キーショーン・デービスが衝撃的なノックアウト勝利でデニス・ベリンチクを破ってWBO世界ライト級王者となった翌日。
今後のスーパーライト級戦線を占うWBO世界スーパーライト級暫定王座決定戦がイギリスで行われ、アメリカでもオスカー・ドゥアルテと元王者のレジス・プログレイスが戦う予定でした。
しかしプログレイスが試合10日ほど前に怪我により離脱、代役としてたてられたのは前戦でキーショーンに敗れたミゲル・マドゥエノです。マドゥエノはそこそこ好戦績ではあるものの、当然プログレイスと比べるとネームバリューとして大きく劣り、ここのところ名前のある相手に連勝しているドゥアルテとしては望む相手ではないでしょう。このあたりでモチベーションが低下せず、良い勝ち方ができるか、というのが見どころです。
ということで今回のブログは、2/15(日本時間2/16)、イギリス、アメリカでそれぞれ行われたスーパーライト級戦の観戦記です。

2/15(日本時間2/16)イギリス・マンチェスター
WBO世界スーパーライト級暫定王座決定戦
ジャック・カテラル(イギリス)30勝(13KO)1敗
vs
アーノルド・バルボサJr.(アメリカ)31勝(11KO)無敗
ともに十分すぎる実績を引っ提げ、ようやく世界タイトルマッチのチャンスを掴みました。カテラルは2度目の挑戦、そしてバルボサは初挑戦ですが、ともに元王者を破るなどして強さを示してきています。
面白い試合にはなりそうにありませんが、おそらく接戦になりそうで、非常に難しい試合が予想される一戦。
↓プレビュー記事
初回、まずはリング中央で静かな立ち上がり。バルボサがジャブで攻め込んだところにカテラルがワンツーを返します。
中間距離でフェイントをかけ合う中でややアグレッシブなのはプレスをかけ続けるバルボサ、しかしカテラルがカウンター狙いのため、なかなか思い切って攻めることはできていません。ここはイギリスマンチェスター、カテラルの反撃には大きな歓声。今のところ中間距離での攻防で、カテラルはヘッドバットありきの攻めは見せていません。
2R、バルボサがジャブで攻め、カテラルがカウンターを返す。両者ともに距離があっておらず、ヒットはありません。バルボサが思い切って攻める場面をつくりますが、これはカテラルがやすやすとバックステップ、そして反撃もこれも当たる距離ではありません。
お互いに警戒しすぎなのか、まだまだ試合は動かず。この展開が続くのならば、この両者ともにほとんどパンチを当てられていないラウンドでどのようにポイントをピックアップするのか、が勝敗に影響するかもしれませんね。
3R、変わらずジリジリとプレスをかけるバルボサ、踏み込んでのワンツーが浅くヒット。その後もこのラウンドはバルボサが右フックを当てる(本当に触る程度ですが)等した前半、カテラルも頭を低くして攻めようとしますがバルボサのバックステップにより、明らかに届かない距離でパンチを引っ込めます。
後半、バルボサはカテラルをコーナーに詰めて右を大振り、印象は良い。その後カテラルが左ストレートを浅くヒットすると会場は大歓声です。
4R、今度はカテラルが強い踏み込みからワンツー。この試合で始めて強めのヒット。続いて左ストレートもヒットしたカテラル、ちょっと距離感を掴んできたか。
バルボサはプレスをかけて攻め込み、カテラルの反撃にバックステップしてからリターン、良い動きができています。ただ、もうちょっと踏み込みが足りません。
5R、互いに強く踏み込み、ヒットらしいヒットが生まれてくるようになりました。ただし、警戒心は相変わらずで、連続的な攻撃というのはできておらず、単発のパンチを当て合うという印象。
距離が詰まる中でクリンチが生まれてきていますね。
6R、やっぱり非常に難しいラウンドが続きますが、このラウンドはカテラルがプレス。どちらかというと互いに待ちのボクサーだけに、先に動いた方が不利になる可能性もあります。
しかしこのラウンド、カテラルは良い攻めを見せられており、カウンターも機能しているように見えます。お互いにワンツーしか出さないですけど。
7R、もう半分です。お互いに自分のボクシングを貫き通そうという気概がありますが、相手を打ち負かそうという気はないように思います。
1分間を使用してお互いにジャブを1発ずつ当てあい、その後は中間距離で交互に攻め入るという展開。この攻め方もワンパターンに見えますし、その後のリターンもさほどバリエーションがあるわけではありません。
8R、ワンツー、もしくはワンツーからの左ストレートで攻めるバルボサ、それをバックステップでかわすか左ボディカウンターのカテラル。カテラルの攻めはほとんどがワンツー、もしくは右フックからの左ストレート。
お互いにお互いの攻撃、リターンに慣れてしまっているところから、如何に相手の想像を超えるワンツーを放つのか、みたいな勝負になっています。
9R、ちょっとバルボサがギアを上げたイメージで、強めのストレートで攻撃をしかけます。カテラルは相変わらずですが、バルボサが強く踏み込んでくる分、カウンターが当たればでかい。それでもどっちつかずの状況に変わりはありません。
10R、ここもさほど代わり映えはせず、試合開始直後は大きな歓声が響いていましたが、観客も静かなものです。ブーイングもない、というのはまた少々不思議ですが、アメリカで戦っていたならばブーイングがあるかもしれません。
と、退屈を感じていた後半、カテラルのワンツーでバルボサが大きく後ろに弾かれ、尻もち!これがスリップ裁定!
ボディへの左ストレートでしたが、スローで見ると当たっていなかったようです。カテラルの前足がバルボサの前足の後ろ側にあり、ひっかけてしまったようですね。タイミング的には完全にダウン、これはレフェリーは本当によく見ていました。すごい。
11R、眠かったですがさっきのダウンもどきで起きました。長い距離でバルボサの右がヒット、カテラルの左もヒット。どれも浅く、大きなダメージを与えるものではありません。
お見合い状態からワンツーの打ち合いが続く中、チャンピオンシップラウンドに入ったからなのか、イギリスの観客たちがいつものように歌い始めています。これは現地は盛り上がっているのでしょうか。
ラストラウンド、カテラルがガードを固めてプレス。インサイドに入っての連打、頭の位置はいつもどおり危険な位置ですが、中間距離でどっちつかずだったのでこの距離で戦っておけばよかったのではないでしょうか。
両者ともに持ち味を発揮できない、やはり微妙に噛み合わない試合は、36分間のエキサイティングさに欠ける時間を過ごして終了。
終了ゴングと同時にコーナーに駆け上がったバルボサ、両手を高々と掲げたカテラル。両者ともに勝利に値するパフォーマンスは見せていませんが、果たしてジャッジはどう見たか。
判定は、115-113カテラル、115-113バルボサ、115-113バルボサ!!!
雰囲気的に(地の利を活かして)カテラルかと思いましたが、アーノルド・バルボサJrが勝利。巧さはあれど怖さのないバルボサであれば、テオフィモ・ロペスとは噛み合うかもしれません。ロペスがビッグマッチばかりを求めなければ、WBOの団体内王座統一戦は叶うかもしれませんね。

2/15(日本時間2/16)アメリカ・カリフォルニア
オスカー・ドゥアルテ(アメリカ)28勝(22KO)2敗1分
vs
ミゲル・マドゥエノ(メキシコ)31勝(28KO)3敗
オスカー・ドゥアルテはメキシコで生まれ、現在はアメリカ国籍ですがそのルーツは完全にメキシカン。
2023年12月にライアン・ガルシアと戦い8RKO負けを喫しましたが、そこで名前を知られたドゥアルテは、その後元世界王者ジョセフ「ジョジョ」ディアスに9RKO勝利、さらに元タイトルチャレンジャーのバティルザン・アフメドフに勝利、素晴らしい巻き返しを実行中です。
ミゲル・マドゥエノは前述の通り負傷したレジス・プログレイスの代役としてのリング登場、ここまでKO負けはないものの、前戦でキーショーンに完封負けを喫しています。ここを浮上の機会として捉えられるか。
初回、マドゥエノが力強いジャブで攻め入ります。その後ワンツーも繰り出し、アップセットを起こす気マンマンですね。これは良い。
力強いワンツーを放つマドゥエノ、しっかりしたブロッキングで体を振りつつ受け止めたドゥアルテは、中盤に右のオーバーハンドをヒット。これにいっときは下がったマドゥエノでしたが、左右のフックを叩きつけて反撃、これをブロッキングでがっちりと受け止めたドゥアルテも力強くリターン。
やっぱりボクシングはこの方が面白い。イギリス、マンチェスターでのスーパーライト級戦のうさを晴らすかのようなハイ・アクション・ファイトです。
2R、メキシカンらしいメキシカン、ハイガードからのシントゥーラで攻め入るのはアメリカ国籍のドゥアルテ。マドゥエノは若干腰高ながらも強いストレート系のパンチでその突進を止めようとしますが、ドゥアルテのフィジカルはなかなかのもので止まりませんね。
ドゥアルテは自分の射程距離に入ってからパンチを出していくスタイルなので、手数は圧倒的にマドゥエノですが、後半に入ろうかというところでマドゥエノはロープに追い詰められています。
一発一発に渾身の力を込めた打ち合い、ここはマドゥエノが盛り返してリング中央までドゥアルテを押し返しますが、終盤にドゥアルテの右ショートがヒット、この時折の強打でちょっとマドゥエノがダメージを溜めているようにも見えます。
3R、ジリジリと歩くようにプレスをかけていくドゥアルテ、迎え撃つマドゥエノ。相変わらずドゥアルテは射程圏内に入ってから手を出すスタイルですが、この近接戦闘においてドゥアルテは非常に力強く、また、明らかにタフで、マドゥエノは巻き込まれるとちょっときつい。特にボディがきついかもしれません。
生命線はジャブでしょうか、マドゥエノは良いジャブを持っていますが、これで止まるドゥアルテではありません。長い距離で大砲を当てる動きをしたい。
4R、早々にロープを背負ってしまうマドゥエノ、ちょっと地力の差がでてきているか。早々に近い距離でのボクシングとなり、マドゥエノがやや大きく振るのに対し、ドゥアルテはあくまでもコンパクトで、この距離の戦いに精通しています。
中盤、マドゥエノが良いジャブをいくつかヒット、しかしドゥアルテも強烈な左フックをヒット。これで一瞬動きがとまったマドゥエノを見逃さず、そこからラッシュを仕掛けるドゥアルテ!!
耐えたマドゥエノはジャブで突き放そうとしますが、すぐに距離を詰められてしまい、クリンチも含めてエスケープ。
5R、固いガードでプレスをかけるドゥアルテ、しっかりとマドゥエノをロープに誘導してから強振。焦らない、マイペースなボクシングは強いフィジカルに由来したもので、幾度かの被弾がありつつもびくともしませんね。
マドゥエノほどのKO率をもってしてもダメージを与えられない、となると、ライアン・ガルシアが異常(ドーピングの影響)だったのでしょうね。
後半、ドゥアルテがワンツーからの左ストレートをヒットしてからのラッシュ、ここでマドゥエノも意地でリターンを返すあたりがメキシカン・ファイト、素晴らしい戦士たちです。
6R、低い姿勢、しっかりと腰を落として攻めるドゥアルテ、マドゥエノをロープに詰めて顔を跳ね上げ、その後もジリジリと攻めながら幾度となくマドゥエノにダメージを与えていきます。
限界が近いように思うマドゥエノですが、攻撃されるたびに自らの健在ぶりを示すかのようにしっかりとリターン、よくがんばります。
後半、ドゥアルテが下から上に返す見事なワンツーフック、もうこれに反応できないマドゥエノ。頭を打ち付けてでも勝利を目指すマドゥエノですが、徐々に力感はなくなっていきます。
7R、マドゥエノのジャブをしっかりとパリングしながらプレスをかけるドゥアルテ。コーナーに追い詰めてラッシュ。ここを軽打を交えて押し返したマドゥエノは左フックを強く打って攻勢に転じます。
しかしこれでもドゥアルテの固いガードを弾くことはできず、ドゥアルテの右オーバーハンドがカウンターとなってヒット、これで明らかにダメージを負ったマドゥエノは後退、そこから一気呵成に攻めるドゥアルテ、ロープに詰まるマドゥエノ!
ここでドゥアルテは左右を乱打、なんとか耐えるマドゥエノですが、レフェリーが割って入ってストップ!!!
オスカー・ドゥアルテ、7RTKO勝利!!
素晴らしいメキシカンファイトでした。
地力に勝るドゥアルテでしたが、キーショーン相手にフルラウンドを戦ったマドゥエノを見事にストップ。代役相手とはいえ良い勝ち方をしたドゥアルテは、すぐにタイトル戦とはいかないでしょうが、世界タイトルへ一歩近づいたパフォーマンスだったと思います。
盛り上がるスーパーライト級、今後も要注目ですね。
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