学生さんたちは新学期がはじまって1週間ほど、そして社会人も新卒の親友社員が入って1週間ほどでしょうか。
この春から社会人になった方々もいるのでしょうね。色々つらいことはでてくると思いますが、ボクシング見て頑張りましょう。
ということで今回のブログは、ジャロン・エニスvsエイマンタス・スタニオニス、事実上のウェルター級最強決定戦の観戦記。

4/12(日本時間4/13)アメリカ・ニュージャージー
アトランティック・シティといえば、かつてマイク・タイソンvsマイケル・スピンクスが行われたシティであり、ボクシングの中心地とは言えないまでも数々のビッグマッチが行われた場所です。
ジャロン・エニスvsエイマンタス・スタニオニスは、そのレガシーファイトに名を連ねることができるか。
アンダーカードではシャフラム・ギヤソフ(ウズベキスタン)が登場。対戦相手はフランコ・オカンポというボクサーでしたね。プレスをかけて相手が出てきたところに左ボディカウンター、このタイミングが初回から素晴らしいギヤソフ。このタイミングでの左フックカウンターを決めたところからラッシュ、終盤にダウンを奪取しています。
その後も左ジャブ、左フックを当て続けるギヤソフ。、カンポもよく頑張りましたが、たくさんボディを叩かれて動きが落ちたオカンポを4Rに右ボディストレートで沈め、カウントアウト。やっぱり強いですね。
そして続いて登場は、パリ五輪の銅メダリスト、IBAの世界選手権でも2021年に銀メダルを獲得した経験のあるオマリ・ジョーンズ。プロ2戦目に臨みます。
体格もスピードも明らかにオマリ・ジョーンズ。ウィリアム・ジャクソンが攻めてきたところに右ボディショットのカウンター、そのままジャクソンは立てず。
レイモンド・フォード(アメリカ)16勝(8KO)1敗1分
vs
トーマス・マティス(アメリカ)22勝(17KO)4敗1分
元フェザー級王者、フォードの再起2戦目です。対戦相手のマティスは、前戦でエドゥアルド「ロッキー」エルナンデスに敗れています。
この相手に負けるわけにはいかないフォードですが、なかなかの強敵ですね。
初回からやる気満々のフォード、プレスをかけて素早いコンビネーションで攻め入ります。このボクサーはもともと速いですが、今日はなんだか特に調子が良さそうにも感じますね。マティスはちょっとスピードにはついていけなさそうです。
別の対応策が必要そうで、それはおそらくブロッキングしてリターンを返す、という戦い方になるのではないでしょうか。
2R、マティスはサウスポー苦手なのかしら、というほど手が出ません。先手をとるのは常にフォード、そこからコンビネーションにつなげていきます。ニヤニヤ笑っているように見えるマティスはここまで何もできず。
後半になってようやく単発気味のパンチを出し始めます。
3R、動きながらもポンポンと手が出るフォード。アティスはガードを上げて詰め寄りますが、パンチを出すところまでもなかなかいけません。時折、中間距離でのノーモーションの右は当たりますが、それ以上は何もありません。
4Rも同様の展開。マティアスはKO率からするときっとフォードよりもパワーがあるはずですがそれを活かせず、フォードのストレートで顎が跳ね上がることもしばしば。
5R、マティスは勝つつもりであればもう行かなければなりません。しかしこのラウンドも先に動くのはフォードで、マティスは主にブロッキング。もう強引に振っていくぐらいしか方法がないはずですが、そうはできません。
レイモンド・フォードはスピードが豊かなサウスポーで、カウンターショットも上手く打てますが、この相手には先手をとったボクシングで成功していますね。ワンツーからつなげるパンチは非常にスムーズで、上下の打ち分けも良い。サウスポーだからもっと左のボディアッパーを使ったほうが良いのかも、とは思いますが。
チャンスのときのチャージも非常に良いですね。
6Rもほぼ同じ流れ、そして7Rに入ってもマティスは突破口を見つけ出すことはできず。フォードはフォードで、ここまで圧倒しているならば倒したいところでしょうが、マティスが攻撃してこない分、効果的なカウンターショットを打てないこと、フォードはコンビネーションパンチャーであり、パンチャータイプではないことがそれを難しくしています。
8R、マティスがプレスをかけてロープ近くまでいくと、フォードはワンツーフックでサイドへ。もうこの展開を何度も繰り返しているのだから、マティスも陣営も学んだほうが良いのではないかと思います。
9R、ようやくプレスを強めたマティス。それでも距離を詰めたところで一気にいくことはできず、見てしまいますね。マティスが前進したとき、フォードがコンビネーションを出すタイミングが秀逸で、マティスはパンチを出せない状態が続いていきます。
ラストラウンドも変わらず。この試合を通じてフォードのワンツーからの前手のストレートが本当によく当たっています。これをマティスは距離で外そうとして全然外せておらず、左目はフォードの右を受けて腫れ上がっています。
結局全くと言って良いほど打開策を見つけられないまま10Rを戦い抜いた、というよりもただ立っていた、に近い。面白い試合ではありませんでしたが、これはフォードというよりもマティアスに原因がありそうですね。当然、それをさせなかったのはレイモンド・フォードなんですが、それにしたって策がなさすぎました。
最後の最後だけ力強いスイングで振っていきましたが、ときすでに遅し。
判定は、100-90✕3、レイモンド・フォード。誰が見ても明確なフルマークでしょう。これをあと2ラウンズ見せられなくてよかった。
WBA・IBF世界ウェルター級王座統一戦
ジャロン・エニス(アメリカ)33勝(29KO)無敗
vs
エイマンタス・スタニオニス(リトアニア)15勝(9KO)無敗
さて、現時点でのウェルター級最強決定戦。
ジャロン・エニスの才能は申し分のないもので、当然この試合でのオッズも優位です。一方で恵まれてこなかったスタニオニスは、人生を大きく変えるチャンスでもあります。そして、もしかしたらエニスは前に出てくるタイプのほうがやや苦手、という可能性もあります。
一体どのような試合になるのか、非常に楽しみな一戦。ということでゴング。
初回、まずグイグイプレスをかけていくのはスタニオニス。エニスはサークリングしながら速くて長いジャブ。ほぼ100%のファンが予想した立ち上がりでしょう。
動きながら多彩な左のエニス、スタニオニスはほとんどパンチを出せるタイミングがなく、とにかくガードを固めて前進。しかし中盤、エニスのジャブの打ち終わりにスタニオニスが左フックを合わせ、エニスの顔を弾いています。
エニスはオーソドックスでスタートしましたが、いつの間にやらサウスポーにスイッチしていました。
2R、エニスがコンビネーションを使い始めます。下がらずその場にとどまってカウンターを狙うことと、自ら攻めること。これがエニスの真骨頂とも言える戦い方で、こっちの方がきっと得意なのでしょう。
スタニオニスのガードは非常に固く、さらにパンチを出さないことでより固くなっており、フィジカルも強いことからエニスでもこのガードを崩すことは容易ではありません。
なかなか反撃の糸口を掴めないスタニオニスでしたが、近い距離で左フックで再度エニスの顔を弾き、その後も左右のフックをヒットしています。この戦法は、自らの不利予想を認識し、さらに地力で敵わない可能性があることをしっかりと理解した上での一発狙いの戦法のように見えます。
3R、耐えて打ち返す、おそらくそんな戦法を選択しているスタニオニス、手数は少ないですがその的中率は良いと思います。
エニスは手数をしっかりと出してきますし、それはガードの上からでもスタニオニスにダメージを与えていそうに見えますが、やはりこのスタニオニスは頑丈です。かかるプレッシャーもかなりのものでしょう。
スタニオニスがいったいどこまで耐えられるか、というのが焦点となりそうなこの試合は、はあしてこのラウンド後半、エニスの左フックがカウンターで入り、スタニオニスが後退!
ここは残り時間も少なかったことも幸いしてスタニオニスはすぐに立て直しています。
4R、エニスはずっとサウスポーです。やっぱりスタニオニスに近づかれるのは好まないのでしょう。
中間距離で自由自在にパンチを放っていくエニス、スタニオニスはブロッキングでじっと耐え、射程圏内に入れば強振。これは少なからずあたっているようにみえ、派手にエニスの顔が弾けることもあります。ただしこれは、スリッピング・アウェーなのかもしれません。それだとするとエニスのスリッピング・アウェーは速い。
ステップワークも使いながら、リズムに乗ってきたエニス。ステップワークとボディムーブを使い、そのディフェンステクニックを披露します。おそらく中間距離で戦えば、エニスの方が随分上なのでしょう。接近戦ではスタニオニスのパンチも良いタイミングで当たるのだから、やはりスタニオニスの史上命題は近づくことです。
5R、スタニオニスの右ストレート、左ジャブなど、いくつかのパンチはヒットしています。
しかし全体的に見ればもちろんエニスの独壇場とも言える内容であり、このラウンドも後半にはエニスはクリーンヒットでスタニオニスを下がらせ、ラッシュ。
なんとも気持ちも体もタフなスタニオニスはそれでもガードを上げて前進。
6R、削られているのは、明らかにスタニオニスの方です。スタニオニスのパンチもヒットしてはいるものの、それは単発であり、さらにエニスは柔らかいディフェンスなのでそのダメージのほどはちょっとわかりません。
対してスタニオニスは相手のパワーを完全に受け止めてから反撃しているので、ガードの上からでもダメージは明らか。そして少しずつ、下がる場面も増えてきています。
このラウンドも後半にボディショットで下がらされたスタニオニス、ガードの間隙からフックを差し込まれ、そしてアッパー連打で膝をつくダウン!
立ち上がったスタニオニス、勇敢な反撃でラウンドが終了。
そしてここでスタニオニス陣営が棄権の意思表示、ジャロン・エニス、6R終了TKO勝利!!!
圧倒的、でした。
フィジカルがあり、タフで、そして攻撃力もあるプレッシャーファイターのエイマンタス・スタニオニス。ジャロン・エニスにとってはほとんど相手にはなりませんでした。
期待を抱かせたところがあったとするならば、初回からスタニオニスの左フックのパワーパンチが当たっていた、このエニスの打ち終わりのタイミングにがむしゃらに出すパワーパンチはもしかすると期待出来たものだったのかもしれません。
ただ、それにもきっと反応していたのでしょう、派手に顔が弾かれていたタイミングでも、ディフェンスはできていたのかもしれません。
ともあれ、これでエニスはウェルター級王座を統一。そしてスタニオニスにこの勝ち方、ウェルター級最強はジャロン・エニスで間違いはないでしょう。おそらく最大の試練、という戦いですら、この勝ち方です。そして何よりも、ジャロン・エニスはこの戦い、非常に楽しそうでした。
次に彼が求めるのはブライアン・ノーマンJrか、それともマリオ・バリオスか。この勝利はきっと、エニスのキャリアが動き出すきっかけになるのかもしれませんね。
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