矢吹正道がIBF世界ライトフライ級王座を返上、正式にフライ級へ転級しました。
これでフライ級は寺地拳四朗、アンソニー・オラスクアガに加えて矢吹正道、4つの正規王座が(ほぼ)日本にある計算になります。
拳四朗は次戦でのスーパーフライ級挑戦ではなくフライ級にとどまり、かといってこれ以上の王座統一にはすすまないようですね。対抗王者がすでに一度ならず二度、戦っているボクサーだということを考えればそれも納得性のある行動だと思います。
拳四朗の防衛戦がWBC暫定王者のガラル・ヤファイだったらこれはめちゃくちゃ嬉しいことですが、さすがにヤファイを呼ぶのは難しいかもしれません。
オラスクアガも5度防衛してWBOリングが欲しい(ちなみにスーパー王者となります)と言っているし、フライ級の統一戦線は少し停滞しそうです。それもまた良い。
さて、もちろんフライ級は気になる階級の一つではありますが、矢吹が抜けたことで動きがありそうなのは、やはりライトフライ級です。
ということで今回のブログでは、ライトフライ級の世界戦線をみていきましょう。

No.1は誰だ
この階級のNo.1は、間違いなく寺地拳四朗でした。そしてその拳四朗がいなくなったとき、おそらくNo.1の評価を受けていたのはシベナチ・ノンシンガ(南アフリカ)で、そのノンシンガに圧倒的な勝利を挙げたのが矢吹正道。
そしてその階級最強の矢吹正道は、フライ級に上げて評価の高いアンヘル・アヤラに対し、アクシデントがありながらも完勝の最終回ノックアウト。
あっという間にこの階級は混戦状態となりました。
現在、リングマガジンのランキングを見ると、王者はもちろん不在ですが、1位に岩田翔吉に勝利してIBF王者となったレネ・サンティアゴ(プエルトリコ)。確かに上手いボクサーですが、ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)になすすべなく敗れていることはどうしても「最強のボクサー」像とはかけ離れたものです。
このサンティアゴがトップ、というのも仕方がないのかもしれません。
2位のノンシンガは前述の通り最新の試合で矢吹に敗れており、3位の岩田も最新の試合でサンティアゴに敗れています。さすがに、最新の試合で黒星がついているボクサーをトップに据えるわけにもいきません。
4位のカルロス・カニサレス(ベネズエラ)もまた、前戦でパンヤ・プラダブスリ(タイ)に敗れていますが、これはタイの試合であり、カニサレスは明らかに判定を盗まれていた試合だったのでこのランキング。リングマガジンの選定委員としても、あの試合はカニサレスの勝利に映った試合だったのでしょう。
その次は、ノンシンガに1度は勝利したアドリアン・クリエル(メキシコ)。
そして矢吹正道に敗れるも、谷口将隆(ワタナベ)に勝利したタノンサック・シムシーが続きます。
王者たち
このライトフライ級のランキングはなかなか変わっています。
通常、このリングマガジンランキングは、上位の4人が王者になるというパターンが多い。ただ、このランキングに入っている王者は、1位のレネ・サンティアゴを除き、上述の6位までの間に王者が入っていないという状況です。
では他の王者は、というと、IBF王座は空位なので仕方ないですが、なんとWBA王者のエリック・ロサ(ドミニカ共和国)は9位、WBC王者のパンヤ・プラダブスリ(タイ)は10位となっています。
これはある種、致し方のないことなのかもしれません。
元WBA世界ミニマム級王者のエリック・ロサは、昨年ライトフライ級に転級し、ユデル・レイジェス(メキシコ)というボクサーに勝利。このレイジェスは過去、レネ・サンティアゴに勝利していますが、オスカー・コラーゾに5RKO負けをしています。
その後、ネイデル・バルデス(メキシコ)というボクサーとWBA世界ライトフライ級王座決定戦を戦い判定勝利して2階級制覇、しかしこのバルデスというボクサーこそ実力が全くの未知数で、果たして世界タイトルを戦えるボクサーだったかどうかは微妙なキャリア。
こういう場合、世界タイトルをとっても評価は上がらないものです。たとえばアンソニー・オラスクアガのように。
パンヤ・プラダブスリもWBCの元ミニマム級王者で、こちらはミニマム級王座を重岡優大に奪われたあと、タイ人らしい相手と3戦戦い、カルロス・カニサレスとのWBC世界ライトフライ級王座決定戦。
これはよく知られている通りひどい判定でプラダブスリが勝利したものの、やはり明らかなホームタウンデシジョンである、というのが見解でしょう。
つまりは評価が高いのは王者よりもコンテンダーたちであり、これはまさしくこの階級が群雄割拠であり、いつ王者交代劇が起こってもおかしくない状況、つまりは戦国時代を意味することにつながります。
軽量級大国、ニッポンのボクサーたち
ライトフライ級という階級が日本のお家芸であることは、わかりきったことです。1975年に設置されたこの階級で、具志堅用高が世界王者となったのは1976年のことなので、「有史以来」の強豪国と言っても過言ではありません。
あ、ライトフライ級は今年50周年を迎えるのか。
この50年の間、4つの世界王座を1日だけだったかな?日本人が独占したということもありました。
そして未だにやはり、この階級には強い日本人ボクサーたちが次々と出てきています。
前戦で世界タイトルを奪われたとはいえども、その筆頭は岩田翔吉でしょう。
強い踏み込み、そのスピード、パンチのアングル、そしてパンチングパワー。持ち味を出せばキリがないですが、ジョナサン・ゴンサレス、レネ・サンティアゴ、いわゆるクネクネ動くアウトボクサーとの相性はかなり悪い。岩田は踏み込みが速い分、直線的で、上手くサイドに回られるともちろん空中で方向転換ができないから、捕まえきれないのでしょう。かといって、彼のボクシングが縮こまることは好むところではありません。
そして次に来るのは、先日川満俊輝(三迫)を倒し、日本王者に輝いた高見亨介(帝拳)。この勝利により、世界ランキングも上がるはずで、4団体全てが標的となりそうですね。
↓観戦記
その中でも最も最短の道を進むのであれば、IBFか。矢吹が返上したIBF王座は、現在ランキングが(珍しく)1位も2位も埋まっている状況で、そうであればこの1位と2位で王座決定戦となるはずです。
1位はクリスチャン・アラネタ(フィリピン)、そして2位はタノンサック・シムシー(タイ)です。
この2人が王座決定戦を戦うならば、高見に回ってくるのは挑戦者決定戦と思われ、つまりはIBFランキングで4位の高見は3位のボクサーとの挑戦者決定戦に出場する権利を得ます。そしてこの3位というのがあの山中竜也(真正)を2RTKOで降した、ジェイソン・バイソン(フィリピン)。ユーリ阿久井には完敗でしたが、その後は日本人に対して2連勝を含む4連勝(3KO)、世界王座へのウェイティングサークルに入っています。
日本王者の高見を筆頭に、この階級ではアジア近辺のタイトルを獲得するのは世界への近道ですが、OPBF王者はシムシー、そしてWBOアジアパシフィック王者は尾崎優日(大成)。尾崎は強豪との対戦経験がないのでまだなんとも言えませんが、大成ジムはかなり慎重なマッチメイクでランキングを上げていくのでいつかは世界挑戦にたどり着くかもしれません。
前戦で敗れたとはいえ谷口将隆はパフォーマンス自体は悪くなかったし、川満俊輝にももちろんまだまだ期待ができます。
ただ、やはり途中で敗北を喫したならば、どこかでチャレンジマッチが求められるのも事実。この二人はきっと潔いキャリアをきずいてくれるはずですから、今後の戦いも非常に楽しみですね。
今年、きっとまだ動く
WBA王者のエリック・ロサは、一度は矢吹正道との統一戦のニュースが流れました。これはロサがジャパンマネーを手に入れるために日本に来ようとしていた、ということですから、ファイトマネーを積めばドミニカ共和国から出たことのない王者を日本に呼ぶことは可能です。
それはWBC王者のパンヤ・プラダブスリにも言えることで、パンヤはすでに日本には一度来ている(とはいえ、あまり良い思い出ではないのでしょうが)のだから、2度目の来日もおおいにあり得るのでしょう。
WBO王者のレネ・サンティアゴはこれまでプエルトリコだけではなく、アルゼンチンやドミニカ共和国、パナマ、メキシコ等で戦っており、「ロード・ウォリアー」というほどではありませんが自国プエルトリコには固執しないでしょう。今回は挑戦者という立場だっただけに、地球の裏側まで来てくれましたね。一度日本に来れば、「もう来たくない」とはならないでしょう。彼にとっては日本は縁起の良い国でもあると思います。
タイトル射程圏内にいる日本人ボクサーとしては岩田、高見の2人かもしれませんが、その他のボクサーたちも早めにその位置まで駆け上がる、もしくは戻るかしてほしいですね。今のライトフライ級には大きなチャンスがいくつも転がっている気がします。
今年中、まだまだ動きそうな予感のライトフライ級。まずはパンヤ・プラダブスリvsカルロス・カニサレスの再戦が、タイ以外で開催されることを願いつつ。
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