このブログがアップされる頃にはLife Time Boxingが開催されているはずで、KO決着が多ければもう終わっている可能性もありますね。由良謙神のプロ3戦目、そして堤麗斗の公開プロテスト等気になる話題も多い興行です。
そして翌日の3/22(土)にはオーストラリアで元統一王者、ジョージ・カンボソスJr.が復帰戦を戦います。
実績だけ見れば、もしかすると過去最高なのかもしれないこのオーストラリア人ボクサーは、2021年に統一王者のテオフィモ・ロペスに勝利することで一躍時の人となりましたが、その凋落はやはり早かった。
そしてこのボクサーが今一度日の目を見ることはあるのでしょうか。
オーストラリアのボクシング界は、このカンボソスの陥落、大人気のティム・チューの陥落、元王者モロニーがノンタイトル戦で勝てない、等々、一時期の勢いをなくしつつあります。
オーストラリアでボクシングは人気競技たり得るか。
今回のブログは、ジョージ・カンボソスvsジェイク・ウィリーと現在のオーストラリアボクシングについて。

3/22(土)オーストラリア・シドニー
ジョージ・カンボソスJr.(オーストラリア)21勝(10KO)3敗
vs
ジェイク・ウィリー(オーストラリア)16勝(15KO)1敗
オーストラリアのシドニー出身のカンボソスにとっては、この試合は地元で行われる大事な試合です。王者となって以降、いくつかのビッグマッチを自国オーストラリアで行ってきたカンボソスですが、地元シドニーへの凱旋は2016年12月以来となるようです。
その間はアメリカ、イギリス、クアランプール、ギリシャをロード・ウォリアーさながら転戦しており、非常に骨太なキャリアですね。
とはいえ、このカンボソスが世の中に知れ渡ったのはテオフィモ・ロペスへの挑戦のときでしょう。
その前にミッキー・ベイを破ったのがロペスがリチャード・コミーを素晴らしいノックアウトで破った興行のアンダーカード。そして次戦で挑戦者決定戦、リー・セルビーを敵地イギリスで破り、ロペスへの挑戦権を獲得しています。
この2試合はいずれも明確な勝利でしたが、敵地でやったからなのかスプリットの判定勝利。記録上、大きなインパクトを残す戦いではありませんでした。
なのでもちろん、ロペス戦に臨むカンボソスへの期待は大きくなかった、どころかほとんどなかったと思うのですが、結果はご存知の通り、ダウン応酬の末、スプリットの判定勝利を手にしていきなり統一王者に輝いています。
正直この時のロペスは良くなかったし、相手次第でそのパフォーマンスが大きく変わるロペスは完全にカンボソスを舐めていたのでしょう。
もちろん、このカンボソスがただのラッキーで王者になったボクサーだとは思ってはいません。そのボクシングを見れば規律をもってトレーニングしている様は容易に想像できますし、海外での連戦は自分の実力を発揮できない試合もあったでしょう。それでも忍耐強く勝ち進んできたことは、彼の実力です。
その後デビン・ヘイニーにタイトルを奪われ、再戦でも敵わず。大きく批判されたこの退屈な24ラウンズは、しかし、ヘイニーをオーストラリアに呼ぶことでオーストラリアのボクシング界を大きく有名にしたし、賑わせました。
ヘイニーに連敗したカンボソスは2023年7月、マキシ・ヒューズを相手に復帰。この試合はIBOのタイトルがかけられたんですね。
この試合を疑惑の判定で勝利したカンボソスは、かねてから待ち望んでいたワシル・ロマチェンコとIBFの王座決定戦へ臨みます。
この試合で3敗目、かつ、初のKO負けを喫したカンボソス。そして今回はスーパーライト級に上げて復帰戦を戦います。
そしてこの試合は、IBFの挑戦者決定戦とされており、さらにここに勝利したボクサーはIBF王者のリチャードソン・ヒッチンズと今夏、戦うことが内定しているそうです。あれ、IBFの指名挑戦者はサブリエル・マティアスではなかったか。。。タイミングなんでしょうけど、トップコンテンダーを差し置いて挑戦というのはなかなかに気味が悪い。これはヒッチンズがマティアスを避けた、可能な限り後ろにずらした、と取られてもおかしくないことです。
ともあれ、このヒッチンズへの挑戦権を争う戦いは、本来であればベテランのダウド・ヨルダンとの試合でした。
しかし試合の1週間ほど前、このヨルダンが健康上の理由でリングに上がることを辞退。リザーバーとして用意されていたわけではありませんが、白羽の矢はジェイク・ウィリーという24歳のボクサーに立ちました。
さて、ジェイク・ウィリー。オーストラリア国内のスーパーライト級王者です。
「観戦するためにチケットを購入して楽しみにしていた」というのは本人の弁、たとえトレーニングを続けていようとも、さすがにカンボソス対策はしていないでしょう。
ウィリーは当然国内レベルのボクサーであり、元統一王者と戦うとなると失うものは何もありません。カンボソス戦に出場するから、という理由でハイライト動画がやっと上がってきたようなボクサーで、スタイルを見れば荒々しい攻撃、勢いのあるボクサーだと思われます。
16勝中15KOというKO率らしいボクシングですが、勢いと力任せに押し切るパターンが多い印象で、さすがにこのまま行ってもカンボソスには通用しない可能性が高い。かといって、落ち着いてボクシングをした場合、勝てる可能性は限りなくゼロに近くなりますね。
このジェイク・ウィリーに望むことは、初回から玉砕覚悟の特攻ですね。これでもしアップセットを起こせるならば、オーストラリアのボクシング界は盛り上がるかもしれません。
カンボソスもここ数戦は1勝3敗、その1勝が疑惑の判定ときているのだから、良いパフォーマンスを発揮出来ているとは言えません。さらに、初のスーパーライト級ファイトということでリスクはいくらでもある状況。カンボソスの順当すぎる勝利よりも、未知のジェイク・ウィリーのアップセット勝利を期待、頑張れウィリーでいきましょう。
オーストラリアン・ボクシング
オーストラリアのボクシング界にある世界のベルトは現在たった一つ。「たった一つ」とは言うものの一つあれば十分に素晴らしいことで、今の日本の状況が異常なだけです。
ジャイ・オペタイアはIBF世界クルーザー級王者で、マイリス・ブリエディスからタイトルを奪ったあと、ゴタゴタでタイトル剥奪はありつつも十分に強さを見せつけています。
ビッグマッチとなるのは同階級の統一王者であるヒルベルト・ラミレス戦で、これは実現可能性がかなり高い。前戦ではオーストラリアに凱旋したオペタイアですが、オーストラリアでの試合をしたいという意向はさほど強い方ではないと思われ、一番はやはりサウジアラビアに呼ばれることです。
このオペタイアvsラミレスという戦いは、おそらく近いうちにサウジアラビアで実現されそうな予感。
と思っていたらオペタイアの次戦は防衛戦で、オーストラリア開催。オーストラリアでは報酬が見込めないオペタイア、あまりこの状態が長く続くとモチベーションが心配になりますね。
そして世界王者返り咲きを狙うビッグネームとしては、やはりティム・チューが人気面でその筆頭、そして前王者となったリアム・パロもまだその実力を有していることは明らかで、そこにジェイソン、アンドリューのモロニー兄弟が続くというイメージでしょうか。
いずれにしろ、彼らはロード・ウォリアーで、ティムのほかはそのキャリアにおいて重要な戦いをオーストラリア国外で戦っています。
頼みの綱は、やはりティム・チュー。そしてその弟、ニキータ・チュー。
オーストラリア国内でボクシングが盛り上がるには、この兄弟を置いて他にありません。
え、サム・グッドマン。。。?
プラットフォームは不安か、それでも
オーストラリアのボクシング興行は、大きくわけて「ACE ボクシング」と「ノーリミット・ボクシング」。うち、ACEボクシングは7Plusというストリーミングサービスで放映されていたようですが、このシリーズは終了したそうです。
しかし、これをライバル関係にあるノーリミット・ボクシングはACEボクシングの興行をノーリミットボクシングに取り入れることでその一部を救済、ACEボクシングは規模を縮小しつつも継続される運びとなったようです。
そしてそして、このノーリミットボクシングの放映はFoxtelというケーブルテレビ、そしてそのFoxtelが有するストリーミングサービスであるKayoスポーツが行っていたわけですが、これをDAZNが買収。この取引はまだ規制当局の承認待ちという状態ですが、6月末までに完了する予定とのことです。
これにより何が変わるのか、という点においては、我々日本のボクシングファンに関係するところでいうと「オーストラリア興行がDAZNで見られるよ」という1点に尽きます。
これまでノーリミットの興行はFoxtelまたはKayoスポーツでの放映となっており、米国では親元のFOXが放映していました。オーストラリアのプロバイダ業界は日本と同様特殊な環境をもっており、たとえVPNを使用したとしてもKayoスポーツとの契約は困難(Kayoスポーツとの契約にオーストラリアのクレジットカードが必要)という状況だったのです。
なのでこれは大変ありがたいこと。
おそらくDAZNプラットフォームの統合に、1年ぐらいはかかるんじゃないか、というのはリングマガジン本誌の記事。
DAZNは着々と世界戦略を進めていますね。早く日本にも来てほしいですが、妙な詐欺会社に騙されてしまったからもう来てくれないかもしれません。
いずれにしろ、このことによりオーストラリアの国内ボクシングも世界中に発信が可能となり、今後オーストラリアのボクサーたちも人目に触れる機会が増えていきそうですね。
ということで配信情報
話が脱線して、誰も興味のなさそうな話を長々と書いてしまいました。
このジョージ・カンボソスvsジェイク・ウィリーはDAZNが生配信。これは上記のプラットフォーム問題とは関係なく、単純にマッチルーム興行だからです。
アンダーカードには皆大好き(らしい)スカイ・ニコルソンが無敗のティアラ・ブラウンを迎えてWBC世界女子フェザー級タイトルの防衛戦。
この興行は日本時間で3/22(土)17:00から配信開始、メインイベントは20:00頃の開始の予定です。
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