期待していたGWは期待通りにはならず、落胆の日々です。
こんなことならもっと別なことに時間を使っておけばよかった、と思うわけです。
それでも懲りないのがボクシングファンで、次こそは、という期待を背負ってボクシングを見るわけです。
GW中で唯一時間のあった5/4(日)という貴重な貴重な休日を、あろうことかつまらないボクシングに費やしてしまったのが本当に悔いが残ります。
あの伝説の「ハグラーvsハーンズ」から40年、ボクシングは確実につまらなくなっています。そりゃあボクシングはUFCに抜かれるわけです。
まあ、ともあれ今回はそうはならないはず。世界中のすべての期待を背負って、井上尚弥のラスベガス出陣。ということで今回のブログは、井上尚弥vsラモン・カルデナスをメインに据えた、トップランク興行の観戦記。
↓プレビュー記事

5/4(日本時間5/5)アメリカ・ラスベガス
ESPNの放映は、いつものマーク・クリーゲルとティモシー・ブラッドリーの掛け合いから始まり、ライース・アリームの登場。一時期はネクスト王者として活躍しましたが、サム・グッドマンに敗北、プロスペクトの座は微妙なところまできています。第1試合、観客はほとんど入っていません。
続いてはアート・バレラJr.、こちらはウェルター級プロスペクトで、ロベルト・ガルシア・ボクシングアカデミーの出身。ロベルト・ガルシアが最も期待しているプロスペクトの1人、という触れ込みですね。最終ラウンドTKO勝利を挙げています。
そして続いて登場は日本のプロスペクト、中野幹士。
中野幹士(帝拳)12勝(11KO)無敗
vs
ペドロ・マルケス(プエルトリコ)16勝(10KO)1敗
戦績を見る限り強敵、ペドロ・マルケス。中野もそうですが、アメリカ初試合ですね。
初回のゴング、まずはジャブの差し合いからスタート、早々に中野は左ストレートを届かせます。マルケスはほとんどジャブしか出せませんが、中野は右ボディから右フックを返し、多彩な攻撃を見せています。
後半に入る頃、マルケスが右ストレートを使ってきますが、その打ち終わりに左。その後もジャブから左のアッパー、良い立ち上がりです。
インターバル中は井上がカステラを食べる姿。ジャパニーズベーカリーから持ち込んでいるケーキ、みたいな紹介です。アメリカではカステラはメジャーではないかもしれません。
2R、中野は距離感が良く、空振りがほとんどありません。
マルケスの右に相打ちのタイミングで左を放った中野、続いて強い左!これがマルケスのガードを割って入り、一拍置いてマルケスがダウン!
膝をついてダウンカウントを聞いたマルケス、立ち上がったところで中野がチャージ!
実況も「マノス・デ・アセロ」のニックネームを紹介、その鉄の拳をボディにめり込ませ、顔面に返すとマルケスは2度目のダウン!!
残り時間は50秒弱、ここはもちろん攻める中野!マルケスもカウンターをヒット、良いボクサーです。
3R、マルケスはまだ動きが良い。ダメージはいかばかりか。
1分頃、中野がジャブから左のアッパー!今度も一瞬の間を置いてマルケスは3度目のダウン!この左の使い方はお見事です。
諦めないマルケスに次々と力強い左を打ち込んでいく中野、決着は近いか。
4R、マルケスは素晴らしい回復力を持っています。3度もダウンを奪われたボクサーとは思えないほど、キレのあるストレートを放ってきます。このラウンド前半は被弾が多いように見えた中野ですが、中盤、左ボディから右ボディを返すとマルケスがまたもダウン!
ここも立ち上がった気持ちの強いマルケス、しかし中野の右ボディが炸裂すると通算5度目のダウン!これでレフェリーがストップ!
中野幹士、4RTKO勝利!!素晴らしいU.Sデビューを飾りました!
素晴らしい勝利!ペドロ・マルケス、気持ちも強く良いボクサーでしたが、役者が違いましたね。中野は世界ランカーとしての実力をしっかり見せました。サウスポーの右ボディって、あれ急所に入るんか?とにかくものすごい貫通力でストマックまで届いたのでしょうか。
続いて登場の大人気ボクサー、エミリアーノ・バルガスも、中野と同じくウィニングのボクシンググローブを着用しています。こちらはジャブワンツーで2Rにダウンを奪い、左フックでフィニッシュ。華があって、派手です。
ロハン・ポランコvsファビアン・マイダナも特にアップセットは起こらず、ポランコがフルマークの判定勝利。
このあと、現役王者たちの「most consecutive world title wins via KO」、つまりは世界タイトル連続KO記録が紹介されます。これはおそらく現在進行系のものでしょう。ジャニベック・アリムハヌリ(4)、中谷潤人(4)、ジェシー・ロドリゲス(3)と同じく、井上尚弥(10)が紹介されています。群を抜いてとんでもない記録です。
WBO世界フェザー級タイトルマッチ
ラファエル・エスピノサ(メキシコ)26勝(22KO)無敗
vs
エドワード・バスケス(アメリカ)17勝(4KO)2敗
さて、セミファイナルはラファエル「ディヴィーノ」エスピノサ。エドワード・バスケスはKO率が低いですが非常に粘りのあるボクサーで、ガチャガチャした展開が得意なので噛み合う試合になると思います。フェザー級を主戦場としながらも、スーパーフェザー級のタイトルショットでジョー・コルディナに肉薄したボクサー。これは油断できません。
初回、まず長いジャブで攻め入るのはエスピノサ。バスケスも身体を振って下がらず、低い姿勢から飛び込みの左フック、身体を前に倒しながらのボディストレートを狙います。初っ端からハイアクションのファイト!
バスケスが入ってくるところにエスピノサは左右のアッパーで迎え撃ち、バスケスはオーバーハンドで距離を詰めます。終盤、バスケスも良いコンビネーションを見せています。やっぱりこのボクサーは厄介です。
2R、低く入る、入りながらエネルギッシュに手数を出すバスケス。対エスピノサにはこの戦法しかない、というのを忠実に実行するバスケス。右のオーバーハンドはいくつか当たっています。
エスピノサは幾度もアッパーをヒット、高見から見下ろすその姿はディヴィーノ(神)そのものです。
バスケスも良いボクシングをしていますね。近くに行けばエスピノサの胸あたりに頭をこすりつけるようにして、そこから攻撃。
3R、長い長いストッピングジャブからの左アッパーを使うエスピノサ。非常に勇敢なバスケスは、飛び込みの左フック!この思い切った踏み込みはバッティングを生みますが、はっきり言えばエスピノサを相手にしてバッティングできることがすでに大したことです。
このラウンドはバスケスの猛烈な距離の詰め方にエスピノサが下がる場面が出てきています。バスケスは非常にフィジカルが強く、体重をエスピノサに預けてくるため、エスピノサの消耗も早くなりそうです。
しかし後半、エスピノサの右ボディストレートがヒット!これでバスケス後退!良い攻撃を見せていましたが、ここで形勢が逆転、それに気づいたエスピノサは執拗にボディショット!
最後はラッシュをかけてラウンドが終了!両者素晴らしいファイトです!
4R、バスケスの回復力も大したもので、何事もなかったかのように飛び込みの左フック!エスピノサも弱気になることなく打ち返し、とにかくアッパーが巧すぎます。
サイドに回ってパンチをコネクトするエスピノサ、バスケスは横からのパンチを力強く振っていきます。このボクサーはKO率に騙されそうになりますが、身体全体のパワーはしっかりあり、パンチが無いボクサーではないと思います。
ここも後半にエスピノサの大反撃、こちらもパンチを出し始めると止まりません。ここもエスピノサのボディで後退したバスケス!ここでエスピノサはチャージ!しかしバスケスはなんとか打ち返してエスケープ!会場は大歓声と大きな拍手!
5R、バスケスの右ストレートはエスピノサの顔面にあたってはいますが、的が遠すぎてちょっと当たりが浅いかもしれません。マーク・クリーゲルによる非公式採点はここまでラファのフルマーク、バスケスも良いところもありますが、ラウンドマストでいくとこうなりますね。
このラウンドも序盤は良い攻撃を見せるバスケスですが、中盤、エスピノサの右ショートがカウンターでヒットすると後退、エスピノサは回転力があることも強みであり、旺盛な手数でバスケスを攻め立てます。
身体を大きく振って頭の位置を変え、なんとか被弾を回避しようとするバスケス。
6R、エスピノサの右に対してバスケスの右オーバーハンド。カウンターとなって入ったこのパンチは、非常にタイミングが良かったですが、エスピノサはびくともしません。
そして中盤になるとエスピノサが4パンチ、5パンチのコンビネーションで優勢。
7R、ここまでのパンチスタッツが出ています。エスピノサ180/461、バスケス116/301。当然のことながら、昨日のカネロvsスカル、一昨日のガルシアvsロメロ、ヘイニーvsラミレスの12ラウンズを大きく超えています。
強くで始めたエスピノサ、そろそろフィニッシュを意識しているか。力強い打ち下ろしの右、その中でボディも忘れずに叩くエスピノサは、アッパーで幾度もバスケスの顔面を起こし、バスケスをコーナーに詰めたところでストレート連打!!
バスケスが下をむいて固まってしまったところでレフェリーがストップ!
ラファエル・エスピノサ、7RTKO勝利!!
バスケスは良く頑張りましたが、2歩、3歩届かなかった印象です。結局ダウンはしなかったので、非常にタフなボクサーだと思います。ただ、やはりタイトルを獲るにはパンチングパワーが足りないのかもしれません。良いパンチも当てていましたが。
世界スーパーバンタム級4団体統一タイトルマッチ
井上尚弥(大橋)29勝(26KO)無敗
vs
ラモン・カルデナス(アメリカ)26勝(14KO)1敗
さて、いよいよメインイベント。ラモン「dunamita」カルデナス、KO率以上に危険なパンチャーでパワーがある、というのはトレーナーのジョエル・ディアスの弁。
訪れた千載一遇のチャンスは、彼の人生を大きく変えることができるか。
一方で、P4Pキングの一人である井上尚弥に求められるのは、明確に「ノックアウト勝利」というハードルです。
勝ち方が問われるという難しい試合、そして久々のラスベガス。注目のゴング。
初回、まずはリング中央で相対する両者、井上は鋭いジャブ、そのあとに3パンチコンビネーション。カルデナスはかなりハイガードで構え、右拳は顎をしっかりとガード。かなりの警戒心です。
カルデナスのパンチは非常にキレがあり、左フックも鋭いですね。これは過去最高に仕上げてきているのかもしれません。
ガードの間隙を縫ってジャブを差し込む井上、カルデナスの左フックは距離で外していますがこのパンチは危険ですね。
井上のジャブに右クロスをリターンするカルデナス、このパンチも当たりませんでしたが危険なパンチ。
2R、TIME IN JAPANは12:14PM(MONDAY)だとご丁寧に字幕が出ます。しかし日本は祝日で、きっと多くのファンがこの試合を見ているのでしょう。あ、私は完全ディレイですが。
このラウンドアグレッシブにコンビネーションを放ってくるカルデナス、対抗して井上もコンビネーションから強い左ボディ。
井上のジャブに対して右リターン、そして左フックのカルデナス。やっぱりキレがあります。彼は非常に攻撃的で、一発のラッキーパンチを狙うというよりも自らのボクシングをぶつけに来ているイメージで、これは非常に好感が持てることです。
井上は右ボディから左ボディショット、これがまた力強い。カルデナスのジャブも素晴らしく、パワーも感じますね。井上は鼻血を流しているように見えます。これはカルデナスのジャブによるものでしょうか。
終盤、井上が攻めたところでカルデナスが左フックカウンター!!これがクリーンヒットして井上はダウン!!!
ルイス・ネリ戦のダウンはバランスを崩してのダウンでしたが、今度は完全なノックアウトタイミング!!
カウント8まで休んだ井上、ここでゴングは幸運だったかもしれません。
実況も大騒ぎ、イノウエ、ダウン!!!です!これはなんと。。。!一発で終わってもおかしくないほどのタイミングだったように思います。
3R、ここはカルデナスが勝負!ガードを固めて前に出ます。しかし井上はコンビネーションでカルデナスを押し返し、ダメージを感じさせない力強いムーブ。
井上がプレスをかけるとカルデナスが下がる展開、本当はカルデナスはここでいきたい。カルデナスはいけない、というところで切り替えたのか、やはり井上の出てくるところの左フック、そしてジャブにあわせる右クロス狙いです。思えばあの左フックも狙っていたタイミングなのかもしれません。井上はこれまでも右ガードが落ちることがあります。これはジャブを打って攻め込むときも、です。
後半、カルデナスの左フックでバランスを崩す井上!いつもは岩のようにどっしりと構えていますが、これはカルデナスのパワーがなせるわざか。しかしその後は強いワンツーで押し返した井上、この打ち終わりにカルデナスが鋭い左フックを振りますが、これは当たらず。しっかり距離で外せています。しかしこれはヒリヒリしますね。
インターバル中、ネリ戦のダウンとの比較映像が出ています。同じパンチだ、ということなのでしょうが、ESPN仕事が早すぎるやろ。
4R、ここでオッズが出ますが、試合開始前は井上-6500(100ドル儲けるのに6500ドルベットしなければならない)、カルデナスが+1800(100ドルかければ1800ドル儲けられる)という超がつくほどの大差だったにも関わらず、先程のダウンを経て井上-400、カルデナス+275に変わっています。すごい振れ幅。
カルデナスはブロッキングを主としたディフェンスですが、井上の強い右に対してはバックステップで威力を逃がし、自ら攻めて強い右を届かせています。
井上の右に対して左を強振、井上の左に対して右を強振してリターン、これは怖さがあります。
しかし井上はそのカルデナスのリターンを外してコンビネーション、左フックからの左ボディ。距離で外していますから、しっかり見えているのでしょう、ラウンド後半には力強いパンチを次々と、ガードの上もお構いなしに打ち付けています。
5R、マーク・クリーゲルの非公式採点は37-38でカルデナスがリード。2Rのダウン、引き続きの3Rがカルデナスなので、これは致し方ないことです。ただ、4Rにはもう立て直したふうにも見えたので、ここからあの鋭い左右のフック系のパンチに気をつければ大丈夫。だと思いたい。
カルデナスのディフェンスがブロッキング一辺倒ではなく、フィリーシェルスタイルに。これによりカルデナスは上体の動きを多用して井上に若干ミスブローが増えてきたか。
それでもやはりボディを躱せるわけではないので、井上は強いボディをコネクト、そして強いワンツーをカルデナスのガードの上から打ち込んで後退させます。
6R、カルデナスはガードを固め、クラウチングに構えて右リターンを狙います。ただ、やはりパワーは井上か、井上が攻めれば下がらざるをえないようです。
中盤、カルデナスがダブルジャブで攻め入ったところ、井上はそれをかわして右のボディアッパー。これはちょっと効いたか、カルデナスが下がります。
その後もカルデナスの右に右カウンターを合わせた井上、明らかにダメージを負ったようにみえるカルデナスを強打で攻め立て、カルデナスの渾身の左フックを距離でかわした上、ロープに詰めます。
未だ鋭いスイングのカルデナス、これは本当に素晴らしいボクサーです。これがあるから井上も不用意には攻められませんが、着実にダメージを与えていっているように見えます。
終盤も井上のラッシュ、その中でカルデナスも右オーバーハンドを返します!
7R、開始早々、ジリジリと下がるカルデナス。前ラウンドのパワーパンチスタッツが出ますが、井上のパワーパンチは52発中33発もがヒットしているという驚愕の数字です。
中盤、井上は右ストレートをヒット、カルデナスはもう限界が近いか、大きく後退。歩くように追いかけた井上は右から左ボディ、右ボディ。そのどれも力強く、およそコンビネーションとは呼べない連打でカルデナスは一瞬動きが止まります!
ロープの反動を利用して身体を振り、なんとかエスケープしたカルデナス、前方を大きく突き出して井上を押し込み、今度は逆に左右のボディ、アッパーを使って井上を押し込んでいきます!
そして後半、井上がカルデナスに右をヒットして後退させると、その後も3パンチコンビネーションをヒット、動きが緩慢になったカルデナスに右をクアドラプル!残りの時間は10数秒、それでも井上尚弥は行きます!
カルデナスも大逆転を狙って鋭い左フックを振ります!やっぱりこのパンチは怖い!
8R、ジリジリ距離を詰めた井上はジャブの差し合いに勝ち、カルデナスの渾身の左フックを外し、右アッパーから左のボディショット!これで大きく後退したカルデナスはロープに詰まり、ここで井上は猛然とラッシュ!
ほとんどすべてが強打のこのラッシュで、カルデナスは固まるように下をむいたところでレフェリーがストップ!!!
井上尚弥、8RTKO勝利!!
負けそうだった、というほどではないにしろ、この戦いは井上にとっても楽な試合ではありませんでした。何よりもラモン・カルデナス、多くのファン、識者が彼の本当の実力を見誤っていた感じがしますね。もしくは、カルデナスが真の実力以上のものが出せた戦いだったのかもしれません。
カルデナスはこの戦いで大きく株を上げ、きっと今後日本のボクシングファンにも応援される存在となったと思うので、世界王者になってほしいですね。やっぱりボクシングはこうでなくてはなりません。前日、前々日のボクシングっぽい何かは見なかったことにしましょう。
勝ち名乗りを受けるモンスター、その両腕に次々とベルトがかけられていきます。
素晴らしい戦いでした、井上尚弥。「次は9月に、ムロジョン・アフマダリエフと戦います」と名言した井上尚弥。
試合後、「most consecutive world title wins by KO」since1962のリストが出ています。これは、1962年以降、世界戦での連続KOをリスト化したもののようですが、ダリウス・ミハエルゾウスキ(14)、ウィルフレド・ゴメス(13)、それに次いでテレンス・クロフォード(11)、井上尚弥(11)と出ています。ここから更新できるのは井上尚弥のみ、あと4つでこちらも新記録ですね。
そういえば私は念の為、9/14(日)、名古屋のホテルを予約しております。IGアリーナという噂(違っても責任は持ちません)ですし、チケットが取れるかは不明ですが、MJ戦は今年のハイライトになり得る一戦です。
次の戦いも期待しましょう!
ちなみに、森合さんの「怪物に出会った日」が文庫化されるそうです!
加筆されている部分もあるので要チェック!私はもちろん予約済み!
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