスをかけていくのはネルソンで、非常にアグレッシブ、アップセットを起こす気満々なのが伝わってきます。
初回、当初はサークリングしていたパチェコですが、中盤には比較的どっしりと構えるようになります。ジャブが良いパチェコですが、今日はちょっとジャブが少ないか。
2R、交互にプレッシャーを掛け合う展開ですが、よりアグレッシブに手を出していくのはネルソン。ただ、パチェコのジャブは非常にタイミングが良く、ネルソンの入り際にその顔面を捉えています。
ただ、パチェコのパンチのほとんどはジャブで、時折大砲を放つも完全に単発です。
3R、一気に攻める、という場面が訪れないパチェコ。ネルソンは勢いよく攻め入る場面を作っていますが、パチェコの長いバックステップによりなかなか距離が詰められず。
4R、もはや右を痛めてるのか、と思うほどリードしか使わないパチェコ。流石に眠くなる展開です。
5Rも基本的にはカウンター狙いのパチェコ、ネルソンはトリプルジャブで攻め入るも相変わらず距離を詰めることができません。
ただ、このネルソン、36歳とは思えない運動量をキープしていますね。
このラウンドは中盤以降にパチェコがワンツーで攻める場面を見せています。
6R、両者のパンチスタッツはパチェコが32/134、ネルソンが23/214。印象の通り、パチェコの手数は少なく(しかも134のほとんどはジャブでしょう。)、ネルソンの的中率は低い。(何せ全く届いていない)
パチェコは後半、カウンターショットやジャブを決め、ポイントをピックアップしています。
7R、ネルソンは劣勢と思っているのか、やや強引に出てきます。距離が詰まればパチェコも連打で応戦、ここから盛り上がってくるのか。
8R、両者ともにKO率が高いため、互いに警戒し合っているのでしょうか。なかなか試合のアクションが少ないままです。
パチェコは時折印象的なパンチ、このラウンドで言えばネルソンが入ってきたところに合わせた左フックを単発ではヒットしますが、その後は詰めることはなし。それでも、ネルソンのダメージは溜まってきているのかもしれません。
9Rも展開は変わらず。KO決着濃厚と思われた試合でしたが、もしストップがあるとするならネルソンのカットによるTKO決着ぐらいでしょうか。
10R、中盤にパチェコの右のビッグショットがヒット!これでネルソンの動きが一瞬止まります。
ここはチャンスと手数を増やしたパチェコですが、ネルソンはここが勝負所と打ち返すことでエスケープ、パチェコもちょっと大振り担ってしまい、結果それ以上のダメージを与えることはできず。
11R、ネルソンが体を振ってプレス、速いステップイン。ちょっと腹を括ったようにも見えます。
右の大きなオーバーハンドを狙うネルソン、当たりどころは良いとは言えませんが前半に2度ほどパチェコにヒット。
この後のパチェコはかなり大きくエスケープしながら単発のカウンターを狙う展開、もしかしたらダメージがあるのか。ネルソンは元気になっているように見え、もしかしたらパチェコのダメージを感じているのかもしれません。
後半は左フックもヒットしたネルソン、パチェコのアッパーを喰らいながらも前進を止めません。パチェコはガードポジションが安定せず、ラウンド終了後のコーナーに戻る足取りもやや重く見えます。
ラストラウンド、なりふり構わずいくネルソン。(バッティングという意味で)頭を使いつつも前進、レフェリーに注意を受けてもやめるつもりはないようです。これは勝利への執念というものでしょうか。
この執念が実ったか、ネルソンは飛び込みながらのフックをヒット、その後も苛烈にパチェコを攻め立てます!これはパチェコかなり危ないのでは?と思うほどバランスを崩しつつもパチェコも強いパンチを打ち返します!が、その打ち方はほとんどバランスを崩しつつのノールックの状態にもなっており、これはネルソンの優勢を印象付けるものです。
最後まで頑張ったネルソンですが、それ以上のことはできず。最後は打ち合って規定の12ラウンズを終了しています。
ラスト2ラウンドの猛烈なチャージが、中盤くらいから出せていればもしかしたら勝ち目があったかもしれません。
判定は、117-111×3、ディエゴ・パチェコ。
慎重な戦い方に終始した、とも言えるパチェコ。勝利には間違いありませんが、期待されたパフォーマンスではなかったかもしれません。
そしてやはり一つ、インサイドでの戦いと、もしかするとタフネスについて、疑問を持たれたかもしれません。さて、今回の試合を受けて、今後のパチェコの戦いはどうなるか。よくはないパフォーマンスを見せたことで、もしかしたらあの大物が振り向くこともあるのかもしれません。
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