ボクシングに失望しかけてから1週間。
シンコ・デ・マヨの週末を救ったのはラモン・カルデナスであり、ラファエル・エスピノサであり、そして井上尚弥でした。
もはや採点基準を変えなければ、デビン・ヘイニーやウィリアム・スカルのようなダンサーばかりになり、ことビッグマッチにたどり着いたボクサーたちはそうなってしまうのではないか、と思うような週末。まあ、理にはかなっています。危険を犯すのはその試合にたどり着くまでにしておいたほうが利口です。
このプランをつくったのはまさにフロイド・メイウェザーJr.であり、それまでは少なくともビッグマッチは非常に面白いものでした。多くの人の目に触れるビッグマッチが、面白くなくなっているという現実は、今後のボクシング人気に影を落とすことになりそうです。
この流れはビッグマッチを殺すことに成功しており、確かにここ数年で退屈なビッグマッチは増えているような気がします。
さて、それではもう、ボクシングという競技は救われないのか。いや、そうではありません。

ラモン「Dinamita」カルデナス
井上尚弥からダウンを奪い、一躍時の人となったラモン・カルデナス。その知名度は米国はもちろんのことながら、日本でも急上昇。このハートの強いダイナマイトは、すでに日本の興行に呼ばれたとのことなので、はやければ秋ころ、Prime Video BoxingかU-NEXT BOXINGに出場の可能性がありそうです。
完全なBサイドがリングにあがり、世界一のボクサーに一矢報いた戦いは、井上を応援する日本のファンにとっても強烈なインパクトを残しましたし、試合前後のインタビューをみても真のファイター、非常に好感の持てるボクサーです。日本に来てくれるのが今から非常に楽しみですね。
彼はサンプソン・ボクシングプロモーションに所属しており、メジャーどころ。他に所属するボクサーとしては、セバスチャン、ガブリエラのフンドラ兄妹、デビッド・ベナビデスあたりが現在の看板ボクサーです。
そんな中でさほど恵まれたキャリアを築いてこなかったカルデナスでしたが、それを救ったのはこのサンプソンボクシングとともに興行を企画してきた、ProBpxプロモーションズでした。
PROBOX TV
ProBoxプロモーションズが展開する、ProBoxTVは、ボクシングに特化したストリーミングサービス。ProBoxプロモーションズはこのProBoxTVこそが主軸の事業であり、現実的には選手をプロモートしてどうこうというのはない状態のようです。
平たく言えば、イベント屋なわけです。
さて、このProBoxTVはCEOのギャリー・ジョナスにより2022年4月に設立され、共同創業者の名前としてはロイ・ジョーンズJr、ファン・マヌエル・マルケス、アントニオ・ターバー、ポール・マリナッジといった元王者たちが名を連ねています。
そして2024年にはBoxingSceneを買収、その影響力を強めました。
そしてここ最近はProBoxTVで育ったボクサーたちが世界戦のチャンスを掴み、時にそれを奪取するなどしており、その躍進たるや凄まじいものがあります。
このProBoxTVは、世界中どこでも(じゃないかもしれませんが、少なくとも日本では)無料で視聴できる上、アプリもあり、視聴に全くと言って良いほど問題がありません。
さらに注目すべきはそのマッチメイクで、50-50に近い、ほとんどAもBもないような力量差と思われるものを提供しています。
これこそがボクシングファンが願ってもやまないものであり、だからこそもちろん、この興行には素晴らしい勝負が多い。
現在は、「コンテンダーシリーズ」という世界ランカー同士のマッチメイクを行う興行、そして「フューチャースターズ」と若手にスポットを当てる興行、そしてこれは大手との兼ね合いになると思いますが、「チャンピオンシップボクシング」という世界戦を扱う興行、3つの興行に分かれているようです。
大舞台にステップアップしていくファイター
ギャリー・ジョナスが一体どこを目指しているのか、については私の調査能力では調べることはできませんでしたが、希望を言うならこの位置をキープしてもらいたい、と思います。
大舞台は大手に任せ、その一歩手前のファイトをブランディングする。
世界を獲ったにも関わらず、どこも放映してくれなそうだったレイモント・ローチの初防衛戦を救い、そしてローチは次の戦いでジャーボンタ・デービスと引き分けというある種のアップセットを成し遂げています。
スティーブン・フルトンへの敗戦後、メジャーシーンから転げ落ちたアンジェロ・レオは、ProBoxTVで厳しいファイトをくぐり抜け、とうとう当時階級最強と目されたルイス・アルベルト・ロペスをノックアウト、さらに初防衛戦では日本に呼ばれ、ミリオンかそれに近いファイトマネーを得るという大躍進。
そしてラモン・カルデナス、こちらもこのProBoxTVの興行に最初はBサイドで出場、自身のキャリア最大の勝利を挙げたのち、ブライアン・アコスタとのプロスペクト対決を勝ち抜き、運もあって井上尚弥戦の切符を勝ち取っています。
そして今後は
ナジー・ロペス(プエルトリコ)13勝(10KO)無敗、25歳
ダレル・バルセイント(アメリカ)12勝(10KO)無敗、22歳
ドミニク・バレ(アメリカ)10勝(7KO)無敗、24歳
といったプロスペクトたちが、王座を狙っていくのでしょう。ともかく引き続きマッチメイクには期待したいものです。
さて、今週のProBoxTVは?
さて、もうまもなく始まってしまうのですが、今週末のProBoxTV、メインイベントはエリクソン・ルビン(アメリカ)vsアードリアル・ホルムスJr(アメリカ)。
アメリカはキシミーで行われるこの興行は、アメリカ時間で5/10、日本時間では5/11です。ちなみにProBoxTVは当然のようにアーカイブも見せてくれるので、リアルタイムで見れなくても全く問題ありません。
ルビンは26勝(18KO)2敗、2敗はジャーメル・チャーロ(アメリカ)に不名誉な初回KO負けという敗北と、セバスチャン・フンドラ(アメリカ)への敗戦。どちらも世界戦です。
前戦では評価の高いプロスペクト、ヘスス・アレハンドロ・ラモスJr(アメリカ)を破って再浮上、今回はIBF世界スーパーウェルター級の挑戦者決定戦ですから、ここに勝てば3度目の世界挑戦が叶います。
対するのはアードリアル・ホルムスJr、17勝(6KO)無敗のプロスペクトです。こちらも前戦では無敗のボクサーに勝利していますが、実績ベースで言えば当然ルビンには劣ります。これまでにIBFの下部タイトルを獲得しているようで、それを評価されてのエリミネーション出場なのでしょう。
ここはルビンに勝ってほしいですね。
アンダーカードにはナジー・ロペスやダレル・バルセイント、ドミニク・バレといった前述のプロスペクトたちも大登場。これはなかなか必見の興行なので、アーカイブで良いので是非見てみてください。
さらりと素晴らしいマッチメイクを連発しているProBoxTV。特にアメリカのボクシングファンは、このプラットフォームについていくべきだと思います。今後のProBoxTVの大躍進に期待しましょう。
ボクシングの金儲けは、ボクサーのネームバリューではなく、素晴らしい試合で作られるべき。そういう流れをつくってもらいたいですね。
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