「THE HOMECOMING」。「Battle of THE BRAVE」と銘打たれ、米国ESPNで放映された興行です。
ジャニベック・アリムハヌリがカザフスタンでのホームカミング・ファイトに臨みます。
中央アジアでのプロボクシング興行は、こと世界タイトルマッチについては多くあることではありませんが、この地域は現在アマチュアボクシングの強豪国であり、国民的競技です。
アリムハヌリやアフマダリエフ、世界王者たちがこの地で戦うことは、現在隆盛を誇るこの地のボクサーたちがプロ転向するきっかけにもなり得るのでしょう。
ということで今回のブログは、ESPNで放映されたアリムハヌリvsンガミセングの観戦記。
↓ショートプレビュー

4/5(日本時間4/6)カザフスタン
この興行もスペイン語バージョンで視聴。ESPN Knockoutでも井上尚弥vs中谷潤人は話題に上がっており、両者の試合のハイライトが流れています。海外のメディアで日本人ボクサーの映像が流れることにはまだ慣れませんね。
非常に立派な会場で、ライティングもきらびやか。アンダーカードからお客さんもたくさん入っていますね。アンダーカードではバティルザン・ジュケンバエフが判定勝利のあと、草原の英雄、バホディル・ジャロロフが登場です。
バホディル・ジャロロフ(ウズベキスタン)14勝(14KO)無敗
vs
イホル・シェヴァズツキー(ウクライナ)12勝(10KO)2敗
ずんぐり体型のシェヴァズツキー、ガードを固めて歩くプレス。ジャロロフはサークリングしてジャブを突き、射程に入れば左ストレートを強打するという立ち上がりです。
297.5lbs(約135kg)のシェヴァズツキーとジャロロフは約20kgの差がありますね。
シェヴァズツキーは歩いてジャロロフに近寄り、これはかなりのプレッシャーを与える行為だとは思いますが、なかなかパンチを出すところまで至らず。
ヘビー級の二人が対峙するとリングは非常に狭く見えますが、ジャロロフはさすがのポジショニングで距離を詰めることをほとんど許しません。
3R、残り1分頃のところでジャロロフはきれいなワンツーでダウンを奪取。その後倒しにいきますが、シェヴァズツキーはブロッキング、ダッキング、ヘッドスリップを駆使しつつもプレスをかけてエスケープ。相当、タフネスに自信を持っているのでしょう。
その後も展開は変わらず、とにかくガードを固めて前進するというだけのシェバズツキー。ジャロロフに隙がなさすぎて、何もできないのかもしれません。ただ、このシェバズツキーのディフェンス技術はなかなかのもので、ブロッキングはもとより、ヘッドスリップもよくできています。
しかし本当に勝利する気があったのかどうかは謎なところで、プレスをかけるもほとんど手がでないシェバズツキー、時折出す飛び込みの左フックもほとんど無効化されています。結局そのままラストラウンドのゴングを聞き、ジャロロフは時折距離を詰められつつもクリンチでしのぎ、とにかく規定の10ラウンズを終了。
よく頑張った、という意味なのか、シェバズツキーは試合終了後、片手を上げています。そして会場からも拍手。観客の民度は素晴らしいですね。
判定は、100-89、97-92、97-93でジャロロフ。
セミファイナルはスルタン・ザウルベックvsアジンガ・フジレ。
これは終始攻め続けたザウルベック、フジレも下がりながら巧さを発揮して対抗。予想通りといえば予想通りの流れですが、全体的には序盤、フジレがよくがんばり、中盤以降にザウルベックが巻き返したというイメージでしょうか。
ポイントは英語でアナウンスされなかったので、よくわかりませんがとにかくスルタン・ザウルベックが勝利。
IBF・WBO世界ミドル級統一タイトルマッチ
ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)16勝(11KO)無敗
vs
アナウェル・ンガミセング(フランス)14勝(9KO)無敗
謎のボクサー、アナウェル・ンガミセング。これまで強豪との対戦がほとんどないばかりか、長いラウンドも経験していない29歳は、サイヤ人の戦闘服で入場です。ただし、ベジータ石川の方がクオリティは随分高い。

フランスのANIMEリスペクトを感じますね。
ともかくこのンガミセングはまたとないチャンスを得て、今夜、人生を変えられる岐路にたっていると言えるでしょう。この試合に勝てば、一気にミドル級最強です。
対してアリムハヌリは勝って当然の試合、ここは勝ち方が問われる試合。常に冷静に見えるアリムハヌリにとって、2017年以来のホームカミングファイトといえども気負いはないでしょう。
初回、ガードをガチっと顔面の前に固めたンガミセング、サウスポースタンスから強気にジャブ。リング中央で渡り合い、ちゃんとアップセットを起こそうとやる気満々で望んできます。近い距離での打撃戦が初回から展開、意外とこのBサイドで呼ばれた挑戦者こそが、Battle of THE BRAVEを体現しているかもしれません。
アリムハヌリのジャブはンガミセングのガードの間隙を縫って突き刺さり、ンガミセングの強振はアリムハヌリにクリーンヒットしませんが、とにかく下がらないンガミセング。これは非常に立派です。
後半、アリムハヌリの左ストレートがクリーンヒット、その上打ち下ろしの左をもらったンガミセングはダウン。ンガミセングが立ち上がったところでラウンドが終了。
ンガミセングが勇敢すぎて、決着は早そうです。
2R、少し落ち着くかと思ったンガミセングですが、奥手を強く打ってアリムハヌリに攻め入ります。これは気持ちが強いボクサー、アリムハヌリのジャブに跳ね返されてはいるものの、ここまで攻めれば全く当たらないわけでもありません。
やや後ろ荷重に構えるアリムハヌリ、パンチを当てる技術もディフェンス技術も、何もかもんガセミングを上回っていますが、それでもンガセミングは諦めずに前進。素晴らしい気迫と素晴らしい手数でアリムハヌリを下がらせることに成功しています。
しかしクリーンヒットはほとんど奪えず、アリムハヌリが反撃するとヒット率は高い。
3R、完全に肝が座っているし、やることを明確に、迷いなく攻めるンガセミング。こういうボクサーにこそ奇跡は起こり得ます。こういうマインドは、本当に見習ってほしい。特にアメリカのアフロ・アメリカンたち。
近い距離、ンガセミングはいつの間にやらオーソドックスにスイッチしていますが、これはアリムハヌリのジャブをもらいすぎるから、でしょうか。
ンガセミングは連打を繰り出してよくがんばります。このラウンドは少なからずヒットを奪っており、それでもポイントを取れるほどではないですが、称賛をおくるべきです。
4R、引き続きオーソドックススタンスのンガセミング。ジャブを封じることには一定成功しているかもしれませんが、今度はクリーンにアリムハヌリの左ストレートをもらっています。
グイグイと攻めてくるンガセミングに対してアリムハヌリは下がりながら左カウンターをヒット、そこから連打につなげており、やはりこのボクサーには気負いや緊張は無縁なのでしょう。このラウンド、幾度も入っているアリムハヌリの左アッパーは恐ろしいパンチです。
5R、アリムハヌリが左に回りながら内側からジャブ。これはまた当たり始めましたね。その後もコンパクトな左をヒットしたアリムハヌリ、ンガセミングもワンツーから前手のストレートをヒットするなどして善戦。
ンガセミングは被弾がかなりおおいですが、パンチも当たり始めてきています。
しかしンガセミングの右の打ち終わりにコネクトする左、そして相変わらず抜群のタイミング出でてくる左アッパーはさすがのアリムハヌリ。
そして後半、ンガセミングの右の打ち終わりにアリハヌリが左!これで若干動きのとまったンガセミングに、無慈悲な左強打が襲うと、ンガセミングの顔面は大きく弾け飛び、そのままダウン!!!
この痛烈なノックダウンからなんとか立ち上がったンガセミングですが、レフェリーに歩かされると明らかに覇気をなくしており、ここでレフェリーはストップ。ちょっと記憶が飛んでいるのかもしれません。
ジャニベック・アリムハヌリ、5RTKO勝利。
相手にはなりませんでしたが、アナウェル・ンガセミングのがんばりが光った試合でもあったと思います。怖いもの知らずのンガセミングが初回から奇跡を起こそうと前に出てきたからこそ試合はノックアウトで終わったし、観客の喜ぶファイト担ったと思います。
スローが流れますが、2発目、試合を決めたアリムハヌリの左は完璧に顎を捉えていますね。レフェリーはナイスストップでした。
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