史上初のトーナメント。
日本では全くもって話題にもならないし、それは日本人ボクサーの出場がないという理由だけではないのでしょう。
ボクシングファンからはすでに権威失墜と見られている、我らがWBCが仕掛けるトーナメントである、ということも一役買っていそうな気がしますね。
まあ、このトーナメントをくまなくチェックする、という人は本当のボクシングヲタクだと思います。
ということで今回のブログは、史上初のボクシングワールドカップ、WBCボクシンググランプリについて。

リヤドシーズン・WBCボクシンググランプリ
RIYAD SEASON WBC BOXING GRAND PRIXというのが正式名称。
もちろん仕掛けるのはトゥルキ・アラルシク率いるサウジアラビアの娯楽庁で、リヤドがWBCに出資して行うトーナメントです。このことは、トゥルキにとっても自らとダナ・ホワイトが組んで行うTKOリーグにそのノウハウを持ってこようという思惑もあるのでしょう。いずれにしろ、長年のファンからは胡散臭さを感じずにはいられないのではないでしょうか。
このトーナメントに勝利したからWBCの何かしらのタイトルを獲得できる、ということはまだなさそう。ただ、WBCのことだから無理やりベルトだのを作ったりはしそうですが。
とりあえず現在私が把握しているのは以下のとおり。
❚ フェザー級、スーパーライト級、ミドル級、ヘビー級と4階級のトーナメントであること
❚ 各階級に32名(合計で128名)のボクサーが出場
❚ 出場国は41か国
❚ 26歳までのボクサーで、プロ戦績15戦以内のボクサーが出場
❚ 優勝者には「ホセ・スライマン・トロフィー」(笑)が授与されること
❚ 4月に1回戦、6月に2回戦、8月に準々決勝、10月に準決勝、12月に決勝戦が行われる予定
❚ 引き分けの場合は特別ルールにて勝者を決める
❚ インスタント・リプレイが導入される
❚ ラウンド残り30秒でブザーがなる
❚ 試合は12ozのレイジェス
❚ グローブはグリーンのグローブvsゴールドのグローブとなる
❚ 初戦で敗退したボクサーも、その後リザーバーとして準備をする
❚ オープンスコアリングシステムが採用されている
❚ ジャッジはハイチェアに座る
❚ 1回戦は3分6ラウンドで争われる
❚ 準々決勝、準決勝は3分8ラウンド、決勝は3分10ラウンド
こんなところでしょうかね。
1回戦は4/17-4/20
このなにかと忙しい現代の日本において、暇を持て余している人がいるならばこれは朗報です。大好きなボクシングを3日間、殆どずっと見ていられます。
まず初戦(フェーズ1)は日本時間で4/17-4/20に行われ、フェーズ1のデイ1は日本時間4/17(木)21:00に始まります。
この4日間で行われる試合数はなんと64試合で、1試合が30分程度と考えると1920分、なんと32時間です。1日あたり8時間、狂気の沙汰ですね。およそプロボクシングを見る感覚ではなく、アマチュアボクシングを見る感覚に近いでしょう。
さすがに入退場は簡素にするとは思いますが、それでも長そうです。
そして2ヶ月に1度という試合ペースはかなり過酷。勝ち上がれば勝ち上がるほどより過酷になるだろうし、これはかなり難しいトーナメントになりはしないでしょうか。
気になることは?
一番気になるのは「ボセ・スライマン・トロフィー」ですね。WBCの創始者であるホセ・スライマンが考えついたというこのトーナメントは、そのバカ息子、マウリシオ・スライマンに受け継がれて開催されます。ホセ・スライマンの名を冠したトロフィーというのはその所以からなのでしょうが、果たしてスライマン父はそんなことを望んでいたのでしょうか。
WBSSのモハメド・アリ・トロフィーと比べると、その名称だけでもガクッと落ちますね。せめてもっとなんかなかったのか。
試合は12オンスのレイジェス、というのもなかなか謎なところです。これはフェザー級、スーパーライト級もそうなのでしょうか。これは安全面を考慮して、ということなのかもしれませんが、12ozにしたら安全ということは全く無いと思います。結局脳は揺れるものなので。
どちらかというとKOはどうしても少なくなり、パンチングパワーで相手を怯ませるような戦い方をするボクサーはかなり不利になると予想します。対して、打たれ脆さのあるボクサーが優位に働く、という可能性もありますね。
安全性を考慮して、だったらレイジェスじゃない方が良いような気もしますが、そこはビバメヒコで仕方のないところなのかもしれません。
グローブ(とコーナー)は統一ということで、グリーンとゴールドというのはWBCカラーだからまあこれも仕方ないのかもしれませんね。
初戦で敗退したボクサーはリザーバーとして待機、というのは、良いかどうかはわかりませんが、しっかり考えたなというのが伝わってきますね。これは蓋を開けてみれば不戦勝→不戦勝→優勝みたいなシラケる流れを断ち切るのには効果的でしょう。
たとえ初戦で負けたボクサーであっても、別の相手なら勝てるかもしれませんし。ただ、懸念事項としては、やはり一度トーナメントで負けたボクサーが優勝してしまう可能性だってあるわけで、これは2ヶ月スパンの戦いだからこそ、コンディショニングも非常に大切なシーズンになってくるでしょう。
求められるのは、ただリング上で強いというだけでなく、規律と、節制と、計画的なトレーニングです。
WBCの新たな取組
実際、WBCというのはクソ団体というイメージがつきまとっていますが、WBCクリーンプログラム、WBCケアーズ(キッズボクシング)、といったたくさんの活動をしています。12ラウンズ制を取り入れたのもWBC。
そんなWBCが今回仕掛けるのは、ボクシングにつきまとう不公平性への対応について、もしかしたら今後スタンダードになる可能性を秘めているものです。
まず、WBCの世界戦(アメリカを覗く)で採用されているオープンスコアリングシステム。これについては私はどっちでも良いですが、見ている人たちとしてはわかりやすいので良いのではないでしょうか。
そして、インスタントリプレイ。これは是非スタンダードになってほしいもの。
ジャーボンタ・デービスが「目にグリースが入った」ことで膝をついた、このタイミングでのレフェリーの選択は「試合の中断」でした。
人はありえないことが起こると対応することができず、それはレフェリーの資質が問われる場面でもあります。
あのレフェリーに力量がなかった、というのはもちろんのことなのですが、全てのレフェリーが名レフェリーではありません。そして、スキルを上げたとしても、全てのレフェリーが良いレフェリーになることはできません。おそらく、ボクサー以上にレフェリーというのは枯渇しています。
レフェリングをしたことがある人はわかると思いますが、はっきり言って難しい。そして顔をしっかりと出しているからこそ、批判を一身に浴びます。ジャッジが妙なジャッジをしてもそれは一瞬で、名前と顔を覚えられることはほとんどありませんが、レフェリーは別。
このインスタント・リプレイは、レフェリーの尊厳を救うことにもなり、人がやることだから間違いありきで、その間違いを修正できる素晴らしいシステムだと思います。
これは是非とも大成功して、他の試合でも導入されてほしい。ただ、カネもかかることでしょうから、タイトルマッチだけとかでも良いかもしれません。
後もう一つ、ジャッジがハイチェアに座る、ということ。
これもまたジャッジ席に座ったことがある人はわかると思いますが、普通のパイプ椅子ははっきり言ってリングがめちゃくちゃ見づらい。当たり前です、自分の目線は選手の膝ぐらいになってしまい、近くに来れば見上げないといけないからです。
アマチュアの試合ではハイチェアであったりしますが、その場合は見え方が随分と違います。
このブログでは何度かお伝えしていますが、ジャッジというのは1方向からしか見ることができず、一方のボクサーがジャッジ席を背にして逆コーナーで攻め込んで超接近戦になった場合、当たってるのか当たってないのか全くわかりません。
ほんの少しでも見やすくすることは必要です。本当は、ジャッジがリングを俯瞰して見れる位置、宙吊りしてコーナーポストの上ぐらいにいるのが一番良いでしょう。奇妙だし邪魔だし、1時間宙吊りにするわけにもいかないのですが。
この2つはワールドスタンダードになれば良いな、と思うわけです。
放映はDAZN!!
さて、もちろん放送はDAZNです。
DAZNといえばマッチルームが手掛けていた「Super Six」というトーナメント、そしてそこから派生した「Prize Fighter」というトーナメントがありましたね。「Prize Fighter」は日本進出を狙ったDAZNが日本開催を決めてくれましたが、結局詐欺にあって頓挫、あいつら(Never Say Neverという意味不明な会社)のせいでもうマッチルームは日本に来てくれないかもしれません。
あれだけグローバル展開をしているDAZNが、世界屈指の軽量級市場である日本に目を向けないのは、あの会社のせいであることは断言できます。ほんと、なんということをしてくれたんでしょうかね。
まあ話を戻して、とにもかくにも全部見れる人は見てみましょう。良いパフォーマンスを見せ、注目すべき選手を是非教えてもらいたい。
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